歌の女神たちの天使 〜天使じゃなくてマネージャーだけど!?〜   作:YURYI*

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49.甘やかす、甘やかされる

 

 

ウチの好きな人、大切な人…いや、恋人さんはなぜだか自分のことは全く興味や関心がない。

簡単に言うと無理をしすぎる。

今日の朝からなんだか様子がおかしいと思っていたら放課後いきなり倒れるし。受け止めてみたらみたですごく熱いし。絶対熱あるやん。体調が悪いことに気づいているのかよくわからなかったから、今日はうちに泊まらせることにした。

 

 

今は神田明神からみんなで帰っている。穂乃果ちゃんが雨を止ませた?おかげで相合傘とはいかないけれど、行きの時の約束どおりことりちゃんと手を繋いで歩いているみはね。

その様子をえりちはちらちらと何度も羨ましそうにみて、その後なにを思っているのかとても悲しそうな顔をする。おおかた朝のことを気にしているのだろう。未だ声をかけられずにいるということは相当だと思う。

まぁ、周りのことしか見ていない彼女ならえりちのことも気づいているのだろうが、今はその余裕がないのか、はたまたこちらも朝での一件を気にしているのか何かアクションを起こすようなこともなかった。

はぁ…大好きな親友のためにも今日みはねにその辺のこと聞いてみるしかないなぁ…

 

 

「ねぇみいちゃん。今日、このままうちに泊まっていかない?」

 

ことりちゃんのその一言にドキリとする。もし…もしみはねがうちに泊まることを望んでいなかったら。もしうちに泊まるという約束を忘れていたら。

 

「あ、あぁ…今日はやめとく。ごめんね?あと、ありがとう」

 

「そっか…ううん!こっちこそごめんね?」

 

「また今度誘ってくれると嬉しいな」

 

「うん!」

 

あぁ、ことりちゃんに悪いことしているはずなのに、わかっているはずなのにほっとしている自分がいる。

みはねのちょっとしたことだけで一喜一憂しているのがなんだかおかしい。

もうウチ、めちゃめちゃみはねのこと大好きやん。どうしてくれるんよ。ばか。

 

みはねの断り方がうまかったためか、ことりちゃんとみはねは仲良く歩き続けた。ことりちゃん家に着いた時、ことりちゃんはやはり少しだけ寂しそうな顔をしたが、みはねが今度は泊まらせてもらうね、と言うと笑顔で家に入っていった。

やっと二人きり。

 

「みはね」

 

「ん?」

 

「や…なんでもない」

 

「ふふっどーしたの?」

 

そう言いながら手を繋がれる。

あまりにも自然にそうするものだから、一瞬反応が遅れてしまった。

 

「周りの人に見られてるよ」

 

「え?それは希がかわいいからみんな見てるんだよ」

 

いや、そういう問題ちゃうし。

いや、でも、女子同士が手を繋いで歩いていることを除いてならば、みんなみはねのことを見ていると思う。みはねはそれくらい目を惹く存在なのだ。

ほら、あそこの男子二人組見てみ。どう考えてもみはねのこと見て写真撮ろうとしてるやん。

 

「みはねのあほ。普通にみんな、みはねのこと見てるやろ」

 

「はぁ…これだから希は」

 

なぜかため息。ため息つきたいのこっちや!

 

「あ、あの…」

 

ほら、さっきこっち見てた二人組がみはねに話しかけてきた。

 

「どうしたんですか?」

 

「あ、あの!写真…一緒に撮ってもらってもいいですか!?」

 

ほら、ほらぁ!だから言ったやん…

みはねはウチのなのに。普通に考えて女の子と釣り合うのは男の子。ウチとみはねは女の子。きっとかっこいい素敵な男の子が現れてしまったらウチらの関係は終わってしまう。

 

「ごめんなさい。私はそんなこと言ってもらえるような人じゃないですよ?それに…今下校中ですし」

 

「そう…ですよね。いきなりすみませんでした」

 

「いえ、こっちこそごめんなさい。嬉しかったですよ」

 

ふわりと微笑むみはねに二人の顔が赤くなる。もう…ほんと自分のこと全然わかってない。

二人がいなくなった後、なぜだかみはねの機嫌がいい。鼻歌でも歌い出しそうな雰囲気だ。

 

「よかったやん。男の子二人に言い寄られて」

 

「え?なにが?」

 

うちが嫌味なことを言ってもニコニコの顔をキープしたまま。なんやこいつ、イラってくるなぁ…

 

「べつに!…みはねなんか嫌いや」

 

あ、ちょっと言いすぎた。嫌いなわけないのに…

後悔とともに、ゆるくなってしまったみはねの手をキュッと握り直す。

 

「そっか、嫌いか。希がやきもち妬いてくれてるって思ってたけど、勘違いだったのか…」

 

「え、え?」

 

「嫌いなんでしょ?私のこと。ごめんね勘違いしちゃって」

 

待って。まさかそれでニコニコしてたん?

 

「さっきまでニコニコしてたのって…?」

 

「希がやきもち妬いてくれてると思ってて嬉しかったからだけど」

 

あぁ…勘違いしてるのはウチの方やん。

 

「さっきの言葉取り消してほしいんやけど…ダメ?」

 

「あははっ了解しました」

 

みはねがウチの手をぎゅっと握り返してくれた。

やっぱりウチはみはねのことなんか嫌いになれるわけないやんなぁ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家に着いてすぐ、ウチはとりあえずみはねをベッドに座らせた。

 

「はい。熱はかって」

 

「え?なんで?」

 

もう、まだ気づいていないん?ほんとばかやんなぁ。

頭にハテナを浮かべているみはねに無理やり体温計を脇に挟ませる。

 

「そのまま動いたらあかんよ」

 

数分後、体温計の音がなる。

さてさて、熱は何度かなぁ?

 

「ほら、早くウチに見せなさい」

 

「え、やだ」

 

なんでそこでわがまま言うんよ。

熱あることくらいわかってるわ。

 

「はやく!」

 

「う、うぅ…絶対この体温計壊れてるよ…」

 

渋々と差し出された体温計の表示を見てびっくりする。

 

「38.6!?みはねアホやないの!?」

 

「な、絶対それ嘘だよ」

 

希といちゃいちゃしてて体温上がって、なんてふざけたこと言ってるみはねを少しきつめに叱る。

 

「いいからはやく寝て」

 

しゅんとなってしまったみはねを部屋着に着替えさせ、ベッドに寝かせる。

 

「どこか痛いとことかない?」

 

しばらく考えるそぶりをするみはね。

 

「そういえば、頭がいたい気がする」

 

「それ気がする言うんやなくていたいんやろ」

 

まったくもう。ちっちゃい子でも自分の体調不良くらいわかるわ。

あ、そういえば…

 

「あ、そういえば。えりちのこと気づいてるんやろ?」

 

「あ、あぁ…なんか見られてるかもって思ってたけど」

 

「え?それだけ?」

 

「ほぇ?なにが?」

 

あ、熱のせいでぽやぽやしてるのか。それじゃあ、朝のこと気まずいとかじゃないんだな。

 

「えりち、朝のことめっちゃ気にしてるよ」

 

「そーなの?よくわからないけど気にすることなくない?」

 

なるほど、みはねが朝あんなんだったのは熱のせいか。

やっと謎が解けた気がする。

明日ウチの方から言っておくしかないな。

 

「とりあえず今は寝たほうがいいんやない?ちゃーんと元気になってもらわないとなぁ」

 

「ぅん…おやすみ」

 

寝るのはやっ!

相当無理してたんやないかな?

まったくもう、無理したらあかんやろ。

 

「ずっとそばにいてあげるからね」

 

かわいい寝顔やな。ほんま。

そんなことを考えながらみはねのサラサラな髪を撫でる。

 

ウチがちゃんと見ててあげないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





希といちゃこら。
みはねさん、ただ寝てるだけでいいんですか…?笑

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