歌の女神たちの天使 〜天使じゃなくてマネージャーだけど!?〜 作:YURYI*
今日の放課後はひとりぼっち。
特にやることもないので自分の教室の自分の席で運動部の活動を見ることにする。
べ、別にみんながいなくて寂しくなんか…ううん。寂しいに決まってる。
せっかくみんなと仲直り?あぁ、喧嘩とかしてたわけじゃないし…なんだろ。前みたいに接することができるようになれたのに、か。
まぁ、みんなは穂乃果の…いや、高坂先輩のお見舞いに行ってるから仕方がないのだが。
行かないでとも言えないし、私なんかが一緒に行くのも…ね…
だから今日はぼっちでお留守番なのです!
今回は高坂先輩のお家にお見舞いもかねてラブライブのことを報告しに行くらしい。
それによってμ'sがどう変わっていくのか、これからの活動をどうしていくのかとても重要な日になりそうだ。
しかしながら、今の私にできることはこうして教室で大丈夫かな?どうなってるかな?って心配することくらい。
「はぁ…ひまぁ…」
ついに堪え切れなくなって、ぐでーっと机に突っ伏する。
やることもない!かといって寝れるわけでもない!
まぁ、寝るなら自分の部屋に行かなければならないし。
うぅ…しかも今日は学校で寝ることになるんだよね。
今日はあのお世辞でも柔らかいとは言えないソファで寝ることになるのか。いや、まぁ、机で寝るとかよりはましだが。
なんだかもう悲しい人間になってきたな、私。
なんて意味のないことを考えながら、自分の腕を枕にしてから外に目を移す。
今日もいい天気だなぁ。あ、あの鳥達仲良しだなぁ…ぴったりと寄り添って飛んでいる。
ああいう関係に私たちもなりたいな。
「ひまなら私とお話しでもする?」
「うん…ってうわぁ!?」
突然の言葉にその声が聞こえた方を向けば、今ここにいるはずのない人の姿。
え、え、絵里!?今普通に返事しちゃったよ。びっくりした。
「なぁに?そのお化けでも見たみたいな反応」
くすりと笑って頭をなでるその仕草は妙に大人っぽくてどきりと心臓が跳ねる。
いろんな意味でびっくりした…
でも、なんで…?
「なんでいるのって顔してる。ふふっなんだかみはねがいないのさみしくて様子見に来ちゃった」
今は17時半くらい。
高坂先輩のお見舞いに行ってからわざわざ来てくれたんだ。
でも、わざわざ戻ってきてもらっちゃって申し訳ない気持ちにもなる。
でも、本当に嬉しい…!
「って、さっきからなにも言ってくれないけど表情はころころ変わってるわよ?」
「あ、はは…ごめんなさい」
「謝ることではないけどね」
「うん。嬉しかったから…さ」
随分と素直なその言葉に目を丸くする絵里。
すると突然両手で覆って顔を隠したかと思ったら、ずるいじゃないと一言。
「ずるいのは絵里のほうだよ。ほんと、好きが止まんなくなる」
もう好きだ。どうしようもないくらい好きになっちゃったみたい。
絵里ちゃんを見れば嬉しそうに、かつ困ったような顔をしていた。
「もっと好きになって欲しいって思ってる私はわがままね」
「っ…わがままなんかじゃないよ。私だって、おもってる、もん」
嬉しい、好きだ。心からそう思う。
目が合えばふたりで笑いあう。そんな幸せな時間。しかし、しばらくすると、絵里は何かを決心したかのように深く息を吸って真面目な顔になった。
「あのね…」
「うん?どうしたの?」
たぶん、高坂先輩のことだろう。
そう思いながらも絵里の言葉を黙って待つ。
「穂乃果…にね、伝えたの。ラブライブに出場しないこと…」
「うん」
「辛そうだったわ。みんな」
「そっか」
「えぇ…」
絵里はそれだけ言うと目を伏せてしまう。きっと、絵里自身もかなり辛かったのだろう。彼女は先輩という立場でなかなかがんばっていると思う。
「よく頑張ったね。絵里、お疲れ様」
涙を必死にこらえている絵里の頭をなでる。
しばらくすると、絵里は我慢できなくなったのか抱きついてきた。
私の肩に目元を押しつけて震えている。それでもなお、私の前で涙は見せまいと堪えているのがよくわかる。
なんだかそれが嫌で、こういう時にこんな立場を利用するような形になってしまうのは自分でも少しずるいと思うが、絵里は私の彼女だ。
彼女には、大切な人には我慢なんかしてほしくない。
泣いてほしいとは思わないが、泣くのなら私の前だけにしてほしい。
「私の前では我慢しなくていいんだよ」
「ふ、うわぁ…んっ…ひっく…」
絵里がこんなになってまで頑張っているのに、私なんかはなにもしてあげられなくて。
むしろ、こんな変な独占欲かわからないがわざわざ泣かせてしまって…
ほんとに…そんな自分が嫌い。大嫌いだ。
***
あれから数日、高坂先輩は体調も足もよくなってもう学校に来ているみたいだった。
まだ、ラブライブのことを引きずっているみたいだけど、それは周りのみんながなんとかフォローしている。
少し心配ではあるけど、私のできることはただ見守ることだけ。
私なんかにどうこう言う資格はない。
ちゃんとわかっているつもりだけど…やっぱり寂しいな…
朝のいつもの時間。何気なくいつもはほとんど触らない携帯をいじっていたら、突然画面が光って振動し始めた。
「ん?ことりちゃんからだ」
あまり使わないがだいぶ慣れてきたその操作を行い内容を確認する。
《今日の放課後、お話ししたいことがあるので○○公園に来てくれると嬉しいです》
お話し…か。
わかったと一言返事を入れて携帯をしまった。
*
公園につくとことりちゃんではなく海未ちゃんがいた。
そのことに最初は驚いたが、海未ちゃんに近づくにつれ冷静になっていく。
あぁ、海未ちゃんもいるということは、やっぱりそういうことなのだろうか?
「みはねも呼ばれてたんですね」
「海未ちゃん」
海未ちゃんの少し悲しげな表情を見て予想が確信に変わる。
「なんとなく予想はしていましたけどね」
「そうだね。私たちが呼ばれたってことはそういうことだよね…」
気まずさのあまりふたりとも黙りこくってしまう。
あたりには誰もいなくて静かで重い空気が私たちを包む。
「ま、まぁ、ほら!私たちが暗い顔してちゃダメだと思うんだ。海未
ちゃんもいつもみたいに素敵な笑顔で笑っててよ」
「なっ!?みはねはそうやって恥ずかしげもなく…っ」
今度は顔を赤くさせて黙ってしまう海未ちゃん。
え、なんで?
「ふたりともっ…待たせちゃってごめんね…ってみいちゃん!海未ちゃんに何したんですか〜!」
「えぇ!?何もしてないよ!」
なんで私が怒られるんだろう…
やっぱり、予想していた通り留学の話だった。
ことりちゃんは行くことを決めたけど、高坂先輩のことを気にしているみたいだった。
海未ちゃんはことりちゃんに寄り添って話を聞いてあげている。
私はそんなふたりを見ていることしかできない。
幼なじみだし…私なんかには入ることできないよ…
頭ではわかっているつもりだが、やるせない気持ちでいっぱいになる。
話が終わった後、ふたりを家まで送ってから学校まで戻った。
ことりちゃんに泊まって行ってと言われたけど、断った。
今はどんなに寂しくてもひとりでいたかった。
それはきっと、最近自分にできることがなさすぎているせいだろう。
自分の無能さは自分が1番分かっているつもりだよ…っ!
机を思いきり叩くが、ただ手が痛くなっただけだった。
閲覧ありがとうございます!
一緒にお見舞いに行ってないあたり、みはねも相当引きずっているんでしょうねぇ…
これからどうなるんでしょう。