ダンジョンで出会ってしまったのは間違っていただろうか?   作:ハヤさん。

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オーバーロードってかっこいい...って自分の中では思ってます。


第七話[深紅火炎/迷宮楽園]

第7話

   [深紅火炎/迷宮楽園]

 

 

「いきますよ、セツナさん!!!」

 

「あいよっ!!!」

 

俺は腰に差した剣、深紅の刀身をもつ[紅桜]を抜刀する。そして、セツナさんは小型短刀[クナイ]を指の間に挟むようにして抜刀する。珍しい武器だな。

向かってくるモンスターは、狼のような姿をしたモンスター[コボルト]。単体の戦闘力はそうでもないが、群れを成しての連携攻撃、そして

 

「ギャウ!!!」ボウゥッ!!

 

口から吐く[火炎息/ファイアブレス]は厄介だ。俺はそれを体を右に捻り、駆ける位置をずらし、すれすれでかわす。チリチリと、焼けるような音と共に、焦げ臭い匂いが、辺りに充満する。だけど、隙ができた!!!

 

「はあぁっ!!」

 

コボルトの頭を一刀両断し、黒灰となったコボルトから目を離し、次の獲物を見定める。しかし、そこには一匹のコボルトもいなかった。

 

「こっちは終わったぞールミナ君?」

 

「はい。片しておきました」

 

地面に落ちた数本のクナイを拾うセツナさん。そして、腰の鞘に納刀するリューさんの姿があった。凄いな···あの数を一瞬で···

 

「私としても、リリ達は救いたい。私の数少ない仲間だからな」

 

「···親友の頼みです。それにこれ以上、友人を死なせるわけにはいかない」

 

二人の瞳からは、堅い意思が伝わってきた。本気で、救いたいんだな···。

 

「はい。俺もです。皆さん!! 先に進みましょう!!」

 

待ってろよ、ベル···。絶対に助けるからな···!!!

 

 

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「えっ? ベルさん達が!?」

 

「そうなんです!! 俺もさっき、道を通りかかったヘスティア様に教えてもらって。今、救出パーティーが組まれていますから。ヘルメス様が、リューさんを連れてこい、って。」

 

時は、少し前。ベル一行救出パーティーが組まれている時。アスフィさんと一緒に来たヘルメス様は、何故かリューさんを連れてこい、と言った。リューさんって、もしかして···

 

「リューさんて、冒険者だったんですか?」

 

「···えぇ。昔の話ですが」

 

やっぱりか。纏う雰囲気や、話す言葉。何より前俺に言ってくれた言葉が、冒険者風だった。それにしても、神直々の指名だなんて···かなり凄い手練れだったりして···。

 

「到達レベルは、4でしたが」

 

「うえぇ!? 凄いですね!!」

 

レベル4。かなりの上位冒険者だ。

 

「···そう言えば、ルミナさん。前、クラネルさんに怒鳴っていませんでしたか?」

 

走りながら、リューさんが聞いてくる。あぁ、見られてたのか···ちょっと恥ずかしいな···。

 

「えぇ、まぁ···。喝っていうか···冒険者は強くあれって教えてたんですよ···。あ、今思えば、リューさんが、俺に"強い人"って言ってくれたから、俺はベルを怒鳴れたんだと思います」

 

多分そうだ。リューさんが、あれを言ってくれたから···おそらく、前の俺と、あのベルを知らない内に重ねていたんだろうな。だから、あんなに腹立って、あんなに怒鳴ったんだろう。

 

「え···? 覚えててくれたんですか?」

 

「はい。俺の心に、刻みつけてますよ。これからも」

 

「···!! そ、そうですか···さ、早くいきましょう」

 

「はい!!」

 

俺達は、ヘスティアファミリアの居住地へと急いだ。

 

 

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「、と言うわけで、今に戻るってわけさ(バシッ)あだっ」

 

「誰に向かって話してるんですか···」

 

非行に走ろうとしたセツナさんにツッコミ、先を見る。まだまだか···。

 

「···おかしいですね···」

 

「ん? どうした? アスフィ?」

 

突然、アスフィさんが口を開いた。え?何が?

 

「モンスターが少な過ぎます。まるで、誰かが倒していったみたいに」

 

「それは、ベル君達が倒していったからじゃないのかい?」

 

おい、神二人。なんでここにいる。ツキ様はおとなしくお留守番してくれているんだぞ。あぁ、ツキ様がいればなぁ···

 

「いえ、彼らはまともに戦える状態ではないはずです。さっきの惨状を見れば明らかでしょう」

 

そう言えば、アスフィさんや、リューさん、ヘスティア様の判断で、ベル達一行は、18階層[安全領域]に向かった判断した俺達は先へ進んだ。

途中で、捨てたと思われるアイテムが散乱しているのを見つけたのだ。彼女達の判断は正しかった。

 

「なので、無理な戦闘は避ける筈です。なのに、モンスターはほとんどいない、いや···いる気配すら感じない」

 

「···あ···」

 

「? どうした、ルミナ君?」

 

···いや、でもまさか···。しかし、その可能性はあるし、今この状況は"それ"と酷似している。

 

 

「···全員、前方注意···来ます!!!!」

 

「? 何が···」

 

 

アオオォォォォォーーーン アオオォォォォォーーーン

 

 

 

大きな遠吠え二つ。俺達が進む道の先、[燃え盛る牙狼]が二匹、荒れた地面を疾駆してきた。

 

 

"突然変異種"[コボルト·ルージュ] 会敵。

 

その餓えた牙が、俺達を狙った。

 

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「さ、これで少しは面白くなるかな···」

 

輝く[機械の右腕]を掲げ、呟く少年、[ミュート·ガーネット]。その腕刻まれた文字は、神の文字[ヒエログリフ]。

力持つ者によっては、神をも越える力を手にすることのできる力が宿った文字だ。扱えるのは、勿論、神のみ。その他は、力の恩恵を受けることができても、その力の本領を発揮させることはできない。

 

しかし、彼は"神の力を行使し、コボルトを変異させた"

 

「あの人数じゃ、すぐに兎の所に行っちゃうからね···少しは足止めしないと···。"ババァ"、あんたの思い通りにはさせないよ」

 

少年は、ぼさぼさに伸びた、燃えるような紅い髪を振り払い、ダンジョンの天井に阻まれた天空を見上げた。

 

 

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「おい、何だあいつは!?」

 

「お、桜花!! それよりも···」

 

「桜花殿!! 今は、武器を····!!!」

 

三人を、燃え盛る炎が襲う。まずい···間に合わない!!!

 

『吹き荒れる凶ツ風[ディザスターウィンド]』

 

[深紅火炎(クリムゾンファイア)]を、吹き荒れる強い風が吹き飛ばす。リューの魔法[ディザスターウィンド]。強烈な風は、斬撃をも凌ぐ鋭さをもち、その威力は、コボルトルージュが放った火炎をも吹き飛ばす。威力の衰えない風が、コボルトルージュを切り裂く。

 

「···二手に分かれましょう。タケミカヅチファミリアの三人は私と!!! リュー、ルミナさん、セツナさんはもう一匹を!!!」

 

「了解!!!」

 

 

突然変異種とは、これで二回目か···やってやる!!!だって、今は、"これがある"

 

「ツキ様···俺に力を···!!!」

 

両腰に刺さった二本の剣が、黄金の輝きを放つ。

 

「「仰せのままに、マスター」」

 

知らない二人の声が聞こえた、ような気がした。

 

ルミナが、二本の剣を抜刀した瞬間、とてつもないスピードで剣が抜かれ、コボルトルージュ目掛けて飛んでいった。そして、意思があるかのように、弾き飛ばそうとするコボルトルージュの腕をかわし、斬撃を喰らわせる。

 

そして、二本の剣はルミナの手に戻ってきた。

 

「る、ルミナ君!? なんだい、その剣は!?」

 

 

 

「俺の、相棒···【月夜見ノ双月】です!!」

 

俺は、剣を前に突きだし、重ねる。

 

『瞬く閃光の剣撃[レクレールサヴェーション]』

 

身体中に電流が走り、身体が軽くなる。そして目の前の視界がクリアになっていく。さぁ、いくよ···!!

 

「はあああああぁぁぁ!!!」

 

「何だかよく分からんが···仕方ない!! 『シャドウケイズ/影入斬裂』!!!」

 

「私もっ···!!!『ディザスターウィンド』!!!」

 

 

俺が繰り出す双斬撃と、セツナさんが影に潜り込みクナイで肉を断つ。詠唱が完了したのを合図に、散開し、リューさんが放った風をかわす。よし、結構ダメージが···!?!?

 

「···む、無傷···?」

 

コボルトルージュは、悠然とその場に立っていた。まじか···。

 

「呆けてる場合ではありません!!!」

 

「その通りだ!! ルミナ君!! 避けろ!!」

 

「···っ!!! くっ!!」

 

ぼーっとしたせいで、コボルトが放った火炎息に気づかなかった!!! 俺は右に転がり、ぎりぎりのところでかわす。ちりちりと音がする。おそらくコートの端が焼けたのだろう。

 

「···ふぅ···」

 

落ち着け···どうする···? この状況···。相手の装甲はかなり固い。それに威力の増した火炎息も危険だ···離れても近づいてもやられるのか···だけど、怖がって場合じゃない!!

 

「···俺が、奴を抑えつけます。その間に、二人は···」

 

「···できるのか?」

 

「···大丈夫です。俺には、ツキ様がついてますから」

 

「そうか!! なら安心だ!!」

 

···ありがとう、セツナさん。よし···いこうか!!!

俺は、コボルトに急接近し肉薄する。超至近距離なら、火炎息は吐けないはず。そして残る攻撃手段は···

 

「ギャウウウウ!!!!」

 

その顎と腕のみ。

俺のチェストプレートとガントレットには、筋力補正がかかっており自身の持つパワーが上がっている。付与名[深紅装甲/スカーレットパンツァー]。あの[スカーレットキラーアント]の持つ異常な防御力と攻撃力の秘密はこれにある。

 

俺は、コボルトの両腕、そして顎をまとめて両腕でがっちりとホールドする。これなら、自由に動けない···そして、無防備な下半身を晒す事になる。

 

「くらいな、[シャドウ·イン·ケイズ]!!!」

 

『吹き荒れる凶ツ風[ディザスターウィンド]』

 

俺は、二人の技が放たれた瞬間コボルトから離れる。しかし、コボルトは俺の急激な動きについてこれなかったみたいだ。諸に二人の技をくらい、吹き飛ばされる。硬い岩肌に身体を打ち付ける。よっし···!!!

 

「よくやったルミナ君!!! 私がご褒美に抱き締めてやろう!!」ムギュ

 

「わっぷ!? せ、セツナさん!! まだ戦闘は終わってないですよ!?」

 

「はっはっは!! そう照れるな!!」

 

「···(···羨ましい···)」

 

しかし、コボルトが黒灰になることは無かった。のっそりと起き上がり、俺達を睨みつける。

 

「こいつ···タフですね···」

 

「あぁ···もう体力が尽きてもいいんだが···」

 

「起き上がるなら、叩き潰すまでです!!」

 

突如、コボルトの口から灼熱の炎が溢れた出す。

 

「っ!!! 二人とも!! 逃げてください!!!」

 

ルミナの声は、二人に届くには遅すぎた。二人は、コボルトルージュから放たれた[深紅火炎弾(スカーレットバレット)]に直撃し、大きく吹き飛ばされる。

 

「セツナさん!!! リューさん!!! くっ···!!!」

 

連続で放たれる火弾を避けつつ、二人を見る。···咳き込んでる···大丈夫だ、息はある。

 

「二人はそこで休んでてください!!!」

 

俺は剣を構え直し、コボルトを正面に見据える。···駄目だ···勝ち目はない···万事休すか···

 

『あなたは、そこで諦めるのですか···?』

 

「···えっ···? ツキ、様···?」

 

突然、頭にツキ様の声が響く。何だ···? これ···

 

『さぁ、あなたの力を···見せてみなさい[ルミナ·トゥルーレコード]!!!』

 

 

*********************************************

 

接続(コネクト)完了。接続媒体[ルミナ·トゥルーレコード]、接続容体[ツクヨミ]。

 

スキル[神力憑依/アースポゼッション]発動···スキル[限界解放/オーバーロード]、強制発動。

 

*********************************************

 

 

「うあぁっ····うああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!??????????????」

 

頭が、割れるように痛い。呼吸が苦しい。身体の感覚が無い。何だ、これ···!?!?

 

だけど···何だ···?よくよく感じてみれば···暖かい。懐かしい···大好きな感覚···。

 

「···これ···前の奴だ···」

 

これは、前[スカーレットキラーアント]を倒した時発動した、不思議な力。これなら···戦える

 

「はあああああぁぁ!!!!」

 

俺は、地面を蹴りつけ、[前へ跳躍]する。高速でコボルトに近づき、まずは前足を切り刻む。頭を下にして回転斬りを繰り出す。重力をほとんど無視し、地面とほぼ垂直、平行に回転斬りをする。今の俺は、その芸当ができるほどの力をてにしている。

 

「ギャアアアアア!!!」

 

前足を両断、続けざまに後ろ足も両断され、攻撃手段を失ったコボルトは、力無く地面に伏す。まだ、息の根は止まってない。俺は体勢を変える。次は地面に足をつけ、真上に跳躍し、コボルトの上空に陣取る。そしてそのまま、地面に剣を突き立てるようにして降下する。

剣は深々とコボルト突き刺さり、コボルトの身体が弾ける。ゴトン、と魔石の落ちる音が聞こえたが、気にしてられない。アスフィさん達のとこ行かなきゃ

 

「ふっ···」

 

地面を蹴り、アスフィさん達が相手をしているコボルトに突進する。

 

「なっ!?」

 

大丈夫ですよ、直ぐに殺ります。

 

「よっ···とっ!!!」

 

衝撃で吹き飛ばされたコボルトを追い、剣を突き立てる。直ぐに追いつき、剣がコボルトの肉に刺さる。そのまま刺さった剣を上に引き上げ、肉を断ち切る。黒い血が溢れだし、コボルトの言葉にできない苦し気な呻き声が聞こえる。だけど、俺の心には聞こえない。引き上げていないほうの剣をコボルトの腹に突き刺し、ぐりゅん と回転する。形容できない粘着質な音が響き、一瞬、嫌悪感に襲われる。だけど、俺は手を止めない。止められない。

 

「···っ!!!!!!!!!!!」

 

上に浮き上がらせたコボルトの腹の下に潜り込み、両手に持った剣を思い切り突き刺す。そして、頭に浮かんだ言葉を紡ぐ。

 

『輝く月と日の夜、今宵もまた光は踊り狂う[月蝕月夜/エクリプスナイト]』

 

両手の剣から、それぞれ黒と白の閃光が溢れ出し、それはコボルトを貫く。

 

最後の咆哮を上げ、コボルトの身体は四散した。俺は降ってきた何かを掴む。それは、通常のコボルトから考えられないほど、大きな魔石だった。

 

 

そこから、俺の記憶はない。

 

 

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その光景に、誰もが絶句していた。それはもちろん、神も例外ではない。

 

「···ねぇ···ヘルメス···あれって···」

 

「···あぁ。そうだよ、ヘスティア。禁術と言われた、神降ろしの術[神力憑依/アースポゼッション]···!!!!」

 

「で、でも!! あれの体現者···は···!!!」

 

「···その可能性が高いね···だけど、絶対にありえない事でもある。まだ残っていたとはな···[空を蝕む者]······!!!!!!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「はぁ···はぁ···」

 

こ、ここは···? 第18階層に、来れたのか···?

 

ザッ ザッ ザッ

 

誰か、来る···

 

「···すみま、せん···誰か、二人を、助けて···」

 

僕の意識は、そこで途切れてしまった。

 

 

「···良く、頑張ったね···」

 

綺麗な金髪を、夜風に揺らす美少女、[アイズ·ヴァレンシュタイン]は、心配した顔をしながらも、ぼろぼろになった少年の髪を撫で、優しく、そっと、彼の額に口づけをした。

 

ここは第18階層、[迷宮の楽園/アンダーリゾート]。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 




真面目な戦闘描写って苦手。
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