問題児たちとロクデナシの魔王が異世界から来るそうですよ? 作:慢性睡眠不足
【 18世紀末、あるイタリアの魔術師による覚え書きより 】
(前略)……神話より抜け出し、地上に降臨しては人々に災厄をもたらす「まつろわぬ神々」。その彼らに対し我々人は抗う術を持たない。
彼らに対抗しうるのは同じまつろわぬ神々か彼らを殺しその権威と力を簒奪した神殺しのみである。
だが忘るることなかれ。彼ら神殺しを縛るのは彼ら自身の流儀のみ。脅威を退ける力は容易に新たな脅威となりうることを……
【 20世紀初頭、賢人議会に提出された未確認の神殺しについての報告書より抜粋 】
これまでの調査結果より新たな神殺しが誕生している可能性は極めて濃厚と判断いたします。現世ともアストラル界とも異なる異空間の出現やおぞましい異形の群れの目撃などが広範囲かつ継続的に発生していることからもそれは明らかであり……
(中略)
……少なくとも近年多発している魔術師や結社の失踪事件や突然の霊脈、霊地消失事件の影には彼或いは彼ら未知の神殺しがいると思われ、追加の調査と更なる警戒を……
【 神殺し「異界の王」についての中間報告書 】
現在我々が調査中である「異界の王」と仮称された神殺しについて判明した幾つかの事柄についてご報告させていただきます。
先の報告に記し、仮称の所以となった現世から切り離した領域を展開し思いのままに変貌させる権能の他、異形の軍勢を生み出し使役する能力と光を己の武器へと変え投じる能力を持つであろうことが判明いたしました。
一部では雷雨や黒く燃える太陽を呼び出すなどの証言も存在し、すでに複数の神より権能を簒奪しているのは確実と思われます。
また過去の目撃証言を照らし合わせた結果、かの王の容姿はアジア系の若い男性、それも日本帝国人である可能性が高いと判明し、現地の呪術組織への協力と確認を要請させていただきたく……。
【 21世紀初頭に行われた未確認とされる神殺しについての最終調査報告書 】
六人目の神殺し誕生に伴い賢人議会の資料に残された未確認とされる神殺しについて新たに調査した結果、その存在については否定せざるを得ないという結論に達しました。
最有力と位置付けられていたかの「異界の王」についてもここ半世紀以上は活動の痕跡も見られないことから、その存在は今はないものと考えざるを得ません。これまでの資料より彼ら神殺しが長期間騒動や事件と無関係でいられるはずがないのですから。
もともと「異界の王」はアストラル界の一角を拠点とし、かの地に隠れ住む神や神獣を獲物と定めて放浪しているとされ、現世における目撃や事例はさほど多くはありませんでした。それゆえ確認には至らなかったことから、その存在自体に疑念を投げかける声も小さくありません。
今回の調査によりかの王の存在を証明するといわれたいくつかの事件が他の王によるものだと判明したことからこれらの声が大きくなっていくものと思われます。
少なくとも現時点において、神殺しと称されるべき存在は我々の把握している六人のみであると報告致します。
「……うむ、よう寝た」
存在が疑われていた魔王が主人公。なぜそうなったのかは次回に