歌の女神たちの天使 〜天使じゃなくてマネージャーだけど!?〜 作:YURYI*
〜凛〜
今日はかよちんといつもより早い時間に約束して学校に来た。
理由は大好きなみはねちゃんに大好きって伝えるため!
なんでそんなことになったのか?みんな気になるよね!?
それはね、昨日みはねちゃんが三年生の先輩たちに襲われちゃった?んだって!
昨日の放課後、部室に集められたと思ったら、絵里ちゃんと希ちゃんがとても深刻そうな顔でそう教えてくれたんだ…。凛はよくわからなかったけど、それってよくないことなんだよね?
それに、絵里ちゃんはこうも言ってたにゃ。もしかしたら、みはねちゃんが誰かに取られちゃうのは時間の問題かもしれないって。
そんなの絶対やだ!みはねちゃんが他の人のものになったら凛とも遊んでくれなくなっちゃうよね…?
みはねちゃんの周りにはいつもたくさんの人がいるんだ。
教室にいる時も。教室を移動する時も。
凛はそれがすっごく嫌なの。凛ももっとみはねちゃんと一緒にいたいのに、いつもいろんな人に邪魔されちゃうの。
これは凛のわがままだけど、二人きりの時間がもっと欲しかったりするのだ。
だから、この気持ちを伝えるんだにゃ!
「かよちん!今日は頑張ろうね!」
「うんっ!凛ちゃんは先に教室に行っててくれるかな?私はアルパカ小屋に行ってくるね」
「わかったにゃ!」
きっと、かよちんなりに気を使ってくれたんだと思う。
昨日、帰り道にじゃんけんでどっちが先に伝えるか決めたんだけど…もうわかっている通り、凛が先なんだ!
「よーっし!いっくにゃー!」
*
全速力で走って来たおかげでいい気分。
まだ静かな教室のドアをそっと開けると、みはねちゃんは自分の席に座って空を眺めていた。
「みはねちゃん!おはよう!」
もしかしたら声が大きすぎたかも。
みはねちゃんは、びくっとしてこっちを振り向く。でも、凛の顔を見ると、笑顔でおはようと返してくれた。
こういうちょっとした事でも、凛だけに向けられた笑顔だって思うとどうしようもなく舞い上がってしまう。
「凛、今日は早いね?どうしたの?」
「好きだにゃー」
「…え?」
「凛、みはねちゃんのこと大好き!!!」
一度そう思ってしまうと何度も言葉に出してしまう。凛の悪い癖だにゃ。でも、素直に言葉にしたほうがいいこともある。それは、今回みたいな時。
だって、みはねちゃんが顔を真っ赤にしてるもん。
「り、んも…なのね…」
右手の甲で口元を隠して目をそらされる。
そういう表情、他の人には見せて欲しくないかも。
凛もってことは、きっともうにこちゃんが気持ちを伝えたってことだよね。昨日、絵里ちゃんたちの話を聞いて誰よりも怒っていたのはにこちゃんだった。みんな怒ってたけど…
それに、気持ちを伝えるって言い出したのにこちゃんだし。
絶対私が一番最初に伝えるからって言ってたもんね。
「もしかして、もうにこちゃんに言われていたり…?」
わかっているけど一応確認する。
みはねちゃんは小さくそうだよ、と呟いた。
「それに、今日は覚悟しときなさいって言われて。やっと理由がわかった気がする…」
そう言って両手で顔を覆って照れちゃってるところも好きだなって思っちゃう。
いつからだっけ、みはねちゃんのことこんなに好きになったの。
最初はかわいい子だなって思ってただけ。しばらくして話すようになって、凛のことかわいいって言ってくれて…
その時は、なんで凛なんかのことかわいいって言うんだろう?ってちょっぴり嫌な気持ちになってた。
みはねちゃんの周りには、かわいい女の子なんていっぱいいる。凛に言うんじゃなくて、かよちんとか、もっと別の人に言えばいいのに。そう思ってた。
でも、ずっとみはねちゃんと接してきていつの間にか「かわいいなんて言わないで」から「自信を持ってかわいいって言われたい」に変わってた。
「みはねちゃん。凛、もっと頑張るね?」
「ん?なにを?」
「みはねちゃんにかわいいって言ってもらえるように、とか?」
自分で言っていてよくわからなくなっちゃった。最初は大好きって気持ちだけ伝えられればいいと思っていたのに。
みはねちゃんの机に手を置いてしゃがみこむと、頭の上に小さな温かい重みがのる。
「出会った頃から言ってる気がするけど。凛はかわいいよ」
「にゃっ!?いきなり言われると照れるにゃあ…」
「そんなところもかわいいの」
くすりと笑いながらゆっくりと凛の頭をなでてくれる。その手つきが優しくて、ずっとそうしていてほしいなんて思っちゃう。
「凛たち、ずっと友達…?」
「そうだね。ずっと友達だよ」
「凛がやだって言ったら…どうする?」
ちょっとずるい質問だったかもしれない。みはねちゃんはなでてくれていた手を止めて、少し悲しそうな顔をしていた。
「その時は…しょうがないかな。私の一方通行じゃ成り立たないし」
そう言ってくしゃりと凛の頭をもう一度なでると手を離してしまった。
一方通行じゃ成り立たない。
それって、今の凛に言えることだよ。だって、凛の好きとみはねちゃんの好きは同じに見えて全く違う。
みはねちゃんの好きは、凛だけに向いている好きじゃないもん。
「凛ね、かよちんのこと大好きなの。でも、みはねちゃんのことも大好き。この違い、わかる?」
「んー。花陽は幼なじみだから、私よりもずーっと前から大好きだよね?」
「そうだにゃ。かよちんはこれからもずーっと大切な幼なじみ!でも、みはねちゃんとは友達ってだけじゃ嫌。凛は、もっとみはねちゃんと近い存在になりたいの」
友達よりも。
こんな感情初めてだからよくわからないけど。みはねちゃんに見合うかわいい子になりたい。
とびっきりかわいくなって、みはねちゃんの隣を歩きたい。
きっと、凛の中でみはねちゃんは特別の特別。
だからーーー
「大好きだよ。みはねちゃん」
そう言ってぎゅーっとみはねちゃんに抱きつく。
「あ、ありがとう」
「みはねちゃんは、凛のこと…好き?」
「うん。凛のこと大好きだよ」
やっぱり、凛の好きとは少し違う気がしたけど、今は好きって言ってくれるだけで満足かな。
もう一度ぎゅっとしてからゆっくりとみはねちゃんから離れる。ちょっぴり寂しいかも。
でも、凛はかよちんのことも、みんなのことも応援したいから。
みはねちゃんに笑顔を向ける。
「あのね、今かよちんはアルパカ小屋にいるんだ」
「ーーー凛、」
「ほら、行くにゃ!きっとかよちん待ってるよ!」
何か言おうとしてたけど、わざとそれを言わせない。
みはねちゃんは立ち上がると、もう一度頭をなでてくれた。
「わかった。行ってくるね」
「うん!行ってらっしゃい!」
静かになった教室に一人になる。
凛は、ちゃんと伝えられたよ。頑張ったよ。
毎度のことながら閲覧ありがとうございます。
思ってたよりも早く出来上がりました!
誰も待っていないかもしれませんが…笑
誤字脱字が多いかもしれないので、あったらバンバン報告してください!
この流れ的に次回は花陽です。