歌の女神たちの天使 〜天使じゃなくてマネージャーだけど!?〜 作:YURYI*
夕日が照らす道を、真姫ちゃんと希ちゃんとでスーパーを目指して歩く。
「なんや、珍しい組み合わせやね〜」
確かに、希ちゃんの言う通りだ。まぁ、珍しいというかなんというか。
「どういうつもり…?」
おぉ、真姫ちゃんが今までにないくらい不機嫌な顔になっている。さすがに言い過ぎか。あ、真姫ちゃんに睨まれた…
「本当はみんなと仲良くしたいのに…なかなか素直になれない」
「なんで私に構うのよ…」
「ほっとけないのよ。あなたと似たタイプの人をよく知っているから。たまには無茶したほうがいいと思うよ、合宿やし」
希ちゃんの雰囲気が変わった気がした。いや、多分変わったんだと思う。途中いつものわざとらしい関西弁が消えていたし。
そのあと、真姫ちゃんも何も言わず三人黙って歩く。よく知ってる、ねぇ…
買い物は無事終わってあとは帰るだけ。
なぜか真姫ちゃんは先に行ってしまった。
あ…ガラの悪い男の人たちが歩いてくる。っ!?真姫ちゃん絡まれてるじゃん!?
ふと気付くと隣にいたはずの希ちゃんは荷物を置き去りにして駆け出してしまった。
の、希ちゃん行動早すぎだし!ちょ、危ないから。
私は置き去りにされた荷物も手に持って走り出した。
お願いだから、なにも起きないで…!
少し離れている私の耳にも届く汚い笑い声。
人数は二人、これなら私でも大丈夫かな…
「ちょっと、汚い手で触らないで!」
男の一人が真姫ちゃんの肩に手を置くと、その手を払いのけながらまきちゃんは叫んだ。
私が行くまでおとなしくしてて…!
「ああ?ふざけんじゃねぇよ!」
だめだ、間に合わない!?
真姫ちゃん男に押されそうになる。が、希ちゃんがかばって押されて倒れた。希ちゃんは倒れたまま動かない…
ま、間に合わなかった…!
やっと、真姫ちゃんたちのところまで来ることができた。
「真姫ちゃん、ちょっと希ちゃんのこと見てて」
荷物を押し付けて真姫ちゃんにそう言うと、私は男たちの方を向いた。
「次は君が遊んでくれるのかなぁ?」
下品な笑い方で男は言う。
「遊びましょうか?」
少し、いやかなりイラつく。しかし、それを抑えながら私は真顔で言い放つ。
はっ、ふざけたこと言わないで。今のが遊びだったっていうの?希ちゃんや真姫ちゃんを傷つけて…
まず近くにいた男の人に力の限りタックルをする。
「ぐ、うぅ…」
頭を打ったのかその人は気持ち悪いうめき声をあげて意識を失った。
もう一人には急所に蹴りを入れる。
「ーーーっ!?」
「よくも、よくも私の大事な人たちに…さよなら」
にっこりと微笑み、そのままもう一発思い切り蹴りを入れると男はカエルが潰れた時のような声を出して崩れ落ちた。
真姫ちゃんたちのところへ戻ろうとした瞬間、私の肩に声も出ないほどの衝撃と痛みが走った。
「みはね!?」
「…っ」
もう一人仲間がいたみたいだ。手に棒のようなものを持っていた。
あぁ…もっとよく周りを見ているべきだった…
だが、今さら後悔しても遅い。それに、真姫ちゃんや希ちゃんが狙われなかっただけよかったかな。そんなことを考えていたら男が、また棒を振りかざしてきた。降ってくる棒を今度はなんとかスレスレのところでかわし、みぞおちを狙って蹴りを入れる。
「うぐっ」
うまくいったみたいだ。そいつは動かなくなった。
「さ、真姫ちゃん。帰ろうか?」
にっこりと安心させるように微笑む。
とりあえず、希ちゃんは大丈夫だろうか。
駆け寄って確認すると、希ちゃんは特に目立った怪我もなく、普通に起き上がった。
肩が痛い…けど、二人にはもっと怖い思いをさせてしまった。それに比べたらこれくらい…
「みはね…肩…」
「大丈夫、大丈夫!なんともないよ!それより…怖い思いさせてごめん…」
「だ、いじょぶ…よ」
なんとか、別荘まで帰ってこれた。
一応あったことを報告すると、みんな心配そうにしていた。しかし、二人に怪我がないことを知ると、そのことがなかったかのようにまた賑やかになった。
本当によかった…
そのあと、にこがカレーを作ってくれてみんなで食べた。にこ、料理上手なんじゃん!女子力高いなぁ…
おいしいけど、腕…うまくあげられなくて食べづらい…
ご飯のあと、何をするかで口論になったが、お風呂を入って寝るということになった。
「お風呂、みんな先に入ってきちゃって。私、あとから入るからさ」
みんなぶーぶー言っていたけど、無理やり入れさせる。真姫ちゃんは心配そうな顔をしてこっちを見ていたが、笑ってごまかした。
肩どうなってるかわからないな…
みんなが出てきてお風呂に入ることにする。
服を脱ぐと、肩が青紫になってしまっていた…そりゃあ痛いわけだ。ひとり、鏡に映る自分を見て笑う。
ま、放っておけばそのうち治るだろう。
*
「って、みんなで寝るの!?」
「合宿なんだし、当たり前だよ〜」
穂乃果、そういうの好きそうだもんね…
「みはねは、どこで寝る?」
絵里ちゃん。あ、隣で寝てほしいんだね…
まぁ、暗いのが怖いの知ってるの私くらいだし。いや、希ちゃんくらいは知っているかもしれないが。
「じゃあ絵里ちゃんの隣で寝ようかな」
「ふふっ、やったぁ♪」
「あぁ!絵里ちゃんずるい!」
穂乃果は先にことりちゃんの隣陣取ってたじゃんか。まったく…
私は端っこで、隣に絵里ちゃん上に真姫ちゃんというなんとも不思議な配置になった。
『おやすみなさい!』
部屋はもちろん真っ暗になった。
早速お隣さん震えてるよ…
「絵里ちゃん、手」
「みはね…ありがとう」
恥ずかしいが、手をつないであげることにした。
バリバリボリボリ
って、なんの音!?
突然謎の音が聞こえて全員が飛び起きる。
「真姫!で、でで電気つけて!」
絵里ちゃん怖がりすぎだって…
電気をつけてみると、穂乃果がおせんべいを食べていた。
「いや、なんでおせんべい食べてるのさ!」
「そうよ!寝不足はお肌に悪いのよ!」
にこが起きる。って顔…お化けみたい。美容パック…なのかな?きゅうりみたいなのが顔にくっついている。
「へぶ!?」
そんなにこの顔面に枕が直撃する。
「あぁ〜、真姫ちゃん何するん〜」
驚いた様子の真姫ちゃん。やったの、希ちゃんだな。
そこから枕投げが始まってしまった。
すやすやと寝ているのは海未ちゃんだけ。
まぁ、ほんとは注意しなきゃいけない立場だが、そんな元気はとてもじゃないけどないので端の方で見学をすることにする。
あっ!海未ちゃんに枕が直撃してしまった。
ゆらりと海未ちゃんは起き上がる。
「誰ですか…こんなことをしているのは…」
ひ、ひぃ!か、顔が鬼のようになっている!
「明日は…朝早くから…練習って…」
「ご、ごめんね、海未ちゃん落ち着いて」
ことりちゃんが説得したが聞こえていないみたいだ。
すると、目にも留まらぬ速さでにこの顔面に枕が直撃した。
にこはそのまま後ろに倒れて動かなくなってしまった。
「超音速枕…」
うん、ナイスネーミングセンスだよ花陽!
とか言ってる場合じゃない。どうにかしなければ。
海未ちゃんがまた枕を振り上げる。
そうはさせない。これ以上犠牲者を出すわけにはいかないしね。
海未ちゃんに正面から抱きつこうと試みる。なんとかうまくいったが、振り下ろされた海未ちゃんの腕が私の右肩、ちょうど今日怪我したところに当たった。
「…っ!?」
いやな汗が額ににじむ。
でも、こんなことで諦めるわけにはいかない。そのまま海未ちゃんを抱きしめる。
「み、はね…」
海未ちゃんの髪をゆっくりなでる。
「おやすみ、海未ちゃん」
少し声が震えてしまった。
海未ちゃんは私のほうに倒れ込んでくるともうすでにすぅすぅと寝息を立てていた。うん、ちゃんと寝てくれたみたい…
「みいちゃん!ありがとう〜♡」
「みはね、助かったわ…」
よかったね絵里ちゃん。これで安心して寝れるよ。
「よ、かった…」
私も限界がきてしまったようだ。肩が痛くて痛くてしょうがない。視界が霞んできて、白くチカチカと光っている。
「みはね…!?ちょっと服脱ぎなさい!」
「真姫ちゃんが変態発言してるにゃ」
「そんなふざけている場合じゃないの!早く脱いで!」
真姫ちゃん、最後の方は叫んでいた。でも…
「い…やだ…」
今脱いだら、みんなにばれてしまう。
「真姫?どういうことなの?」
「それがーーー」
真姫ちゃんは買い出しの時に私が殴られたことを話してしまった。
「ウチのせいやんなぁ…」
「希のせいじゃないわよ。私があんな奴らに絡まれたりしたから…!」
「そんなことより、みはね服脱いでちょうだい」
絵里ちゃん、顔が怖いよ。そう言おうと思ったが声が出なかった。
絵里ちゃんに無理やり服を脱がせられる。
ああ、とうとうばれてしまった…
肩はお風呂の時よりも酷くなっていた。青紫色が広がり、腫れていた。
「なんで…なんでこんなになるまで言わないのよっ」
真姫ちゃんは泣きそうな顔で私を見ていた。
真姫ちゃん、ごめんね。君に、君たちにこんな悲しそうな顔してほしくなかったんだよ…
「ご、めんね…っ」
「謝るのは私たちのほうよ。無理させてごめんなさい」
そのあと、真姫ちゃんに手当をしてもらった。真姫ちゃんやほかのみんなも、ごめんねと何度も言っていた。
謝るのは私の方だと言ったらとても悲しそうな顔で絵里ちゃんに怒られてしまった。
手当も終わって、今度こそ寝ることにする。寝ている間、絵里ちゃんにずっと抱きしめられていた…
肩とかよりも、心臓が…と、思ったが今回はおとなしくしていることにした。
***
お隣の方のせいで、眠りが浅かったのか随分早く起きてしまった。
なんとなく、外に出て海に行くことにする。
あれ…希ちゃんと真姫ちゃんだ…
あ、話終わったのかな?二人とも笑顔。
「なんの話ししてたの?」
「おぉ、みはねちゃん。おはようさん」
「みはね、肩、大丈夫なの…?」
「ん。二人ともおはよっ!肩は、真姫ちゃんが優しく手当してくれたら大丈夫」
優しくをわざと強調してみた。
案の定、真姫ちゃんは顔を赤く染めて、
「わ、私がやってあげたんだから当然でしょ!」
なんて言ってる。ふふっかわいい、かわいい♪
「あ、そうそう、真姫ちゃんにめんどくさい人って言われちゃったんよ〜」
ああ、確かに希ちゃんも真姫ちゃんもめんどくさいタイプだよね。
多分あの時言ってた真姫ちゃんに似たタイプって、素直になれないところは絵里ちゃんに似てて、めんどくさいところは希ちゃんに似てるってことだよね?
「おーい!三人とも〜!」
あ、みんな起きたようだ。
そのあと、みんなは自然に手をつないで一列になった。私は後ろの方にいたんだけど…みんなが睨んでくるので仲間に入れてもらうことにした。
みんなで目を合わせあう。
「エリー。ありがとう」
真姫ちゃんと絵里ちゃんの目があう。
「ハラショー♪」
絵里ちゃんはかっこよくウインクをバッチリ決めて返事をした。ほんとに絵になる。
いろいろなことがあったが、合宿は無事?に終わった。
閲覧ありがとうございます。
合宿行ってこんなことあったらやばいですよね。
μ'sメンバーはかわいいからナンパとかすっごい心配です。笑
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