ブラックワンサマー   作:のんびり日和

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2話

一夏は目を覚まし周りを見るとごみが散乱していたり壁には落書きがあった。

 

「目が覚めたようだな。」

 

そう声を掛けられ、その方向を見ると覆面をした男が立っていた。手には水の入ったペットボトルを持っていた。

 

「ほれ口を開けろ。」

 

そう言われ一夏はビクビクしながら口を開けた。男は一夏の口にペットボトルの口を咥えさせゆっくりと飲ませた。

 

「悪いな坊主。俺たちの目的が達成出来たら解放してやるからな。しばらく我慢してくれや。」

 

一夏は小さく頷くと男はそのまま奥に行った。一夏は兎に角解放してくれることを信じてジッとした。

 

 

数時間後男達が入ってきた。

 

「で、どうする、このガキ。」

 

一夏は男の最初の言葉でこの人たちの目的は達成できなかったんだと分かり、自分は解放されないと思った。

 

「殺すしかないだろ。」

 

そう言って一人の男が銃のスライドを引き初弾を込めた。

 

「待て、殺すとあとが厄介だ。」

 

そう言ったのは一夏に水を飲ませた覆面の男だった。

 

「だったらどうするんだ。」

 

そう言われた男は暫く考えた後、こう切り出した。

 

「確か港から今日貨物船が出るはずだ。その中の荷物の一つに紛れ込ませればいいんじゃないのか。こいつが見つかるころには俺たちは高跳び済みだ。」

 

そう言うと他の男たちもそれでいこうと準備をしに出ていった。

 

「坊主わりぃな、目的が達成できなかったから解放は出来なくなっちまったんだ。それでこのままだとお前が殺されちまうと思ってな。だからあぁ言ったんだ。」

 

そう言って男は一夏のポケットに十数枚ほどの札と数本のエナジーバーをポケットに入れて担ぎ上げた。

 

「そのエナジーバーがあれば空腹を少しは紛らわせるだろう。それと金は大事に使え。それで生き延びてどこかの国の大使館に行けば保護してもらえるはずだからな。」

 

そう言われた一夏は小さな声で

 

「ありがとう。」

 

そう言われた男は少しだけ笑みを浮かべてこの子供が無事に生きて帰られることを祈りながら仲間たちのもとに向かった。

そして一夏を箱に詰め、貨物船に向かって車を走らせた。数分後港に着き、目的の貨物船の中にこっそりと箱を積ませて犯人グループは何処かに去って行った。

 

一夏は箱に詰められてしばらくジッとしていた。するとどの位経ったのか分からなかったが誰かがこの箱を運んでいることが分かった。暫くすると箱は何処かに置かれ、揺れが生じた。つまり今自分は船から別の何かに移されたと一夏は思いもうしばらくジッとしていた。すると急に箱の蓋を開ける音が鳴り一夏は開けられたら終わりだと思い開けられませんようにと祈っていたが上の蓋が開く音が鳴りそして箱の蓋が取られた。

箱を覗いてきた人はサラリーマン姿の男と2丁の銃をぶら下げた女だった。女の方は何だかうんざりしたような顔の様子だった。

 

「おい~なんでガキが入ってんだよ。前にも同じような光景見たことあるぞ。」

 

「けど、以前のはガルシア君がカルテルの抗争に巻き込まれて誘拐されただけでこれはそんなのとは違う気がするぞ。」

 

一夏は束に英語などを教えてもらったから、この二人が会話している内容がある程度理解できた。

 

「あ、あの。」

 

「うん?君もしかして英語が話せるの?」

 

一夏は男の質問に首を縦に振って少しだけと答えた。

 

「あの、この船はどこに向かってるんですか?」

 

「この船は今“ロアナプラ”に向かってるぜ。」

 

一夏の問いに答えたのは女の方だった。一夏はロアナプラ?と首を傾げていた。そんな街があるのかと疑問に思ったからだ。

 

「ロアナプラを知らないのか?まぁガキが知ってるわけないか。とにかくそこから出たらどうだ?」

 

一夏はそう言われ箱の中から出て二人と一緒に貨物室から出た。そして船員室の様なところで待たされた。女の方は出ていき男の方は一夏の傍にいた。

 

「所でどうして僕があの箱の中に入っていたってわかったんですか?」

 

一夏はふと気になったことを聞いてみたら男は

 

「いや、実は受け取る荷物の数が明らかに一つ多かったんだ。だから何かの手違いかなと思って確認してたんだ。」

 

一夏はそう言われそうですかと答えた。次に質問してきたのは男の方だった。

 

「そう言えば君の名前は?俺はロックって言うんだ。」

 

「一夏。名字は織斑です。」

 

そう言うと一夏は少し暗くなった。ロックはなぜ暗くなったのかすぐに分かった。

 

「織斑って確か今年のISの優勝者の?」

 

一夏は首を縦に振った。ロックはそうかとつぶやいて黙ってしまった。すると

 

「もう、あの人は僕の姉なんかじゃないんですけどね。」

 

そう言ったのは一夏だった。ロックはえっ?と少し驚いた顔で見てきた。

 

「姉のせいでいっぱい苛められたし友達もあんまりできなかったんです。だから姉のことは嫌いなんです。」

 

ロックはこの子供はずっと孤独の道を歩んでいたんだなと思った。するとさっきの女が戻ってきた。

 

「ロック、その子供と一緒に操舵室に来い。ダッチが呼んでる。」

 

「分かった。」

 

そう言ってロックは一夏に手を差し出し、一夏はおずおずとその手を握りしめ立ち上がった。そして操舵室に向かうと一人の黒人が操縦をしていた。

 

「うん?来たか。ようこそラグーン号へ。船長のダッチだ。」

 

ダッチは操縦しながら挨拶をしてきたため一夏も挨拶をした。反応はさっきのロックと同じ反応だった。そしてダッチは質問を投げてきた。

 

「さて一夏、お前さんは日本に帰りたいか?もし帰るんだったら日本の大使館があるところまで送っていってやる。ただしもちろんタダじゃない。」

 

そう言われた一夏はどうしようか迷った。帰ってもまた苛められるだけで帰りたくなかったのだ。

 

「僕、日本には帰りたくないです。」

 

そう帰ってきた時、操舵室は驚きでいっぱいになった。

 

「どうしてだ?日本には家族がいるんだろ?」

 

そうダッチに言われるとロックがそれを答えた。

 

「いや、一夏君の家族は姉只一人みたいなんだ。」

 

そう言うとダッチはなるほどな。と答えしばらく考え込んだ。

そうこうしているうちに港が見えてきた。

 

「仕方がない。いったん事務所でどうするか考えるか。」

 

「だな。と、そう言えばまだ私の紹介してなかったな。レヴィだ。」

 

そう言われ一夏はよろしくと答えた。そしてジッとレヴィが下げている銃をみた。

「うん?こいつがどうかしたのか?」

 

そう言ってレヴィは銃を見せてきた。

 

「えっと、それってベレッタのM92F?」

 

そう一夏が言うとレヴィは驚いた顔で知ってるのか?と聞いてきた。一夏は首を少しだけ縦に振った。レヴィは少しだけこの子供が気に入った。小さいくせに銃のことが詳しい奴は早々にいないからだ。

 

そして港に着き、船から降りるともう1人知らない人がいた。

 

「お、君が一夏かい?僕はベニーだ、よろしく。」

 

そう言って握手を求められたから一夏も握手で返した。そして4人と一緒に事務所に行った。事務所に入るとビール缶が置いてあったり書類が散らばっていたりしていた。

 

「ようこそラグーン商会の事務所へ。」

 

そう言ってダッチはドカッと椅子に座った。

 

「さてこれからあいつをどうするか相談といこうか。」

 

ダッチがそう言って話し合いを始めようとしたが

 

「その前になんか腹ごしらえしねぇか?腹減った。」

 

レヴィがそう言いだすとベニーやロックから腹の虫が鳴る音が響いた。

 

「確かにそうだな。よしそれじゃ食いに「あの。」うん?何だ一夏?」

 

一夏はおずおずと手を上げていた

 

「あの、冷蔵庫に何か食材があるんだったら僕料理できるよ。」

 

そう言うとダッチは少し考え始めた。レヴィは早く食いに行こうぜと急かしたが

 

「よし、それじゃあ何か作ってみてくれ。ただし失敗したらそのポケットにある札をいくらか貰うからな。」

 

一夏は分かったと答え、事務所にあるキッチンの場所へロックに連れて行ってもらった。

 

しばらくして一夏とロックが大皿を持ってソファーのところに持ってきた。皿に盛られていたのは一つが唐揚げの様なものでもう一つがチャーハンだった。

 

「なんかすげぇいい香りがするな。」

 

「確かに。だが問題は味だ。」

 

そう言って4人はそれぞれ料理を口に運んだ。すると4人に電撃が走った。

 

(何だこの料理は?!そんじょそこらの店じゃなかなか味わえないぞ!)

 

(旨すぎる。キッチンにあるわずかの量でこれだけの物ができるなんて!)

 

(何だよこの料理旨すぎるだろ!)

 

(この子供一体どんな勉強をしてきたんだ?)

 

一夏はみんなが黙ってしまったためもしかして口に合わなかったんじゃと思い半泣きになりかけた。それに気づいたレヴィは慌ててフォローをして事なきを得たそうだ。

そして腹ごしらえを終えた4人は一夏の今後について相談を始めた。

 

「さてどうしたものか。」

 

ダッチはそう考えているとレヴィがいきなり

 

「なぁ、いっそのことうちの料理係として雇ってみねぇか?」

 

そう言うと周りはうぅーんと悩み始めた。

レヴィは悩み始めた3人に怪訝そうになって

 

「何で悩むんだよ?」

 

「いや、だってまだ子供なんだぞ。子供をここに居させるのは流石に・・・。」

 

そうロックが言うが内心自分も一夏をこのまま日本に帰せばまたつらい思いしかしないと考えていたのだ。

 

「僕は別にいててもいいと思うけど。おいしい料理が食べられるし。」

 

そうベニーが言うとレヴィもそうだろ!と賛同していた。そしてダッチは

 

「よし、それじゃあ一夏はラグーン商会(うち)の専属コックとして雇い入れる。それでいいか?」

 

そう言うとレヴィはよっしゃーと喜んでいた。ロックはこれでいいのかと考えていたが一夏の今後の幸せのためならこれでもいいかと考えた。ベニーもレヴィほど喜んでいないがそれでも一夏が入ることに反対はしなかった。

 

すると洗い物から戻ってきた一夏が何を話し合っていたのか聞いた。

 

「えっと、なにを話し合っていたんですか?」

 

すると一夏に気づいたレヴィが一夏を抱き寄せた。

 

「よく聞け一夏、今日からお前はラグーン商会の一員だ!」

 

そう言われ一夏は混乱しながらなぜ抱き絞められているのか分からなかった。

一夏を見かねたダッチがレヴィに放すように言って改めて一夏をラグーン商会の一員として向かえ入れようと思っていると言うと一夏は

 

「え?本当にここに居ていいんですか?本当に?」

 

一夏は半泣きながらそう聞くとダッチはそうだ。と肯定すると一夏は大泣きしながらこれからよろしくお願いします。と言った。4人は快く一夏を迎え入れた。




無事にラグーン商会に入れてもらえた一夏、そして数年が経ち一夏はいろんな人とパイプを持ちそのままロアナプラで生きていこうとした矢先思わぬ再開を果たす。そして一夏の人生におおきな衝撃をもたらしてきた。

次回再開するウサギ

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