学園祭当日、一夏達2組は中華風にアレンジした教室で最後の料理を完成させる。
「よし、終わったぞ。」
そう言って一夏は最後の仕上げを終えた料理を籠に入れる。
「ありがとう天ノ川君!それじゃあみんなそろそろ着替えよっか。」
そう言ってみんな大きめの段ボールに入っているチャイナ服に手を掛ける。そこで一夏はふと疑問に思ったことを言う。
「あれ、そう言えば俺の衣装はどれなんだ?」
「え?篠ノ之先生から何も聞いてないの?」
そう言うとクラスのほとんどが束に目線を向ける。
「あ、いっけな~い、渡すの忘れてたや。はいこれ、いっくんの衣装。」
そう言って束は一夏に衣装が入った紙袋を渡す。
「あ、はい確かに。それじゃあ着替えてきます。」
そう言って一夏は着替えにカーテンで仕切られた中に入る。暫くして中から
「な、なんでこの衣装!?」
そう聞こえ2組の生徒は何事かと慌てている中、束は楽しみと言わんばかりにカメラを構えてスタンバイしているとカーテンが開かれる。そこには黒スーツにロングコートを着てサングラスをした一夏が居た。それを見たクラスメイトたちは歓声を上げる。
「これ張兄さんの衣装じゃん!どっから持ってきたの?」
「全部買ってきた物だよ。」パシャパシャ
「なんで写真撮ってるの?」
「送るためだよ。」
そう言って一夏は張に送るんだとすぐに分かり止めようとするがクラスの一人が悲鳴を上げる。
「キャー!り、鈴さんが鼻血出して倒れた!」
「か、顔がもう満足って言った顔になってるわ。」
「お、お母様ーーー!」
そう叫んで急いで起こそうと必死になるクロエ。一夏は困り顔で束に聞く。
「俺、今日一日これ?」
「うん、今日一日それ。」ダバダバダバ
「て、束さん!鼻血!鼻血!」
騒動はあったものの2組は準備を終えると同時に学園祭開始の放送が入る。そして暫くして多くのお客さんが一夏目当てにやってくる。2組は必死に仕事をしていく。そしてお昼過ぎになると人もまばらになり始め一夏を休憩させようということでクラスメイト達は一夏を休憩に行かせる。
「大丈夫なのか?俺が居なくても。」
「大丈夫、大丈夫。天ノ川君がいっぱいお客さんを対応してくれたり料理作ってくれたおかげで今はゆっくりできるんだし。今の内天ノ川君には休憩してもらって午後からも頑張ってもらわないと。」
「そうか。わかった、それじゃあ休憩貰うな。」
そう言って一夏は教室を出る。鈴とクロエはもう少し手伝ってから向かうと言い束はシルヴィアに呼ばれ学園の警備へと出払って行く。一夏は何処に行こうかなと思いながらぶらぶらする。すると人がいないような場所に行くと一夏は後ろに声を掛ける。
「なぁさっきから俺の後を付けてる人出てきたらどうなんだ。」
そう言うと建物の影から一人の女性が出てくる。
「良く気づかれましたね。初めまして、わたくし巻紙と言います。IS装備開発企業『みつるぎ』に所属しております。実は「ちょっと待ってくれ。」は、はい?」
一夏は要件を言おうとした巻紙を止める。
「あんたからさ、俺と同じような気配を感じるんだけど。」
「お、同じ気配?」
「あぁ、俺と同じ犯罪者と言う気配がな。」
そう言うと巻紙は驚きながら正体を表す。
「へ、このオータム様の気配に感づくなんていい勘持ってるなガキ!」
そう言ってオータムはアラクネを身に纏い攻撃を仕掛けてくるが一夏はそれを避けA-10を身に纏いアヴェンジャーを発射する。弾はアラクネに命中し装甲をボロボロにしていく。
「クソ、なめんなよクソガキが!」
そう言って攻撃を加えようとしたところで何かに気づき上を向く。一夏も目線を上に向けると、そこには臨海学校で会った少女がいた。オータムは口角を上げ勝ち誇ったような顔を一夏に向ける。
「へ、これで2対1だ。覚悟しな!」
そう言って攻撃を加えようとしたが腕に激痛が走りよく見ると自分の右腕がゴトッと落ちるところを見てしまう。
「あ、あぁぁぁぁ!い、痛てーーーーー?!?!!」
そう叫び自分の右腕を落とした奴を睨む。
「何しやがるM!!」
そう、オータムの腕を切り落としたのはMのシールドBITなのだ。Mはバイザー越しでもわかる笑顔で答える。
「何って、お兄ちゃんに危害を加えようとするやつの腕を切り落としただけ。」
「て、てめぇこいつと、こいつの姉貴を恨んでたんじゃないのか!」
「恨む?お兄ちゃんは別に恨むようなことはないよ。もう1人は別だけど。さてそろそろ終わらせようかな。あ、因みに言うけどあいつに連絡しようなんて無駄だから。」
そうオータムに言う。オータムは通信でスコールを呼んでいたが雑音しか流れてこない。
「この辺一帯ジャミング張ってるから連絡なんて繋がるはずないからね。」
そう言ってシールドBITでオータムのもう片方の腕を切り落とす。
「ぐあぁぁーーー?!!?」
「これで良し。あ、逃げられないように片足も奪っておこうっと。」
そう言ってシールドBITをオータムの左足の関節から切り落とす。
「?!?!!」
声にならない悲鳴を上げた後、オータムは気を失う。一夏は何がどうなっているのか分からずにいたがとにかく銃口をMに向けている。
「はい、情報源確保っと。さて久しぶりだねお兄ちゃん。」
そう言ってバイザーを外して素顔を見せるM。
「・・・・そいつはお前の仲間じゃないのか?」
「仲間?全然違うよ。こいつらは仲間なんかじゃない。むしろ敵だよ。」
そう言っていると束とシルヴィアがやって来る。
「いっくん大丈夫?」
「?!貴女がそこの女性をやったの?」
シルヴィアがそうMに聞くと首を縦に振る。
「早いとここいつ医療施設に連れていった方がいいよ。折角の情報源が死んじゃうよ?」
そう言われシルヴィアは束にMのことを任せオータムを担ぎ上げ医務室へと向かう。
「それで、君は一体誰なのかな?束さんがいくら調べても君の情報が全然見つからなかったし。」
「そりゃ見つからないよ篠ノ之博士。私の個人情報とかはネットには登録されて無いからね。」
「ネットには無い?・・・!紙媒体の情報!」
そう束が言うとMは正解と言う。
「それで結局お前は誰なんだ?」
一夏がそう言っていると楯無がISを身に纏ってやって来る。
「天ノ川君大丈夫?」
「会長、来るの遅すぎです。」
「ごめんなさい、来賓や一般人の避難で来れなかったのよ。」
そう言われ一夏はそれだったらいいですが。と言う。
「所でそこの少女は?」
「あ、ちょっと待って。通信が来たから。」
そう言ってMは通信を繋げる。
「はい、私です。はい、情報源は確保しました。今IS学園の教員に引き渡しました。はい、このまま新たな任務に就きます。それとIS学園に私の正体は?はい、では学園長室でいいんですね?はい、了解です。」
そう言って通信を切る。
「ねぇ、お兄ちゃん。此処の学園長室に案内してほしいんだけど。」
「・・・そこでお前が誰なのか説明してくれるんだな?」
「勿論!」
そう言われ一夏は束と楯無と共に学園長室へと向かう。
その頃、スコールはと言うと作戦終了後の報告の連絡を待っているが一向に掛からないし掛かってこないことにイラついている。
「どうして繋がらない上に掛かってこないの?まさか二人とも捕まったんじゃ?」
そう思っていると電話が鳴る。スコールはそれに出ると彼女の上司的な人物からだと分かる。
「何か御用ですか?今忙しいのですが。」
『つい先ほど入った情報だがお前の所のオータムが捕まった。』
「!!」
スコールは驚きながらもMはどうなったのか聞く。
「Mは?彼女も行かせていたはずです。」
すると上司は重い口を開く。
『彼女は裏切った。』
「?!」
スコールは下唇を噛み締める。
『どうやら随分前から我々に潜入し色々探っていたのだろう。してやられたな。』
「この汚名は必ず!」
『分かっている。だが気を付けろ。』
「何をです?まさかあの男性操縦者にですか?」
そう言うと男は怒鳴る。
『違う!奴の周りにいる人物だ。奴の周りには篠ノ之博士の他に国際マフィア、三合会。そしてホテルモスクワが背後にいる。』
そう言われスコールは驚く。篠ノ之博士が一夏の傍にいることは情報で入っていた。だが三合会、そしてホテルモスクワが背後にいることは全く知らなかったからだ。
「そのような情報はこちらには入ってきていないのですが?」
『恐らく何者かが偽の情報を混ぜてお前に渡したんだろう。この組織も1枚岩と言う訳ではないからな。とにかく気を付けろよ。』
そう言って電話が切れる。スコールは電話を切り壁を殴る。
「・・・M。憶えていなさい、必ず報いを受けさせてあげる。」
その目は復讐の炎が宿っていた。
次回予告
学園長室にMを案内してきた一夏達。そしてMは自分の正体を明かす。それを聞いた一夏達は驚愕する。
次回再開する兄妹~私の名前はマドカ。マドカ・タチバナって言うんだ。~