Fate/Reunion Night(更新停滞中)   作:華海礼燬@更新停滞中

3 / 7
漸く続きが書けた………。
これで漸く子供編が終わり。

次は諸国漫遊だー………あとカリバーンをエクスカリバーに。
まだ先だけどな!((

あ、あとウーサー王が死んだ時期勘違いしてたので修正しました。


ではでは、本編ドゾー。


第二夜 <騎士になる為剣を振り、王になる為剣を抜く。>

 

 

 

 

 

 5歳です! 5歳なのです!!

 

 遂に5歳になりましたよやったー!!!

 

 

 

 

 ………げふん。 すまない、取り乱した。

 

 では、改めて。 5歳になりました。

 

 5歳になったので、今日から剣を教えてもらえるのです!

 念願の剣術だ。 実に楽しみである!

 

 正直昨日は楽しみすぎて中々寝付けなかった俺氏です。 まるで遠足前の小学生みたいだったが、身体の年齢的には仕方無いと思う。

 ほら、精神は身体に引き摺られると言うし。

 

 

 まぁ、夢の中でマーリンが剣術教えてくれてたけど。

 実際身体を動かすのは別だよね!

 

 てか魔術より剣の方が得意な魔術師ってどういう事ですかね。

 

 

「アルトリウス。 5歳になったから、今日から剣術を始めようと思う。 いいな?」

「はーい! わかったよとーさん!」

「鍛錬の間は師匠と呼ぶように」

「はい! ししょー!」

 

 

 あ、ちなみに左で武器を振るう方がしっくりくるので、左手が木剣の(つか)の上側を握っています。

 

 そんなこんなで始まった鍛錬だが、例の眼があるので父さんの攻撃でも回避余裕ですた。

 手加減されているとはいえ、これじゃあ鍛錬とは呼べないのでは?((

 

 

「ししょー、これじゃー(らち)が明かないからもっと難易度上げてほしーです!」

「よくそんな難しい言葉知ってたな…………?」

「んー?」(にぱー☆

 

 

 見よ、この満面の幼児スマイル!

 知識量とかそんなのどうでもいいから難易度アップはよ。

 

 父さんは暫く悩んでいたが、決心がついたのか本気で挑んで来るようになった。

 普通の五歳児なら瞬殺されるであろう強さだが、眼のお陰で何とかついていける。

 

 まぁ、あくまで避けたりいなしたりするので精一杯ではあるが。 少なくともさっきのよりはマシだろう。

 流石子供のアルトリアさんから理想の騎士と慕われる程の人物だ。 強い。

 

 

「敵の前で気を抜くな!」

「ッ、はい!」

「武器だけを見るのではなく、相手の全体を見る様にしろ!」

「はい!」

「避けるだけじゃなくちゃんと攻撃もしろ!」

「うげっ………はい!」

 

 

 避けるだけで精一杯なのバレてらぁ。

 何とか眼を酷使しつつ隙を見つけては木剣を打ち込んでみるが、やはり経験とリーチの差か、中々当たらない。

 

 でも当たらないからといって、此処で焦っては相手の思う(つぼ)だ。 一手一手確実に打ち込まなければ。

 

 そうやっている内に眼の使い過ぎで、眼と頭が凄く痛くなってきた。 仕方無いので心臓の方から優先的に魔力を流し、切れかけた体力もジワジワ少しずつでも回復する様に全身に魔力を巡らせる。

 

 ………あれ、これじゃ剣術だけじゃなくて魔力操作の鍛錬も一緒にしてるのと同義では?

 ま、これはまた後で考えるか。 気を抜くなって言われたし、まだマルチタスクは出来ないからな。

 

 

 

 ぶっ続けで数時間鍛錬した後、少しだけ休憩と言われた。

 

 

「(ゼヒュッ……)は、はい!」(息切れ

 

 

 難易度上げろとは言ったがここまでとは聞いてない。((

 虐待の一歩手前ではなかろうか。 五歳児にこれはマジ鬼畜。 まぁ、俺だから出来る出来ないとか関係無くやらないとなのだけれども。

 

 

「おい、大丈夫か?」

 

 

 膝に手をつきながらゼーハーしていると、横で自主練していた兄さんが少し心配そうに顔を覗き込んできた。

 

 

「にーさん………正直座ったら立てなさそう。 足ガックガクだし息辛い」(ゼェ……ゼェ……

「…………あれだけやってその程度なのかよ」

「んー……? そんなドン引きしないでほしいなー」

「どんびき?」

「あ〜………っと。 相手の言動等に極めて強い失望や不快感を抱く事……だったかな? なんか違う気もするけど。 よーするに、うわぁ……って感じで一歩引いたりしちゃうよーな感じ?」

「あぁ、成程。」

 

 

 会話をしながら息を整え、魔力を身体全体に満遍なく……尚且つ偏らない様に均等に行き渡らせる。

 そしてグルグルと一定の速度で巡らせて………って、あれ? そーいや何でグルグル巡らせるといいんだ? 自然とやってたけど。

 

 魔力を巡らせつつ眼で自分の身体を見る。

 ……どうやら治癒速度の向上と、治癒に伴って先程までの無茶に耐えられる様に細胞等を最適化させる効果、そして魔力を隅々まで行き渡らせる事で魔術を使う際のラグを少なく出来る様だ。

 

 

 ………ちなみに体内の魔力はオド、外界(自然界)の魔力はマナと言うが、俺は深呼吸したりするだけでもマナをオドに変換して取り込めるみたい。

 あと俺は竜の心臓があるのでマナを直接使うよりもオドを使った方が効率が良さそうだ。

 

 

 二・三分で息は通常に戻り、体育や軍隊での休めの姿勢で、魔力を細やかさを保ったままに身体を巡らせるスピードを上げていく。

 何もしてない時の魔力操作は既にお手の物だが、戦闘中ではやはり細々とした操作が疎かになってしまう。 気をつけねば。

 

 こうやって隅々まで魔力を行き渡らせ細やかな操作が出来れば、身体強化や部分的な防御等もしやすいだろう。

 

 

「アルトリウス! 休憩は終わりだ。 次は、ケイと簡単な試合をしてもらう」

「はい!」

「! は、はい!」

 

 

 ちなみに戸惑った方が兄さんね。

 まぁ見た目的には数時間前に剣を始めたばかりの五歳児と、五年前から剣を振り続けている十歳の少年を戦わせるとか言い始めたんだからそら戸惑うわな。

 

 さっきの父さんとの鍛錬からしてケイ兄さんぐらいなら倒せそうな気もするけど…………過度な慢心ダメ絶対。 足元掬われない様にしないと、件(くだん)の金ピカ慢心王みたいにならない為にも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………数分後。

 何回か試合をしたが、全て俺の完勝でした。 伊達に千里眼持ちじゃないからな。 舐めプしても勝てそうだったわ。 やらないけど。

 

 五年もやってるのに今日始めたばかりの五歳児に負けた兄さんだったが、なんか色々屁理屈をこね始めた。

 これがまた口の回ること回ること……………。

 

 ま、全部眼で論破しましたがね!((

 大人げなかったかな……………………。

 

 その所為で兄さん涙目だし。

 泣くの我慢してるけど、悔しくてギャン泣きする一歩手前じゃね? これ。

 

 やっぱ十歳相手に大人げなかったな…………

 

 

 んー、しゃーねェ。 フォローしよう。

 

 

「ねーねー、にーさん」

「っ、っ……な、なんだよっ…………」(ヒック

「にーさん。 アルトはね? ある程度おっきくなったら絶対にならなきゃいけない物が既に決まってるの。」

「…………」(グスッグスッ……

「アルトにはね? 決める権利は無いんだ。 それになる為に如何に行動するか、それくらいしか決定権が無いの。」

「……………」

「……………なぁ、ケイ兄さん。 俺はさ、普通の人生なんて物、選べねェんだ。」

 

 

 多少幼くしていた口調と声のトーンを始めて素に戻し、兄さんに話しかける。

 

 

「兄さん………俺さ、なるべき物の為に、もっと強くならないとなんだ。 五歳だから、始めたばかりだから……なんて言い訳、出来ないんだ」

 

 

 困惑やらなんやら複雑な表情の兄さんの手を取り、そのまま語りかけ続ける。

 

 

「だから、その。 なんて言うか……………」

「……………………何にだ」

「ん?」

「お前は、何にならないとなんだ」

「………………………………………」

 

 

 兄さんは、眉根を寄せつつ軽くこちらを睨みながらも、真っ直ぐ見据えて聞いてきた。

 

 

「………………………この、ブリテンの王に。」

 

 

 薄っすらと微笑み、そう答える。

 

 

「な、っんで…………お前なんだよ………………」

「その為に、()は生み出されたからだ。」

「なんでっ…………何でお前なんだよ!? 確かにお前は最初から他の奴等とは違ったけど! 何で………ッ!!」

「ブリテンを救う為に、私は望まれたからだ。」

「何で……何で……………ッッ!!!」

 

 

 敢えて意識して口調を変えながら話すと、俺の肩を掴んで泣き崩れる兄さん。

 そんな兄さんを抱き締めて、理由を伝えた。

 

 

「……………私は、民が、人が、不幸になる所を()()()()見たくないんだ。」

 

 

 BAD ENDは千里眼で見飽きたからな。

 俺が好きなのはHAPPY ENDだ。

 

 

「ケイ。 私は王になる、ならねばならない。 そして、私が王になった時………騎士として、私の隣で支えてほしい。 ………………故に、」

 

 

 抱き締めていた体を離し、右手で兄さんの片手を握り、左手は胸元に添えながら、軽く上目遣いでお願いをする。

 

 

「……………故に。 私と共に、強く賢くなってはくれまいか? ケイ。」

 

 

 兄さんと一緒になら、精神的に少し楽になるからな。

 

 お願いを聞いた兄さんは、数瞬黙り込んだ後何かを決意した眼で誓いを立ててきた。

 

 

「………………わかった。 お前を支える為に、お前の右腕になる為に、強くて賢い立派な騎士になる。 約束する」

「嗚呼。 そして私はブリテンを護り民を導く立派な王に必ずなる。 約束だ。」

 

 

 互いに不敵な笑みを浮かべ、誓い合う。

 そんな俺達を見て、父さんは複雑そうな顔をしていた。

 

 

「………………アルトリウス。 お前はいつから王にならなければならないと知っていた?」

「無論、最初からだよ。父さん。 俺には、千里眼があったから。 知りたくないモノでも、全てわかってしまったんだ」

「そうか……ちなみにその口調は? いつもとは随分違うが。」

「これが俺の素だよ。 いつもは子供っぽく振舞ってたんだ………だって、人間は理解出来ないモノを排斥する傾向にあるだろ? 仮の家族でも、嫌われたくなかったんだ。」

「…………血は繋がっていない事も、知っていたんだな」

「うん。 俺は〔Pen Dragon(ペンドラゴン)(ドラゴンを統べる者)〕………ウーサー王の娘なんだろう? 異母姉が居るのも知ってるよ、いつか姉さんにも会ってみたいな」

「そうか………………………」

「……なぁ? アルトリウスと血が繋がってないのなら、やっぱり俺は態度を変えるべきか?」

「確かに繋がってないけど…………別に関係無くないか? 兄さんは俺の兄さんなんだし」

「だが………………」

「血の繋がりの有無なんて些細なモンだろ? 別によくない?」

「……………お前は気にしてないんだな」

「うん。 ただ単に俺には父親が二人居るってだけだしな。 兄さんは兄さん、父さんは父さんだ。 ウーサー王はそうだな………父上とでも呼んでおくか」

 

 

 会った事も無いから正直どーでもいいけど。

 

 父さんも、最初はどこか一線を引いてたけど俺の規格外のお陰か父親と呼んでも何も言わなくなったしな。

 

 

「あ、そだ。 王になる誓いの証として、これからは〔アルトリウス・ペンドラゴン〕と名乗ろうかな。 父上の称号を名乗る事で、意思を継ぐという宣言にもなるだろ。」

 

 

 まぁ、王としての名は別だけどもね。

 

 

 そんなこんなで唐突に色々明かす事になったが、特に問題も無く、嫌われたりせずに済んで良かった。

 

 

「アルトリウス」

「なんだい兄さん。 あ、それと普段はアルトでいいよ?」

「そうか? じゃあ、アルト。 強く賢くなるには、具体的にどうやればいいと思う?」

「そうだね……賢くなるのは勉強あるのみだろうし、後で俺と一緒に爺に教わろうか。 んで、強くなるには…………まず眼を鍛えよう」

「眼を?」

「そそ。 相手の動きを見切り、どう動くか、どんな攻撃をしてくるかを見る事の出来る眼を育てる。 それと同時に、見えた攻撃を避けるのか、いなすのか、逆に強引に押し切るのか、自分がどう動くのかを判断する思考力も鍛えないといけない。 体はその次だな」

「体を鍛えるのが後なのか?」

「だって見えなかったら動きようが無いじゃん? だから眼が先。 次の体は、見て判断した後、判断に従って瞬発的に動く事の出来る様に、可動域も広げつつ鍛えた方がいい。」

「成程。」

「…………そんな事も知っているんだな?」

「この眼はなんだってわかってしまうから………さ」

 

 

 そんな風に苦笑しつつ、父さんに答える。

 

 取り敢えずこれからは、体力をつけるのを最優先にしつつ、剣術の基礎はマーリンから既に教わってあるので主に応用の仕方や経験を積む事になった。

 

 あと、俺はやはり千里眼に頼り切りになってしまうので、徐々に千里眼を使わず戦闘出来る様に鍛えるのも課題になった。

 

 

 

 選定まで後十年。

 

 ………………それまでに、最強の王に相応しくならねば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 

 

 

 

 

 剣術を始めた日から五年の月日が流れ、俺は十歳になっていた。

 

 え? かなり飛ばしたなって?

 

 仕方無いじゃないか。 今日までの五年間、鍛錬・勉強・鍛錬・勉強・鍛錬・勉強、たまに盗賊狩りにまた鍛錬・勉強………って感じの毎日だったんだから。

 あと馬やシン達の世話と、付近の見回り。

 

 え、盗賊狩りはなんだって?

 治安が悪くなってる所があるから、なんとかしてね〜ってマーリンが……ね。 あとはわかるな?

 

 まぁ、経験を積む為の修行代わりだ。

 兄さんと父さんと俺とシンとロイドで、フルボッコにするだけの簡単なお仕事だったよ。

 

 

 そうそう。

 シンとロイドはかなり大きく成長して、何もしていない状態でお座りをしていると6mくらいの高さまでになった。 多分まだ大きくなれるな、この感じだと。

 

 何もしていない状態で……というのは、シンとロイドが独自の魔術を覚え、その魔術で大きさを自在に変えられる様になったからだ。

 更に魔術を使って意思を伝えられる様になる為に、言語と念話を覚えさせている。 近々使える様になる筈だ。

 

 ちなみに普段の二匹は、シンが普通の大型犬サイズで、ロイドが子竜の時のひと抱えくらいのサイズで過ごしてもらっている。

 

 

 

 あぁ、あと…………………剣術を始めて暫くしてから、ウーサー王が亡くなった。

 そのせいで国がまた荒れ始め、蛮族と呼ばれているサクソン人やピクト人達が徐々に勢力を伸ばしてきている。

 

 いや、サクソン人はまだいいんだ。 彼等は人間だと胸を張って言えるから。

 だがピクト人………アレ等は駄目だ。 エイリアンか何かとしか思えん。((

 

 ピクト人………一体何者なんだ…………。((

 

 いやね? 千里眼使えば一発だろうけどね? 深淵を覗き込む時、深淵も此方を覗いている的な? ぶっちゃけ真実を知りたくない。

 しかもFateでは、何千何万と狩っても暫くするとまた数を揃えてくるなんていうゴキ並みのしぶとさだったらしいじゃないか。

 

 サクソン人なんて可愛いもんだよ? だって人間だもの。 和睦だって夢じゃない。

 ピクト人は蛮族じゃなくてBANZOKUとしか言いようの無いナニカだから。((

 

 

 

 それはともかく。

 

 

 食料問題を今のうちになんとか出来ないか、と色々調べたりしていたんだが、やはり原因は薄れつつある神秘の様だった。

 

 多少でもなんとかしようと、森の一角に馬糞等を溜めて肥料にする実験をしたり、それを使用した畑やしていない畑の差を調べたり、森の土を使った畑とそうじゃない畑の差を調べたり等々………。

 人糞でなく馬糞等なのは、流石に抵抗があるだろう事と、酷い臭いが問題になりかねない所だった為である。 それと寄生虫。

 肥溜めの臭いはヤバいらしいからね………。

 

 他にも馬鈴薯等の食料の改良や、(かまど)の再現および改良、(かま)やそれより小さなオーブンの再現および改良ets ets………。

 

 食事情に関しては、早くなんとかしたかったからな。

 頑張ったおかげで最初の頃よりずっとマシ。

 この調子でどんどん向上させていくぞ。

 

 

 さて。 先程ブリテンの荒廃の原因が薄れる神秘にあると言ったが、薄れていくのを止める事は不可能だと千里眼と知識で識っている。

 だが、ただ薄れさせるのではなく、徐々に外に馴染ませていく事で、〔ブリテンという国〕は滅びてもブリテンの地と民は(ほろ)びる事の無い様にするつもりだ。

 千里眼で見ても、それが有効だという未来が見えた。

 

 

 実験や改良で上手くいった物はマーリンの爺に広めてもらったり、外の物を持ってきてもらったりと、まだ王にはなってないが色々やっている。

 

 

 選定の日までもう後五年…………より一層修行に励まねばならないな。

 

 兄さんと約束もしたし………………………頑張らないと。

 

 

 

 

 

 最優の王になる為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………………選定の日。

 

 

 

 

 

 騎士として祭りで槍試合をするというのに、兄さんが槍を忘れたというので父さんの指示に従って家に取りに戻った俺です。

 まぁ、これはあらかじめ決められていた行動だったが。

 

 

 

 

 

 

 

 先日俺達の住む街にマーリンが変装を解いた状態で現れ、ウーサー王が崩御した際の予言の日が近づいたと宣言した。

 詳しい事は国中から騎士が集まった時にまた話すと言い、その場から消えた。

 

 

 街はマーリンが現れたと浮足だち、国中の我こそは次なる王なりという騎士達が続々と集まっていった。

 

 

 そして数々の騎士達が集った今日、マーリンは言った。 岩に突き立ったこれこそが血より確かな王の証であると。

 

 マーリンが示したそこには、何も無かった筈なのに、突如として岩とそこに突き立った剣が現れ、人々は驚いた。

 

 次々と、我こそはという騎士達が剣を引き抜こうとしたものの、一向に引き抜ける者が出てこない。 当たり前だ。

 彼等は王にはなれないのだから。 その時、俺はそこに居なかったのだから。

 

 

 結局誰一人として引き抜けず。

 それを見つめていた人々の落胆を感じた騎士達は、自分を選ばないその剣を無視し、自分達で都合よく王を決めてしまえばいいと騎馬試合を始めてしまう。

 

 

 

 

 

 

「……結局、マーリンとウーサー王の夢物語じゃなくて手勢と金と腕っ節で競い合って統率者を決めて利害目的で協力した方が、ずっと人間的なんだ。」

「兄さん……」

「誰だって、〔全てを救う神の代弁者〕なんて見たくもねーしなりたくもねーよ。 普通は」

 

 

 わざと忘れてきた槍を渡すと、兄さんは苦々しげに、不機嫌そうに言ってきた。

 

 

「…………アルト。 アルトリウス。 これが、最初で最後のチャンスだ……お前は大人しく家に戻れ。」

 

 

 しかし、その眼にははっきり慈愛と心配の色を浮かべて、兄さんは言う。

 

 

「……それでも、進むと言うのなら…………約束通り、お前の騎士になってやるさ。」

 

 

 ニヤッと笑ってそう俺に告げ、そのまま騎馬試合の会場に向かっていった。

 

 

「当たり前だろ、兄さん…………俺は、王にならなくちゃなんだから。」

 

 

 同じくニヤッと笑いつつそう呟き、既に皆が背を向けている選定の剣に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゆっくりと、静かに……それでいて、大胆に。

 

 俺は、岩に突き立つ選定の剣………カリバーンまで歩いていく。

 

 両隣には、コッソリついてきた小さい状態のシンとロイド。

 

 そこまで距離も無いので、すぐに剣の前までついてしまう。

 

 スッ……と左手を上げて柄を掴み、引き抜こうとした所で、いきなり背後からマーリンに声をかけられた。

 

 

「………本当にその剣を抜いてしまうのかい?」

 

 

 振り返って見れば、変装を解いた状態の、FGOで見た全体的に白っぽい、虹髪のイケメンな青年が居た。

 夢ではいつもこちらの姿だったが、いつもの変装の老人姿と似ても似つかない為少し違和感がある。

 

 

「それを手にする前に、きちんと考えたほうがいい。 それを手にしたが最後、君は人間ではなくなるよ……知ってるよね?」

 

 

 マーリンは、フードを下ろしながらこちらに歩み寄り、十数歩ほど離れた所で立ち止まる。

 

 

「当たり前だろう? 知っていたからこそ、私はここまでやってきたのだ」

「…………………もう後には戻れないよ? 本当にいいんだね?」

「嗚呼………………」

 

 

 俺は頷きながら剣に向き直り、左手でガッと掴んで思い切り引き抜いた。

 

 

「………………………………勿論だ!」

 

 

 

 

 

 シャリーィンン…………

 

 

 岩に突き立っていた聖剣は、涼やかな音を立てて引き抜かれた。

 

 引き抜いた勢いのまま、天に向けカリバーンを掲げる。

 

 掲げられたその聖剣は、日の光を受けてきらめいた。

 

 

「……ああ、辛い道を選んだんだね。 でも奇跡には代償が必要だ……〔アーサー王〕よ。 君はその、一番大切なものを引き換えにすることになるよ………わかってるだろうけどね。」

「その一番大切なもの、というのがなんなのかにもよるだろうけど……元々人としての、普通の町娘としての人生なんて諦めてるから。 俺はブリテンの地と民を護る為に生まれた………それだけでいい。」

 

 

 そして再度カリバーンを天に掲げ、大音声で誓いを立てる。

 それに合わせてシンとロイドが本来の大きさに戻り祝福するかの様に同時に天に咆哮した。

 

 

 

 

「俺は……()は、アルトリウス・ペンドラゴン! ウーサー王の跡を継ぎ、このブリテンの地と民を守護する事を確約する者である!」

“ グゥルァアァアアァォオオオオオ!!! ”

“ アォオーーォォオォォオオオンン!!! ”

 

 

 

 二匹の遠吠えで建物がビリビリと震える程、それは辺りに大きく轟き渡る。

 

 

 その轟音がやみ、静かさが戻った所で。

 

 ヒュッと払う様に振り下ろし、その後に肩に剣の腹を乗せる様に担ぎながら振り返り、右手を拳銃の形にして掌側を上にしながらマーリンに向かって指を指し、悪戯っぽく笑いながら、ウィンクをした。

 

 あ、そうそう。 二匹はお座りの状態でシンが15m、ロイドが18mまで成長したよ。

 

 

「と、いう訳で。 この後の後始末宜しく♪」(バチコーン☆

「ハハッ……やっぱり考え無しにやったんだね。 だと思ったよ…………」(乾いた笑い

「テヘペロッ♪」(キラッ☆

 

 

 もう一度バチーン☆とウィンクをしながら、超時空シンデレラのポーズで誤魔化す。

 

 

 

 

 

 

 

 こんな感じで選定は終わったのだが。

 まだ抜いたからといってすぐに王になれる訳ではない。

 

 

「さて……次はカリバーンを使いこなす為に諸国漫遊かな?」

「そうなるねぇ。 数日したら出るかい?」

「勿論。 あ、兄さんも連れて行かないとね」

「そうだねぇ! 彼、見込んでたよりもずっと強くなったし、ね! 連れてっちゃおうか!」

「おー!」

“ あぉーん! ”

“ ぎゃおー! ”

 

 

 同意する様に同時に吠える二匹。

 

 それを見て笑いながら、カリバーンを収める鞘を強請る為に、マーリンに向かって俺は一歩踏み出した。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。