歌の女神たちの天使 〜天使じゃなくてマネージャーだけど!?〜   作:YURYI*

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30.泣き虫

 

 

 

 

 

〜絵里〜

 

 

今私の目の前には、真姫に抱きつくみはねとみはねを抱きしめる真姫の姿。

みはねは泣いているのか肩を震わせている。

真姫はそんなみはねの髪をやさしく、今まで見たことないようなやさしい顔でなでている。

 

それにみはねの取り乱しようが気になってしょうがない。さっきのみはねの見ているこっちまで泣きたくなってくるような表情にはどういう意味があるのだろう。

抱きしめた後、真姫はみはねに何を言っていたの?

 

「真姫。その…説明してくれるかしら?」

 

その言葉にみはねはまったく反応しない。

胸がズキズキと痛むのはきっと気のせい。

そう思うことにした。

 

 

「えぇ。もちろんよ」

 

みはねを抱きしめたまま、真姫は顔だけこちらに向けた。

真姫は昨日私たちと別れてからのことを順を追って話してくれた。

昨日、みはねが一人で泣いていたこと。

そのみはねには38度の熱があって、真姫の家に泊めたこと。

 

ーーーみはねは自分がみんなの邪魔で必要のない人間だと、嫌われてしまったと思っていること。

 

 

「…ということなのよ」

 

真姫もかなり困ったように眉を下げている。

 

「誰が!いつ!あんたのこと邪魔だって言ったのよ!」

 

にこは相当頭にきているのか、いつもより声が低い。

怒っている理由はおそらくそんなことを言っているみはねにではなく、そんなこと言わせてしまった自分たちに対しての怒りだろう。

なんでわかるのかって?

そんなの、私だって同じ理由で頭にきているからに決まってるわ。

 

「そうだよ。ことり、みいちゃんのこと好きじゃなくなったことなんて一度もない…!」

 

「そうですよ。だからみはね、顔をあげてください」

 

「みはねちゃん…」

 

「凛は邪魔だって迷惑だって思ったことないよ…?」

 

ちゃんと話がしたい。

この気持ちをみはねに伝えたい。

みんなが、そう思っているはず。

 

 

「その、みはねが大丈夫なら、ひとりひとりみはねとちゃんと話さない?」

 

あの告白の時のように、ちゃんとみはねとぶつかりたい。

みはね…お願いよ…

 

「みはね。って言ってるけど、大丈夫?」

 

真姫は優しくみはねに問いかける。

 

「だ、いじょぶ。…っだいじょぶ」

 

やっと顔を上げてくれた。

って…これはやばい。

周りを見ると案の定みんな顔を背けている。

なんでかって?よく考えてちょうだい?

みはねは、さっきまで泣いてたせいか目が潤んでいるのよ。

しかも、真姫の制服を両手でぎゅっとつかんでいて…

そう。なんか小動物みたい。

こう…守ってあげたくなる感じ?

こんな時にこんなこと思うのとっても不謹慎だって思うけど、かわいすぎるわ。

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

 

μ'sのひとりひとりとお話をすることになった。

本当はものすごく怖い。

でも、絵里ちゃんの真剣な声を聞いて私も応えなきゃって思った。

 

今は部室でひとり。

誰からだろう…?

 

 

ガチャ

 

「みはねちゃ〜ん!凛からだよ〜!」

 

凛はいつも通りの笑顔で部室に入ってくる。それに少しだけ驚く。

 

「そ、そっか」

 

「うん!…みはねちゃんは凛のこと嫌い?」

 

「そ、そんなわけない!」

 

そんなこと、絶対にあるわけない。

 

「よかったにゃ。凛ね、みはねちゃんのこと大好きだよ。だから…」

 

凛は私の手を握り、真正面から見つめてくる。

 

「だから、凛がみなみちゃんのこと嫌ってるとか思って欲しくないよ」

 

そのままほっぺにキスをされた。

顔が熱くなるのがわかる。

凛を見ると顔を赤くしている。

 

「凛。ありがとう。私も凛のこと大好き!」

 

お返しに凛のほっぺにキスをする。

凛はしゃがみこんでしまった。

え、どうしたんだろう?

 

「ずるいにゃ〜」

 

いきなり立ち上がったかと思うと、抱きしめられた。

 

「よし!凛の番は終わり!次の人呼んでくるから待っててにゃ〜」

 

「う、うん!」

 

 

*

 

 

「み、みはねちゃん。次は花陽だよ」

 

次は花陽か。

なんとなくそんな気はしてたけどね。

 

「その、隣いいかな?」

 

「あ、うん。どうぞ」

 

「ありがとう」

 

花陽は椅子に座ると深呼吸をひとつ。

何かを決心したかのように話し始めた。

 

「私がね、今こうしてμ'sをスクールアイドルをやっているのは、みはねちゃんのおかげなんだ」

 

「え、私…何もしてないよ?」

 

「みはねちゃんはもう忘れちゃったかな…?私に、一緒にスクールアイドルやりたいって言ってくれたんだよ」

 

うーん。あ、そんなこと言った記憶ある。

あの時は、何をどう考えても花陽はμ'sに入るべきだって、この子と一緒にスクールアイドルをやりたいって思っていたから。

 

「覚えてるよ。だって、本当に花陽とやりたかったんだもん」

 

「あ、ありがとうっ!その…私もね、みはねちゃんと一緒に頑張りたいんだ。一緒にいたい。その…大好きだから」

 

「こ、こちらこそありがとう。そんな風に思ってくれて。うん。私も花陽と一緒に頑張りたい」

 

そう言って花陽に抱きつく。

そんな私を花陽は優しく受け止めてくれる。

 

「みはねちゃん。これからもよろしくお願いします」

 

 

 

 

*

 

 

 

「次はにこ…せ」

 

「先輩とかつけたら殴るわよ。あと、敬語使っても殴るから」

 

な、殴るの?アイドルがそんなこと言っていいのかな…

それにとてもじゃないが今のにこはアイドルにはふさわしくない表情をしている。

 

「ご、ごめんなさい」

 

「はぁ…。あんた、にこのことばかにしてる?」

 

「し、してないけど…」

 

「あっそ。じゃあ、にこの気持ち勝手に決めつけないでくれる?誰があんたのこと嫌いなんか言ったのよ。嫌いなら付き合ってなんか言わないし。邪魔だったら、必要なかったらアイドル研究部に入れてないっての」

 

にこは、一息で言い切ると私の肩に手を置いた。

そしてそのままの顔が近づいてきて…にこと私の唇が重なり合う。

ーーーやわらかい。

 

「にこのはじめてあげたんだから、感謝しなさい」

 

ちゅっとリップ音を鳴らしてからぺろりと舐められる。

 

「な、なめ!?」

 

「うっさい。今ので伝わった?これで伝わってないとか言ったら怒るわよ。あんたのこと、好きだから」

 

次からはちゃんと自分で部活きなさいよ。と言ってそのまま出て行ってしまった。

 

「ずるいよ。かっこよすぎでしょ」

 

まだ心臓のドキドキがおさまらない。

にこはたまに年上らしくなるからいくつ心臓があっても足りないよ。

 

 

 

*

 

 

 

 

 

「みはね。その…顔真っ赤ですよ?」

 

海未ちゃんは私を見るなり今触れてほしくないことを普通に口にする。

もう、にこのせいで顔が熱い!

 

「き、気にしないで」

 

「ふふっかわいいですね。みはねは」

 

柔らかい表情で見つめられる。

おさまりかけていた心臓がまたも速く脈打ち始める。

 

「私は…みはねと付き合えて幸せです。みはねが私のことを海未ちゃんと呼んでくれるのも。学校内で会ったときに笑顔で手を振ってくれるのも。…そばにいてくれるだけで嬉しいですし、幸せです」

 

な、は、恥ずかしい。さすがμ'sの曲の作詞をしているだけある。その素直な言葉に心打たれてしまう。

 

「わ、たしも…海未ちゃんと一緒にいると幸せな気持ちになるよ」

 

「ありがとうございます。その…もし、わからなくなったら、どうしようもなく不安になったら言葉で伝えてください。私はずっとみはねの味方でいると約束します」

 

そう言って私の右手を両手でぎゅっと握ってくる。

 

「大好きですよ」

 

「ありがとう海未ちゃん。頼りにしてる」

 

「はい!」

 

本当に嬉しそうに笑う海未ちゃんを見て、私もたまらなく嬉しくなる。

 

 

 

 

*

 

 

 

さっきの海未ちゃんとは一変、明るく希は部室に入ってくる。

それも希なりの気遣いなのだろう。

 

「やっほーみはね♪」

 

「希…」

 

「ウチな、思うんよ。みはねがいなかったら今こうしてμ'sは存在してないかもって」

 

希はにこにこしながらそんなことをいう。

でも、突然真面目な顔になった。

 

「μ'sのみんなはみはねのこと大好きよ。ウチも…ね」

 

「希…うん。ありがとう」

 

「ウチが誰かのこと呼び捨てで呼ぶことってなかなかないんよ。もしかしたら、みはねが初めてかもなぁ」

 

ふわっと私を抱き寄せると、耳元に口をよせる。

 

「だから自信持ってくれると嬉しい。ウチの1番はいつでもみはねやからな」

 

よしよしと頭をなでられる。

希の1番。こんな私が誰かの1番になれるなんて…

 

「そんなの、嬉しすぎるよ。希大好き」

 

「うん。ウチもみはね大好き」

 

そのままちょっとの間、希に甘えさせてもらった。

 

 

*

 

 

 

次に入ってきたのはことりちゃんだった。

 

 

「みいちゃん。大丈夫?」

 

ことりちゃん。最初の言葉が大丈夫って、優しすぎだよ…

 

「大丈夫だよ」

 

「そっか」

 

そのままゆるゆると頭を撫でられる。

 

「ことりはね、みんなみたいに言葉で伝えるのって、実はそんなに得意じゃなくて…」

 

知ってる。

言葉で伝えられないけど、すぐ表情に出ちゃうことも。

だからこそ、ことりちゃんがちゃんと言えるようになにも言わずにおとなしく頭を差し出す。

 

「ふふっみいちゃんかわいい」

 

「なっ!?」

 

なんで。なんで、そういう言葉はすぐに出てくるんだろう…

 

「みいちゃんは、ことりのこと好き?」

 

だから、何でそんなようなことは普通に聞けるんだろうね。

 

「むしろ、ことりちゃんは私のこと好き?」

 

「ふえ!?こ、ことり?」

 

いきなりのことでびっくりしたのか顔が真っ赤になっている。かわいい。

 

「「好き」」

 

2人の言葉がかぶった。お互いびっくりして目を丸くして見つめ合う。

 

「ぷっあはは!」

 

「あ、ことりちゃん。笑ったなぁ〜」

 

笑われたことにちょっと拗ねてみる。

なんか恥ずかしいし、ひどいよ。

 

「みいちゃん好き。ずっと、ずっとことりのこと見ていてほしいの」

 

小さくそう呟かれる。

でも、ちゃんと聞こえた。

ことりちゃんの本当の気持ち。

ずっと見ていてほしい、か。

 

「ん、ちゃんと見てるから。誰よりもそばで。だから、ことりちゃんも私のこと見ててくれる?」

 

「うん!ずっとね!」

 

「私…がんばるからね」

 

なにをがんばるのだろう?自分でもよくわからなかった。

でも…いや、今はまだ考えるのはやめておこうかな。

 

 

*

 

 

凛、花陽、にこ、海未ちゃん、希、ことりちゃんと続き、真姫ちゃんをのぞくと残りのメンバーはひとりだけ。

 

「みはね…」

 

「絵里…ちゃん…」

 

もしかしたら、今回彼女を1番傷つけてしまったかもしれない…

あの時。私が絵里ちゃんを拒否してしまった時、すごく悲しい顔をさせてしまった。

 

「みはね。今回のこと、謝りたいの」

 

私のそばに駆け寄ってくるなり本当に申し訳なさそうな顔でそんなことを言ってくる。

謝る?謝らなきゃいけないのは私のほうだよ。

 

「ごめんなさい」

 

深く頭を下げるその様子を見て動悸が激しくなってくる。

違うのに。

なんで、なんで…?

絵里ちゃんはなにも悪くないよ。

悪いのは私。私が嫌われるようなことをした。私が全部悪いの。

 

「…や……」

 

「どうしたの?」

 

「いや………やだ!あやまらないで!」

 

どうしてこんなに悲しいのだろう。

なんで、こう感情がうまくコントロールできないのだろう。

涙が溢れ出して止まらない。

 

「みはね落ち着いて。大丈夫よ。私はここにいるわ」

 

優しく抱き寄せられて、背中を心地よいリズムで叩かれる。

 

「やだぁ。わたし…っこと…きらいになっちゃやぁ…」

 

「大丈夫。大丈夫だから。大好きよ、みはねのこと」

 

絵里ちゃんは小さい子のように泣きじゃくっている私を強く抱きしめる。

それに甘えるようにぎゅうぎゅうと絵里ちゃんにしがみつく。

大好きな絵里ちゃんの匂いに、絵里ちゃんにつつまれる。

 

「えりちゃん、すき。きらいにならないで。いなくならないで。どこにもいっちゃやだ。ずっとそばにいて。ひっ…く、ごめんなさいぃ…このまえはやなたいどとってごめんっなさい…」

 

伝えたい言葉がかするりと口から溢れでる。一度始まるともう止まらない。

ふふっと軽く笑って絵里ちゃんは耳元で答える。

 

「この前は確かに傷ついたけど、みはねのこときらいになんかなるわけないでしょ?こんなに好きなのに」

 

一度止まった涙が、まだ残っていたかのようにぽろぽろと涙がこぼれる。こんなに想われているのになにを不安になっていたのだろう。

なんてばかなこと考えていたのだろう。

 

「絵里ちゃん大好き。もう少しこのままでいたい」

 

「もちろんよ。私も叶うことならずっとこうしていたいもの。あ、そうだ…これからは絵里って呼び捨てで呼んでちょうだい?」

 

「ん…なんで?」

 

「だって、好きな人にはそう呼んでもらいたいじゃない。ね?いいでしょ?」

 

耳元でそんなに甘く言われたら断れるわけがない。いや、絵里ちゃんにお願いされてしまった時点で断るのは難しいんだけど…

 

「ね、はやく」

 

浅く呼吸を繰り返す。

そして覚悟を決めて口を開く。

 

「え…り…」

 

そう言った瞬間、絵里の頬がこれまでにないくらいに緩くなる。

 

「もういっかい」

 

「…絵里っ」

 

「みはね」

 

「絵里」

 

お互いの名前を呼び合う。

恥ずかしいけどなんだか嬉しい。

 

「みはね好き」

 

「ん、絵里…好き…」

 

それからどちらからともなく唇を重ねた。

 

そのあと、入ってきたメンバーたちになにがあったのかと問いただされたのは言うまでもない。

 

 

 

 

「他の人の邪魔はしない約束だったじゃない…」

 

「絵里はいつまでもみはねにくっついていそうだから例外よ。このポンコツロシアが!」

 

「う、うぅ…せっかく久しぶりのイチャイチャだったのに」

 

「うっさいわね!いつまでもうじうじしてんじゃないわよ!」

 

 

言い合いをする二人を見てなんだか笑いがこみ上げてくる。

 

「ふふっあはは!ふ、ふたりとも…」

 

「「なに(かしら)?」」

 

ふたり同時に振り向いて見事に返事もハモる。

これは、もう…

 

「ほんとに仲良いね」

 

そう言うとみんなも笑い出す。

そっか、みんながいるから楽しいんだ。みんなと一緒なのがこんなにも嬉しいんだ。

この場に穂乃果がいないのがとてもさみしい。

 

「みんな、大好き」

 

今私はうまく笑えているだろうか。なんだか少し歪んでしまっている気がしてならない。

 

そんな私を絵里とにこが抱きしめてくる。

 

「私もよ。大丈夫だから」

 

「ほんとにばかね。まったく」

 

 

絵里の抱きしめる腕が、にこのそう呟く声がとてもあたたかくて涙が出そうになる。

 

希も、海未ちゃんも、ことりちゃんも、凛も、花陽も、真姫ちゃんもみんなが私のほうに寄ってくる。みんなに抱きしめられた結果、やっぱり少しだけ泣いてしまった。

 

 

 

 

ーーーありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ありがとうございましたー

なんか途中で疲れてきちゃったあげく、どうやって終わらせようか悩んでいたら中途半端になってしまいました…
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