歌の女神たちの天使 〜天使じゃなくてマネージャーだけど!?〜 作:YURYI*
〜絵里〜
ーーー絢瀬先輩。
昨日みはねにそう言われた。言われただけならまだしも、いやそれだけでもつらいがあの怯えた表情が脳裏にこびりついて離れない。
思い出しただけで涙が出そうになる。
私、みはねに嫌われるようなことしちゃったのかしら…
いや、でも…
こんなこと考えていても答えが見つかるわけではない。
今日、放課後に穂乃果を除いたμ'sのメンバーでみはねに話を聞こうと思っているし…
あぁ…でも、もし真姫が連れてこられなかったら。
妹に心配をかけないために家ではなるべく普段通りに過ごして、いつも通りなんの変わりもなく登校してきて、自分の席に座ってみればこの調子。考えていなかったぶん、今になって不安が広がっていく。
いろいろと考えているうちに朝のHRもいつの間にか終わってしまっていた。
ため息をつきながら最初の授業の準備をしていると、いつもと同様に希が私の席まできた。
「えーりち。なにむずかしい顔しとるん?」
「希…」
「みはねのこと考えてるんやろ?」
さすがはいつも一緒にいるだけのことはある。簡単に私の考えていることを当てられるのは希や亜里沙…あとはみはねくらいね。
希はにやにやとしながら、わかってるわかってるとかなんとか言っている。そんな親友を少し不機嫌になって軽く睨みつける。そんな私を見てにふっと笑ってから真剣な顔になる希。
「今日、ちゃんと話聞こな?」
「えぇ。もちろんよ」
「ってことで、お昼暇やしみはねの教室のぞいてこよ?」
その問いかけは私に聞いているというよりかは決定事項のようだった。
*
お昼休みになり、お弁当を持って希と二人教室を出た。
みはねはまたあんな顔してないかしら?
そんなことを考えながら歩いていく。
「あー!絵里ちゃんと希ちゃんにゃ!」
「凛ちゃんは今日も元気やなぁ」
「凛ちゃん早いよぉ〜!」
「かよちんが遅いだけにゃ」
教室が見えてきたところで花陽と凛にあった。いつも通りの二人に安心しつつも、ある疑問が浮かび上がる。
あれ?いつもは真姫とみはねとお昼一緒に食べていなかったっけ?
その疑問は聞くこともなく答えが見つかることとなった。
「ちょっと、二人とも見てみて!」
私と希は凛に腕を引っ張られながら、みはねたちの教室のドアまで連れていかれる。
「ほら、あそこみてください!」
若干興奮気味の花陽が指を指す場所にはみはねと真姫の姿。
なんというか、その…真姫がみはねのことをものすごく甘やかしていた…
えぇ、そうよ。これでもかってくらい。
…今までは真姫の位置が私だったはずなのに!そんなの認められないわぁ!
私もみはねのこと甘やかしたい。絵里ちゃんってあのかわいい声と笑顔で呼ばれたい。
ぅああ!?真姫がみはねにあーんってしてる。私もあんまりしたことないのに…
みはねは真姫にすり寄って甘えてるし。甘えてるみはねかわいいわぁ!
ってちがぁぁぁう!!!
なんだか頭がおかしくなりそうだわ。
「いや、もう十分なってるけどなぁ」
もう、なんなのよ…
このまま私から離れていっちゃったりして…
もし、もしもだけど別れたいっていってきたら…
「うん。ウチの声聞こえとらんなぁ。全部声に出してるの教えてあげようと思ったんやけど」
もう本当に私ってばみはねのことになるとダメね。ダメダメね。
後輩の真姫に嫉妬してしまうなんて先輩の威厳なんてあったもんじゃない。あ、先輩後輩禁止なんだったわ。
「ねぇ、凛ちゃんと花陽ちゃん。お昼食べ行こ?」
一度考え出すと止まらなくなってしまう。
こんなにも私は想っているのに…なんて、本人に言わないと意味ないのだけれど。
「ウチこんなのが親友だとか恥ずかしいわぁ…」
最後にそう言い残して、心底呆れた顔様子で後輩二人の手を引く希とくすくすと笑う花陽、声を上げて笑っている凜なんか知らない。
…聞こえてないんだから!
やっぱり嘘。さすがにそんな顔で置いていかれてしまうなんてheartbreakしそうだわ。いや、もうすでに崩壊し始めている。
「もう、置いていかないでよぉぉ!希ってばぁぁあああ!」
***
今日は真姫ちゃんとずっと一緒だ。
朝一緒に登校して、休み時間もずーっと。
お昼休みは真姫ちゃんがお弁当を食べさせてくれたし…あれはちょっと恥ずかしかったけど。
もっと頼ってもいいんだよ。甘えてもいいんだよ。って言われてるみたいで嬉しい。
私、いらない人間じゃないんだって思えるから。真姫ちゃん、本当にありがとう。
そんな気持ちを込めてちょっと抱きついてみたりもした。
ぐりぐり頭を押し付けるようにすると、どうしたの?って優しそうな顔で笑うからほんとずるいと思う。
「みはね。ちょっとついてきてくれない?」
放課後すぐに真姫ちゃんに手を掴まれた。
これは、お願いじゃなくて強制ってことだよね。
連れてきてこられたのはアイドル研究部の部室。私が今最もきたくない場所。
「ま、真姫ちゃ…ん。その…」
私なんかが来ていいところではない。
なんで真姫ちゃんはこんなところに私を連れてきたのだろう?
私…私は、みんなにひどいことしたのに。今までだって、自分の意見を押し付けて練習とかも仕切ったり…
私はμ'sのメンバーなんかじゃなかったのに…
涙が出そうでどうしようもなくなる。
でも、今ここで泣いたら、真姫ちゃんに嫌われちゃう。
そんなの…嫌だよ…
そう思いぐっとこらえる。
「大丈夫だから」
私の右手が真姫ちゃんの両手に優しく包み込まれる。
これだけでも安心できちゃうんだから、真姫ちゃんはすごい。
「私がついてるわ」
いつも、私の欲しい時にその欲しい言葉をくれる。
真姫ちゃんがここに私を連れてきたってことは何か意味があるということだ。
私は真姫ちゃんを信じる。
だから…頑張らないと!
「真姫ちゃん、ずっと手…つないでてくれますか…?」
その言葉に応えるかのように真姫ちゃんは強く手を握ってくれた。
大丈夫。真姫ちゃんもついてる。
大丈夫、大丈夫。
そう自分に言い聞かせるように深く息を吸う。
「じゃあ、行くわよ」
「うん」
真姫ちゃんが部室のドアを開けて中に入る。
そのあとに続いて私も…
真姫ちゃんの後ろから覗くように前を見る。
そこには、穂乃果を除いたμ'sのメンバーがそれぞれ自分の席に座っていた。
みんなの顔をしっかり見ようと真姫ちゃんの横までいく。全員の姿がしっかりと目に入った瞬間、穂乃果に言われた言葉がフラッシュバックする。
視界がどんどん暗くなって、最終的には真っ黒で何も見えなくなる。
私は、必要ない人間なの?
そもそも私は…何者なんだろう?
私は、みんなのじゃま。いらない、の…?
ぐるぐると回るそんな疑問。
考えたくもないのに、意識が勝手にそっちへ持っていかれる。
ーーーミンナノジャマナワタシハイラナイニンゲン。
そんな言葉が私の知らない誰かの声で脳内に響き渡り、だんだん呼吸ができなくなってくる。まるで見えない誰かに首を絞められているようだ。
嫌な汗が背中を伝い、体はフラフラで立っていられなくなってきた。
「みはね!」
真姫ちゃんがつないでいる私の右手を引っ張って抱き寄せた。
私の鼻孔をくすぐる真姫ちゃんの匂い。
「そのまま深呼吸。大丈夫、私がいるわ。私にはあなたが必要なのよ」
そう言ってとんとんと、優しく背中を叩かれれば視界が明るくなって、さっきまでこらえられていたはずの涙がぽろぽろと溢れ出してしまう。
落ち着く匂いを肺いっぱいに溜め込んで真姫ちゃんにこれでもかってくらい抱きつけば、もう安心しきってしまって涙の止めかたなんて忘れてしまう。
真姫ちゃんはそれに気づいてか、私の頭を優しくなで始めた。
「真姫。その…説明してくれるかしら?」
絵里ちゃんの声が聞こえた。だけど今はまだこのままでいたい。
閲覧ありがとございました!
真面目になりきれませんでした。はい。
ありふれた悲しみーありふれた痛みとー
って、テスト勉強しながら聴いてます。