新幹線の窓から見える景色はずっとコンクリートの壁だったが突然それは開け、古い建物や赤々しく染まった紅葉の木々が見え、そして京都に入ったとアナンスが入る。
「ふわぁ~、漸く京都に入ったのか。」
一夏は欠伸を漏らしつつ長く席に着いていた為固まってしまった体を伸ばす。
「綺麗ですね、鈴お母様!」
「そうね、私も京都に来たのは初めてだから楽しみだわ。」
一夏がいる席の後ろの窓際の席に座っていたクロエは窓から見える京都に感銘を受け、鈴は初めてきた京都に胸を躍らせながらクロエと共に窓からの景色を楽しんでいた。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。このタウンマップに載ってる生八つ橋のお店行ってみたい!」
マドカは事前に本屋で購入してきた京都マップを見て、食べてみたいお店をピックアップしており、特に最初に食べたかったであろう生八つ橋のお店に行きたいと一夏に提案する。
「うん? どれどれ、なるほどそこかぁ。鈴達も一緒に行かないか?」
一夏が後ろにいる鈴にそう聞くと鈴と、隣にいたクロエが了承し、最初に行く目的地が決まった。
新幹線が京都駅へと着き、1年生全員はまず宿泊するホテルへと向かうためバスへと乗車する。一夏は乗車するときに束にも鈴達と一緒に八つ橋を食べに行くと伝えると自分も行くと言い、ホテルのロビーで集合することになった。
バスが京都駅を出発して数十分後、宿泊するホテルへと到着した。一夏の部屋は鈴とクロエと一緒で、マドカは最近仲良くなったティナと同じ部屋となり、束はシルヴィアと同じ教員の部屋となった。部屋に荷物などを置き、鈴とクロエと共に一夏は部屋を出てロビーへと向かうと束とマドカが先に着いて一夏達の到着を待っていた。
「お待たせ束さん、マドカ。」
「そんなに待ってないよ~、それじゃあマーちゃん、その生八つ橋のお店って何処にあるの?」
そう聞かれマドカは持っていたタウンマップを開き、目的の店を見せる。
「此処から歩いて40分ぐらいしたところにあるみたいだよ。 広大な竹林が目印だって。」
「なるほど、それじゃあ行きますか。」
そして一夏達は目的の店へと出発した。
ホテルを出発して数十分後、目印となる竹林が見え、もうすぐ目的地だと全員思った瞬間、一夏は竹林から殺気が飛んでいることに気づき銃をすかさず構える。
「どうしたの、いっくん?」
突然の行動に束は驚くが鈴も殺気を感じ取りグルカナイフを抜き臨戦態勢に移っており、八つ橋を食べに行ける状態ではないとすぐに感じ取れた。
「…束お母様。」
クロエは並々ならぬ殺気に束の後ろへと隠れ、束はクロエを守る様に前へと出る。マドカもMI6局員に配備されているUSPを構え警戒する。
「やっぱり殺気なんて放ってれば気づかれるわよね。」
竹林からそう言いながら出てきた金髪の女性。
「誰だお前?」
一夏はP250を構えつつそう聞くと隣にいたマドカが説明する。
「こいつはスコール・ミューゼル。私が潜入調査してた亡国機業の幹部の一人で私の上司だった人だよ。」
「えぇそうよ。初めまして天ノ川一夏君、そして篠ノ之博士。」
スコールは笑顔で挨拶してくるがその体からは殺気が放たれ続けていた。
「挨拶はいいよ。 それで要件は何? まぁおおよそ見当は付くけど。」
「では、単刀直入に言わせていただくわ。 オータムはどうなったの?」
スコールは先ほどの笑顔から睨むようにオータムの居場所を問いただす。
「オータム? あぁ、俺に襲い掛かってきてマドカに両腕と片足をそぎ落とされた奴のことか。」
一夏はオータムについて思い出し、挑発するように伝える。
「何ですって?! 貴女そんなことしたの?」
一夏の言葉を聞いたスコールはマドカを濃い殺気を放ちながら睨むがマドカは平然とした顔で肯定する。
「やったよ。 だって逃げられたら情報手に入らないじゃん。だから逃がさないのと抵抗されないようにするために両腕と片足を奪った。あ、それとアイツから絞る情報はもう無くなったから、今頃処分されてるんじゃない。」
「M、いえマドカ! 貴女をここで殺す!」
スコールはマドカの言葉に殺意を解放し専用機であるゴールデン・ドーンを身に纏い攻撃を仕掛けてくる。ISを身に纏って攻撃を仕掛けてきたため、一夏達もISを身に纏い反撃を開始する。束はクロエを抱き上げ攻撃に巻き込まれないようにするため後ろに下がり、シルヴィアに連絡を取り応援を頼む。
「シーちゃん、亡国の一人に襲われてるから何人かコッチにちょうだい!」
『何ですって?! 実はこっちも亡国の構成員と思しき連中と交戦中なのよ。だから応援を回してあげられないの。すぐに片づけてそちらに向かうから何とか持ちこたえて!』
「…分かった。いっくん達に頑張ってもらう。けど出来るだけ早くして。」
応援を頼み終えた束は一夏達が戦っている方へと目を向ける。一夏はA-10を身に纏いアサルトライフルやらアヴェンジャーで攻撃するがスコールはそれを難なく躱す。その隙をついて鈴がクナイを投げ動きを封じようとするが肩から出た鞭でクナイを弾き飛ばす。マドカのシールドビット攻撃も両肩から出る炎の鞭で無力化される。
「こいつ反応速度が速すぎるだろ。」
「全くね。 死角から攻撃したはずなのに何の問題もなく対処するなんて、どうなってんのよ。」
「コッチは三人だっていうのにそれでも対処できるって言う事は腹ただしいけどそれだけ強いってことだよね。」
一夏達は荒々しく呼吸を整えているのに対し、スコールは乱れた呼吸すら見せず、平然とした顔でいた。
「どうしたの、そんなものなの、あなた達の実力って?」
一夏はどうすべきか思案しているが先にスコールが動き両肩から鞭を飛ばす。一夏は攻撃を避けようと考えたが、ある作戦を思いつきその場から動こうとしなかった。
「っ?! 一夏!」
鈴は一夏に向かう攻撃を止めようとするが間に合わず鞭は一夏へと向かう。一夏は向かってくる鞭をすかさず掴みとる。
「?! 貴方いったい何を!」
「こうすればお前は逃げられないだろ。」
一夏はSEがガリガリと削られつつもアヴェンジャーをスコールへと向け発射しようとするが、スコールはソリッドフレアを放ち、攻撃を阻止する。
「いい加減に離しなさい!」
スコールからの攻撃を耐えつつ一夏は口元をニヤリとする。
「? 何が可笑しいの?」
「俺ばっかに集中して大丈夫なのか?」
一夏の言葉を聞いたスコールは慌てて周りを見ると、マドカと鈴がいないことに気づき、何処に行ったのか捜索すると真上から衝撃を受け地面へと押し付けられる。
「ぐっ?! 上に移動していたとはね。」
スコールは真上にいる鈴とマドカを睨みつけながら立ち上がろうとしたがその前に一夏のアヴェンジャーが火を噴きスコールが倒れ込んだ場所を濛々と土煙が立ち上った。
暫くしてアヴェンジャーに装填されていた弾丸が尽き、一夏はハイパーセンサーで確認する。すると反応があり、一夏は再度撃てるようにアヴェンジャーに弾を込めるようにベアトリクスに指示を飛ばす。
そして土煙が晴れるとそこには若干ズタボロにされたスコールがいた。だが肩は壊れているのか火花が飛んでいるうえに、脚部も装甲が剥がれ落ちていた。
「やってくれるじゃない。けどまだ私はやられるわけにはいかないのよ!」
スコールはそう叫び、最後の攻撃と言わんばかりに突貫してくる。一夏はアヴェンジャーで攻撃をしようとするがスコールからのソリッドフレアによって片方のアヴェンジャーが破壊され、もう片方で攻撃をしようとするが間合いを詰められうまく照準が合わなかったため素早く近接ナイフを取り出す。
「この!」
「墜ちなさい!」
スコールの近接攻撃用の尾が一夏に迫るがマドカのシールドビットによって弾かれ、動きが一瞬止まったのを一夏は見逃すはずもなく、近接ナイフを構え、ブースターで一気に接近しとどめを刺そうとする。だがスコールは手のひらでナイフを受け止め攻撃を止められた。
「もらった!」
鈴は双天牙月で攻撃するが空いたもう一つの手で攻撃を阻止される。
「いい加減にしなさいよ!」
鈴はそう叫びながら力を加え叩き切ろうとするが思うようにいかなかった。
「これでどうだ!」
マドカは残ったシールドビットで攻撃するが残った尾で対処される。
「此処まで手負いにされたのは初めてだけど、それじゃあ私を倒せないわよ。」
三人はスコールのISが破損状態になっているのにも関わらずに倒せないことにこのままでは負けると感じた。だが
「だったらもう一人加わったらどうなるんだろうね~。」
その声が聞こえたと同時にスコールの腹からブレードが突き抜けた。
「ごふっ。 ど、どうして? 絶対防御があるはずなのにブレードが突き抜けたの?」
スコールはブレードを突き刺した人物を見るとそこには紫色のISを身に纏った束が立っていた。
「そんなの簡単、お前の腹に刺さっている武器は私が作ったシールドを突き抜けて操縦者本人にダメージを負わせることが出来る代物だからだよ。」
そう言いながら束はブレードを勢いよくスコールの腹から抜くとスコールの腹から白色の血と赤色の血が一緒に出てくる。
「お前、体に機械入れてたのかよ。」
一夏がそう聞くとスコールは自嘲するように笑う。
「…えぇ、そうよ。けどこれだけの傷だともう長くは無いわね。…マドカ、貴女に頼みがある。」
弱弱しくなっていくスコールにマドカは呼ばれ、スコールに近づく。
「なに?」
「私のISに亡国機業の情報が入っている。だからオータムを…殺さないで。」
スコールは自分のことではなく自分にとって大切な恋人のオータムを助けてほしいと頼む。
「…もし無理だと言ったら?」
「…機体を爆破するわ。」
スコールの目は真剣さを帯びており、マドカは本気だと感じとる。
「…わかった。けど、刑務所で一生過ごすことになる。それでもいいわね?」
「それで…い…い‥わ。」
そう言ってスコールは息を引き取った。その顔は安堵したような顔だった。
「…それじゃあ学園に戻り次第こいつのISを解析するね。」
そう言い束はスコールからゴールデン・ドーンの待機形態の金色のブレスレットを外し取り、拡張領域へと片づける。
「本当はこの人はやさしい人だったかもしれないわね?」
鈴はそう推論を言うと一夏はなぜそ思ったのか気になった。
「どうしてそう思ったんだ?」
「だって、そうじゃなきゃこんな安らかな顔で死んだりしないもの。」
そう言われ一夏も納得し、スコールの両腕をお腹の上に乗せ静かに黙とうをささげた。
戦闘が都合よすぎるのはいつものことなので気にしないでください。
次回予告
修学旅行が終わり、一夏達はスコールが死の間際に渡した情報を調べていると、そこには亡国機業の本部の位置等が入っていた。一夏達はケリをつけるため、亡国機業本部へと乗り出す。
次回決着の弾丸~地獄の閻魔様にでも謝るんだな。~