歌の女神たちの天使 〜天使じゃなくてマネージャーだけど!?〜 作:YURYI*
〜海未〜
昼休みはいつも穂乃果とことりとお昼を食べているが、今日は三人別々だ。というのも、私たちアイドル研究部μ'sのマネージャーであるみはねに想いを伝えるため…らしいのです。
ことりと穂乃果は昼休みに伝えると朝から意気込んでいた。
二人に流されて私も昼休みに伝えることになりましたが、正直なにをどう伝えればいいのやら。
言い出しっぺであるにこのもと、好きと伝えても付き合う付き合わないの話はしないとのこと。
そ、そもそも、そんなの恥ずかしすぎます!
確かに私はみはねのことをお慕いしていますが、正直こんなこと初めてでどうすればいいのかわかりません。
恥ずかしいと言って今まで逃げてたが、さすがに自分がこういう状況になると少しは勉強しておけばよかった…とそのことを後悔し始めてきている。
幼馴染の二人曰く、みはねに好きという想いが伝わればどんな感じでも問題ない。らしいです…
というわけで、お昼は弓道場に行くことにしました。
*
お昼前まではそわそわして落ち着かなかった私も、一度弓道着に着替えてしまえば気が引き締まって落ち着いてきた。
μ'sの活動が中心になってた最近は、弓道部をサボっていたわけではないが弓道に没頭する時間が減っていたのは確かで。
ーーーやっぱりこの空気はいいですね。
いつものポジションに立ちゆっくりと深呼吸をする。
さて、始めましょうか。
没頭しすぎていくつ矢を放ったのかもわからなくなってきた頃、遠慮がちに拍手の音が聞こえた。
まさかこんなところに人が来るなんて、と驚いて振り向く。そこには瞳を輝かせて私を見ているみはねがいた。
「なんだ…みはねでしたか」
「ごめんね。邪魔しちゃったかな?」
「そんなことないですよ。こちらへどうぞ」
そう言うと嬉しそうにこっちへ駆け寄ってくる。座るようにうながすと、少し戸惑った様子を見せた後にその場にちょこんと正座した。
「海未ちゃんが弓道やっているの初めて見たけど、すっごいかっこいいね!」
「ありがとうございます」
みはねは前のめりになって、すごく眩しい笑顔でそう言ってくれる。
そんなみはねに嬉しく思いつつも、とある感情がふつふつと浮き上がってくる。
触れたい。みはねに触れたいーーー
私は何を考えているのでしょうか。そ、そそそんなの破廉恥です!
今すぐこの場を離れて頭を冷やさなければ…と思い、勢いよく立ち上がる。
「すみません。制服に着替えてきますね」
「わかった!私のこと気にしなくていいから」
そそくさとその場を後にする。あぁ、ほんとうに私は何をやっているのでしょう。
とにかく、昼休みもそこまで残っていないし早く着替えて伝えることだけ伝えてしまいましょう。
「すみません。って、ずっとそのままでいたのですか?」
みはねは私が出て行った時と同じ体勢で待っていた。もちろん正座でである。
なんのことを言われているのかわからないのか、私の質問にきょとんとするみはね。
きっと、ずっと正座をしていたならそろそろ足を痺れさせてしまってもおかしくない頃だろう。
「…みはね。少し立ち上がって見てくれませんか?」
「へ?なんで?」
「なんでもです。はやく」
少し圧をかけて言うとみはねはおずおずと立ち上がった。
「わ、足がっ」
しかし、すぐにバランスを崩してこちらに倒れてくる。そうなることを予想していたので、倒れてくるみはねを受け止めてゆっくりと座らせた。
私としたことが少し意地悪がすぎましたね。
「ふふっずっとその体勢でいるからですよ」
「あ!いやぁ、なんかこの空気の中で動くのもなんか悪いことをしているような気がして…ね」
「そんなに堅苦しいでしょうか?」
「うーん。どうなんだろう?まぁ、緊張はするかも」
まだ痺れているのかみはねは足をさすっている。
痺れが取れるまでは下手に動かないほうがいいので、私たちはしばらくじっとそのままでいることにした。
「はぁ…なんか落ち着くなぁ…」
みはねは突然私に体を預けてそんなことを言ってくる。
「いきなりどうしたのですか?」
「なんか今日は疲れちゃって」
みはねは遠くを見つめて苦笑いをする。
みんなに気持ちを伝えられて大変だったのだろうか。
「そうなんですか?」
「うん。みんながいつもと違って、いろいろとびっくりしちゃった」
でも…とみはねは続ける。
「すっごく嬉しくてね」
その笑顔からも本当に喜んでいることがわかる。
そんなみはねの様子を見ていてこちらも笑顔になる。
しかし、それと同時に私も伝えなければと思ってしまうのも当然のことで。
「あの…私も伝えちゃダメですか…?」
「え、あ、うん。い、いよ?」
見るからに動揺しているみはねがかわいいやら面白いやらで、さっきまでの緊張なんて解けてしまって。
「よく聞いていてくださいね?」
「は、はい!」
あぁ、この気持ちは言葉じゃ表せないくらいに大きくて…でも、言葉にしないとふわふわと飛んでいってしまいそうなくらい不安定で…
こんなにも私の心をかき乱す。
「みはね、私はあなたのことをお慕いしています」
「う、うぅ…ありがとう…っ!」
みはねは私に勢いよく抱きつくと、顔を私の胸元へぐりぐりと押し付けてきた。顔が赤くなっていることをバレたくないのだろうが、耳まで真っ赤…いや、耳を見なくとも鼓動の速さと身体の熱さでわかってしまう。
「私もね、海未ちゃんのこと好きだよ」
「はい。ありがとうございます」
「あのさ、もしかしたら…今日みんながいつもと違かったって言ったけど、私が気づいてなかっただけなのかも…なんて」
「今さら気づいたんですか?」
「だって…」
そのままみはねは黙ってしまった。
「みはね。そんなに深く考えなくていいですよ」
「海未ちゃん…」
また沈黙が訪れる。
ドキドキとうるさいくらいに鳴る心臓の音が全身を伝わる。きっと、みはねにも伝わってしまっていることでしょう。だって私にもみはねの音が聞こえてくるんですよ?
冷静に考えてみると、それだけそばにいるということだ。恥ずかしい…でも、うれしい。
だめだ。また、みはねに触れたいという気持ちが大きくなってくる。
少しだけ…そう思ってみはねの触り心地のいい髪に触れる。触れた瞬間びくりと肩を震わせたみはねだが、一回、二回となでるとおとなしくなった。
髪をなでるたびにふわりとみはねの香りがする。
なんでこんなに落ち着くのでしょうか。
なんで、もっとって思ってしまうのでしょうか。
「みはね…」
今度はみはねの頰に手を添えてこっちを向かせる。
初めての感情、初めての想い。
「あの、その…すみません」
自分で目を合わせといてこんなに恥ずかしくなるなんて。それはそういうことに慣れていないから?それとも相手がみはねだから?
いや、答えなんてわかりきっている。
「どうしたの?海未ちゃん」
「い、いえ!とにかく、そのままのみはねでいてくださいね?正解なんて、ないんですから」
「そうだね。海未ちゃんもそのままで…ね?」
「はい。もちろんです」
みはねの中の私が少しでも大きくなっていてくれたら…
そんなことを思ってみはねを強く抱きしめる。
私の中のみはねはどんどんと大きくなっていくのに、みはねの中の私の存在がそのまま変わらないなんて不公平だ。
「海未ちゃん、苦しい」
「ふふ、みはねのせいですよ?私をこんなにして」
「私なにもしてないよ!なんか誤解されそうな言い方しないで!」
「そんなことないです。私はみはねに…」
「わかった!私が悪かったから。もう苦しくないから」
そんなことをしているうちに、昼休みの終わりを告げるチャイムが響く。
あぁ、せっかくいいところだったのに。
「残念ですが、教室に戻りましょうか」
「うん…海未ちゃんがこんなに意地悪だったなんて」
「なんですか?よく聞こえませんでした」
「な、なんでもない!」
「ほんとは聞こえていました」
「わー!ごめんなさい!」
まったく、そんな顔するからいじめたくなってしまうのですよ。
関われば関わるほどいろいろなあなたが見えてくる。
欲張りな私は、もっとたくさんのあなたを見たいのです。だから…これからも私にたくさんのみはね、あなたを見せてくださいね?
先に行ってしまったみはねを追いかける。
あなたは一体誰のものになるのでしょう?
みんなが幸せになれる道があれば…なんて、そんなことを思ってしまう私はやっぱりあなたに恋をしているのでしょうね。
だって、普通は自分のものにしたくなるものなのでしょう?
でも、みはねの優しさを知ってしまってからは、みんなと、なんて思わずにはいられないのです。
まぁ、少しは独占欲というものもあるんですけどね…
閲覧ありがとうございました!
どうでしたか?
やっと残るは絵里と希だけです。…どうしましょう?笑
なるべく早く更新できるようがんばります!