魔法少女リリカルなのは~新たな人生を送る転生者~   作:れお3

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第6話 「帰宅と事件」

 俺はあの後、こっそり旅館に戻り、そのまま朝を士郎さん達と迎えた。てか、帰ってきたときには、もう朝方だったし。

 

(どんだけ、走ってたんだ俺は……)

 

 そう、あの後歩いて旅館に戻ったんだが、その途中、かなり歩いた。どれだけ、逃げてたんだよ俺は……。おかげで足が筋肉痛だぜ!!

 あっそうそう。恭也さんたちの格闘は俺が帰っても続いていたんだよな。ていうか二人共、今度は立って戦っていた。いやね…もう驚きの連続でしたよ。起床時間になりかけると二人共ピタリと格闘をやめて自分の布団に戻るのを見たときが一番驚いたね。

 

「ここを出る用意は出来たかい、二人共」

「ああ」

「はい……」

「ん?どうやら眠たそうだね、橘くん。眠れなかったかい?」

 

 士郎さんが訊いてきたので、俺は普通に返答した……つもりだったのだが、どうやら眠たい感じに聞こえたようだった。……まぁ、その通りですけど。

 

「はい。いろんな意味で眠れませんでした……」

「ハハッ、そうか」

 

 士郎さんは笑いながら言ってきた。士郎さん、笑うところじゃないですよ。いろんな意味にあなたも含まれているんですから。

 

「さあ、なのは達はもうチェックアウトして、車に集合しているらしいから、私たちも急ごうか」

 

 そして俺たちは部屋を出て、高町の下へ向かった。

 

 

◇◆◇

 

 

「アルフ……もうひとつの反応のところに行って何があったの?」

「別に、ちょっとヘマをしただ……痛っ」

「ちょっと、今は動かないで」

 

 あたしは家に戻って、フェイトに手当てを受けていた。…あのガキンチョに付けられた傷を癒すためだ。

 

(やってみる事が大事……か)

 

 あの少年が言ってきた言葉を思い出す。本当はバリアブレイクであのシールドは破れたんだけど、少年の言う言葉ひとつひとつが心の奥に刺さって、後半はもう戦闘どころじゃなかった。

 

「ねぇ…フェイト」

「ん、何?」

「……ううん、なんでもない」

 

  フェイトが抱えている問題の原因をあたしは知っている。でもその事を話しても無駄なことも知っている。

 

「終わったよ、アルフ」

 

 フェイトがこっちに笑顔を向けて言ってくる。……この笑顔だ。あたしが何を訊いても、いつもこの笑顔で話をはぐらかしたりしてくる。内に救いを求めているこの笑顔に……

 

(だったら、やってみるしかないよね)

 

 話を訊いてもはぐらかされるなら、フェイトが抱えている問題――――この子の母親の方を試してみよう。

 

 

◇◆◇

 

 

 俺が車の所に行くと、士郎さんの言うとおり、みんな集合していた。しかも一番このグループと関わりが少ない俺が最後だったようだ。

 

「すみません、遅れてしまって……」

「遅い! ちんたらしてんじゃないわよ!」

「まぁまぁ、落ち着いてアリサちゃん」

「すすかは黙ってなさい! ほら、なのはもなんか言ってやったらどう!?」 

「……………………」

「なのは……?」

「えっ……あっ、そうだね」

 

 バニングスと月村が不思議そうな顔で、いや少し心配した顔で高町を見ている。

 

「じゃあ、みんな集まったことだしそろそろ出発しよう」

 

 士郎さんがそう言うと、各々車に乗り込んでいく。俺も士郎さんの車に乗り込む。

 

「げっ……」

 

 後部座席に乗り込もうと思い、ドアを開けたのだがそこにいたのは仲良し3人組だった。

 

「なに? あたしたちと一緒じゃイヤなわけ?」

「……いや、そんなわけじゃないけど」

 

 そうもらしつつ、車に乗り込む。…ていうか、美少女達に囲まれてイヤな奴なんて男だったらいないと思う。でもなぁ……隣が。

 

 

「……」

 

 さっきからずっと何かを考え込んでいる高町。暗い雰囲気を纏っている。車での移動は長いため、コイツの隣にずっといると、暗い雰囲気が移りそうで怖い。

 

「じゃあ、出発するよ」

 

 士郎さんはエンジンをかけ、車を動かし始める。俺は特にすることがないので、外の景色に目を移す。

 

「でね、あいつがさ……」

「ええー!? そうなんだ……」

「……」

 

 しばらくすると、3人組の話し声が耳に入ってきた。とは言ったもののただそれだけなので、意識をまた景色に向ける……

 

 

―――――――◇◆◇――――――――

 

 

「……橘くん」

「……………………」

「橘くん…起きて」

「うん……?」

 

 誰かが体を揺らしている気がする。朦朧とした意識の中、冷静に分析する。

 

「起きてってば」

「……なんだ、高町か。……どうした?」

 

 俺を揺らしていた人物は高町だった。ていうか、うっかり寝てしまってたのか。

 

「もうすぐ着くから……起こそうと思って」

「そうか…ありがとな」

「うん」

 

 外の景色を見ると、街中だった。ということは高町の言うとおり、もう少しで翠屋に着くのだろう。背筋を伸ばしながら考える。

 

「ところで高町……」

「……」

「お~い」

 

 高町の顔の近くで手を振ってみる。が気づかない。どんだけ集中してるんだ?……まぁ、いいか。

 

「着いたぞ」

 

 士郎さんは車を止め、後ろにいる俺らに向けて言ってきた。そしてみんな車から降りていく。

 

「じゃあ、解散しようと思うんだが、何か言いたいことがある人はいないか?」

 

 士郎さんがそう言うと、みんな首を横に振った。なにもないということだろう。

 

「よし、解散」

 

 そしてみんな、挨拶をして帰り始めた。……俺も帰るか。

 今いるみんなに一通り挨拶をし、帰ろうと思ったが、士郎さんに引き止められる。

 

「君にいいものをあげよう」

 

 そう言い、士郎さんは翠屋に入り、白い箱が入ったビニール袋を持ってきて渡してくる。……中身は大体予想がつく。

 

「家に帰ってから、食べるといい。でもすまないね。それ、一昨日(おととい)の残り物なんだ」

「いえ、別に構いませんよ。ありがとうございます。でもどうして?」

 

 頭に疑問符を浮かべながら尋ねる。

 

「ハハッ、いや、君には色々とお世話になっているそうだから、そのお礼とこれからもなのはをよろしく、という意味でね」

「ああ、なるほど」

「じゃあ、さよならだ。気が向いたら翠屋に来てごらん。歓迎するから」

「はい、分かりました」

 

 俺は士郎さんに別れを告げ、家に向かって歩き出した。

 帰ってから、士郎さんにもらった箱を開けると、中にはいろんな種類の焼き菓子が十個くらい入っていた。一つ試しに食べてみたが、めちゃくちゃ美味しかった。だが一つだけ問題が……。

 

「これ、美味しいけど、流石に全部は食いきれないぞ……」

『八神さんにあげればいいんじゃないですか?』

「……ナイスアイデア」

 

 

◇◆◇

 

 

 

『起きてください、マスター。訓練の時間ですよ』

「………頼むからその起こし方はやめてくれ。朝からテンション下がるから」

 

 ただいま、時刻5:00。訓練の時間である。

 スポーツウェアの袖に腕を通しながら、今日の弁当はどんな風にするか考える。

 

「よし、準備完了」

『行きましょうか、今日は二日分やりますからちょっとキツイですよ』

「はあ~」

 

 俺はため息をつきながら、家を出た。

 

 

 

                     ◇◆◇

 

 

「はぁ、はぁ……」

 

 訓練から帰ってきた俺は体の汗を流すためシャワーを浴びる。……いつもはここでまったりしたりするのだが、今日はそういうわけにはいかない。時間が押しているのだ。二日分やったため、いつもの時間感覚で行くと、遅刻する。

 

「やべっ!」

 

 シャワーを浴びたあと、着替えやらしているうちにもう家をでなければいけない時間がなってしまった。でも、まだ朝飯も食べてないし昼飯を作ってない。

 

「ああー! もう、行きがけにどっかによって昼飯を買っていこう! リゼット、行ってくる!」

『行ってらっしゃいませ、マスター』

 

 やってはいけない事だが、場合が場合なので財布を持って急いで家を出発した。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「ギリギリ、間に合ったな……」

 

 途中でコンビニに寄り、惣菜パンを何個か買って、さらに信号に当たると、必ず赤の信号の状態に接触し、散々な事ばかり起きてもう間に合わないかと思ったが、ギリギリセーフだった。

 フラフラとおぼつかない足取りで教室の前まで来て、扉を開ける。そして自分の席に突っ伏す。……疲れた。

 

「あんた、今日はどうしたのよ?」

「ああ……。そっとしておいてくれ……」

「アリサちゃん、本当に疲れているみたいだから、そっとしておいてあげよう」

(サンキュー、月村)

 

 心の中で感謝する俺。

 俺はその後、HRが終わり次第、カバンを出しそれに頭を沈め、眠りに入った。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「――――いい加減にしなさいよ!」

「……!?」

 

 その声で俺の意識は一気に覚醒する。…え? な、何事!?

 

「この間から何話しても上の空でボーっとして!」

「ご、ごめんね。アリサちゃん」

「ごめんじゃない! そんなにボーっとしたいなら、ずっとしておきなさいよ! 行くよ、すずか!」

 

 どうやら、高町とバニングスが喧嘩したらしい。……あ、バニングスと月村がでていった。

 

(ていうか、今何時だ?)

 

 二人の喧嘩でクラスの雰囲気が悪くなる一方、俺はのんきに時間経過を確認していた。…もう昼休みか。なんで教師陣は俺を放置してんだよ。嬉しいんだけどさ。

 

「どうしたんだ? なのは」

 

 お、黒鐘が俺がいないと見て、高町に話しかけたぞ。

 

「あ、そうそう今日おれといっしょに……」

「少し一人にさせといてくれないかな…」

「……………わかった」

 

 どうやら、黒鐘にもデリカシーというものがあったらしい。空気をよんで、自分のクラスに戻っていく。出て行く時、やっぱり俺を睨んでいたけど。……俺も昼飯食べるか。

 食べるなら、景色や風が涼しい屋上がいいので、移動しようと席を立つ。…が、何故か天満と佑樹に引き止められる。

 

「なんだよ…?」

 

 朝飯は急いでいたので食べていない。だからこの手に下げているパンをすごく食べたいのだが、止められたので、若干不機嫌そうな声音を出す。

 

「何逃げようとしてんだよ……」

「そうだよ……」

 

 二人共こちらに近づき、小声で話してくる。…何に対してだ?

 俺が頭に疑問符を浮かべると二人共、呆れ顔でこっちをみた後、ある方向を向いた。

 その視線の先にいたのは、高町だった。……なるほど、あの状態をどうにかしろというわけですね。わかります。

 

「だが、ことわ……おっ、おい!」

 

 断ろうと、声を出したのだがその声は驚きの声に変わる。…天満から昼飯を取られたのだ。…まるで、あれをどうにかしたら返してやるよ。と言わんばかりに。

 

「お前が今一番この中であいつと仲がいいから、お前に頼むしかないんだよ。成功したら返してやるからよ」

「頼むよ…カズヤくん」

「見ろよ、周りの奴らを」

 

 天満にそう言われ、周りの奴らを見る。全員俺を見て、「頼んだ」みたいな顔をしている。くそっ! お前らこういう時だけは手のひら返しやがって!

 

「カズ…」

「カズヤ君…」

「……たくっ、わかったよ」

 

 そう言い放ち、高町の元へ歩いていく。…勘違いしないで欲しいが、みんなの為に動いたのだ。決して、昼飯のためではない。……お腹減った。

 

「高町」

 

 高町の元へ行き声をかける。そしたら顔を上げてこう返してくる。

 

「ちょっと一人にさせて欲しいからあっち行ってて」

 

 俺を見ている高町の目は俺を見ているようで見ていなかった。…心ここにあらずって感じだ。

 

「嫌だね……ちょっと来い」

「わわわっ!自分で歩けるよ~!」

 

 自分からでは動きそうになかったので、腕を取り、強引に引っ張る。場所を移すのは、人気のないところへ移動して、話を聞くためだ。

 高町を引っ張り、誰もいない体育館裏に来る。

 

「――――で、聞かせてもらおうか。何があったんだ?」

「…話さないとダメ?」

「当たり前だ」

「えっと――――――」

 

 

 

 

 

                    ◇◆◇

 

 

「というわけなの…」

「なるほど…大体わかった。結論から言うと…お前が悪い」

「それはわかってるよ」

「いいや、わかってない」

 

 きっぱりと、はっきりと言う。

 

「お前、バニングスがどうして怒ったのかわかってるのか?」

 

 俺がそう訊くと高町は頭に疑問符を浮かべた。

 

「わたしがずっと上の空だったから?」

「そうじゃなくて……バニングスはその上の空の原因を相談してくれないから怒ったんだよ。だって友達はそういうもんだろ?」

「そうだけど……」

「……話せない理由があると」

「うん」

 

 高町が頷く。

 

「だったら、その事をちゃんとあいつらに伝えないとな」

「ふぇ…どうして? アリサちゃんなら言わなくてもわかると思うんだけど…」

「……お前、本気で言ってんのか…?」

「え……?」

「…ふざけるのも大概にしろよ……!」

「ふ、ふざけてなんかいないよ!! アリサちゃんとは長い付き合いだからいつも近くにいたから言わなくてもわかるはずだもん!」

 

 俺の声音が強くなったので、少し怯えながらも怒気が混じった声で高町が俺の言葉を否定する。

 

「違うだろ…そうじゃないはずだ。……お前は知らないのか!? 近くにいたから、近づき過ぎたからこそ気付けないことだってあるんだよ! 言葉で伝えなきゃ伝わらない事だってあるんだよ!」

「……!」

「わかってくれたか…?」

「うん、……わたしアリサちゃんに謝ってくる」

「そうか…悪いな。怒鳴ったりして」

「ううん、別に」

「よし、じゃあ行って来い」

「うん!!」

 

 高町は頷きながらそう言うと、校舎へ走っていく。が途中で止まりこっちに体を向ける。

 

「橘くん!」

「ん? 何だ?」

「ありがとう!」

 

 高町は感謝の言葉と共に、今まで俺が見た高町の笑顔の中でも一番の笑顔をこちらに向けた。それを告げると走り去っていった。

 

「…………さて、飯を天満に返してもらうか」

 

 思わず、見とれて何分間ぐらいか固まっていたが、お腹の音で動き出す。そして俺も校舎に戻ろうとしたら、不意に連絡のチャイムが鳴った。

 

『3年2組橘くん、登校中の行為について話があるので至急、職員室まで来てください。繰り返します――――――』

 

 急いで、今の時間を確認する。…現在1;34 昼休み終了時刻は1;40 明らかに今から職員室に行って、天満の所へ行き昼飯を食おうと思っても間に合わないに決まっている。

 

(腹減った…………………昼飯ぃ)

 

 俺は涙ぐみながらも職員室に向かって歩き出した。




原作ではなのは達が何組か判明してないため、クラスは僕の想像で決めさせてもらいました。
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