――μ’s結成後――
「皆で結成お祝い会しようよ!!」
始まりは唐突だった。まだ結成して一週間程度、メンバー間においての軋轢……とまではいかないが摩擦なんかがある今、メンバー間での交流を深めることは、練習の効率upの他、メンバー間での曲やダンス衣装なんかの意見の出し合いがしやすくなるため、私としては賛成なことだった。……まぁ高坂先輩にとってはなんかムズムズするから皆でパァーとやろう程度のことなのかもしれないが。
「やりませんよ。他の皆さんに迷惑がかかるではありませんか。」
園田先輩がすかさず止めにはいる。園田先輩は高坂先輩と腐れ縁らしく昔から高坂先輩の暴走や突発的な言動を抑制していたのかもしれない。動きが洗練されている。が、今はそんな発言は無粋に思える。
「ええ~、海未ちゃんのケチ!ことりちゃんは賛成だよね!」
「えぇ~、どうだろうな~、私はやってもいいかn……」
「ことり!!」
「ひぇっ!、う~ん、う~ん、あぁもうわからないよぉ~、ホノカチャンーー!」
……南先輩。恐らく全日本優柔不断大会が開催したら間違いなくベスト4には入るであろうレベルでの優柔不断っぷり。でもさすがに聞かれておいて、聞いた本人に頼るのはどうかと思うけど……。
でも今の感じだと不味いわね。このまんまじゃ親睦会が開かれない可能性がある。それはいけない。別にはじめての皆で集まってお食事にいくのが楽しみとかそんな訳じゃなくて、別にさっき音速で予約したお肉屋さんの予約が台無しになるとかそんな訳じゃなくて、グループの不仲がこれ以上進行するわけにはいかない。ここは賢い可愛いの真姫ちゃんが仲裁に入ろうじゃない!そう思いさっきから頭をフル回転させ練りに練った一言目を言おうとした矢先、
「いいんじゃないの。」
……この人が声をあげるとは思わなかった。矢澤先輩。通称にこにー。アイドルに対する野心が人一倍強く、誰よりも芯があるがゆえにアイドルを馬鹿にしたりけなしたりする連中を絶対に許したりはしない。だから、絢瀬先輩に対して許す気はないと思っていたのに……、私の偏見なのかしら。
「……なにポケーっとしてんのよ、別にやってもいいんじゃないって言ってるの、親睦会なんてどこのアイドルでもやっているわよ。」
「しかし、矢澤先輩!、それでは後日以降の練習に支障が……。」
「まぁ、ええんとちゃう?カードもそういってるし。」
東條先輩。私がこのμ’sの中で一番不思議に思っている人。この人は基本スピリチュアルだとかカードだとかにわかには……とゆうか私達一般人にはよくわからないことで会話を成り立たせる癖に、その裏ではμ’s結成において一番尽力したり、誰よりも回りを見たりと一番人間的……とゆうか母性を持つ人である。どちらにしろよくわからない。私の“知力”とはまた違う作用なのだろう。知らないけど。
「しかし……。」
「いいじゃん海未ちゃんやろうよ!」
「そうだよ!やろうよ海未ちゃん!」
「練習よりも大切なこともあるのよ」
「……どうするん?」
「……あぁもうわかりましたよ!!その代わりその後の練習はもっとハードになりますからね!」
「「「「はーい!」」」」
なんとか収まったみたい。でも矢澤先輩は本当に良かったのかしら?
(にこ、ちょっといい?)
(なによ?私早く帰りたいんだけど)
(ごめんなさい、手短にすませるから。……本当に良かったの?)
(……別にあなたを許したわけではないわ、でもそれとこれとはまた別問題でしょ、それを引きずっていても、しょうがないわ。)
(そう……)
絢瀬先輩。現生徒会長様だ。もともとμ’s加入前はμ’s最大の敵だった。生徒会長であるが故に必要以上に“廃校”ということに敏感になり、気を張りつめていた簡単に言うと生真面目な人。まぁ、そのせいで絢瀬先輩の目には“スクールアイドルで学校を救う”ということが馬鹿らしく見えたのかもね。余計にバレイをやっていてダンスや踊りの世界に精通しているのなら尚更ね。まぁ、本人も心から言ったわけでもないと思うし、加入後は何度もメンバーに、謝っていたし、矢澤先輩に対してなんか土下座までしていたから、相当反省しているのでしょうね。……それにしても不味いわね、親睦会開催が決まったはいいものの“お店なら私に任せて”の9文字がなかなか口から言い出せない。不味い。このまんまだと本当に………、
ガチャァァァン!
「疲れたにゃぁぁぁあ!」
「凛ちゃん?!床にねっころがっちゃダメだよ?!」
星空さんと小泉さんね。この二人は幼なじみらしくて、二人の間にある特有の空気がいつも場を和ませてくれる。……そこに私はいないけど。
「あ!凛ちゃん花陽ちゃん!明日ね皆で親睦会することになったんだ!」
「そうなのかにゃ!たのしみだにゃー!」
「楽しみだなーー、白米はあるのかな~?」
……カタ、ピ、シュタタタタ!……あるわね。よしこれでなんの迷いもなく……迷いも……おかしいわね、口が動かないわ。どうしようかしら。
「あっまきちゃん、その顔は何か隠し事をしている顔にゃ!はくにゃぁ~、はくにゃぁ~」
「ヴェェェェェェェ?!、しっ、してないわよ!隠し事なんて。」
……しまった。ある。無茶苦茶ある。
「凛ちゃんダメだよそんな風に無理やり聞き出したら」
……あぁ花陽。今はあなたの気遣えさえ私を陥れる罠としか思えないわ……。
「真姫ちゃ~ん?これなぁに?」
「なにって……って!それ私のスマホ!返しなさいよ!」
「でもでも~ここに高そうなお肉屋さんの予約が9名分してあるんだけど~」
(しまった!私としたことが画面を開きっぱなしだった!ここはもう潔く……)
「真姫ちゃん家って大家族なんだね~!、もしかして三世代同居とかだったり?」
「……へ?」
「真姫ちゃん家は広いからにゃ~、きっと召使いとかメイドさんとかがいるんだにゃ!」
……てゆうかまずなんで凛は私の家をしっているの?まず、何で召使いとかメイドとかがいることになってるの?!私ってそんなイメージ?!お手伝いさんしかいないわよ!まず、な ん で わ た し た ち の よ や く
って思わないのかしら?!あぁ……なんか余計にいいずらい雰囲気に……。
「まぁまぁ皆落ち着きな、ほな真姫ちゃんもなにか言いたい事があるんとちゃう?」
……ほんと希には敵わないわね。
「その、そのお肉屋さんパパが会合で使う予定だったみたいのだけれど、なんか余っちゃったらしくてね、私の家で使いきれる量じゃないし、もしよかったら…その…」カミノケクルクル
「うれしいにゃ―!」
「うぇ?!」
「さっきから真姫ちゃんあんまり会話に入ってこなかったから行きたくないのかと心配していたんだよー、良かったー。」
「べっべつにそんなつもりじゃ……」
「ですが真姫さん?本当によろしいのですか?そんな高級そうなお店にお邪魔させてもらって。ここはやはり家族水入らずで……」
「まぁまぁ、海未ちゃん!真姫ちゃんがいいって言うんだしいいんじゃない?」
「そうだよ!ね?真姫ちゃん?」
「えっえぇ…とゆうかワタシモソッチノホウガウレシイシ…」
「え?なんて?」
「っ//~~、何でもない!」
キィ、バタン。
「しかし、本当に良かったのでしょうか?やはり迷惑だったのでは…」
「まぁ、大丈夫なんじゃない?」
「?、なぜです?」
「いやだってねぇ…」
――side 真姫――
「もうっ!」
そういっている私は口調ほど怒っていなくて…むしろ喜んでいた。今までの人生で同級生と、しかも社交辞令ではない時に一緒にご飯を食べたことのない私にとってこれはとても新鮮で嬉しくて夢のようで、その夢の続きを体が、心が欲しがっていて、無くしたくない過去として心に刻まれていた。
夜空が一段と美しく光る星空の中、
流れ星にそっと――――。
「―――――。」
「ふふっ♪」
一体彼女が何を言ったのか、それは彼女のみ知ることだろう。
――side穂乃果――
「予約してたの今日だったし」
「そうだったのですか?!」
「なんで真姫は嘘なんかを‥‥」
うわぁ……海未ちゃん真剣に悩んでるよ。なんでわかんないのかなー。
「うわぁ……、すごいにゃ……」
「皆さん凄いです!!」
急に凛ちゃんと花陽ちゃんが窓から空を指差した。指を指した先には――。
「うわぁ……凄い……きれい。」
澄んだ夜空を背景に煌々と光る星空が優しく此方を見つめていた。その壮大さと堂々たる美しさに皆絶句していた。
「スピリチュアルやね~」
……穂乃果には未だに希ちゃんのスピリチュアルという言葉の真意がわからない。接続詞的な感じで話すと結構上手く行くのでいつもはそれで通している。じっくり考えたこともない。それよりもやりたいことがある。
「ねぇみんな!星空にお願い事しようよ!」
「流れ星ちゃうて?」
「まぁまぁそんな細かいことは気にしない!」
「細かくはないと思いますよ穂乃果…。」
…海未ちゃんは相変わらず厳しいな~。
「じゃあしよか」
「うにゃー!お願い事するにゃー!」
「白米白米白米白米白米白米白米白米白米」
「みんなお願い事考えた?せぇのでいくよ!せーの!」
――子供の時に流れ星にお願い事をしたことがある人は、多いと思います。しかしその願いは彼方遠くに流れ星と一緒に飛んで行くのが世の常です。人々は本気で叶うなんて誰も思っていません。
けど、
だけれども、
その願いが、言葉が、思いが時に重なる場合もあります。それは、偶然ののような必然で、そこに彫られた思いの形は流れ星と共にどこにいくのか、それは誰にもわかりません。しかし、彼女たちがそれを思い続ける限りその光は必ず、彼女たちを包むことでしょう。
そして彼女は終わることのない夢を見続けるのです。
凛ちゃんと花陽ちゃんは掃除で来るのが遅れました。
後日必ず修正をいれます。