歌の女神たちの天使 〜天使じゃなくてマネージャーだけど!?〜 作:YURYI*
〜希〜
みはねを傷つけちゃうなんて、ウチ最低や。
それとともにこんなに好きなのに伝わってないのかな?ってちょっと残念だったり…
ウチがみはねにキスされて嫌なわけないやんか。
「みはねお待たせ」
「希…さっきはごめんなさい」
ウチを見るなり頭をさげるみはね。
その表情は見えないけれど、ブレザーの裾を握っている手は震えていた。
「ちょ、ウチこそごめんな!嫌だったわけやないんよ!…むしろうれしかったから」
「の、希…!」
普段なら抱きついてきそうなものを、今日は安心した笑顔で手を握るだけだ。やっぱりさっきのこと気にしてるんかなぁ?
「抱きつかんくていいの?」
今の言い方はちょっと意地悪だったかも。
本当はウチが抱きつきたいのに。
「いいの?また我慢できなくなっちゃうかもだし」
「我慢しなくて、いいんよ」
「…っ。ばか。もう知らないんだからね!」
「はやく、みはねとぎゅってしたい」
両手を広げるとみはねはそこにすっぽりと収まった。
あったかいしいい匂いする。
「あのね、私は裏方やるから」
「うん。ウチのせいでごめんな」
「希が照れ屋さんなのはずーっと前から知ってるし」
みはねは笑って許してくれる。だれにでも優しいのは知ってるけど、手を繋いでる手から伝わる鼓動の早さがウチのこと好きって言ってくれてるみたいでうれしい。
えりちに悪いことしちゃったな。
***
希と無事仲直りできて、今日は本番前日。
劇は放課後に見学は自由参加で行われるため、どれだけたくさんの人に来てもらうかが大事だ。
そのため今日はこれから宣伝に校内を回ることになった。
「ぅえ!?私がこれ着るの!?」
「そのためにことり頑張ったんだもん。ことりが作ったの着るの、いや?」
ロミオの役をやらないのはすぐに伝えたのに作っていたらしい。
そんな、断れるわけないじゃんかぁ…
なんで、私は劇でないのに。
しかもロミオ。
絵里の隣並びたくないし。
「あらみはね。早く着替えてきなさいよ」
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべて絵里がそんなこと言ってくる。
「うるさいロミオ。言われなくても着替えるし」
「ほら、えりちもあんましからからかわんの。ほんまみはねの事大好きなんやから」
「みはねが反抗期に!?」
「着替えてくるね」
ことりが作ってくれた衣装を手に別室へ行く。見た目のわりにはとても着やすく作られていた。やっぱりことりはすごい。
…なにこれ恥ずかしい。
鏡に映った自分を見て呆れてしまう。
「みいちゃん髪やってあげるね〜」
もうこれはなにも反論できないし、ことりに髪をいじられながら大人しくしてることにしよう。
手際いいなぁ。いつもμ'sのライブの時はにこがやってるイメージが強かったけど、やっぱりことりも女の子なだけあるね。
「わぁ、みいちゃん似合う♡一緒に写真撮ろ!」
カシャ
いや、早すぎでしょ。カメラ見て笑顔を作るひまもなかった。
もう一度鏡の自分をよく見てみる。
ロミオっていうより王子様じゃないかってツッコミたくなるような白を基調とした衣装。
金髪碧眼の絵里ならまだしも平々凡々の私じゃな…
そしてなによりびっくりしたのは絵里の衣装とはまったく違うことだ。
髪型は肩くらいの髪を三つ編みのハーフアップにされてる。
「恥ずかしいなぁ…」
と、思っている間にことりにずるずると引きずられて絵里たちのところに連れて行かれる。これぞまさに連行…なんでもないです。
「さ、みいちゃんの登場だよ♪」
さっきまでは恥ずかしくてあれだったけど、ここまできたら楽しまないと損だよね!
教室に入ると背筋を伸ばして歩く。ちょっとでもロミオいや、かっこいい王子様に近づけられてればいいんだけどね。
はぁ…演劇部のみんなはなぜか写真を撮っているし。やっぱり衣装がすごいから目立つよね。
希の前まで来て微笑む。希も微笑み返してくれた。
「ジュリエット、お迎えにあがりました」
ひざまづいて手を取る。
「ロミオ!会いたかったわ」
そのまま数秒間見つめ合う。
なんだか面白くなって二人同時に吹き出してしまった。
「さすが希。すっごいかわいい」
「みはねこそめっちゃかっこええ!」
「ちょっと、私のこと放置しないでよ!」
突然絵里が私と希の間に飛び込んでくる。
拗ねちゃったかな?
「私もジュリエットがいいわ!」
「いや、絵里はかっこいいからそのままでお願いします。さ、希。宣伝に行こう」
「うん。ちゃんとエスコートしてな?」
「任せといて」
なんて元気に校内を回っていたはいいけれど。
なにこれ。
「みはねちゃーん♡本物の王子様みたい!」
「こっち向いて!!!」
「写真撮りたい!」
「きゃー!王子ー♡」
さっきからこんな感じで囲まれている。
少しでも手を離したら希とはぐれてしまいそうだ。
それだけは避けたいので壁のほうまで希を押しやる。そのまま壁に後ろ手をついて自分はみんなとの壁になった。
「ごめんねみんな。ジュリエットがやきもち妬いちゃうからさ。写真は明日の劇の後に撮るから…ね?」
今私は王子様。王子様だからお姫様は守らなきゃ。
うん。イエス、王子。
てか、私が王子とか無理があると思います。
とまあこんな感じで宣伝をし終わった後には私も希もクタクタになってしまっていた。
「みはねモテモテやん」
絵里のところに戻るため、今は誰もいない静かな廊下を二人で手を繋いで歩いていた。その時に、小さく呟かれた希の言葉を私が聞き漏らすわけがなかった。
「そ、そんなことないよ!?それより、希かわいいから誰にも見せたくなかった」
実際希はその性格からか一、二年から絶大の人気を得ている。きっと年上にも人気なんだろうな…
絵里と希みたいな先輩がいたらそりゃあ目がいっちゃうのはわかるけどさ。
でも私はそれが少し面白くなかったりする。
私の彼女なのに…って。
「もう、そんなんずるいやん!ばか」
「ん。ごめんね。やきもち妬いてるの私のほう…っ…んぅ!?」
いきなり希に手を引っ張られたと思ったら触れ合う唇。希にキスされたことに私が気づくまで、少しだけ時間がかかった。
「ウチだってやきもち妬いてるもん。みはねはウチのものや」
普段の希なら学校内でキスとか絶対ありえないのに。ずるいのは希だよ。
「ね。もっかいキスしよ?」
キスしたくてしょうがないって言ったらちょっとあれだけど…
今すぐ目の前にいる希が私の彼女だって、私のだって感じたい。
真っ赤になってだめって小さくつぶやく希。
でも、見つめてくる瞳は熱がこもりすぎているのか涙目になっていて、あぁ、希もキスしたいの我慢してるのかな?とか思ってしまう。でも、前回のことがあるから無理になんてすることできないけど。
「そっか。ごめんね」
抱きしめていた希を解放する。そろそろ着替えたいし。
すると希ははっとなって私の両腕の袖を握った。
「ちょっと、着替えに行けないんだけど…」
「いや。もっかいぎゅってしてや」
本当に困る。こういうことされちゃうから我慢できなくなっちゃうんだよ。
でも、我慢。希は私が必死になってるのわからないんだろうなぁ…
「ほら、離れてくれないと困っちゃうよ」
そう言って顔を逸らそうとした瞬間、強い力に引っ張られて私の体は希に近づく。
「んっ。んんぅ…好きなん…みはね、ん、ちゅう」
「ん、んっぷはっ。ちょ、希!?」
「みはねがキスしたいっていうたんやもん」
そ、そうだけど…
あんなの。
「ばか。大好き。ほら、一緒に戻ろう」
「ウチも大好きや」
もう一回触れ合うだけのキスをして二人仲良く戻った。
ありがとうございました。
寝不足が寝不足で寝不足です。笑