歌の女神たちの天使 〜天使じゃなくてマネージャーだけど!?〜   作:YURYI*

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2.入学式、出会いと生徒会

 

 

今日は入学式。

 

たくさんの生徒の視線の先にはステージの上で話すことりちゃんのお母さん…理事長の姿がある。

私はあの人に助けられ、今こうしてこの学院の生徒としてこの場にいることができるのだ。

 

最初の頃はあまりうまく話せなかったけど、だんだんと慣れてきて笑顔で話せるようになった。ことりちゃんとはもっと早く打ち解けることができたんだけど…

 

 

 

入学式が終わり、新入生は教室に戻ってHRをやらなければならないらしい。今は担任の先生が来るまで自由時間なのだが…そう、二人としか接することがなかった私は絶賛ぼっち中。

それに、なんだか周りの子達は私のことを見てひそひそと話していたりと、なんとも居心地が悪い。

私、何か変だろうか?自分についての記憶がないせいで変なところで臆病になっているらしく、めんどくさいことに悪い方向にばかり考えが進んでいく。

 

 

「「はぁ…」」

 

私がため息をすると同時に隣からもため息が聞こえた。びっくりしてその方を向くと、相手もこっちを見ていた。

赤毛であまり長くないふわふわとした髪、なんともきれいな顔立ちでつり目が特徴的な彼女に………なぜか睨まれていた。

たしか、彼女は新入生代表の西木野真姫さんだったと思う。

 

「えっと、ごめんなさい…?」

 

とりあえず、謝っておいた。睨まれているし、もしかしたら不快な思いをさせてしまったのかもしれない。

 

「なんで何もしてないのに謝るのよ」

 

「いや、怒っていらっしゃるのかと…」

 

その言葉を聞いてなんで敬語なのよ、とつぶやき西木野さんはさらに不機嫌そうな顔になった。

 

「あなた、名前は?」

 

「みはねです。桜みはね」

 

「そう。みはね、私が友達になってあげないこともないわよ」

 

いきなり呼び捨て…いや、いまそこは問題ではない。なぜか西木野さんはかなりの上から目線で、しかも睨んだ顔はそのままで友達になってあげないこともないと言ったのだ。ってことは、西木野さんと友達になれるということなのかな?

 

「ありがとう…?」

 

「べ、べつに私が友達になりたいわけじゃないんだからね…!?」

 

ほおを自分の髪のように真っ赤に染めて両肩を掴んでくる。

この反応はもしかして…

 

「西木野さんって…ツンデレ?」

 

「ば、ばっかじゃないの!?イミワカンナイ!!!」

 

そんなことを叫びながら自分の席に戻っていったが、顔はやっぱり赤いままで…。西木野さんの大人な印象がガラッと変わった。周りもこっちを見てざわついている。

とにかく、友達ができたなんて嬉しいな。

 

「真姫ちゃん!よろしくね」

 

「はぁ…しょうがないから仲良くしてあげる」

 

やっぱりツンデレみたいだ。横目で真姫ちゃんを見るとやっぱり真っ赤で、それを隠そうと両手で顔を覆っていた。

 

「真姫ちゃんかわいい」

 

「っ///あたりまえでしょ!みはねもかわいいんじゃない!?」

 

自覚してるのか。まぁ、これで自覚してないほうがおかしいんだけどね。てか、なんでそんなに怒った言い方するんだろう?それに…

 

「そういうお世辞いらない」

 

「もう…ほんとあなたなんなのよ」

 

なぜだか真姫ちゃんはジト目で私を見る。

照れたり怒ったり呆れたり。真姫ちゃんの笑顔が見たいんだけどなぁ…

 

「ねぇ、笑ってよ」

 

「は?なんでいきなりそんなこと言うのよ」

 

「見たいの!絶対笑ったらかわいいし!」

 

少しの沈黙。数秒だってから真姫ちゃんはくすくすと笑いだした。

笑ってくれたのは嬉しいけど、なんだかバカにされてる…?

 

「むぅ…なんでそんなに笑ってるの?」

 

「だって、そんなことで必死になっているから。まったくもう」

 

理由はわかったけど笑いすぎ。さすがに拗ねちゃうんだからね!

それに、さっき笑ったらかわいいっていったけど…やっぱり間違ってなかったみたい。普通にしていたら大人びているけど笑うと年相応になる。バカにされているけどなんだか得した気分。

 

そうこうしているうちに担任の先生が来てHRも終わり帰宅の時間になった。もっと話していたかったけど、真姫ちゃんはすぐに帰ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

家…といっても学院なので、下校とかがないからあまり面白くない。いや、面白くないとか言える立場じゃないんだけどね。

ここに住みたいっていったのは私だし、住むところを与えてもらっているわけだもんね。

何かやることないかなぁ………あ、学院を探索でもしよう!

 

都合がいいのか悪いのかよくわからないけど、今日はもう学院内に生徒はほとんどいない。たしか二、三年生は登校日ではないとことりちゃんが言っていた。

 

なんだか学院を独り占めしているみたいでテンションが上がる。意味もなく回ってみたりと前をよくみていなかった。

 

「っ!?」

 

「きゃっ!?」

 

角を曲がろうとしたら誰かとぶつかってしまった。

 

「すみません。前よく見てなくて…」

 

とりあえず謝り、倒れてしまった相手に手を差し出す。

相手は私の手を取りながら、こちらこそごめんなさいと謝ってくれた。

 

「……」

 

改めてぶつかった相手をよく見てみると金髪碧眼の美人さん。外国の人だろうか?それともハーフさん?そんなことを思いながらもついそのきれな姿に見入ってしまった。よくわからないが心臓がドキドキと音を立てる。深呼吸をしてもう一度相手を見ると、なぜか相手の人もじっと私を見て固まっていた。

 

「ねぇ、あなた…いや、大丈夫だったかしら?」

 

「はい。って、日本語…」

 

「ふふっ。私、こう見えてロシアンクォーターなの。だかられっきとした日本人よ」

 

クォーター…ということは祖父母の誰かがロシアの人ってことか。

 

「すみません。あまりにもきれいなので見つめちゃいました」

 

思ったことがつい言葉に出てしまった。

私の言葉を聞くなりきょとんとして、突然顔を赤くした。

 

「な、あ、名前!教えてくれるかしら?リボンの色からして一年生よね」

 

「桜みはねです。よろしくお願いします。えっと…」

 

「三年の絢瀬絵里よ。この学院の生徒会長をやっているわ」

 

三年生!?生徒会長!?とんでもない人にぶつかってしまったようだ。普通なら怒られているところだが、絵里先輩は怒らずに心配してくれた。なんて優しいんだろう。

 

「それでみはね?新入生はもうとっくに下校してる時間よ?」

 

あ、そうだ…

どうしよう。学院に住んでいることを言ってもいいのだろうか?

 

「あ、えっと…」

 

「みはねちゃん!まったく、終わったら来るように伝えておいたはずよ?」

 

運がよかったのか悪かったのか、絵里先輩の背後から理事長が現れた。

終わったら理事長室に来るように言われてた…かも。

 

「ご、ごめんなさい!忘れてました…」

 

「はぁ、素直に忘れてたことを言ったから許しましょう」

 

理事長との約束を忘れるなんて…

落ち込んで下を向いていると突然ふわりと落ち着く匂いが鼻腔をくすぐった。

「みはねちゃん。入学おめでとう」

 

ぎゅっとして頭をなでられてしまえば安心とともに嬉しさがこみ上げる。家族がいたら、こんな感じなのかな?とか考えてみたり。

 

「ありがとうございます」

 

抱きしめられたままお礼を言うと制服の袖を遠慮がちにひっぱられた。

 

「あの、すみません。理事長とみはねはどういうご関係で?」

 

まって今さらだけどめっちゃ恥ずかしい。変な顔とかしてなかったかな?どうしよう。

絵里先輩は私の袖を掴みながらまっすぐと理事長を見つめている。

なんだか、さっきまでと違ってキリッとしてる。さっきは優しい先輩という感じだったが今は生徒会長といった雰囲気を感じる。まぁ、生徒会長がどんな感じなのかはよくわからないけど。

 

「そうね、ちょうど良かったわ。絢瀬さんも一緒に理事長室に来てちょうだい」

 

 

 

 

 

〜絵里〜

 

 

私は今、理事長のあとを今日知り合ったばかりのみはねと一緒についていっている。理事長室ってことは重要な話なのかしら。

 

理事長室につくと理事長は自分の椅子に座った。

 

「わざわざごめんなさいね。ふたりとも」

 

話の途中でここにきたのだから話というのはさっきのことに関係しているということだろうか。みはねと理事長の関係。家族…ではないわよね。苗字が違うし、理事長にはすでに二年生に娘さんがいたはずだわ。

 

「いえ、こちらこそすみません」

 

「その…お話の続きということでしょうか?」

 

みはねが暗い顔をして謝る中、私は気持ちが焦って話の続きを促す。

 

「そうね。まず、みはねちゃんはここに住んでるの。だから、下校時刻を過ぎて学校にいても問題ないわ」

 

学校に住んでいる?ますます意味がわからなくなる。

 

「それと、私とみはねちゃんは家族未満知り合い以上…ね」

 

まぁ、ほとんど家族ね。と、理事長は微笑む。

ほとんど家族…いや、家族未満。いくら幼い頃から賢いと言われてきた私でも頭がこんがらがってきた。

 

「南理事長は私の命の恩人なんです」

 

みはねはそういって悲しく笑った。それにどういう意味があるのかはわからない。けど、みはねにそんな笑顔は似合わないと思った。

ついさっき出会った時、みはねを見たときからなぜか胸が苦しい。笑顔とともに彼女の素直すぎる言葉を聞いたとき顔は熱くなるし。

ーーー確かめたい。この気持ちがなんなのか。

 

「ねぇみはね。あなた、生徒会に入らない?」

 

「えっ?」

 

みはねは目を丸くさせている。

自分でもそんな言葉が出るとは思っていなかった。私のそばにいて欲しくて、私がみはねのそばにいたくて。つい、というのが正しいのかしら。

 

「あら、ちょうどよかった。私からもお願いしていいかしら?」

 

突然のお願いに戸惑っているようだったが、理事長と私を交互に見るとみはねはふわりと笑った。

 

「はい。よろしくお願いします」

 

まただ、鼓動が速くなって顔が熱くなる。みはねの笑顔を見ると私の心臓は騒ぎ出す。

 

今まで自分から誰かに歩み寄ることなんてなかった。手を伸ばそうと思うことなんてなかった。でも、今初めて心からみはねのことをもっと知りたいと思う。

 

この気持ちを大切にしたい。

 

 

 

私の中で何かが動き始めた。

 

 

 




閲覧ありがとうございました!

今回は絵里ちゃんが出てきました。実は私絵里ちゃん推しなんです…笑


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