歌の女神たちの天使 〜天使じゃなくてマネージャーだけど!?〜 作:YURYI*
〜真姫〜
今日は、みはねに気持ちを伝える日。
べ、べつに、私が伝えたいからじゃなくてみんなが言うから仕方なくよ!?
ち、違くて、気持ちは伝えたいんだけど…
あぁ、もう!授業に集中できないじゃない!
隣で授業中にもかかわらずぼけっと外を見ているみはねを睨みつける。視線を感じたからなのか、目が合ってしまった。
何が、どうしたの?よ。どれもこれもあなたのせいじゃない。
私が朝来たときにはいつもはもうちょっとあとにくる二人がいて…
三人ともいつもとは違う雰囲気で、何があったのかなんて明白で。
花陽も凛も、いつも以上にみはねにべたべたで、みはねもまんざらじゃなさそうだし。
私のことなんて気にしてない様子で楽しく話す三人。そんなの、いつもクールで冷静沈着な私でも嫉妬…するに決まってるじゃない。
もしかしたら、なんて思ってしまう。
言うチャンスなんていくらでもある。
そうよ、私は昼休みにみはねと二人で音楽室に行くわけだし。そのときに言えばいいじゃない。
落ち着かない。
休み時間になるたびに彼女はいろんな人に話しかけられて、笑顔振りまいて。イライラしてしょうがない。
いつもだったらその様子を羨ましそうに見ている花陽と凛は、余裕な感じでいるし。
あ、こっちきた。
「まーきちゃん!がんばるにゃ」
「お、応援してるからね!」
「あぁ、もう!わかってるわよ!言えばいいんでしょ!」
もう伝えるタイミングは決まってるんだから、変に急かすんじゃないわよ。
「その、二人きりになるのってやっぱり昼休みだよね?」
花陽は私の考えていることがわかっているみたい。しかし、表情は少し曇っている。
どうかしたのかしら?
あいにく顔に出ていたようで、花陽は苦笑いをする。
「みはねちゃん、今日はいつも以上にお手紙もらってたみたいだから…」
な、によそれ。それじゃあ、私との時間は?
いつもは何通かしかないしさくさくっと帰ってくるけど、花陽がそんな顔をするくらいだから、そうすぐに帰ってくれる量じゃなかったということだろう。
さっきまで授業中に考えていた作戦が頭の中でガラガラと音を立てて崩れていく。
「だ、大丈夫にゃ。たぶん…」
「そ、そうだよ!」
これじゃ…伝えられなかったら、私はみはねに振り向いてもらえるせっかくのチャンスを逃してしまうことになる。
そんなの。そんなの嫌よ。
でも、どうしても音楽室で、あそこで伝えたいのよ。
私の中で、みはねとの特別な場所だからーーー
放課後、部活の時間までって考えたらあの時間しかないの。
次の休み時間、みはねは私に話しかけてきた。
「ねぇ、真姫ちゃん。さっきからどうかした?すっごい視線を感じるっていうか…」
「べ、べつに見てないわよ!」
「そ、それならいいんだけどね?」
次の授業が終わったら昼休みだ。
もう、どうにでもなれ。いいわよ、伝えられなかったらそれで。
授業中、今度は今にも寝てしまいそうなみはねに心の中で宣戦布告をした。
*
花陽の予想していた通り、昼休みを告げるチャイムがなったと同時にみはねは教室から姿を消す。
私はいつも通り音楽室に行くことにした。
あれ…鍵がない。
もしやと思って音楽室に急ぐ。
思った通り、音楽室のドアは何の抵抗もなく開いた。
「あ、真姫ちゃん!遅いよ」
私の特等席に座って手を振っているのは、みはねだった。
「はぁ…なんでいるのよ」
「いつもいるでしょ!?」
「そういうことじゃなくてっ」
「えっと…?」
なんのことを言っているのか本当にわかっていない様子で、顎に手をあてて首を傾げて考え始めてしまう。
「ばかなの?他の人との用事はどうしたのよ」
「そ、そんなの、ないって…」
完全に嘘ね。花陽がわざわざあんな嘘つくなんて思えないし、それにみはねは私と意地でも目を合わせてくれない。
「今からでも行って来なさいよ」
「行かないよ」
「だから…っなんでよ!」
「だって、真姫ちゃんと一緒に居たいから。それじゃダメ?」
みはねはバカみたいに真面目な顔をして言い放つ。どうしたらそんな簡単にそんな言葉がすらすらと出てくるのよ。
「だ、だったら勝手にすれば!?」
「やったぁ」
本当に嬉しいのか、笑顔のみはね。
私の口から出てくるのは、かわいげない言葉ばっかりで…
実際いつみはねに愛想を尽かされてしまうのかと気が気じゃない。
「ねぇ、私のこと…好き?」
「い、いきなりどうしたの?」
「べ、べつになんでもいいでしょ!?好きなの?嫌いなの?」
みはねは何も答えずにしゃがみこんでしまう。
「…き……よ」
ボソボソと小さく何かつぶやいている。いくら耳のいい私でも、そこまで小さいと聞こえないわよ。
「もう一回言ってくれる?」
「だから、好きだってば!」
いきなり立ち上がったと思ったらそう叫ぶ。
び、びっくりした。それに、今好きって言ったわよね?
「そう」
びっくりするくらい冷静な自分がいる。本当は嬉しくてしょうがなくて、今にも顔がにやけそうになってしまうくらいなのに。
俯いているみはねの頭に手を乗せると、ゆっくりとなでる。
うれしい。うれしくて、照れているみはねがかわいくて、ついに自分でもわかるくらいに顔が緩んでしまった。
「真姫ちゃんは?私のこと…好き?」
「好きよ。悪い?」
言葉がすんなりと出た。即答とか、自分でも驚きだ。
「わ、悪くない。うれしいです」
照れながらもおとなしく頭をなでられているみはねがなんだか犬みたいでかわいい。あげくのはてに、しばらく経つと目を細めて自分から頭をぐいぐいと押し出してくる。
…なでられるの、好きなのかしら?
今なら、言えるかもしれない。
「ありがとう」
「え…?」
「だから、今日は二人きりの時間ないと思ってたから。ありがとう…っ」
言えたけど、思ってた以上に恥ずかしい。
下を向いてしまったみはねの顔を覗き込めば、やっぱり顔を赤くしていて。
「真姫ちゃんと音楽室にくるの、私も楽しみだから…さ」
「はいはい。恥ずかしいなら言わなくてもいいわよ。そんなこと」
うれしいくせに、やっぱり私は素直じゃない。いや、でも今日は素直なほうよね。
「言わないと伝わらないじゃん。とくに真姫ちゃんとか」
「伝わるわよ。バカにしないで」
「してないもん。じゃあ、私が今何思ってるかわかる?」
もんってなによ、かわいいんだけど。
今日はいつも以上につっかかってくるわね。
なに?反抗期なの?
まぁ、こういうみはねはなかなか見れないし、ちょっとからかってあげようかしら。
「真姫ちゃん好き。とかでしょ?」
さぁ、どんな反応してくれるのかしら。怒る?焦る?ねぇ、どっち?
視線を向けるとそこにはりんごのように真っ赤な顔をして固まっているみはねがいた。
な、なにその反応。そんなの、ずるいわよ。
「せ、正解だけど…うぅ、もうこの話終わり!」
「え、えぇ。わかったわ」
お互い真っ赤になって見つめ合う。
もう、みはねと出会わなかったらこんな気持ち知ることなかった。
この私がすぐ赤面しちゃうとかそうそうないわよ。ほんと。
そんな初々しいカップルみたいな時間は一人の訪問者によって壊された。
「あ!やっぱりここにいた!」
その犯人は穂乃果。突然音楽室のドアを勢いよく開けたと思ったら、太陽みたいな笑顔でこちらへ進んできた。
みはねも私もなんだか恥ずかしくて、思わずお互い顔をそらしてしまう。
穂乃果はどんな状況なのかよくわかっていないようで、笑顔でみはねの手をとる。
「真姫ちゃん!みはねちゃん借りてくね〜」
誰の返事も聞かずに、穂乃果はみはねの手を引いて走り出してしまった。
嵐のようね…私たちのリーダーは。
静かな教室で冷静になって思い出してみると、かなり恥ずかしいことしたと思う。
ふふっ私たちなにをやってるのよ。
ーーーなんだか無性に自分で作ったあの曲を弾きたくなった。
閲覧ありがとうございました!
真姫ちゃんのツンデレ感ってすごく難しいですね。かなり困りました…
真姫「なっ、誰がツンデレよ!」
はい。真姫ちゃんかわいいかきくけこ!
ということで、次は穂乃果のターンです。