Fate/Reunion Night(更新停滞中) 作:華海礼燬@更新停滞中
あと閑話を本編と別の章に纏めました。
例の女神が出てくるが、この小説ではかなり丸い性格でキャラ崩壊しているので、それが嫌ならブラウザバックを。
ではでは、本編ドゾー。
「木材が必要、か……………」
書類を見ながら呟く。
ルゥと親友になって暫く経ち。
街を守る防壁を建設していたのだが、石や煉瓦だけでは少々心許ないので、木材も使おうかと考え………手に入れるのがかなりの高難易度だと気付いた。
木材は優秀だ。
防壁や砦などに使えるだけでなく、生活に必要な小物や道具などにも加工できる。
多くあって困るものでも無い。
………だが。
建築材に丁度いい杉……前世の頃読んだ叙事詩のwikiではレバノン杉と書いてあったか。
それの生えている森には、その杉の森の番人であるフンババが居るらしいのだ。
シュメール名でフワワと呼ばれるそれは、 “ 彼の者が誰かに目を向けたとき、それは死を意味する ” 、 “ フンババの咆哮は洪水であり、彼の者の口は死を意味し、吐息は正に火炎である!何者かが森に踏み入ったとすれば、彼は100リーグ離れた場所からどんな森のざわめきも聞き分ける! ” 、 “ その叫び声は洪水、その口は火、その息は死。七層の
…………全部wikiに書いてあった事だが。
他にもゲオルク・ブルクハルトの訳では、 “ ライオンの前足を持ち、体は棘のような鱗で覆われ、後ろ足には禿鷹の爪を持ち、頭には野牛の角が生えている。さらには尾と男根の先端が蛇になっている ” と描写されているんだったか。
前世での現代に残っている彫像の多くでは、奴の顔は動物の腸のような一本の管を、ぐにゃぐにゃと丸めたような形で表現されていて、見る者に不吉な印象を与えるものだった。 正直キモかったよ。
醜悪で恐怖を与える者として表現されていたフンババ。 wikiによると自然神でもあるらしい。
風の噂では、大体wikiの通りだが、彫像の様な見た目では無いらしかった。
だが詳しい見た目が伝わって来ないのは、少々痛いか。
しかし、街の……そして人間の発展の為には、木材が必要不可欠。
その上稀に被害の報告も上がってきている。
であるならば、王である俺のすべき事は………
「…………………………やはり、倒すしかないか」
顎をつきながらボソリと呟くと、それを聞いたルゥが疑問符を浮かべながら近づいてくる。
「ギルー? 倒すしかないって、何を倒すつもりなんだい?」
「あぁ……杉の森の番人であるフンババをだ。」
「……………………………それは、どうして?」
「街の、そして人の発展の為だ。 奴を倒し、杉を手に入れて、それを主に防壁や城塞に使う。 あとついでに神殿な。」
「神殿がついでか……」(苦笑しつつ
「ついでだ。 ま、シャマシュ殿の神殿には多めに使ってもいいと思っているが。」
「あれ、基本的に神を無視している君にしては珍しいね? 殿ってつけるのも初めて聞いたよ」
「シャマシュ殿は神であるのに、俺に色々と気を配ってくれたからな。 俺の個人神でもあるし、恩もある。」
「へぇー、そうなんだ。」
「杉の森は彼の管轄だし、許可を後で貰うか。 その前に母上のとこに訪問するべきか……?」
「………………………ははうえ?」
「……ん? 聞いてないか? 俺の母のリマト・ニンスンだ。」
「…………君、ちゃんと母って呼んでるんだね」
「彼女には世話になったからな。 敬意くらい払うさ。 ………あの父親には払えんが。 ほぼ育児放棄だったから。 理由はわかるが、ね……」
「ふーん………………」
「取り敢えず、先に母上に会いに行くか。 その後に、シャマシュ殿に許可を貰いに行こう。」
「……ねぇギル。 本当に遠征に行くのかい?」
「ん? ああ、勿論だが。」
「…………………………………、」(ポロポロ泣き
「ウェッ?! どど、どうしたルゥ!?」
いきなり泣き出したルゥを見て、思わず変な声を出してしまう。
「ほ、本当に……本当に、行くのかい?」(ポロポロ
「あ、あぁ。 行くつもりだが」
「お願いだ…………ギル。 行かないでおくれ」
「な、何故だ?」
「駄目なんだ…………行かないで」
「………………いや、俺は行かねばならんのだ。 お前は別に此処で待っていてくれていい。」
「でも、でも………………!」
「聞きわけろ、ルゥ。 俺は街と民の為に行かねばならん」
そうやって何度か言い合いをして、結局ルゥも付いてくることになった。
母上の所に訪問する前に、遠征に行くので留守を頼む為に長老達に伝えると、凄い勢いで反対された。
「駄目です王よ! 危険です!」
「杉の森の番人とその見張りは恐ろしく強いとか!」
「危険過ぎます! やめていただきたい!」
「王は歳が若いから、気がはやっておられるのです! 森に遠征など行ってはいけません!」
「…………これは決定事項だ。 異論は認めん」
「「「「しかし、王!」」」」
「口 を 閉 じ よ ッ ! ! !」
「「「「っ………」」」」
「先程から口煩く囀りおって…………この私を誰だと思っているのだ?」
「……ウルクを治める偉大なる王、ギルガメシュ様で御座います」
「そうだ。 私はウルクの王ギルガメシュ。 有象無象とは訳が違うわ。 ……それとも、私が弱いとでも?」
「い、いいえ! そのような事は決して……!」
「なれば口を出すな、長老よ。 お前達はただ王の帰還を待ち、その留守中の街を守っていればいいのだ」
「…………………王は相変わらずですな。」
「当然だ。 私だからな」
「フゥー…………わかりました。 無事の帰還をシャマシュ神に祈りましょう。 御武運を」
「うむ。 街は任せた」
「えぇ…………いってらっしゃいませ。」
長老達の説得を終え、母上の下に向かう。
此処から詳細は省くが、母上は俺達二人の加護をシャマシュ殿に祈り、ルゥの事を養子として迎え入れてくれた。
次にシャマシュ殿の所に訪問し、杉の森へ入る許可を貰う。
案内役として合成獣の様な遣い魔をくれようとしたが、千里眼で見れば一発なので辞退した。
そうした後、遠征の成功と無事を祈祷してもらい、万全の装備で杉の森へと旅立った。
前世のwikiに書いてあったのは、普通の人間なら45日ほどかかる距離……1500kmだったか? それを俺達は飛んで行ったので二日で入り口の手前についた。 wikiには三日で歩いたと書いてあったから、それより一日も早い事になる。
森の入り口には、フンババの手下の見張りが見える。
確かにいかにも強そうではあるが……フンババの手下、何するものぞ。
俺はギルガメシュ。 あの様な奴等など目でもない。
二体も居るが、それも俺にはあまり意味が無いだろう。
では、戦闘の時間だ。
「私はウルクの王、ギルガメシュ! 森の番人の手下よ、押し通らせてもらうぞッ!!」
油断はしない。 ただ敵を倒すのみ。
黄金に輝く鎧を身に纏い、メインの武装であるハルバードを構え、見張りの二体に斬りかかっていく。
何合か打ち合うと、大体の敵の動きを理解した。 やはりこの身体はハイスペックである。
「…………その程度で、私を止められると思うな!!」
ハルバードを一閃し、奴らの首を斬り飛ばす。
前座にもなりはしない。
嗚呼、とてもつまらない。
「ギルー、あっさり終わっちゃったけど、これどうするの?」
「横の杉の根元にでも埋めてやればいいだろう。」
魔術で穴を掘り、見張りの死体である首と胴体を杉の木の根元に埋める。 奴らの使ってた武器は墓標代わりに突き立てた。
埋め終えると、シャマシュ殿の声が聞こえた。
曰く、 “ 奴はまだ7つの鎧の内1つしか身につけていないから、今の内に急いで打ち倒しなさい ” らしい。
急いで山に向かうと、異変に気付いたフンババが上げた洪水の様に畳み掛けてくる激しい咆哮が、俺達を襲った。
嗚呼……なんと、恐怖を煽る恐ろしい声だろうか!
思わず身が竦み、立ち止まってしまう。
元々前世は普通の凡人であった俺だ。 恐怖してしまうのは仕方の無い事だろう。
その恐怖によってなのかは知らないが、前世の恐ろしい記憶が、フラッシュバックする。
暗く、冷たい、死の記憶。
前世の終わりに感じただろう、命を失う恐怖。
それが、突如として襲ってきた。
…………怖い。 途轍もなく恐ろしい。
身が竦み、凍え、その場から動けなくなる。
嗚呼………………なんと無様。
頭ではわかっているが、脚が動こうとしない。
怖い………怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖「……ギル!!」ッ?!
「ぁ…………る、ルゥ?」
「ギル……………………君は、誰だ?」
「ぇ…………」
「ギル。 もう一度聞くよ。 君は誰だ?」
ルゥが、俺の眼を真っ直ぐ見て、そう問いかけてくる。
「俺、は…………………………俺は」
震える自身の身体を抱き締めて、質問の意味を考える。
俺が誰か? 俺は、俺は、俺は…………。
「………………………………俺は、ギルガメシュ。 偉大なる王、ギルガメシュだ。」
そうだ。 俺自身いつも言っているじゃないか。
俺はギルガメシュ。 いつか未来において、人類最古の英雄王と呼ばれる事になる、偉大なる王ギルガメシュだ。
「そうだ………そうだな。 こんな所で立ち竦んでいる暇はないんだ。」
ハルバードを一旦地面に突き立て、自身の両頬を思い切りはたき、
「そうだ………俺が、俺こそが!!
ウルクを治める偉大なる王………ギルガメシュである!!!!!」
先程のフンババの咆哮に負けないくらいに声を張り上げ、宣言する。
もう、恐れなどしない。
何故なら、俺はギルガメシュだから!!
「エルキドゥ…………ありがとう。」
「戻ってくれてよかった。 ギルガメシュ」
「嗚呼……………では、いざ行かん! 森の番人を打ち倒し、杉を手に入れる為に!!」
杉の森へ飛んでいく。
人の発展の為に、俺は行く。
**********
森に入ると、立派な杉の木が立ち並んでいた。
正に圧巻。 自然の偉大さを感じさせる。
一瞬杉の立派さに見惚れるも、すぐに意識を切り替える。
………………奴が来た。
フンババ………この世界線では、フワワの方が正しいらしい。
神に創られた獣と、ほんの少しの間だけ会話をする。
フワワは、警戒をしながら言った。 「何故この森に来たのか」と。
俺はこう返す。 「お前を倒し、杉の木を手に入れる為だ」と。
フワワは次に、失望を滲ませながらルゥに問いかけた。 「何故この王を連れて来たのか」と。
ルゥはこう返す。 「僕は彼の盟友であり、彼が民の為に杉を望んだからだ」と。
そんな風に、フワワと二言三言ほど問答をし、互いに相容れない事を理解し、構える。
………………始まりは唐突だった。
フワワは炎と煙を吐き、伸ばした鋭い爪で攻撃を仕掛けてきた。
炎は結界魔術で防ぎ、視界を遮る煙は魔術で風を起こして吹き飛ばす。
爪はハルバードで受け流し、返す刃で斬り付けようと腕を振るう。
奴は避けた。 そして再び炎を吐きながら攻撃を仕掛けてくる。
それを避けて防ぎつつ、財も大盤振る舞いしながら、ハルバードだけでなく魔術も使って攻撃する。
ルゥも的確に相手の妨害をして、俺を援護してくれた。
戦いは熾烈を極める。
ルゥと戦った時程ではなかったが、戦いに使える財は既に半分くらいになり、ルゥの身体を作っている粘土も七割を切った。
苦戦するも戦い続けていると、シャマシュ殿が八つの風で援護すると言ってきた……のだが。
「援護はいらん! これは俺の、俺達の戦いだ!!」
怒鳴って援護を拒否する。
これは、神の手を借りてしまっては意味が無いと思うから。
神性を完全に解放し、千里眼を使いながら戦い始める。
どれくらい経っただろうか。
奴の隙を突き、ルゥの構造を手本にして作り上げた使い手の意思でホーミングして拘束する鎖を使い、遂にフワワを地面に打ち据える事が出来た。
フワワはせめて命だけはと言い、それをルゥは駄目だと言った。
しかし、俺に殺す意思など毛頭無い。
「俺は倒すとは言ったが、殺すと言ったつもりは無いが?」
「え、でもここで生かせばエンリル神が………」
「問題無い。 契約で縛り人に無闇に害を与える事の無いようにして、普段は森を守らせる。 そも、ここで此奴を殺せば、一体誰が森を守るというのだ?」
「それは、そうだけど」
「資源には限りがある。 無断で伐採する様な輩には攻撃をしてもいい事にするし、切った本数と同じだけ植林する予定だ。 それに絶対に切ってはいけない場所があるならば切らないつもりだ。」
俺が許可した者達には、複製の出来ない奪う事も出来なくした印を持たせ、必要な分だけ切らせる事。 若い木は切らずに、長く生きている木から切っていく事。 切り株は一時的にそのままにし、俺が定期的に来てそれを魔術で苗にして植える事などの条件を出し、契約を持ちかけた。 ちなみに此方が条件を破れば、契約が解除される様に。
契約しないのなら、その時は仕方が無いが殺す事になる事も。
フワワは暫し考え込むと、契約を受け入れると言ってきた。 命には変えられないし、此方がキチンとした条件を出したので妥協したのだろう。
すぐに契約の術式を組んで、国ではなく俺を主と定め、契約で縛る。
「…………よし、これでいいだろう。」
「ねぇギル、本当に大丈夫なのかい?」
「あぁ。エンリル神の方は不確定だが、フワワはもう大丈夫だ」
「なら……いいんだけど…………」
ルゥと話していると、フワワがなんて呼べばいいのか等と聞いてきたので、俺がお前の主とわかり、尚且つ罵りなど以外の呼び方であれば何でもいいと返してやった。
「………なら、ワタシは
「そうか。 では早速だが、どこの樹なら切って良いのだ?」
「ん。 案内する」
「あぁ、頼んだ」
フワワに案内してもらい、必要な分の杉だけ切り倒し、蔵とは違う最近新たに組んだ、モノを異空間に仕舞う魔術式を使い、切り倒した杉をその異空間に放り込んだ。
そして切り株を魔術で苗にし、倒した本数と同じ数植え、丈夫に育つ様に……と保護の魔術もかけておいた。
「…………さて、今回はこれくらいでいいか。 帰ったら新たな法を頒布せねばな…………では、私達はもう帰る。 証を持っていない人間は、なるべく殺さないで追い返すようにな?」
「わかった。 なるべく殺さない」
「わかっているならば良い。 森の管理は頼んだぞ、フワワ。」
「ん。 森を守るのはいつもの事。」
フワワに別れを告げ、帰路につく。
「…………なぁ、ルゥ」
「なんだい? ギル」
「帰りはゆっくりめに行こうか。 寄り道的な意味で。」
「寄り道かい?」
「あぁ。 変装して、近隣の街で買い食いでもしないか?」
「ふふっ………それは面白そうだね。 ついでに市場の様子を見るつもりかい?」
「……………何故わかった」
「君だしね。 無意味な事はしないと思ったのさ」
「俺でも、無意味な事をする時だってあるんだが…………」(軽く溜息
「ふふふっ♪」
八百屋の果物を買って食べたり、屋台が出ていたので串焼き肉を買って食べたり、酒場で呑んでみたり………いつもはしない事をして、民の様子を見た。 串焼き肉は割と美味かったのでまた食いに来たいと思う。
……………街はとても賑やかで、笑顔で溢れていた。
それを見て此方も嬉しくなり、より一層国と民を守ろうと決意する。
出来る事なら皆が幸せに過ごせるように。
**********
「今帰ったぞ!」
帰りは7日程かけて、街で買い食いをしてから王宮に帰ってきた。
「おぉ……! お帰りなさいませ!」
「王が御帰還なされたぞ………!」
「喜べ皆の者! 私は森の番人を打ち倒し、森の杉を手に入れてきたぞ! それと番人と契約して来た!」
「「「「「……………は?!」」」」」
「は? え、いや、ちょ、待ってください王!?」
「御無事で良かった………! けど契約ってどういう事なんです王!?」
「流石は王。 格が違いますな」(死んだ目
「私達に全く理解出来ない事をやってのける。 そこに痺れますし憧れますが………少々自重してほしいところですな」(死んだ目
「いつも通りですねわかります」(死んだ目
半数以上が死んだ目をしている。 ………やり過ぎただろうか?
「詳しい事は、森と伐採に関する法を作る時に話す。 それより、凱旋の祝いをするから準備をせよ。 身を清めて着替えたら母上達に報告と、幾つかの神殿に杉を奉献せねばならんからな。」
準備の指示や、杉の奉献に関する指示をした後、身を清めて身なりを整える。
王としての衣服を身に纏い、素では無く王としての立ち居振る舞いを意識して母上のもとへ向かっていると、突如イシュタル神が現れた。
簡略をするが、金の髪を靡かせた美しい女神曰く「番人との戦いを見ていた。 お前のあの強さと、お前のその美しさは私に相応しい。 なので私と結婚しなさい。」との事。
「………すまないが、それは無理な話だ。」
「っ!? なんでよ?」
「イシュタル神よ。 貴女と婚姻を結ぶという事は、私が神格化されるという事でもある。 だが、それは駄目なのだ。 私は人間として、この国と民を納めねばならないのだ。
…………それに、貴女をもらい受けるのに、私は一体何を差し出せばよろしいのだ? 貴女の夫や愛人の末路は耳にしている。 私に、貴女を女性として見てほしいのならば、せめて親離れをした後、精神的に大人になってから出直してくれ」
「なっ…………」
腕を組みながら、軽く溜息を吐きつつ彼女に告げる。
「……………そもそも。 私は、恋愛感情というものがわからないのだ。 わからないのにそういう関係になるのは流石に失礼だと私は考えている。 ……だから、貴女と結婚したり、貴女の愛人になる事は出来ない。 悪いが、そういう点では私の事は諦めてくれ。 友人の様な関係なら問題は無いのだが……それでは、駄目だろうか?」
出直せと言った直後には怒りに身を震わせていたイシュタル神だったが、此方の事情を説明して妥協案を出した所、顔を顰めて考え込んだが怒りは沈めてくれた様だった。
「…………ふーん。 わからないってゆーのは、仕方無いわね。 いいわ! 友達になってあげる。 金星を司る愛と美の女神であるこの私が友達になってあげたのよ。 感謝しなさい!」(胸を張り
「恐悦至極にございます、等という風に返せば満足かね?」(クスクス笑い
「な、なによ! なんで笑うのよ」
「いやはや。 これを口に出せば機嫌を損ねられそうなのでね、黙らせてもらおう。 母上に凱旋の報告もせねばならんのでな。」
「っていうか、なんでさっきと口調違うのよ」
「知らないのか? 友人には敬語は使わなくていいのだぞ? 時と場合は選ぶがな。」
「ふーん…………そういうものなんだ……………」
「…………ちなみにどこまで付いて来る気だ?」
母上の所に行く為再び歩き始めると、さり気なく隣に立って付いてきた。
「別にいいじゃない。 母上って事はリマト・ニンスンに会いに行くんでしょ? アンタが、どんな風に戦ってどんな風に凄かったか語ってあげようかと思って。」
「………せめてそれを話すのは私が帰ってからにしてくれ」
「あ、やっぱ気恥ずかしいんだ?」
「民から賞賛されるのとは勝手が違うからな……」
「へーぇ………」(にやにや
「………………顔が煩い」
「顔が煩いってなによ?!」
わちゃわちゃ話しながら母上に会いに行き、報告を終わらせて出来れば祝いの催しにも出ていただきたいと伝え、イシュタル神から揶揄われない内にさっさと逃げた。
凱旋の祝いは三日間続いたが、それも無事に終わり、杉の奉献も滞りなく終わった。
不確定だったエンリル神の反応も、特に何もなかったので安心した。
そして森と伐採に関する法を作る会議を開き、フワワとの契約の事とついでにイシュタル神の事を話しておいた。
長老達は死んだ目をしていた。
そんな事もあったが法を制定して頒布し、証を作り、樹を伐採する役割の者達と伐採した樹を運ぶ者達を選んで証を渡した。
これにより益々国は豊かになるだろう。
そして、ここ数日は…………。
「ギルガメシュー! 遊びにk」
「仕事中だ。 後にしてくれ」
「それ五時間前も聞いたわよ! 補佐の人間に聞いたけどご飯の時以外一切休んでないらしいじゃないの! しかも、ご飯も十数分で終わらせたんですって? アンタは人間なんだから、ちゃんと休まないと駄目でしょう!」
「大丈夫だ、三分の二は神だからな」
「そういう問題じゃな〜いッ!」
ほぼ毎日の様にイシュタル神が遊びに来る様になった。
しかも、
「ちょっと、エルキドゥ! アンタもギルガメシュ止めなさいよ!」
「え? 僕が来る前からこうらしいけど、駄目だったのかい?」
「あっったり前じゃないのーッ! 人間は壊れやすいんだから!! ほら! 今日はもう休みなさい!!!!」
「え、ちょ、まっ。 せめてこれを終わらせてから……」
「駄ッ目ッよッ!!!」
「仕事がー!」
報告書代わりの粘土板を奪い取られ、羽交い締めにされた状態でイシュタル神にズルズルと引きずられて行く。
引きずられたままでイシュタル神の神殿まで連れていかれ、三人でお茶をする事になる。
「というか何なの? 確かにギルガメシュ王はよく仕事をしているとは聞いていたけど、あれはやり過ぎでしょ!」
「いや、あれは遠征に行ってたせいで溜まってただけで、いつもはあそこまで酷くないぞ? 俺は、四日程纏めて仕事をして、一日二日丸々休んで、そしてまた四日程纏めて仕事をして……といった周期でやってるんだ。 緊急の仕事はその限りでは無いが」
「………じゃあ、いつもだったら仕事の日にどんくらい休んでるのよ。あと仕事は何時から何時までなの?」
「仕事は朝八時から夜の九時で、休むのは十時ごろに十分程、昼食の時間に二十分程、三時に二十分程だが…………?」
「…………馬ッッッ鹿じゃ無いのッッ!!!? 十三時間中五十分しか休んでないの!? ヘタしたらアンタ過労死するわよ?!!!」
なんかめっちゃ怒られた。
娯楽が殆ど無いから仕事で時間を潰していただけなんだけれども。
「十時に十分は別にいいわよ? けど昼と三時にたった二十分ずつなんて頭おかしいわよ?! 今度からは昼に五十分、三時に三十分、更に六時ごろに十分は休みなさい!!」
「いや、でも五十分も何する………」
「い い わ ね !!?」
「……………善処しよう」(目を逸らし
「善処じゃなくて、絶 対 に、よ!!!!」
ちなみに、ウチのルゥとイシュタル神は仲が悪くない。 あくまで友人になったからな。
親友であり盟友はエルキドゥただ一人だが。
それにしてもこのイシュタル神、随分と此方を心配してくるな?
前世の記憶は殆ど薄れてきているが………確かイシュタル神はもっと我儘で当たりが強かった気g「ちょっと! ちゃんと聞いてるの!!?」
「…………………聞イテマスヨ?」
「なんで片言な敬語なのよ…………アンタの事なのよ!? アンタが死んだらウルクはどうなるの! ちゃんとわかってる?!」
「わかった…………わかったからそう叫ばないでくれ。 耳が痛い」
「ぁ……それはごめん。 でも、アンタが死んだら元も子もないのよ? ウルクはアンタが居るから成り立ってるだけで、アンタが居なくなったらすぐにでも崩れちゃうかもしれないんだから。」
「むぅ……こんなに早く後継者に頭を悩ませなくてはいけなくなるとは………………」
結婚して子をもうけるのは、イシュタル神を振った手前気まずいし…………かといって親類に有能な者がいる訳でも無し。
この問題に頭を悩ませるのは三十代後半位になってからかと思ってたんだが…………。
あぁ、ちなみに俺はまだ二十六だ。
「なんなら私が産もうか? ちょっと接触するだけで孕める術式が有るし」
「やめてくれ。 望まなくても、外堀から埋められそうだ…………………」
「あー………それもそうね。 じゃあ無しか…………あ、そーいえば聞きたいんだけど。」
「ん? なにかね?」(お茶啜り
「アンタ童貞?」
「ブフッ?!」(噴き出すも咄嗟に顔を背けたので何もないところにかかる
「あれ、図星だった?」
「けほっ……聞くな。 是も否も言いたくない」(咳き込みつつ頭押さえ
「「……………………………」」(ジッと見つめる
「見るな……! 俺を見るな………!」(頭抱え
「………そうだ。 僕も聞きたい事があるんだ、ギル」
「………なんだ、ルゥ」
「たまに夜の遅くにさ、ギルの部屋に女の人が何人か入っt 「言うな! そして聞くな!!」 ……? なんでだい?」
「……………アンタ…………………」
「やめろ……! やめろ……!」(顔を覆い
いや、もう、ほんとやめろください。
ただでさえルゥにこの手の下世話な話を聞かせたくないと言うのに。
「俺のシモの話はもーいーだろ………? 別の話しようぜ…………?」(テーブルに突っ伏し
「? あ、じゃあ最後にもう一個聞かせて? なんで女の人だけじゃなくて男の人も入っていく時g 「やめろォォオ!!!」 …………?」
「え、嘘………? アンタ……………?」
「見るな、俺を見るな…………! てかルゥ! お前実はわかってて言ってるだろ?!」
「………? どういう事だい?」(キョトン
「あぁあぁぁあぁあ…………」(再び突っ伏す
駄目だ此奴天然だ………!
ただ純粋に気になった事を聞いてきてるだけだ…………!
「恋愛感情と性欲は別って事…………でもまさかどっちもイケるなんてねー……………」
「しゃーねーだろー? …………男だったら頑丈だから多少乱暴にしても壊れねーんだよ………。 でも女だと、ヘタすりゃー壊しそうで怖い時があんだよ……………」
「あぁー……そーいう理由なのね……………。」
思わず前世の荒い口調が出てきてしまう程に精神的なダメージを受けた。 ツライ。
あ、勿論自分から呼ぶ事は無いぞ!
向こうから勝手にやってくるだけだからな!
流石に、おかしな奴は追い返すし、好みじゃないのも追い返すけど………。
衛生面とかは魔術で徹底してるし……それに、術式組んでナカに出しても絶対孕まない様にしてるし………後は、まぁ………絶倫なのと、他と比べて割と上手いらしいです。((
一番初めては、俺の命を狙ってきた暗殺者を気まぐれに抱いてみたのが最初だったかな。 どうせ俺を殺しに来てるんだしナニをヤっても許されるだろ、的なノリだった筈だ。 あの時すげー酔ってたんだよな……………。((
これが原因で吹っ切れちゃったんだったか。
ハニトラとかじゃなくて、純粋に寝首をかいたり戦闘一筋な感じの暗殺者(男)だったんだけども。 その手のモノに、一切関わって来なかった真っさらな奴を快楽で堕とすのはかなり愉しかっ………ヤバい愉悦部員染みてきてる。 自重せねば。
だから、それ関連でウラの奴等がよく来たりする。
その上ウラの奴等のせいで更にアレが上手くなる。((
そして毒の耐性もドンドン上がる!((
ヤってる最中に全員して毒仕込んでくんじゃねェよテメェ等…………俺じゃなかったら確実に死んでるからな。 俺で遊ぶんじゃねェ。
この繋がりで暗殺者の組織を飼う事になったのは思わず笑ったよな…………表では護衛という事になってるけども。
あぁ、流石に全員は抱いてないからな?
そこまで吹っ切れてしまったら、アウトだと思ってる。
「っていうか、それなら私も抱いてくれたっていいんじゃないの?」
「だから外堀埋められそうだから却下だと。 その上仮にも女神を性欲だけで抱くのは、色々と駄目だろう?」
「仮にも、って所が引っかかるけど………まぁ、いいわ。 ユルいかと思えば変なとこで堅いのね? アンタって。」
「……とにかく。 この話題はもう終わりだ。 後継者の問題も後回しにする。」
「仕方無いわねー。 ここら辺で勘弁してあげるわ。」
「全く………………」(溜息
「…………………………?」(←全然会話についていけなかった
「ルゥは気にしなくていいからな?」
「? 所々聞きたい事があったんだけど………」
「聞くな。 割と切実に。」
「…………? ギルがそういうんなら、聞かないけども………」
俺の性癖が暴露されたせいで精神的ダメージを負ったが、他に人が居なかった分まだマシな筈だ。
……というか、そう信じたい。 ウラでは割と広まってる事とはいえ……前世の常識人的な部分が残ってるせいでゴリゴリとダメージ受けるんだよ。(死んだ目
いくら “ 英雄色を好む ” という言葉があるとはいえど、前世での常識が変に残ってるせいで精神的ダメージを負ってしまうんだよな。
おのれ現代(※この時代から見れば超未来)の常識め。
そういった観念がユルい神代に、その常識はキツい。
割り切れればいいんだけど、やっぱり前世の常識が中々抜けない。 仕方無いね。
……………あー。 やっぱ仕事してないと落ち着かん。
**********
フワワと戦ってからそこそこの月日が経ち、林業も軌道に乗った。
あーそれと、イシュタルに仕事を減らされたんだが、過労死させない為だと言われれば納得せざるを得ない。
今改めて考えるてみるといつの間にやらワーカーホリックになってるなーと思う。 仕事は続けるが。
最近はイシュタルともかなり仲良くなった。
変にモーションかけてきたりしないし、ルゥとも仲が良いので毎日楽しく過ごしている。 仕事の合間に、だが。
たまに揶揄ってやると反応が面白い。
「やっほーギル! ちゃんと休んでるー?」
「あ」(←休む時間なのにまだやってた
「…………休 み な さ い ?」(ゴゴゴ…
「お、おぅ…………」
………今回の様に、本当なら休む時間にやって来て、仕事を続けていると強制的にやめされられるというのをよく繰り返している。
やはりこのイシュタルは、Fate公式のイシュタル神より面倒見がいいみたいだ。 それどころか人が良い。 女神だけど。
本来のイシュタル神だったなら早々に斬り捨てて神殺しをしてしまっていた事だろう。
あぁ、あと最近はイシュタルを呼び捨てにし、向こうは俺をギルと呼ぶ様になっている。
…………そういやほぼ毎日座り仕事なのに身体の筋肉衰えないな? 何故だろう。
ずっと同じ体勢だとなんか動いた時血栓とかが云々で危ないって前世で聞いたことがあったから、魔術で常に圧迫されてる所にも積極的に血流多くしてたのは多分関係無いし………?
……あー、あれかな? 血流だけじゃ駄目だと思って、筋肉に負荷をかけたり弛緩させたりを魔術で繰り返していた奴。 絶対これだわ。
全身にかけてたから、ムキムキのイイ身体になってる。 戦うのには使えるから、別に気にしてないけど。
…………てかFate公式の英雄王よりもムキムキな気がする………身長も彼奴より高くなってるし。
ゴリマッチョ程では無いのは救いだが………俺ゴリマッチョちょっち苦手なんだよな。
似合ってるやつなら普通にアレなんだが。
ゴリゴリ過ぎると引くっつーか………。 細マッチョからゴリマッチョ三歩手前位が丁度いいと俺は思う。
まぁ、貧弱よりはずっといいからこのままでいいか。
「でねー……って、ギル聞いてるー?」
「おっと、すまんな。 考え事をしていた」
「…………また仕事じゃないでしょうね」
「大丈夫。 全く関係無い事だ。」
「ならいいわ」
…………そういや、さっきも思ったんだがこのイシュタルあまりにも性格丸くないだろうか。
言うなれば、FGOでのあかいかくまと合体したデミサーヴァントのイシュタルに、更に良心を多目に追加したような。
口調もイシュタ凛に近いし。
……………聞いてみるか。
「なぁ、イシュタル」
「あら何?」
「俺の眼で観た、他の平行世界のイシュタルとお前の性格の差はなんなんだ? 他の所のお前は人間を所有物としか思っていない様な、正に女神とも言うべき悪辣な人格だったのだが。」
「あー、そうなの? まぁ私も最初はそうだったんだけど、アンタが生まれた頃だったかなー。 突然誰かの記憶?記録?的な物が感情と共に流れ込んできたのよね。 ボンヤリしててはっきりとはわからなかったのだけど」
「は……?」
「それでね? その誰かの名前とか周りに居た奴らの名前はわかんないんだけど………多分私と同じどっかの神話の女神だと思うのよねー。」
「はぁ……………」
「その女神、みょーうに私に似てる気がしたのよ。 他にも女神じゃないけど、私にちょっと似てる……未来、なのかしら。 えっと、ジョシコーセー?ってのをしてた女の子の物とかも、ちょっとばかし流れ込んできたのよね。 それで口調も価値観もある程度変わって、前みたいに振る舞えなくなったのよねー、なんか。」
「成程……そうだったのか」
えーと、つまり…………結論:俺の転生に伴う御都合主義?
……………………………………釈然としねェ。((
「………ちなみに、その流れ込んできた物に対して何か思う所はあるか?」
「んん〜……………特には? 私と話す人間達が前よりピリピリする事無くなったから、むしろ良いのかしら。」
「そうか、問題無いならいい。 俺は今のお前の方が好ましいぞ? お前の言う元々の性格であったなら、早々に神殺しをしていたかもしれんからな」
「ちょっ?! それは流石に不味いわよ!?」
「だから言っているであろう? 今のお前が好ましい、と。」
「もぅ……………神殺しなんてしないわよね?」
「………………。」(顔ごと視線を逸らす
「何で! 目を! 背けるのよ!!!」
仕方無いジャマイカ。
俺だって、俺の友や俺の国、そして民に手を出されて黙っている程腑抜けでは無い。
「あー、なんか納得だわ。 アンタってウルクもエルキドゥも大事にしてるものね。」
「おい…………俺の友はルゥだけでは無いぞ。 盟友はルゥだけだが」
「え? アンタアイツ以外にも友達居たの?」
「何を他人事の様な顔をしている。 お前も友だろうが」
「………………………………ぁ。」
「お前な…………。 まあともかく、何かあれば頼っても良いぞ? お前に非が無い場合のみ手を貸してやろうではないか。」
「………………………………………………」
「おい? イシュタル?」
「っ……………………あ、ごめん」
「全く………取り敢えず。 真に困った事があれば俺の名を呼べ。 祈りながらな。 そしたら地の果てだろうが冥界だろうが、お前を助けに行ってやろう」
「……………………ほんとに?」
「当然だろう。 友なのだからな、助けるのは当たり前だ。」
「…………………そ、っか……………ありがと。」
「フッ。 俺が居れば、どんな問題も立ち所に解決よ! ………あ、恋愛関連は苦手だから勘弁してくれ」
「うふふっ! 恋愛感情がわからないからって言って女神をフるくらいだものねー?」
「……………案外まだ根に持っているのかね……………………?」
「ふふふっ…………さてさて♪ どーかしら?」
「うぐぐ……………………」
イシュタルはクスクス笑い、俺はそれを見ながらはぐらかされた事に対し悔しそうにして。
こんな平和が、死ぬまで続けばいいのにと。
そう願って………けれど、それは叶わないかもしれないと思ってしまった。
既に、不穏な歯車は回り出し。
叙事詩の終わりに向かって、運命は収束し始めていたから。