歌の女神たちの天使 〜天使じゃなくてマネージャーだけど!?〜   作:YURYI*

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44.ロミオとジュリエットにはキスシーンがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまより、生徒会の劇が始まりまーす!ぜひご覧ください!」

 

今日はついに本番。あれだけ頑張ったんだから大丈夫だって信じてる。

それと…

 

「ことり。例の件、よろしくね」

 

「うん!」

 

例の件ってなんだって?それは後でのお楽しみってことで!

 

 

私は裏方といっても実際やることはない。暇なので舞台袖から絵里と希の劇を見る。

ちょ、二人とも近すぎ!むぅ…なんか複雑な気分なんですけど…

希はやっぱり照れてるみたいだけど、絵里は慣れているのか難なくこなしている。

なにそれ、私以外の人とそんなに接近して。

ってだめだな私。どんだけ嫉妬深いっていうか独占欲強いんだろ。

 

「みいちゃん。怖い顔してるよ?」

 

「あ、ごめんね」

 

「ううん。どうしたの?」

 

「嫉妬」

 

どうせごまかしも効かないだろうし素直に答える。

自分で言っていてなんだか面白くなってしまう。ことりも笑っているが、それは私につられてだろう。

 

「あの二人のこと大好きだよね。みいちゃんは。ことり妬けちゃうなぁ?」

 

「ことりはほんと優しいね」

 

いつも私のことだけを見てくれる。私の喜ぶ言葉をくれるし。私はフラフラ誰かひとりなんて決められなくて、中途半端なことしてるのに。

こんなに優しくされちゃうから甘え癖が治らないんだよ…もう…

 

「みいちゃん。キスして?」

 

「…いいの?」

 

ことりが目をつぶったのを合図に顔を近づけていく。大体の時は目を瞑るが、今回はうっすらと目を開けたままことりのことを見ていた。

触れた瞬間ことりの顔が少し緩んだ。

その反応が嬉しくて、かわいくて、腰を抱いて体をより密着させる。好き。好きなんだよやっぱり。絵里のことも希のこともことりのことも。μ'sのみんなのことも。

 

「無理して一人に決めなくてもいいんだよ。私たちはずっと待ってるから」

 

その代わりみんな平等にね。なんて言って優しく笑うからもう一度強く抱きしめた。

 

そうこうしてるうちに舞台ではもう終盤を迎えていた。二人のキスシーン。顔がどんどん近づいていくたびに私の胸はチリチリと痛む。触れる寸前で止まった。当然のことなのにそれだけでほっとしてしまう私はやっぱりどうかしている。

そのままじっと二人を見ていると絵里と目があった。

 

「…っ」

 

会場がざわつき始める。

絵里が、希に………キスをしたからだ。

会場のみんなが言うように本当にキスをしているように見える、じゃない。本当にキスをしたのだ。

そのあとも演技が続き、無事終了し幕が降りる。

 

「みいちゃん。準備して」

 

「あ、うん」

 

ことりは絵里に駆け寄ると、ロミオの衣装からジュリエットの衣装に変えていく。

私はそれをぼんやり見ながら私もロミオの衣装に着替えた。

 

「ちょ、なにをするつもりなの!?」

 

絵里は突然のことに戸惑っているがそんなのおかまいなしに幕は上がっていく。

幕は完全に上がった。

私はつかつかと歩みを進めて絵里の隣まで行く。

 

「今日は生徒会の劇を見に来てくれてありがとうございました」

 

お辞儀を一つすると会場のみんなの歓声に包まれる。

 

「劇は終わってしまいましたが、少しだけお時間をいただいてもよろしいでしょうか?」

 

ざわついていたみんなはその言葉を聞くと笑顔でいいと答えてくれた。

 

「ありがとうございます」

 

一呼吸置いて絵里のほうを向く。絵里はまだ状況がつかめずにいた。

 

「絢瀬絵里生徒会長。私たち生徒会役員一同は今まで幾度となくあなたに助けられてきました。時に厳しく、時に優しく。毎日遅くまで学校に残り書類の処理をしている姿を何度も見てきました。そんなあなたを私たちは心から尊敬しています。今期生徒会長お疲れ様でした」

 

絵里に向かって礼をすると、舞台袖から生徒会のメンバーが出てきた。

希は花束を持っていて、絵里に笑顔でそれを渡す。

 

「えりちお疲れ様。大好きやで」

 

「ありがとう希。あなたも副会長お疲れ様。大好きよ」

 

二人が微笑み合う。会場のみんなはお似合いだと騒いでいる。そんなのわかってる、二人はお似合いだ。でも、でも…

 

「みんなもこんな私についてきてくれてありがとう!大好きよ!」

 

わー!っと会場が歓喜の声に包まれる。

それを聞きながら幕は降りていった。

 

そのあとは約束通りいろんな人たちと写真を撮ったり撮られたり。

だから、私は劇でてないんだってば。

そして楽しい時間はあっという間で終わってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくしてみんなの興奮も冷めてきて、もうそろそろ終わりになろうとしている時。みんなに丁寧な挨拶をしている絵里の手を引いて生徒会室まで来た。

無理やり中に押し込んで鍵をかける。

 

「どうしたのよ」

 

「べつに、どうもしてないよ」

 

「嘘。じゃないとこんなことしないもの」

 

さっきまで楽しかった。楽しかったことに変わりはないけど、やっぱり二人のキスが頭から離れなくて…

 

「…なんで、キスしたの」

 

思ったより低い声になってしまった。

自分で思っている以上に頭にきているようだ。

 

「なんだそのこと。あれは、劇をよりよくするためよ。あとで希にも怒られちゃったけど」

 

笑顔で答える絵里。

その答えに私はイラついて、笑っていることにムカついて絵里に詰め寄る。

腕を掴んで体を逆転させ、絵里の体をドアに押し付ける。

 

「そう。だからってキスしちゃうんだ」

 

私が睨みつけても絵里は動じず、むしろ睨み返してきた。

なんで、こんな顔してほしくないのに。違う。違うんだよ。私は…

 

「みはねだってことりと抱き合ってキスしてたじゃない」

 

「っ!?…そ、それは」

 

「いいんじゃないの?ことりはあなたの彼女だもの。キスして当然。たしかに私は希とキスをしたわ。でもそれは劇のためだし、なにも悪くないでしょ?」

 

見られてたんだ。ことりは彼女だし、付き合っているならキスをしても当然だと思う。でも、場をわきまえるべきだった。ことりも絵里も悪くない、私のせいだ。

 

なんだかもう何もかもダメだ。

 

私は、だれかと付き合ったりするべきではないのかも。いや、誰かに好きになってもらう資格なんてない、だね。

 

「私、最低だ…。もうみんなとこの関係を続けるのは…だめかもね」

 

思ったよりも冷静な自分がいる。やっぱり私はダメダメだなぁ。

 

 

「ご、ごめんなさい!違うの!そういうことじゃなくて」

 

なぜか絵里が焦り始める。なんで?そんな焦るようなことなんてなにもないのに。

 

「いや、こっちこそごめんなさい。やっぱり私じゃ誰も幸せにできないよ…ははっ」

 

「だから話を聞いて!」

 

「聞いてる。ほんとに最低だよ。二人の劇を見ててイライラしてことりにキスしちゃったし…。みんなにも謝らないと…んっ」

 

なぜかしゃべっている途中で絵里にキスをされる。突然のことに驚いて頭がついていかない。

 

「ごめんなさい。違うの、話を聞いて。嫉妬…してただけなの」

 

「嫉妬…?」

 

「そうなの。ごめんなさい。だから別れようだなんて思わないでっ」

 

しっと…嫉妬。それって…

 

「私と一緒」

 

そうつぶやくなりまたしても口を塞がれる。

何度もなんども角度を変えて。

 

「ん、ふっ…んむぅ…んっえ、り」

 

「んぅ、はっ…みはね…」

 

息もそろそろ苦しくなってきて肩をたたくとようやく解放される。

 

「絵里」

 

「いやよ。こんなにもあなたのこと好きなのよ。みはねが私のこと好きじゃなくなっても別れたくないの。私と一緒にいて…!」

 

熱のこもった瞳で見つめられる。こんなにも私のこと想ってくれているのに私は…

 

「嫌いになることなんてないよ。絵里のこと好きなのに」

 

「でも」

 

「でもじゃないの。さっき、ことりとキスしてたのは…絵里と希がお似合いだったから。たぶんイライラしてて、ことりは優しいから…その…」

 

なんだか泣きそうで少し鼻声になってしまった。

そんな私を絵里は優しく抱きしめてくれて。

やっぱり絵里の匂いが一番安心して。

 

「ごめんなさい。さっきはあんな態度とって」

 

「私こそ、ごめんなさい」

 

そう言って絵里の腰に手を回すと、もう一度しっかりと抱き直してくれた。

 

「落ち着いたみたいね」

 

何分か経ったらそう言って離れようとするからそれが嫌で。より力を込めて。

 

「もっとこうしていたい。絵里といると安心するの」

 

絵里の胸に顔を押し付ける。

 

「かわいすぎなの自覚してほしいわ」

 

ため息をつくと、また軽く触れるだけのキスをされて手を引かれる。

絵里は自分の席に座ると膝をポンポンと叩くので大人しく絵里の上に座る。すると後ろからぎゅっと抱きしめられた。

 

「絵里。絵里は私のものなの、いくら相手が希でも譲ってなんかあげない」

 

「あら奇遇ね。たとえμ'sのみんなとみはねが付き合っていたとしても、あなたはまぎれもなく私のものよ」

 

そう言ってさらに強く抱きしめ首筋に軽く歯を立てるから、ある感情がふつふつと胸の奥底から湧き上がってくる。

 

「ねぇ、そのまま痕つけて?」

 

「いいの?本当につけちゃうわよ?」

 

「うん。絵里のものって証がほしいの。その代わり私もつけるけど」

 

「ふふっ望むところよ」

 

そのまま絵里が後ろから私の首筋に吸いつく。たまにチクリと痛みが走るけど、それすらも嬉しくて。

絵里の上で体を反転させて向き合う。絵里は微笑んで私に首筋を見せる。

それだけで我慢できなくなって、今度は私が絵里の首筋に顔を埋める。

一個、二個、と丁寧に跡をつけていく。

まぁ、つけてるっちゃつけてるけど見えない位置につけてはいるから安心してほしい。

だってほら、仮にもアイドルだしね。

 

「幸せ。お互いに染まっていく感じ」

 

「ほんとね」

 

もう一回キスをしてしばらく抱き合う。

 

「さ。そろそろ部活行かないと」

 

「そうね…名残惜しいけど…」

 

10分間くらいくっついていたのだろうか。もうとっくに練習が始まってしまっている。

 

「またいつでもできるから。ね?」

 

「約束よ?」

 

「もちろん。さ、姫。お手をどうぞ」

 

そう言ってふざけながら絵里の手をとる。

 

「ふふっありがとう」

 

絵里はクスッと笑うと手を握り返してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って遅いよー!絵里ちゃんもみはねちゃんも!」

 

「遅刻するときは連絡してください」

 

屋上へ行くなり怒られた。

 

「これだからみはねはまったく…って」

 

ジロリ、とにこに睨まれる。

 

「ちょっとみはね?その首に見える赤い痕は何ニコ〜?」

 

「あ、うん。キスマークじゃない?」

 

堂々とそう答える私ににこは一瞬ひるむ。

その間に絵里にこっそりと絵里のは見えないところにしてあるのを伝えた。

 

「は、破廉恥です!」

 

え、この前海未にもつけたと思うんだけど…

 

「みいちゃん?さっきみんな平等にって言ったばっかりだよね?」

 

こ、ことり。こわいよその笑顔。

 

「ってことは、みんなみはねに突撃やー!」

 

ちょ、希ー!!!余計なこと言わないで!

一斉にみんなが突撃してくる。ちょ、やめ!くすぐったいから!きゃー!!!

みんなにもみくちゃにされてそれぞれにキスマークをつけられて…

 

「みはね。大丈夫?」

 

みんなが練習に戻ったあと、絵里が頭をなくでながら心配をしてくれる。

 

「うん…せっかく絵里につけてもらったのに、どれかわかんなくなっちゃった…」

 

「そうね。でもとっても嬉しそうよ」

 

「うん。私は幸せ者だね」

 

そのまま二人で笑い合ってると、今日一番の海未の雷をいただきました。しかもほとんど私。そりゃあ、絵里が怒られちゃうより全然いいけど…

でも絵里も一緒に怒られてくれて。

しかも怒られてる時もずっと手を握ってくれて…

ほんと絵里はかわいすぎだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お読みいただきありがとうございます!

いや、キスシーンあるの当たり前だろ!!!



車に乗っている時に携帯をいじるのは本当に地獄だと痛感しました。
気持ち悪い。笑

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