魔法少女リリカルなのは~新たな人生を送る転生者~ 作:れお3
「痛ててててっ!」
「じっとして。手当てできないでしょ」
「すいません。エイミィさん」
「……良し! 出来たよ」
「……ありがとうございます」
「そんなかしこまらなくていいって。気にしないで」
俺はエイミィさんに手当てされた部分をさすりながらさっきまで何が起きていたのかを思い出す。
気がついた場所は数日前使っていたベットの上だった。その後、クロノが来て、俺が気を失った後の状況を説明してもらった。俺が気を失った後、ジュエルシードの争奪が始まって、クロノ達が3個。向こうも3個。といった具合で終わったらしい。一瞬、「まずは俺をまず助けろよ!?」と言いたくなったが、クロノが真剣な顔だったので俺も口を塞いだ。
「あなたたちの行動がみんなに迷惑をかける時もあるの」
さらにその後、高町、ユーノと合流してリンディさんの所へ向かった。聞かされた内容は説教だった。まぁ、罰は免除してもらえたから説教というより注意だな。
「クロノ、あなた言いたいことは?」
「あります。エイミィ、モニターつないで」
クロノがそう言うと、俺たちの目の前に画面が浮き出てきた。画面の中にはある人物の情報が書かれていた。
「プレシア・テスタロッサ……ミッドチルダの
「子供……」
高町がクロノの言葉を引き継ぎ、呟くように言った。
「親と子ねえ……。よし、エイミィ。プレシアについてもっと調べてちょうだい」
「はい!」
「それじゃあ、アースラもシールド強化しないとね。…じゃあ、高町さんと橘くんは今日だけ、家に帰宅することを許可します。あまり親に心配かけるのもいけないしね。ただし、なるべく三人共一緒に行動すること。いつ、あの子達が襲ってくるか分からないから」
リンディさんはそう言ってきた。家族か……。今頃、母さんと父さんなにしてるかなぁ。
「? 分かりましたか、橘くん?」
「は、はい!」
反応が遅れた俺を不思議がり、みんなこっちを見ている。俺は笑ってごまかすしか無かった。
◇◆◇
そして久しぶりに学校に行くと、みんなからの質問攻めにあった。……高町だけが。俺は嫌われ者なので話しかけてくるのは天満ぐらいだった。
(そういえば佑樹は……)
俺は佑樹がいつも座っていた席を見た。がそこに佑樹の姿は無く、窓から吹いた風が誰も座ってない席を軽く撫でていただけだった。
「ちょっといい?」
俺が一人孤独に席に座っていると、急に月村が高町を中心に出来上がっている人だかりを抜けて声をかけて来た。
「何だ?」
「あのね、二人共休みの間何してたのかなって思って。なのはちゃんに訊いてもおどおどして何も答えてくれないし……」
月村は俯きながらそう言ってきた。なるほどな。確かに答えられないよな。
「……別に、俺は親戚にちょっと呼ばれたから休んだだけだけだ。高町の方は知らないな」
「そう……。余計なこと訊いてごめんね。それはそうと、今日なのはちゃんと久しぶりに遊ぶんだけど、橘くんもどう? アリサちゃんも見せたいものがあるって」
遊びか……。そんな悠長な事してる場合じゃないけど、リンディさんになるべく一緒に行動しろって言われてるからな……。
「ああ、俺も行くよ」
「良かった。じゃあアリサちゃんの家でやるから放課後に来てね。場所はなのはちゃんが教えてくれると思うから」
「ああ」
俺が返事をすると、月村は人だかりの中に消えていった。
◇◆◇
放課後、高町やユーノと一緒にバニングスの家に向かった。結構遠かったが、これからどうするかを話し合っているうちについてしまったため、さほど気にはならなかった。
「来たわね。すずかはもう中に入っているわ」
家にたどり着くと私服のバニングスが立っていた。
「見せたいものって何だ?」
「あれよ」
「「「!?」」」
俺はもちろんのこと高町もユーノも驚いてしまった。バニングスが指差した先に居たのは俺が戦ったことがある相手。テスタロッサの使い魔、アルフがいた。よく見ると包帯が巻かれている。怪我をしているのかもしれない。
「怪我をしているみたいなのよ。……二人共、どうしたの? そんな驚いた顔をして」
「いや、なんでもない。な?」
「う、うん」
《高町、こいつの相手は俺がするからバニングスと話してこい。溜まりに溜まった話があるだろう?》
《僕も残るよ》
俺の声にユーノも混ざってくる。
《……うん、わかった》
「さ、さぁ、アリサちゃん。早く中に入ろう?」
「ちょ、ちょっとなのは! あいつは?」
「お前ら先行ってろよ。ガールズトークを邪魔しちゃ悪いからな」
「ちょ、ちょっと~!!」
バニングスと高町は屋敷の中へと入っていった。
「……よし、じゃあ何があったのか話してもらおうか、アルフ」
俺がそう言うとアルフは観念したように首を下ろした後、こちらを向いた。
「ひとつ聞きたい」
「何だ?」
「アンタたちにフェイトを救える事が出来る?」
アルフが俺とユーノを交互に見ながら真剣な顔で言ってきた。
俺は、ユーノを見る。ユーノも同じ考えのようで俺を見ていた。そして互いに頷き合う。
「「何を当たり前の事を……」」
《言ってるんだ》
「「!!」」
「いたのかよ……クロノ」
「そうかい。じゃあ話すよ」
◇◆◇
「……って訳さ」
「なるほど……」
アルフが言った内容は今までこっちが持っていたバラバラな情報を一気につなぎ合わせるようなものだった。
《高町……聞いたか?》
どこにいるかは分からないが高町に向けて念話を送る。
《うん……全部聞いた》
帰ってきた声はちょっと気落ちしているように感じた。それはそうだろう。テスタロッサが母親からどんな酷い仕打ちをしていたのかもアルフは言ったのだから。
《やるべきことは決まったよな?》
今度はこの話を聞いていた全員に念話を送る。
《プレシア・テスタロッサを捕まえる!!》
《でも、フェイトちゃんは私に任せて欲しいの。友達になるかの返事も聞いてないし》
みんな意見が一致したあと、高町からそんな声が聞こえてきた。
《もとよりそのつもりだ。フェイト・テスタロッサは君に一任する》
《……ありがとう、クロノ君》
《アースラへの帰還は明日の朝だ。それまでにフェイトと接触した場合は……言わなくても分かるか。各自それまでにやりたいことは済ませておけ》
《うん!》
《ああ》
そのあと俺はユーノと一緒にバニングスの屋敷に入り、高町達と、遊べる時間まで目一杯遊んだ。
◇◆◇
時計が鳴っている。時間を確認すると時計の針が4を指していた。
俺はすぐさま支度をする。最近は肌寒い。しかも今は朝なので、服は風を通さないビニールのズボンに白い長袖、その上に赤色のチェック柄をしたパーカーを着る。
持っていくものはない。アースラの方でほとんど用意されているからだ。だから俺はリゼットを首に掛け、家を出た。
「高町……何、律儀に制服着てんだ?」
「あっ……橘くんおはよう」
集合場所の公園で高町と出会う。
「出てきて、フェイトちゃん……!」
『――サイズフォーム』
高町が念話をオープンチャンネルで開くとすぐさまテスタロッサが現れた。ちょ、電灯光らすのやめっ……眩しいから!
「賭けて――互いが持っているジュエルシードを」
『プットアウト』
高町がセットアップしながら言うと、レイジングハート、バルディッシュそれぞれがジュエルシードを解放し、二人の間でそれが飛び回る。
「なのは、危なくなったら援護するから」
「ダメだ、ユーノ」
俺はユーノが言った言葉をすぐに否定する。
「どうしてさ? カズヤ」
「高町の顔を見ろ。……手を出すなって言ってるぜ?」
「そうだよ、ユーノ君。これは真剣勝負だから手を出さないで」
「……わかったよ」
ユーノは心配しながらもそう言った。
「高町」
俺は小さな声で高町に話しかける。
「何?」
「負けんなよ」
「……うん!」
「……」
テスタロッサは無言でバルディッシュを高町へと向ける。
「さぁ、始めよう……。最初で最後の本気の勝負!」