ダンジョンで出会ってしまったのは間違っていただろうか?   作:ハヤさん。

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むぅ...なんか違う。


第二話[限界解放/オーバーロード]

はい、第2話です!!今回はルミナのスキル発現回です。人を超えし力を得る[限界解放/オーバーロード]の力をご覧あれ!!!

 

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ツキ様は、俺に言ってくれた。

 

「あなたは死にません。大丈夫です。あなたは、救世主になるんですから。それに、私がついています。私が、あなたを護っています。護ってあげます、だから、怖がらないで、その一歩を」

 

そう言って、ツキ様は俺をそっと、しかし、ぎゅっ と力強く抱き締めてくれた。あの日は忘れない。そして、俺の生きる源になっている。

 

···何、弱気になってんだよ···立ち上がれ、剣を握れ···立ち向かえ!!俺は、ツキ様の下へ、帰ってくるんだ!!!

 

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「···はっ!?···ガハッゴホッ···!!」

 

俺は、冷たい地面の上で眼を覚ました。ここは···?そうだ、俺はダンジョンに行って、そして···

 

「キラーアントは!?」

 

辺りを見渡すと···辺りは黒い[何か]で埋め尽くされたいた。その黒い何かは、うようよと蠢き、赤い二つの光が爛々と光っている。···そんな···馬鹿な···?"これ"全部、キラーアント···なのか···?

 

「···ギィィ···」

 

その内の一匹。いや、違う···こいつが統率を執っている。さっき俺が対峙した巨大なキラーアント。おそらく、こいつが咆哮し続け、キラーアントを大量に呼び寄せたのだろう。そして、何を思ったかは知らんが、今まで俺を殺さずにいた、というところだろう。···良い趣味してるぜ、お前。

さて···これ···どうするか···?少なくとも、30匹以上いる。それに、あの巨大なキラーアントだ。総戦力は、大変な事になっているだろう。統率の執れた、殺戮蟻軍団ってところか···

 

「···ごめんなさい、ツキ様···」

 

俺は、もう帰ってこれないかもしれません···だけど、諦める選択肢は、無い!!

 

「···うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

 

高らかに吼え、刀を二本抜刀し、キラーアントの大群目掛けて突進する。まずは、こいつらから!!!

一匹一匹、個体の強さはそうでもない。当たり所が良ければ、一撃で倒すことだって、可能だ!!!

 

「せあぁぁ!!!!!」

 

ザシュッ という音と共に、一匹のキラーアントが黒灰となって消滅した。

 

今まで培ってきた戦闘技能を、覚えてきた知識を、そして、固めた覚悟を全てぶつける。

 

だから、俺は戦える。この戦場で、舞える!!!!

 

「うおおおおおおおおおおお!!!!」

 

こんなところで、死ぬわけにはいかない!!!

俺は両手を狂ったように振り回し、キラーアントを切り刻む。そして蹴りを入れ、相手を牽制し、最後の一突きをお見舞いする。今ので、五匹は消えた。でも、まだまだ···!!!

 

しかし、相手も無抵抗じゃない。群れを成し、キラーアントは襲い掛かってくる。小さいとはいえ、その顎から繰り出される攻撃は十分脅威だ。注意しないと···

しゃーない···一気に決めるか···!!! 俺は距離をとり、詠唱の準備を開始した。

 

『レクレールサヴェーション/閃光付与!!!』

 

全身に閃光が走り、電流が迸る。血が沸騰したような感覚と共に、視界がクリアになる。まず、動きが遅いのが、前の四匹、まずはそいつらから···っ!!!!

 

ビュッ 「···っあぁ!!!!!」

 

「ギィィ!!!!」

 

瞬間的にダッシュスピードを上げ、四匹をすれ違い様に斬り伏せる。恐らく、今の俺の動きは、[黒い閃光]だ。

さぁて···次は···こいつらだ!!!!!

 

しかし、俺が降り下ろした刀が、キラーアントを斬ることは無かった。

 

刀が空を斬る。そこに、斬ったはずのキラーアントの姿は無かった。何が起こった···?理由は至極簡単。我慢できなかった大型キラーアントが、俺が斬ろうとしたキラーアントを突進で吹き飛ばしたのだ。そして、その勢いを衰えさせず突進してきたキラーアントに、同時に俺も吹き飛ばされた。

 

「がふっ···!?」

 

「グルルルルル···」

 

また岩肌に体を強かに打ち付け、地面に崩れる。意識が暗闇に放り出されてしまわないように、舌を噛んで耐える。くっそ···まじかよ···

 

俺はキラーアントを睨み付ける。しかし、そこには先ほどまで見ていた大型キラーアントの姿は無かった。その替わり[深紅の装甲を持つキラーアント]が、そこに佇んでいた。

 

「···どちら様ですか···?」

 

「フシュゥゥゥゥゥ···」

 

何溜め息ついてんだこの野郎。

 

そして、紅い閃光は消える。

 

「···ぐがぁっ!!!!!????」

 

速い、速過ぎる。さっきのあれでも速かったのに、今度のは桁違いだ。まるで見えない。[閃光付与]で強化されている俺の肉眼で捉えられないなんて···もはや俺に勝ち目はない。だけど···

 

「ツキ様···俺に、力を貸して下さい···今しか、無いんです···ここまで来て、逃げるわけには、いかないんです!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

刹那、俺の身体を、黄金の光が包んだ。

 

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人というのは、力を抑えている。脳から出される出力は、3%にも満たないらしい。それは何故か。身体が、その3%の出力に慣れてしまい、それ以上の出力が出されたら持たないからである。俗にいう"人の物理限界"はこれである。

 

なら、それを壊したら?それを超えたなら?それは、この後、ある少年により証明される。

 

スキル[限界解放/オーバーロード]、発動。

 

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何だ···これは···?身体が軽い。よく見える···何だこれ···!?

深紅のキラーアントが突っ込んでくる。しかし、それは"酷く遅い"

 

「···ふっ···」

 

「グガッ!?!?」

 

刀を後ろに引き下げ、渾身の一撃を放つ。それは深紅の装甲を突き破り、深々と突き刺さる。何でこんなに脆い?

続けて回転斬りを放ち、自慢の大顎が根こそぎ崩れる。スカーレットキラーアント(命名)はひっくり返り、地面をのたうち回る。俺は軽く地面を蹴り、それだけで大きく跳躍する。そして、剥き出しになった無防備なその腹に、両方の刀を思い切り突き刺す。

 

「ギィヤァァアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

 

最後の叫びを上げ、しばらく暴れたあと、ついにスカアン(めんどくさい)は動かなくなった。

 

紅い灰をぶちまけ、深紅のキラーアントの身体は吹き飛び、深紅の装甲の亡骸と、巨大な魔石がゴトン という音を立て、地面に転がった。

 

暫く、俺は放心状態にいた。しかし、意識がだんだんと戻ってくる。

 

「···勝った···のか···?」

 

漸く、深紅が居ない事に気づき、自分の勝利に気づいた。···まじか···やった···

 

「ぃよっしゃああああああああああああ!!!!!」

 

俺は地面に倒れこみ、ダンジョンの天井に向かって叫ぶ。やった!!やったぞ!!倒した!!勝った!!

 

 

そして、俺の意識は、暗闇に放り出された。

 

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···あ···れ···?ここは···?

 

俺は、何故かあるベッドの上で眼を覚ました。···さぁ、言ってみようお約束!!

 

「···知らない天井d「あ、眼を覚ましたのね、ルミナ君」···」

 

···えー···。言わせて下さいよ···

 

「エイナさん···」

 

「ん?どうしたの?まだぼーっとする?」

 

そう言ってエイナさんは、頼れるお姉さんスマイルを振り撒く。···可愛から許しますよ。えぇ許しましょう!!!いやぁ、この笑顔を見れただけ良いとしますか。

 

エイナさんは、ギルドの受付嬢で、なんとかなんとかさんの専属アドバイザーをしてるらしい。こうやって他の人の受付も行っているらしいが、基本、そのなんとかなんとかさんらしい。正直、羨ましい。でも、俺にはツキ様が···あぁ駄目だ!!そんな恐れおおいことを···

 

そんな煩悩はさておき。疑問。

 

「あの、なんで俺此所にいるんですか?俺、ダンジョンに潜って···あれ···?」

 

おかしいな···ダンジョンに潜って、そこから···あれれ···?そこからの記憶がプツンと途切れてしまっている。何があったんだ···?

 

「え?覚えてないの?君、ダンジョンで気絶してたんだよ?」

 

「気絶?」

 

「そう。それでね、おっきな魔石と、紅い灰が残っててね。中でも眼を惹いたのがこれ」

 

そう言って、エイナさんは白い布で包まれた[何か]を取り出す。それは、深紅で包まれた大きな板だった。あれ?それ、どっかで見たような···?

 

「これが残ってたんだって。ルミナ君、これ何?」

 

それ···は···確か···何だっけ···思い出せ···紅、深紅、板、ダンジョン···キラーアント···?そうだ!!!深紅のキラーアント!!!!

 

「···そうだ!!!エイナさん!!!聞いて下さい!!」

 

俺はベッドから身を乗り出して、エイナさんの顔に迫る。エイナさんの綺麗な、整った顔が目の前にあった。···後々考えてみれば、顔から火が出るほど恥ずかしい。

 

「わっ!ど、どうしたの?」

 

「あの···」

 

俺は、ダンジョンで出会った深紅のキラーアントについて、エイナさんに話した。

 

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「···ルミナ君、それマジ?」

 

「マジです」

 

エイナさんがマジ って言うの可愛いな。じゃなくて。

 

「···そんな、もうそんなに出現してるなんて···」

 

「···出現?」

 

もうそんなに?どういう事だ?

エイナさんは眉を寄せて顔を曇らせる。何があったんだ?

 

「···あのね、ルミナ君が倒したそのモンスターは、最近確認された[突然変異種]と呼ばれるモンスターである可能性が高いわ」

 

「突然変異種?」

 

「えぇ。その名の通り、通常種とは違う形態をもつ極めて稀な種類なんだけどね。まだ二匹しか確認されてないのよ。その内の一匹は、ルミナ君の深紅のキラーアント」

 

ほえぇー···ん?二匹?まさか、俺の他にもう一人、その突然変異種を倒した奴がいるのか?

 

「そして、もう一匹が[深紅のミノタウロス]。ベル·クラネル氏が倒した、ミノタウロスの強化個体よ」

 

···ミノタウロス···?あの、中層での高レベルモンスター···?それを、ベル·クラネルが···

 

「···その、ベル·クラネルって人は、レベル何ですか?」

 

「私も驚いたわ。レベル1よ。恐らく世界最速でミノタウロスを倒した人ね、しかも一人で」

 

「···」

 

···そんな···!?レベル1···!?一人で···!?そんな···馬鹿な···

 

 

 

俺は、自分の強さにそれなりの自信を持っていた。二刀流であることも、魔法を使えることも、一人で大量に狩る事ができることも誇りと自信を持っていた。

しかし、それは間違いだった。紛い物だった。それを今、気づかされた。

 

自分はまだ、全然強くない。上に、届いていない。自分と同じレベルの奴にさえ、届いていない。舞い上がっていた、錆び付いた剣を自慢そうに掲げる、ただの子供だった。

 

それが、悔しくて堪らない。

 

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「···ルミナさん···遅いですね···」

 

さすがに、帰りが遅すぎる。何かあったのだろうか···?

お茶の入った湯呑みに両手をつけ、暖める。

 

「···はっ!?まさか!?私に隠れて女の子と···!!!」

 

それなら帰りが遅いのも頷ける。ルミナだって17歳。そういうお年頃だ。女の子と一つや二つ、遊びたい盛りに違いない。

 

「はわわわわわ····!!!!そ、そんなぁ、ルミナさん···!!!!」

 

あぁ、今までぐずぐず、気持ちを伝えなかった自分が悪いのだ。ルミナのあの蕩けるような優しさに、自分だけを見てくれると錯覚し、その優しさに甘えていた自分が悪いのだ。自分の気持ちを伝えれば、あの優しい少年は快く、神だの人間だの気にせず、ツクヨミだけを愛してくれただろう。否、愛さなければならない使命感をもつだろう。

 

「···うえぇ···ひっく···うぅ···」

 

自然と、涙が溢れてくる。もう会えないわけじゃないのに、彼を独り占めしてしまいたい独占欲は、留まる事を知らない。神も、恋には盲目らしい。神だって、気づかないことがあるのだ。

 

ガチャ 「ツキ様~?もう寝ちゃってますか~?すみません、遅くなってしまって···」

 

「ルミナさぁーーーーーん!!!」ムギュ

 

「うわあああああ!?つ、ツキ様!?!?」

 

「うえええん!!!会いたかったんですよおお!!どうしちゃったんだろうと思って!!何かあったらどうしようって···もしかして女の子のくんずほぐれつしてるのかと思って「え、ちょっと待って下さいそれどういう意味ですか?」それで、私···!!!」

 

抱きつきながら、ツクヨミはこっそり彼の匂いを嗅ぐ。鼻腔を擽る甘ったるい匂いは、ツクヨミの身体を満たしていく。このまま眠れるくらいの気持ち良さに襲われる。

 

「あ、あのツキ様。俺、そんなくんずほぐれつなんてしてませんから、安心してください」

 

「···ぐすっ、ホントですか···?」

 

「はい、エイナさんと話してきたぐらいで」

 

「うわああああああん!!!!やっぱり女の子と話してるじゃないですかああああ!!!!あああ私の馬鹿あああああ!!!」

 

「ええええええええええええ!?!?」

 

ツクヨミの勘違いは、寝るまで続く。

 

 

 

~ちょっと落ち着こう~

 

「···と、いうわけなんです。分かってくれました?」

 

「···zzz···」

 

「···寝んなああああああああああ!!!!」

 

俺はこっくりこっくり舟を漕いでいる(ちくしょー!!!めちゃくちゃ可愛いいいいいいい!!!!)ツキ様を揺り起こす。

寝間着のツキ様はよく出てくるピンクの浴衣で、金の鈿で髪を纏めている。少し開いた胸元が、俺の理性をぐちゃぐちゃに掻き回してくる。また、袴の隙間から覗く白い太ももがチラチラと目に入り、もうあれが爆発しそうになる。はい駄目ですねごめんなさい。

 

「ふあぁ···はい、分かりました···私の勘違いだったんですね···」

 

「えぇ、そうですよ。」

 

大体、ツキ様と一番くんずほぐれつしt、ゲフンゲフン。

 

「はぁー···良かったぁー···一安心です」

 

「え?何でですか?」

 

「何ででしょうね?」

 

そう言ってツキ様は妖美な笑みを浮かべる。その黄金の瞳に吸い込まれそうになり、その唇に吸い寄せられそうになる。ツキ様は、身体の全てが吸引機だ。

 

「···あの、それでですね、ツキ様。」

 

「はい、何でしょう?」

 

「ステイタス更新をお願いします」

 

忘れてた

 

「あ、はい♪任せて下さい!」

 

ツキ様は、いつもの胸の前でガッツポーズを作る。やぁ可愛い。

 

俺はベッドの上で、仰向けになり、ツキ様が俺の背中に跨がる。すべすべとした感触の太ももがやヴぁい。

ツキ様は神血(イコル)垂らし、ステイタスウィンドウを輝かせる。相変わらず、神の恩恵とは凄い。

 

「···ツキ様、どうですか?」

 

「···ルミナさん、あなた今日、何があったんですか···?」

 

「え?さっき話した通りですけど···?」

 

「ルミナさん···おめでとうございます!!!レベル···2です!!!!」

 

ツキ様の嬉しそうな声が、部屋に、俺の鼓膜に響いた。

 

 

 

 

 

   [限界解放/オーバーロード]

 

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今回は、ルミナ君のスキル[限界解放/オーバーロード]でした。内容は次回。そして、突然現れたスカアンも次回ということで!!

 

次回予告

 

遂に深紅のキラーアントに勝利したルミナ。街に戻ってきたルミナに、ギルドの受付嬢、エイナ·チュールから告げられる衝撃の事実。[突然変異種]の存在深紅のキラーアントを超える強化個体[深紅のミノタウロス]を倒した[ベル·クラネル]という冒険者の存在。そして、倒れた自分を救ってくれた一人の冒険者[セツナ·クロカゼ]。

 

少年は切に、強くなりたいと願う。一人の冒険者の背中を追いかけて。そして、少年は二つの月と出会う。

 

次回、ダンジョンで出会ってしまったのは間違っていただろうか? 第3話[強き者/月夜見ノ双月/刹那の風]




違う。
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