Fate/Reunion Night(更新停滞中) 作:華海礼燬@更新停滞中
あくまで閑話なので細かい描写はカット。
ではでは、閑話の2、IFの世界線の話をドゾー。 (2017/02/03 半角スペースを全角に)
…………目を覚ました。
そして目を覚ましたという事に何故か戸惑う。
何故だ?
何故戸惑った?
思考を巡らせ、理由を考える。
考えて、考えて、考えて……駄目だ、まったく思いつかん。
試しに動こうとするが、なんだか体が思うように動かないし、起き上がろうとしても体を起こす事が出来ない。
仕方ないので自分の顔の前に手を持ってくる。
怪我のせいで動けないのなら何か手とかについてる筈だし。
そう思って、両手を顔の前に掲げてみると…………。
ぷくぷく、ぷにぷに。
そんな擬音が似合いそうな小さめの手。 しかも握るか開く位しか出来ない。
………………なんでさ。
思わずそう心中で呟き、眠気に意識を持っていかれる。
嗚呼、頭と眼が痛い…………………。
**********
幾たびか日が昇り、それと同じ回数日が沈んだ頃、自分は赤ん坊なりに情報収集をした結果、状況を理解した。
まず自分は前世というものがあり、これからは記憶にならい俺と一人称を変えるが、俺は日本生まれの日本育ちの純日本人で、オタクだったようだ。
思い出せたのは19歳くらいまでで、それ以降はまだ曖昧模糊としているが、当時は〈Fate〉シリーズにはまってアニメやゲームや二次小説を読んだりしていたようだ。
他にも色々ネットの小説や漫画とかも見ていたみたいで、空いた時間の殆どをネット小説に費やしていたらしい。
で、性別は女性だが、色々あって男性的な性格と口調だった様だ。
そして今居る場所。
平成の日本と比べ、随分と文明レベルの低い所の様だ。 強いていうならば、昔のギリシャとかエジプトとかそんな感じの。
周りの会話を聞く限り、ウルクだとか。
…………ウルクっていや、シュメール文明だったよな…………………?
あ、そうそう。
最初周りの人達が喋っている言葉はわからなかったんだが、暫く聞いているうちに理解出来るようになってしまった。
数日でだぞ? 前世があるとはいえ、赤ん坊で知らない言語を此処まで早く理解出来るというのは、明らかに異常だ。
話の内容的には、次代の王だとか、神の血を継ぐとか。
極め付けは、俺の赤ん坊としての名前。
………………ギルガメシュだそうです。
あかん(政治的意味で)。
前世凡人な俺にどうしろと?
でもな。 まだヤバいのがあってだな。
…………何故か何でも見通せます。 ありとあらゆるモノを。
いや確かにね? 伝説でも総てを見た者って呼ばれてるよ?
だからってこれは無かろうに?
取り敢えず千里眼(仮)とするが、見ようとしようがしまいが、今の所様々な未来のルートやその結果が見えている。
そのせいで眼と頭が痛い。 ウザい。
でもおかげ様で、様々な事を覚える事が出来ている。 その点は評価しよう。
ただでさえ帝王学とかめんどいからな。
未来の戦略や武器とかも覚えられる。 今の所使うつもりは無いが。
前世と比べると、頭のスペックも高くなってるみたいだし。
そしてルートの中でも、王にならないという選択を選んだ場合、十中八九国と民が大変な事になる様だ。 流石にこれは選ばない。
巻き込まれる人達が多い上被害がでか過ぎる。
一応ギルガメシュとして産まれた以上、或いは憑依してしまった以上、ウルクとその民を護るつもりだ。
ま、今はまだ赤ん坊だし、知識を千里眼(仮)で学んでいよう。
王になるという、来たる時の為に。
**********
10歳で王になりました、ギルガメシュです。
飛ばし過ぎだって? だって殆ど勉強ばっかだったんだもの。
学んでいる時は、先生より悉く上を行ってしまい、ドン引きされて全員に匙を投げられました。
仕方無いので勉強以外にも、料理やなにかを作るといった事を学んだ。 結果ドン引きされた。
殆どの事を玄人顔負けに出来る様になったので、千里眼を使って世界にまだ存在が無い魔術にも手を出した。
クセが強めだけど魔力消費の少ないオリジナルの魔術が出来てしまった。
それ専用の法を作って民にも広めてみた。
…………生活が便利になったが、とてもファンタジーな世界みたいになった。 ドン引かれた。
民には喜ばれたが。
取り敢えず千里眼頼りで色々出来る範囲の事をやってみた。 ちゃんと収集のつく程度に。
時代的に早過ぎるモノでも、ウルクに合わせてレベルを落としたものを実行した。
…………………結果。
超大国()になった。 この頃になると長老達は、王だから仕方無いと死んだ目で諦める様になった。
信じられるか?
王になってから数年しか経ってないんだぜ?
あ、あと千里眼(仮)は千里眼で確定みたい。
んで、見え過ぎて困るからノンホールピアス型の千里眼殺しをつくった。 あくまで補助程度にしかならないが。
それと、成長するにつれて神性が強まって来たので、それを抑える為にネックレス型の魔術具をつくった。 無いよりはマシ程度だったが。
ウルクでも名高い戦士達と戦ってもみたが、本気を出せる相手は居なかった。 勿論手加減はしない様、俺に勝ったら褒美を出す予定だった。
誰も勝てなかったが。
……………………………嗚呼、とてもつまらない。
**********
先日、二十歳を過ぎた。
この頃、執務に手を抜く様になった。
法をチマチマ時代に合わせて変えたり、初夜権を廃止したりするくらい。
初夜権廃止に反対する奴は、神性を解放し圧をかけて黙らせた。 貴様等に拒否権など無い。
国中の財宝を集め宝物庫をつくってみた。 無理矢理ではなく拒否権はあるが、欲しいモノはくれと誠心誠意頼んで、それでも駄目ならいつかくれと頼んだ。
魔術を使ったので見た目よりずっと広く、博物館の様な感じになった。 此処で様々な物を見ているのが唯一の癒しだ。
美しい物もあるので、盗まない限りは一部一般解放している。 盗もうとすれば処刑物だが。
…………………………嗚呼、しかしつまらない。
神々も自分勝手でウザったいし、いっそ崇めるだけで人間は人間として自立させようか。
うん。 そうしよう。 めんどいし。
**********
人間を神から自立出来るようにし始めた。
法とか、色々。
そしたら神に怒られた。 ウザいので突っぱねた。
神と人を繋ぐ楔? だからどうした。 俺は自由に生き、ウルクを護って発展させる。
人が生きるのに、神の意志など必要無い。
神など居なくとも、人は生きる。
淡々と。 坦々と。
国と民を導いていく。
いつしか、氷王と呼ばれる様になった。
一体いつから笑う事をしなくなっただろう。
目障りな奴は失せろと言い、下げさせる事が多くなった。 処刑場に送る事も多くなった。
……いつの間にか、民から恐れられていた。
嗚呼、なんてつまらない。
**********
ある時森に野人が出て、狩りなどに支障が出ていると情報が入った。
神々から、お前を諌める為に人形送ったから覚悟しろ! とか伝えられた。
……………民に被害が出ている以上、誰かを向かわせるべきだろう。
…………………………自分で行くか。 確実だし。
ついでにシャムハト連れて行こう。
連れて行った方が良い気がするから。
……………………暫くして森に到着した。
千里眼を頼りに探してみれば、動物達と共に過ごしている野人を発見。 奴が例の野人だろう。
近くに行ってみると、動物達は逃げ出したが、奴は此方を警戒して唸るばかり。
奴を千里眼で見てみたが、神々の言っていた通り泥で作られた人形の様だ。
このままではつまらない。
「シャムハト。 この泥人形に、人間的な知恵と常識を与えろ。 与え終わるまで此処に作る小屋に住め。 命令だ」
斧で木を倒し、少し広めの空間をつくってそこに魔術で楽をして倒した木を使った簡単な小屋をつくる。
「王よ、ちなみに理由をお聞きしても………?」
「民に迷惑をかけさせない為が一番だが…………そうだな。 少し期待をしてみる事にしたのだよ」
「期待、ですか?」
「あぁ。 神々は奴を私と同等の力をもたせたと言っていた。 なら、知恵をつけさせれば…………もしかしたら、私と本気で戦っても、つまらなくないかもしれないだろう?」
そうシャムハトに告げ、俺はウルクに帰った。
あの野人が知恵をつけたなら、どの様に戦えるのか。
今から楽しみである。
………………………嗚呼、早く。 早く私のもとに来い。
そして私を興じさせてくれ、神の作った泥人形よ。
お前は、私の空白を埋められるのか?
**********
一ヶ月たった。
いつも通り恐れられつつ執務を終わらせ、街を見ていると、シャムハトによく似たモノが俺に向かって語りかけてきた。
「王よ。 僕は神々に、貴方を諌める為に作られた。 故に僕の手で、貴方の慢心を正そう」
「ほぅ………………私が何に慢心していると?」
「楔でありながらその職務を放棄し、神々を無視した事だ」
「…………それで? お前はどうやってそれを正すと?」
「僕と戦え」
「………………フッ、クックックックッ……………
ハァッハハハハハハハ!!!!!」
思わず嗤ってしまう。
理由はとてもつまらないが、戦えるのなら別にいい。
「あぁ! 良いだろうとも、神の泥人形! 出来るものならやってみせるがいい! しかし、此処では周りに被害が出るから町の外の広い草原でやるか。 家が壊れたら直すのが面倒な上費用がかかるし、そんな事に税を使うなら道の整備をした方がずっといい。」
そう奴に告げ、魔術を使って飛び草原に向かう。
奴は飛べない様だが、跳んで俺についてきた。
そして、周りが壊れても然程影響が無いであろう広い草原まで飛び、地面に降り立つ。
「では、小手調べといこうか。 お前は何処まで私についてこれるのだろうな、神の泥人形?」
「そんな余裕を持っていられるのも今のうちだよ」
「ハッ! ほざけ、人形が!」
手始めに魔術で手元に呼び出したハルバードで斬りかかる。
奴は腕を剣に変え、俺の武器を受け止め返す刃で攻撃してきた。
それを避けて武器を召喚、再度斬りかかるも奴は身体を別の形に変えてやり過ごし、此方を攻撃してくる。
何度もそんな事を繰り返し、どれくらい時間が経ったのかわからないが、最終的に蔵に直接繋げてそこから武器を射出しながら斬りかかりつつ魔術で攻撃するという、よくわからないゴリ押し戦法を取るようになっていた。
既に周りの被害は気にしていない。
ただ目の前の相手と
「フフッ、フハ、フハハハハハハハハハ!!! 愉しい、愉しいなァ! 俺と此処までやりあえたのはお前が初めてだ!!」
「そうかい! というか君、息が切れて来たんじゃ無いのかな!」
「ハッ! 寝言は寝て言え!」
口角が上がるのを押さえきれず、嗤いながら戦い続ける。
もっと、もっと、もっと!
熱く、狂おしい程の血湧き肉躍る闘争を!
「そうだ! 俺はずっと、お前の様な存在を待ち続けていた! 俺と、本気で戦っても簡単に壊れない存在をッ!!!!」
神性を完全に解放し、最後まで残っていたハルバードで斬りかかりながら、俺は奴に言った。
「嗚呼………どれだけ、どれだけ待ち焦がれただろう! お前の様な、俺と同等の力を持つ、英雄になりうる存在を…………ッ!!!」
既に互いに満身創痍。 しかし、戦いは止められない。
戦って、戦って、戦って………それこそ、自身が壊れる一歩手前まで!
嗚呼……愉しい! 俺は今生きている…………!
奴と戦っているとそう感じる事が出来る……!
しかし、それも終わりが来てしまう。
戦闘に使った財の約九割が破損、奴も身体を構築している粘土を八割以上損失、俺達は同時に地面に倒れ伏した。
これ以上戦おうとすれば、刺し違えるしか無いだろう。
「…………もうこれで終いだな。 互いに」
「…………そうだね。 ………あの使ってしまった財宝達は、惜しくないのかい?」
「問題は無い。 使われた方が道具としても武器としても本望だろう。 それに、紛失しなければ俺は直せる」
「そうか。 そうなんだね。」
暫く沈黙した後、聞いてなかった事があったので聞いてみる。
「聞くのを忘れていたが。 お前、名はなんと言う?」
「僕の名前かい? エルキドゥ。 そう名付けられたよ」
「そうか。 既に知っているだろうが、俺の名を俺の口から教えてやろう。 ………ギルガメシュ。 偉大なるウルクを治める王、ギルガメシュである。」
「うん。 …………よろしくね、ギルガメシュ」
「あぁ。 よろしくされろ、エルキドゥ」
「………………時にエルキドゥ」
「? なんだい、ギルガメシュ?」
「俺の王宮に来ないか? というかウルクに住まないか?」
「え…………いいのかい?」
「勿論だとも。 ウルクの王であるこの俺が住めと直々に誘っているのだ。 返答は決まっているだろう?」
「ふふっ……そうだね。 それじゃ、お邪魔させてもらおうかな?」
「ではどんな家がいい? 最高品質のモノを用意してやる」
「え、最初言ったみたいに王宮に住まわせてくれるんじゃないのかい?」
「む? フッ、ならば喜べ! 特別に王である俺の隣の部屋に住まわせてやろう」
「ふふ……やった。 王宮って話には聞いてはいたけど、どんな所なのか気になってたんだ」
「玉座の間や客の招く場所は豪華絢爛、他の生活する場などは質素でありながら繊細な装飾が施してある。 今度王宮の中を案内してやろう。 王自らが案内するのだ、その身の幸運を噛みしめるが良い」
「ふふふっ、うん。」
仰向けに寝転び青い空を見上げながら、談笑をする。
此奴が居るなら問題無い。
何故かそんな風に思いながら、流れていく雲を見つめ続けた。
**********
そうして出会い暫くして。
主に執務関連だが、様々な会話をした。
そしてある時、彼はこんな事を聞いてきた。
「君は人々に恐れられているけど、何故自分を恐れる人達を守ろうと出来るんだい?」と。
俺はそれにこう返す。
「どこもおかしくは無いだろう。 俺は元々人類を護る為に生み出された者。 そこにどう思われるかは関係無いのだよ」と。
「それに王であるならば、国を、民を導くのは当然の事だろう?」と。
「……そうか。 君は、人間が好きなんだね。」と言われたので、「何を当たり前の事を。」と俺は返したのだった。
そんな会話を思い返し、王宮から街を眺めていると、後ろからエルキドゥが声をかけてきた。
「何を見ているんだい?」
「無論、街だ」
「君の事だ。 それだけじゃないんだろう?」
「………フッ、そうだな。 お前にはお見通し……か。 ………人々の営みと、笑顔を見ていた」
「へぇ、此処から顔が見えるのかい?」
「見える。 千里眼もあるからな。」
「そうなんだね。 …………ねぇ、ギルガメシュ」
「なんだ、エルキドゥ?」
「…………今日まで人の様に過ごさせてもらったけどね、僕は道具だ。 君が裁定する必要が無いモノだ。 …………だから世界の終わりまで、君の側に在り続けられる」
「………………………………」
「……………だから、だからね?」
「………いや。 皆まで言うな、エルキドゥ」
「ッ…………………」
「あのな……共に生き、共に語らい、共に戦う。 それは人でも道具でもない………………
………… “ 友 ” 、と言うのだ。 エルキドゥ」
「あっ………………………」
「俺にとって、お前は道具ではない。 ………不満か?」
そう彼に問いかけ、美しい草原の様な色の髪を撫でた。
「っ……………ううん。 不満なんてあるもんか。 だって、王様に友と言ってもらえたんだよ?」
「フッ………俺の親友となれる事、光栄に思うが良い、エルキドゥ…………いや、ルゥ。」
「るぅ………………?」
「あぁ。 俺だけが呼んで良い、お前の呼び名だ。 ちなみに拒否権は無い。」
「渾名かい? 拒否なんてしないよ、嬉しい。 …………じゃあ僕は、君の事をこれからギルって呼んでもいいかい?」
「いいとも。 親友だからな、特に許す」
「ふふふっ…………有難う、ギル」
そう言って彼は、優しい木漏れ日の様な笑みを俺に向けて浮かべた。
俺もつられて、微笑み返す。
…………………嗚呼、こんな日々も、悪くない。
そう考えながら、二人で笑いあっていた。