歌の女神たちの天使 〜天使じゃなくてマネージャーだけど!?〜 作:YURYI*
ラブライブ大好き!以上!
よろしくお願いします!(*^^*)
1.始まり
「ん、んぅ…」
真っ暗な空間にひとすじの光。
私の人生はたった今、ここから始まる。
…たぶん。
「あ、あぁ!目が覚めたんだね!」
耳元で聞こえるかわいらしい声。
寝ていたベットから上半身を起こし、声が聞こえた方向に顔を向ける。視線の先にはベージュの特殊な髪型とはちみつ色のぱっちりとした瞳のとてもかわいい少女が立っていた。
「あ、えっと、その」
「名前!あなたのお名前聞いてもいいですか?」
とりあえず何かを言おうとしたらかぶせられた…
えーと、名前…?私の名前は…まだ覚醒しきっていない頭をフル回転させて思い出す。
あ、すごい。こんなに頑張って思い出そうとしないと出てこない時点で私おかしい。
あ、私の名前…これだ。
「…みはね、です。たぶん…?」
「みはねちゃんかぁ…」
彼女は私の名前を聞くと、素敵なお名前。とふんわりと微笑んだ。
自分の名前だという自覚はほとんどないが、褒められたとなると悪い気はしない。
「あの…」
「あぁ、ごめんなさい。私の名前は南ことりって言います!」
ことり、とても彼女らしいかわいい名前だ。
「とってもお似合いです」
「ふふっありがとう!あ、ことりって呼んでくださいね?」
「は、はい。ことり…さん」
そう言った瞬間に彼女はぷぅっとほおを膨らませて、いかにも怒ってますというような顔になった。
今のの何がいけなかったのだろうか。
あ、言い方がいけなかったのかな…?謝ったほうがいい?
「さんはいらないのっ!こ・と・り!」
めっだよ?と、彼女はかわいらしく首をかしげてみせる。
なるほど、そういうことか。でも、初めて会ったばかりの人をいきなり呼び捨てにするのもな…と戸惑いながらも、ここは少しでも怒らせるべきではないと、私の記憶に関しては全く役に立たない脳が警報を鳴らす。
「じゃあ…ことり、ちゃん。ことりちゃん」
さっきから口しか動いていない顔を、少しでも緩くして彼女の名前を口にした。
自分の中ではかなり頑張ったほうだと思う。なんだか人と話すことにあまり慣れていないのか、さっきから緊張しっぱなしで困ってしまう。
「笑うとさらにかわいいんだね…」
ことりちゃんの口元が動く。
なんて言ったのかは分からなかったが、怒ってはいないようだ。
なんだかさっきまで怒った顔をしていたのに、いや、とてもかわいくて怖くはなかったけど。今度は頬を紅潮させてうーうー唸っている。
なんだか表情がころころ変わって面白い。
「私はなんて呼ぼうかなぁ?」
「なんでもいいですよ」
苗字とかが思い出せない。本当になんでだろう?
目の前で真剣に私の呼び方を考えていることりちゃんをよそに頑張って記憶をたどっていく。
「みはねちゃん?でもでも……あ!みいちゃん!みいちゃんって呼んでもいい?」
ようやく決まったらしい。やっぱりとてもかわいらしい人だ。そんな笑顔で言われたら嫌だなんて言えるわけがない。
「もちろんです!」
私は目の前の笑顔につられ、初めて自然に笑った。
*
「うーん。記憶喪失なのかしら?よくわからないわねぇ…」
私はあの後ことりちゃんに連れられ、ことりちゃんのお母さんと話をしていた。私は音ノ木坂学院という高校の前で倒れていたところを、そこの理事長であることりちゃんのお母さんに拾われたらしい。しかも、私がここにきてからすでに3日も経っているとか。
私についての質問をいくつかされたが、自分についてわかることはみはねという名前だけだった。その他の生きていくうえ、生活していくうえで必要な知識はあるようだが、自身についてはまるで最初からなかったかのようにぽっかりと穴が開いてしまっている。
私はもともとどこに住んでいたのだろうか。誰と一緒にいたのだろうか。なぜそんなところで倒れていたのだろうか。考え出したらきりがない。しかし、いくら考えても思い出せないものはしょうがない。
顔が自然と下を向くと、目からぽたぽたと何かがこぼれる。こんな室内で水なんかが降ってくるわけがない。
その時、隣にいたことりちゃんにふわりと抱き寄せられた。
「みいちゃん、大丈夫だよ。無理に思い出そうとしなくても大丈夫。…だから、泣かないで?」
その言葉を聞いてゆっくりと手を自分の頰に持っていくと、水気を感じた。
ほんとだ、私…泣いているんだ。
自分が何者なのかわからない恐怖。まるでこの世界で私だけが切り取られてしまっているような感覚。
私は悲しくて、この気持ちをどうすればいいのかわからなくて…ことりちゃんの腕の中で泣いた。
「落ち着いたようね。それで、これから…」
「その、助けていただいてありがとうございました。このお礼はいつか必ずします」
「そのことなんだけど、少し相談があるの」
そんな、助けてもらった冒険者のようなセリフを言う私に、ことりちゃんのお母さんは優しく微笑む。
「私の学院に入学してくれないかしら?ちょうど入学の時期だし、年齢的にも問題なさそうだし…ね?」
「でも、これ以上迷惑をかけるわけには…」
それに、普通なら警察などに行くべきなのだろう。しかし、なぜ警察などに言わないのだろうか。
「そんなことないよ!学院には私もいるし、みいちゃんが入学してくれたら私は嬉しいな…?」
ことりちゃんは、両手で私の手を包み込んで下から顔をのぞかせる。
「それに、大変言いにくいことなのだけれど…ここ数日に警察に捜索願いなどは出されていないみたいなの」
ことりちゃんも理事長さんも、自分のことのように悲しい顔をするから、私は悲しむことも何かを言うこともできなかった。
捜索願いが出されていないということは、私には家族がいない。もしくは、私のことを心配して探してくれる家族がいないということだ。まぁ、どちらにせよ私は必要のない人間なのだろう。
「だから…いや、私のわがままね。入学してほしいの」
そんな言い方されたら、そんな優しいこと言われたら甘えてしまう。これ以上迷惑をかけるのはダメだけど、ここにいたくなってしまう。
私は、この人たちのそばにいてもいいのだろうか…?
「私、このまま行くあてもないし、どうすればいいのかわからないんです。助けてください…お願いします…」
それに対しての返事は言わなくてもわかるだろう。
私は、誰かに必要とされる人間になりたい。たくさんの人の笑顔が見たい。
なぜそんなことを思うのか自分でもよくわからないが、記憶のない私にとってとても大切なことだということはわかる。
過去のことは無理に思い出そうとも思わないし、思い出せたらそれはそれでいいだろう。まぁ、自分が何者なのかわからなくて怖くもあるけど。
でも、私の人生は今ここから始まる。そういうことにしよう。うん。
なんか、言葉だけ聞くとかっこいい気もしてきた。
一週間という短い時間で、入学に向けてたくさんの準備をした。したと言っても、理事長さんたちがほとんどやってくれたわけだけど…
そんな中、私はわがままをひとつだけ言った。それは、「学院に住む」ということだ。まぁ、絶対に学院がいいというわけではなく、極力迷惑をかけたくなかったから一人で住む場所が欲しかっただけだ。ことりちゃんにもすごく反対されたが、それでも無理に押し通した。学院の生徒がほとんど来ないフロアの空き教室の一つをもらったわけだが…
ついでだからと理事長さんから生活費までもらうことになってしまった。…これはバイトでもして返していこう。
そんなこんなで一週間はあっという間に過ぎ、今日、この音ノ木坂学院に"
あ、"
って、誰に説明してるんだろう…?
まぁ、物語の始まりです!
閲覧ありがとうございました。
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