歌の女神たちの天使 〜天使じゃなくてマネージャーだけど!?〜 作:YURYI*
「なんで突然泊まるなんて言い出したの?」
私は今、絵里ちゃんと絵里ちゃん家へ向かって歩いている。そう、今日は絵里ちゃんの家にお泊まりするのだ。
「最近行ってなかったし、たまには一緒にいたいなぁ…なんて」
これは本心だ。でも、あの雰囲気を変えたくてという理由ももちろんあったりする。
「そ、そうなの……その、じゃあ今日は私の部屋で寝てくれる…?」
少し不安そうに聞いてきた。
あぁ、前に泊まった時は亜里沙と一緒に寝たんだっけ?
「もちろん。今日は絵里ちゃんとずっと一緒にいるよ。絵里ちゃんがそれを望むならだけどね」
なるべく優しく微笑んでみる。普段やらないことやるもんじゃないなぁ…
今、ちゃんと笑えてる気しないし。
不安になって横目で絵里ちゃんを見る。
あ、かわいい。顔を真っ赤に染めちゃってる。
「みはね、大好きよ」
「ん、私も大好き」
そう答えて絵里ちゃんの手に自分の手を絡める。
ぎゅっと握り返してくれた絵里ちゃんはやっぱりかわいかった。
「ただいま〜」
「おじゃまします」
ドタドタとリビングの方から走ってくる音が聞こえる。
「みはねさん!!!」
亜里沙がぎゅーっと抱きついてきた。
あぁ、もうほんとに癒しの塊だ。さすが亜里沙だね。
「今日は泊まりに来たよ」
「やったぁ♪あ、お姉ちゃんもおかえり」
「えぇ、夜ご飯作っちゃうからお風呂はいっちゃってね?」
「うん!…みはねさんも一緒に入る?」
うぐっ!かわいい。かわいすぎる。
でも、うーん。
「私は一番最後に入るから、先に入って?」
「…わかった」
シュンとしてしまった亜里沙に少しだけいたたまれない気持ちになる。
まぁ、絵里ちゃんがご飯作ってるとこ見てたいししょうがないよね…
おわびに頭をなでてあげる。
「えへへ〜お風呂はいってきます」
うん。機嫌も直ったみたいだ。
亜里沙は鼻歌を歌いながらお風呂に入ったみたい。
「さ、ご飯作っちゃうわね」
楽しみの始まりだ!
絵里ちゃんがご飯を作っているところを観察している。
たまに視線が気になるのか、私のほうを見てくるがにこりと微笑むと顔を赤くして料理に 戻ってしまう。
かわいいなぁ。こんなかわいくてきれいな人が私の彼女さんなんだよなぁ…
そんなことをのんびり考えているうちに、亜里沙はお風呂から出てきてご飯は作り終わってしまったようだ。
「「「いただきます!」」」
「絵里ちゃんの作るご飯は美味しいね!」
「あ、ありがとう」
「きっと、いいお嫁さんになるね?」
「…もう、ばか」
今日何度目かわからないが顔を真っ赤にしてそらす。
かわいい、かわいい。
「あ、そうだ!みはねさん、今日一緒に寝ませんか?」
「え…」
亜里沙がそういった瞬間、絵里ちゃんがすごく悲しそうな顔をした。
あ、やばい。そんなかわいい顔されたらもっと見たくなってしまう。
ちょっとくらいなら大丈夫かなぁ?
うーん。
「あ、うん。ソウダネ」
ちらっと横目で絵里ちゃんを見る。
「…っ」
絵里ちゃんから表情が消えた…気がする。
「あ、やっぱーーー」
「お風呂はいってくるわね」
私が断ろうとしたら絵里ちゃんに遮られてしまった。
絵里ちゃんはそのまま食器を片付けてリビングを出ていった。
「あ、お姉ちゃん…」
やってしまった。
絵里ちゃんを傷つけた…
「亜里沙、ごめんね。今日は、絵里ちゃんとずっと一緒にいたいんだ」
私のその言葉に亜里沙は何かを考え始める。いくら考えてもわからないのか、しばらくするとこちらに目を向ける。
「…どう、して?亜里沙じゃだめ?」
「ううん。亜里沙がだめとかじゃなくて…
大切な、大好きな絵里ちゃんとの約束は絶対守りたいんだ。今日、一緒にいるって約束したからさ」
恥ずかしいのがバレないように、亜里沙の頭をくしゃりとなでる。
「そっか…亜里沙もお姉ちゃんのこと大好き!…もちろんみはねさんのことも。だから、今日は我慢します!」
「ありがと。亜里沙はいい子だね」
今度は優しくなでてあげると、早くお姉ちゃんのところ行ってあげて、と言われた。
もう、お風呂からは出ているようだ。
絵里ちゃんの部屋の前まで来て深呼吸をする。よし!
「絵里ちゃん、入るよ?」
返事がない。ここで折れるわけにもいかないので、ドアを開けて中に入る。
ベットに膨らみがあるのでそこにいるのだろう。
「絵里ちゃん、さっきはごめん…
今日、絵里ちゃんと一緒にいたいんだけど…」
「出てって」
布団から顔を出さずにそう告げられる。
「っ!本当にごめん!だから…」
「みはねの顔なんて見たくない!亜里沙とよろしくやってればいいじゃない!もう出てって!!!」
顔を見ることはおろか、枕を投げつけられてそんなことを言われてしまえばさすがの私も心が折れてしまう。
嫌われた。絵里ちゃんに嫌われてしまった。
「そっか。ごめんね…」
枕をベットの上にそっと戻すと絵里ちゃんの部屋から出ていった。
ドアを出てすぐ、絵里ちゃんの部屋のドアを背にして座り込む。
「嫌われた…」
言葉に出してみると、余計に悲しくなってきた。何も考えられない。
人に嫌われるのはこんなに辛いことなのか。いや、絵里ちゃんに嫌われたから…?
とにかく、亜里沙に報告しに行かなければ…
そう思いリビングへ行こうと歩き出した時だった。
「ーーーっ!?」
もしかしたら、私のことを見ていた神様が絵里ちゃんを傷つけたことを怒っているのかもしれない。絶対そうだ。
自分でもなにが起きたのかわからないくらいに派手に転んで目の前の壁に激突する。そしてそのまま重力に引っ張られて背中から床に落ちていく。
突然のことにかっこよく受け身を取れるわけがなく体は床に向かっていく。
あぁ…このままいなくなることができたら…
「いったい」
まだ肩も治っているわけでもないのにおもいっきり打ってしまった。また、手の甲を切ってしまったらしく血が出ている。
情けない。自業自得。そんな言葉が頭に浮かぶ。
「みはねさん!?」
あんな音を立てたら誰でも気づくに決まってる。
亜里沙が飛んできてくれた。
「ははっなんか壁に体当たりしちゃった」
「笑ってる場合じゃないです!どこか怪我してませんか?」
こんなの、たいしたことない。私は亜里沙に心配してもらえるほどの人間じゃない。
「大丈夫。体がちょっと痛いだけだよ」
そう言って笑えば亜里沙は少し落ち着きを取り戻す。
「そうですか。とりあえず、亜里沙の部屋行きましょう?」
「ん、ありがと」
亜里沙が肩を貸してくれて、やっとの事で亜里沙の部屋までついた。
「さ、亜里沙のベッドで横になって?」
「ううん。ここで大丈夫」
そう言って床に座る。
「ダメ!!!」
「大丈夫、大丈夫。気にしないで」
少し眠くなってきてしまった。
目を閉じると何かに優しく包まれる。
亜里沙に抱きしめられたのだ。
「亜里沙…?」
何も言わずに抱きしめてくる。
いい匂いだ。絵里ちゃんと同じ匂いがする。
「いい匂い。大好きな匂いがする」
「そう…ですか。もう、無理しないでください…!」
最後の言葉は私に言い聞かせるというよりは、亜里沙の心からの願いのように聞こえた。ありがとう。
「絵里ちゃんに、嫌われちゃった…」
涙がひとすじ流れた気がした。
あ、もうまぶたが重い。
再び目を閉じると、私を抱きしめていた亜里沙は離れてしまった。
亜里沙は、はぁ…とため息をつくと部屋から出て行ってしまったようだった。
***
〜絵里〜
ついさっきみはねが部屋に来た。
謝ってきた。一緒にいたいって言ってくれて嬉しかったけど、頭に浮かぶのはみはねの隣で笑っている亜里沙。
素直になれずに追い返してしまった…
私のほうが年上なのに大人気ない。
頭ではわかっているけど、みはねのことになると感情で動いてしまうようだ。
それだけみはねが大好き。言葉じゃ足りないくらいに愛している。
果たしてその気持ちはみはねに届いているのだろうか?
みはねは本当に私のことが好きなのだろうか?
みはねは優しいから、私を悲しませないようにと無理をしていたら…
ましてや、みはねはμ'sのみんなが恋人。
これから我慢しなければならないことも増えてくると思う。
亜里沙にまで嫉妬しちゃうとかほんとうにダメね…
ため息を一つついて布団をかぶり直すと部屋の外からなんだか普段は聞かないような音が聞こえた。壁に何かが激突したような、そんな感じの音。
どうしたのかしら。
しばらく息を潜めて部屋の外の様子を伺う。
隣の亜里沙の部屋が開く音がした。
亜里沙とみはねの話し声が聞こえる。
「みはね…」
やっぱり、私なんか…
「おねえちゃーん?入るよー?」
みはねと話し終わったのか、亜里沙が私の部屋を訪ねてきた。なにを言われるのかしらね。
「いいわよ…」
亜里沙が入ってくる。
悲しそうな、また怒っているような顔をしている。
何があったのだろうか。
「どうしたの?」
「それが…みはねさんが、思いっきり転んじゃって…」
さっきの音はみはねが転んだ音だったのね…
大丈夫なのかしら。
怪我とかは?まだ肩も治ってないのに。
そんな不安を悟られないように、私は感情を殺す。
「そう、それで?」
「それでって…!心配じゃないの?」
「だって、亜里沙のベッドで寝ているのでしょう?なら、心配することないじゃない」
「…てない。みはねさんは今まで亜里沙のベッドで寝たことなんてない!」
「え…」
どういうこと?
何回も亜里沙の部屋で寝てたじゃない。
私の部屋に泊まった時は、一緒にベッドで寝たわよね?
…どうして。
「みはねさん、お姉ちゃんのこと大好きだよ。亜里沙なんかじゃだめなの!みはねさん、お姉ちゃんに嫌われたって泣いてた…!」
亜里沙は涙を拭いて続ける。
「今、亜里沙の部屋にいるから。みはねさんのこと、お願い」
っ!なんて私はバカだったのだろう。亜里沙…ありがとう。
亜里沙もみはねのことが好きなのに、私なんかに気を使ってくれて…
私はベッドから降りて亜里沙の部屋に駆け込んだ。みはね…!
ドアを開けるとベッドを背にして座って寝ているみはねがいた。
その顔はとても辛そうで、見ているこっちが泣きそうになってしまう。
「みはね…」
声をかけるとみはねはうっすらと目を開けた。
「え、り…ちゃん…ごめん、ね」
みはねの今にも消えてしまいそうな微笑みをみて、いてもたってもいられなくなって抱きしめてしまった。
「みはね…ごめんなさい」
「なんで絵里ちゃんが謝るの…?絵里ちゃん、私のこと………嫌いになったでしょ?」
「嫌いになんかなってないわ!」
もっと強く抱きしめる。この気持ちが、みはねのことが大好きって気持ちが少しでも伝わるように。
「ほん、とに?」
「本当よ!みはねのこと大好きよ!」
「じゃあ…その証拠に、キスしてほしい」
え…?
みはねが目をうるうるさせてキスをねだっている。
ハッラショー!!!
かわいすぎるわ。
とりあえず、ここではだめよね…
そう思いみはねをお姫様抱っこする。
軽すぎる。この子、ちゃんとご飯食べているのかしら…
「うぇ!?絵里ちゃん!?」
「おとなしくして?私の部屋に行くわよ」
「う、うん」
みはねは戸惑いながらも私の服をぎゅっと握っている。かわいい…
部屋に着くと亜里沙はいなかった。
どこ行ったのかしら?はぁ…あの子にも無理させてしまったわね…
とりあえず、みはねをベッドにおろしてっと。これからどうしようか…うーん。
「絵里ちゃん」
「…何かしら?」
「ごめんね…?」
みはねの目からは今にも涙がこぼれそうだ。
「私、絵里ちゃんの迷惑になってる。付き合ったのだって…絵里ちゃんの本当の意思かもわからないのに…」
とうとう目から涙がこぼれてしまった。
みはね…
「前にもいったけど、私は誰かに好意を向けられるような人間じゃないの。しかも、記憶もない。自分が何者なのかもわからない」
記憶がない。その言葉で全てが繋がった。理事長が命の恩人、学校に住んでいる。そういうことだったのね。
私は今まで自分のことしか考えていなかったのね…
みはねにこんな辛い思いさせてる。
「みはね、私はみはねのことが好きよ。私、自分のことしか考えてなかった。今日も嫉妬とかいっぱいしちゃったし」
「嫉妬…?」
「そう。みはねのことが大好きすぎて…ね」
「あり、がとう。わたしのこと好きになってくれて。絵里ちゃんのこと大好きだよ」
みはねが抱きついてくる。
みはね、本当は甘えん坊さんなのね。
「絵里ちゃん…」
「ふふっなぁに?」
「絵里ちゃんとキスしたい…」
今にも消え入りそうな声。
みはねは私のこと好きだって自惚れてもいいのかしら。それに今は私だけの恋人。
「あ、その、いやならーーーんっ」
優しくみはねにキスを落とす。
「いやなわけ、ないじゃない」
そう言って、またみはねに口付ける。なんども角度を変えて。
かわいい。一生懸命に応えようとしてくれている。
「絵里ちゃん、大好き」
ちょっと、いつものかっこよさはどこへ行ってしまったのかしら。かわいすぎて理性が持ちそうにないわ。
「私も大好きよ」
さすがにやばかったので、最後にもう一回キスを落としてからやめる。
みはねは少し物足りなさそうな顔をしたけど、一応は満足してくれたようだ。
「じゃあ、寝ましょうか」
「うんっ!あの…一緒に寝たいな…?」
「いいわよ」
やった、と笑顔でベッドに入るみはね。
私もベッドに入ってみはねを抱きしめる。
あ、そういえば
「みはねって、亜里沙のベッドで寝たことないの?」
その言葉を聞いた瞬間みはねの肩はビクリ反応する。
「ねぇ、どうなの?」
みはねは恥ずかしい?のか、ぎゅうっと顔を押し付けてくる。
「えっと、その、そんなにくっつかれると…ね?」
さすがに理性が持ちそうもないので、少し離れようとする。が、みはねは離れてくれなかった。
「亜里沙に対しての大好きと、絵里ちゃんに対しての大好きは…違うの」
「え…?」
つまり、どういうことだろうか?
「絵里ちゃんとは、ずっとくっついていたいっていうか…絵里ちゃんに触れられるの、好きっていうか…うぅ…」
なにこれかわいい。
こんな顔見せるのは私だけって思ってもいいのかしら。
ことりとキスしてる時はあんなにイケメンだったのに…ふふっ
かわいいみはねもかっこいいみはねもどっちも好きだからいいか。
「絵里ちゃん、全部声に出てるよ…それに、絵里ちゃんの前でだけだよ。こんなに余裕なくなるの」
「うそ!?」
「ほんと、それにことりちゃんとの時と絵里ちゃんとの時とでは全然違うのー!」
そういって、もっと私たちの間に隙間はないんじゃないかってくらいにくっついてくる。
「どう違うのか聞きたわ」
「教えてあげない。あ、そうだ」
「むぅ…どうしたの?」
「えっとね?一回しか言わないからよく聞いててね?」
「う、うん。わかったわ」
「絵里ちゃん、好きです。大好きです。私と付き合ってください…!」
「…っ!?そんなの…そんなのずるいわよ」
「返事、聞かせて?」
そんなのもちろん
「私も大好き。その…よろしくお願いします」
「ありがと絵里ちゃん」
「こちらこそありがとう」
誰かと想いが通じるってこんなに幸せなことなのね。
もう一度みはねをぎゅっと抱き直す。
「私、みんなにも私のこと言わないと…」
「みはねがそうしたいのならそれでいいと思うわ。少なくとも、私はみはねのこと知れて嬉しかった」
「うん。ありがとう。だ、いす…き……すぅ…」
みはねの息が一定になる。
なによ、もう、こんなにドキドキさせといて寝ちゃうのね。
まぁ、こんな風にちゃんと気持ちを確かめあえるなんて思ってもいなかった。
涙が出そうになるけど、頑張ってこらえた。
今は、もう少しだけこの幸せに浸っていたい。
おやすみなさい。私のかわいい恋人。
みはねのおでこに一つキスを落とすと、私も夢の世界へと意識を手放した。
これ、完全に絵里だけ特別扱いじゃないですか((;´・ω・`)
やたらと怪我の多いみはねさん。ごめんなさい!安静にしていただきたいです。
関係ないですがバイトが今日で5連勤です!明日もあるんですけどね…笑