魔法少女リリカルなのは~新たな人生を送る転生者~   作:れお3

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第1話 「異常事態」

 光が収まると知らないリビングのテーブルに座っていた。テーブルの上に一枚の紙とネックレス。そして俺の銀行の通帳が置いてあった。俺は手を伸ばし紙を取ろうとしたが、手が届かない。

 

「そういえば、俺は今小学2年生だった……」

「――――何、当たり前の事を言ってるんですか」

「……!誰だ!何処にいる!」

「あなたの目の前にいますよ」

 

 そう言われたので俺は目の前を見る…があるのは一枚の紙とネックレスとかだけである。するとネックレスが急に浮かび上がった。

 

『初めまして。マイマスター』

「マイマスター?」

 

 マスターって言うってことはこいつデバイスか?

 

『無視ですか』

「ああ…悪い…」

『状況をつかめていないようですね。とりあえずこの紙を読んでください』

「手が届かないんだが……」

「しょうがないですね。私が読みます』

『橘和也へ

すまんの。他の転生者が居ない世界に飛ばそうとしたんじゃがの。間違って転生者が居る世界に飛ばしてしまった……すまん。そこの転生者は気性が荒くての。他の奴をここに転生させるなとかいろいろいっていたんじゃ。もし、お主が転生者とわかると恐らく、問答無用で殺しに来るじゃろう……そこで防衛手段としてデバイスを急遽作ったんじゃ。奴の能力はチート級じゃが無いよりかはましじゃろう。急いで作ったから動作チェックをしておらん。だから不具合があり上手く作動しないシステムがあるかもしれんがそこらへんは自分で直してくれ。学校の事なんじゃがお主は転校生として学校に行ってもらう。生活の事は心配しなくていいぞ。月に一回、お主の銀行の口座に十分すぎるほどのお金が振込まれるようになっているから。……本当にすまん。

神様より』

『以上で終了です』

「……」

 

 あの神様、ミスしすぎだろ……。さて、これからどうするかな。厄介な事になった。

 

『……おっと、自己紹介が遅れました。私の名前はリゼット=ヴェルトールと申します。これからよろしくお願いします。マスター』

「ああ。俺は橘和也だ。よろしく」

『橘和也様ですね。了解しました』

 

 忙しくなりそうだ。俺はそう呟き、また溜め息をつく。

 

『マスター、戦闘経験はお有りですか』

「あるわけないだろ。前の世界は平和だったからな」

『それなら、早速戦闘訓練を始めましょう』

 

 ……なんでそうなるんだ。そう言い、さらに溜め息をつく。…溜め息するのが転生してから増えたな。

 

『戦闘経験がないまま、この世界を生きていくなんて危険過ぎます!』

「わかった!わかったから落ち着け!」

 

 まぁ確かに、他の転生者がいるんならこの世界も原作通りには進まないだろうから戦闘訓練もした方がいいんだろう。

 

『では、始めますよ』

「ああ」

『イメージトレーニング開始』

 

 そして、俺はまた光に包まれる。

 

 

◇◆◇

 

 

 目を開けるとそこは広大な草原だった。辺り一面緑色の原っぱ。草以外には何も無い。青空が眩しく綺麗なところだな。

 そこで俺はある異変に気づき空を見上げる。―――――雲が動いていない。本来雲は時間の経過と共に移動する。しかしここの雲は何十秒見ようと全く動かない。という事はやはりここは現実ではないのだろう。前世ではこういう事が無いため現実と思いかけていた。

そう思いつつ空を見ながら惚けていると隣から声が聞こえた。

 

「何ぼーとしてるんですか?マスター」

「ああ……悪……」

 

 俺は隣を向きつつ謝ろうとしたのだが途中で言葉が詰まってしまった。なぜなら隣には見知らぬ少女が立っていたからである。

 

「…どうかしましたか?」

「……」

 

 白いゴスロリ服に身を包む少女。白い髪の毛。髪と同じくらい白い肌。そして碧眼が目立つ整った顔。世間でいう美少女という類のものだ。

 

「あっ、この姿を見せるのは初めてでしたね。リゼットですよ」

「リゼット……?」

「もう忘れたんですか!?」

「冗談だよ」

「…………」

 

 俺がそう言うと頬を膨らませながらこちらを睨むリゼット。危なかった。正直さっきまで忘れていた。

 

「おい、そんな睨んでもお前みたいな美少女がやっても意味ないぞ」

「…ッ!…」

 

 俺が率直に思っていたことを口にすると、顔を真っ赤にするリゼット。案外可愛いところもあるんだなこいつ。しかしデバイスなのにこんな表情ができるのか。神様が作ったからかもしれないな。

 

「でどうしたんだ?その姿」

 

 このままだとらちがあかないので話を急かす。俺はリリカルなのはの世界の話は知っているが正直豆知識とかには詳しくない。だから一から聞かないと、何もわからないのだ」

 

「そうでしたね!私は人型になることができまして、その時の姿がこれなんです!」

 

 そう言い、笑顔でくるりと一回転するリゼット。……が途端にその笑顔が暗くなる。

 

「なれるのは、ここだけですけど……」

「どうしてなんだ?」

「どうやら、人型のシステムに不具合があるみたいで……で、でも心配はいりません。今、自己調整していますから時間が経ったら使えるようになるはずです」

「そうか」

 

 神様が急いで作ったから動作チェックや調整をしていないって言ってたからな。まぁ時間が経ったら使えるようになるって言っているし問題はないか。

 

「他には?」

 

 他にも不具合があったら聞いておいて損はないだろう。もしあったらあったで大変だが。

 

「他には特に心配はありません。ただ……ロックがかかっている謎のシステムがありまして……」

「ロック?」

「はい…」

 

 ロック? かけたのは神様に違いないだろうがどうしてだ? かける理由を考えるが、中身が何かわからないのなら、考えてもらちがあかない。

 

「さぁ話も終わったし訓練するぞ」

 

 話が脱線しかけていたから話を元に戻そうとする。本音を言えば、普通に生きたいと言ったが魔法が使えるのなら使ってみたいからだ。

 

「まだ終わっていません」

「まだ?」

「はい」

 

 急に真顔になりながらそう言うリゼット。急に真顔になったからよほど大事な話なのだろう。緊張感があたりに漂う。

 

「まず、魔法について説明します」

「まずこの世界には魔力素というものが存在します。これは魔力で操ることができ、魔導師はこれを操り、自然摂理や物理法則に干渉、作用します。その作用を望む効果が得られるよう調節し、または組み合わせた内容をプログラムと言い、用意されたプログラムは詠唱・集中などのトリガーによって起動されます。つまり魔法は、自然摂理や物理法則をプログラム化し、それを任意に書き換え、書き加えたり消去したりすることで作用に変える技法というわけです。ここまではわかりますか?」

「あ…ああ」

 

 いきなり小難しい話になったので少々戸惑ったが、頭脳が高校生の俺はなんとか理解することができた。しかし、魔法ってそういう風に出来てたんだな。

 

「そして私にはこの魔法のプログラムは一切組み込まれていません。新たに入れることも不可能です。」

「……………はい?」

「ですから、私には魔法がプログラミングされていません。さっき言ったロックがかかった謎のシステムに容量をとられ……」

「ええええぇぇぇぇ-ーーーーーーーーッッ!!!!」

「…………うるさいです。マスター」

 

 いやいやいやいや待て待て待て!落ち着け俺!今リゼットはなんて言った!?魔法がプログラミングされていない!?そんなの有りか!?

 

「って事は、俺は魔法を使えないのか……」

 

 落胆しながらそう呟く。べつに使えなくてもいいのだが、使えると期待してた分ショックが大きい。

 

「だ、大丈夫です!デバイスが無くても魔法は使えます!」

「……本当か?」

「ええ!本来デバイスは魔導師のサポート役として存在しますから。別に無くても練習すれば魔法を使えるようになります!」

「……じゃあ、教えてくれ」

「…………」

「どうした?」

「……すいません。わかりません」

「だろうと思った……」

 

 魔法がプログラミングされていないということは魔法に関する知識が無いということだ。つまり教えることができないということだ。

 

「で、でもその代わりマスターには能力がありますっ!」

「能力?」

「はいっ!」

「わ、わかったから離れろ!」

 

 顔が近い!流石に美少女の顔が間近にあると緊張してしまう。そう言い俺はリゼットを突き放す。

 

「ったく、そんな簡単に顔を近づけるんじゃない!……緊張するだろうが」

「すいません……」

「で、何だ?能力って?」

「あ、はい。どうやら私のデータによるとマスターはセットアップすると魔力を使って風、火、水と氷、土が操れるそうです。理由は不明ですが」

「…………」

「どうしました?マスター?」

「お前……頭でも打ったのか?」

「ちーーがーーいーーまーーすーーッ!!」

「じゃあ試しにセットアップしてみてください!」

 

 そういうとリゼットはネックレスに戻り俺の手に収まる。にわかに信じられないが試してみる価値はあるだろう。

 

「………リゼット、セットアップ」

『イエス、マイマスター』

 

 俺がそう言うとリゼットから光が放たれ俺は光に包まれる。光が収まると俺の服が変わっていた。黒いシャツに白のロングコート。グレーのズボン。そしていたるところに防具みたいな物が現れる。

 

「ん?なんだこれ?」

 

 俺の手元には普通のよりちょっと長い両刃片手剣がある。柄やつば、刀身に至るまで真っ白だ。

 

『さあ?私にもわかりません』

「ま、いっか」

 

 武器はある方がいいに決まっている。というかいつの間にリゼットは俺の首に移動したんだ?

 

「さあ、そんなことより試してみてください」

「試してみてっておまえなぁ……どうやってやるかわからないんだが」

「そういうものはイメージが大事なんですよ」

「……イメージ……」

(風よ――――)

 

 俺は心の中でそう言い、竜巻をイメージし集中する。その瞬間、俺の周りに風が吹き出し竜巻を形成する。

 

「おおー!これはすごい!」

 

 すげー面白い!もしかしたら魔法より面白いかも。が集中を切らした途端に竜巻は嘘のように消え去った。

 

「………………」

『これは……訓練が必要ですね……」

「ああ……」

 

 これは先が思いやられそうだ。

 

 

◇◆◇

 

 

 リゼットとの訓練を終えた俺は家のソファーでゴロゴロしていた。それにしてもリゼットの鬼畜っぷりには驚いた。

 まず能力を戦闘に使えるようにすると言われ、何か一個だけ鍛えると言い風の操作練習をひたすらやらされた。(何を最初に鍛えるかは選ばせてくれた)集中のしすぎでもうヘトヘト。

 訓練を終えて戻ったときには既に午後八時にを過ぎていた。訓練する前は昼ぐらいだったから少なく見積もっても……え? 五時間!?

 

「そんなに!?」

『?…どうしました?マスター』

「あ…いや…なんでもない」

『そうですか』

 

 テーブルの上に置いてあるリゼットがそう言う。危ない。危ない。リゼットに聞かれると何されるかわかんないからな。……疲れたから寝るか。

 飯を食べ、風呂に入ったあと、俺はベットに入っていた。いや、もうほんと危なかった。だって湯船に浸かったら溺れたんだもん。体がちっちゃくなってる事を時々忘れてしまうから、前世の感じでやってると命がいくつあっても足りない。

 だってあれだぜ?いつもの感じで、料理しようと包丁持とうとしたら(料理を作るのは得意)、筋力が小二だからするりとね包丁がね……足元にね……もう死ぬかと思った。

 しかしこの家にはホント驚いた。広さは一人暮らしの若者が住んでそうな感じだけど、もう設備がすごい。生活必需品は全部あった。しかも冷蔵庫の中は食材がぎっしり。当分食事には困りそうに無いけど、いずれ買いにいかなくちゃいけなくなる。それまでにこの海鳴市の構造を把握しとかなくちゃいけない。

 やらなくちゃいけない事たくさんだな。まぁ、明日から学校だしさっさと寝るか。

 

 

◇◆◇

 

 

 気がつくと視界には白い天井が映った。……見覚えあるぞ、この天井。そして俺は体を起こし目の前にいるおっさんを睨む。

 

「いやぁ、すまんの」

「………………」

「あの~」

「……………………………」

「話を聞いてくれんかの」

「………………はぁ~、で何だ?」

「びっくりしたか?またここに来て」

「まぁ、多少は」

「なんじゃ、素っ気ないの…まあええか。お主に今日来てもらったのは説明のためじゃ。わしはこういう風にお前さんの夢の中に入ることができるんじゃ。要するにいつでも会えるちゅー事じゃな」

「話はそれだけか?」

「うむ。こんぐらいしかないの」

 

 じゃあ気になっていたことを聞いてみるか。

 

「じゃあ、俺のターン……ロックをかかったシステムは何だ?何でロックをかける?」

「ああ、あれか? あれは………秘密じゃ!」

「………………」

「ちょっと待ってくれ!殴りかかろうとせんでくれ! 理由を話すから!」

 

 このじいさんなめてんのか?そろそろ我慢の限界なんだが。

 

「理由は二つある。一つ目はあのシステムはまだお主の体ではシステムの負荷に耐え切れんからじゃ。」

「耐え切れない?」

「うむ」

「二つ目。………それじゃ面白くないじゃん。おもにわしが」

「…………」

ゴンッ!

「痛いんじゃが……」

「あー、すっきりした」

 

 いやね、なにいってんのこの人? 何、面白くないじゃんって。ふざけるのも大概にしろよ。世の中にはね限度ってもんがあるんだよ。

 

「……で、もうないんかの? 聞きたいこと」

「まだ、俺のバトルフェイズは終了してないぜ! ……………こほんッ! 無いなもう」

 

 危ない危ない! 怒りでおかしなテンションになってた!まあ確かにまだ殴り足りないけど。

 

「んじゃ、話も終わったしそろそろ戻りたいんだが?」

「最後にもひとつアドバイス、いいかの?」

「何だ?」

「デバイスについてじゃ。お主のデバイスは思いに反応する。思いが強ければ強いほどお主のデバイスは必ずそれに応えてくれる。某セイクリッド・ギアみたいに」

「そのせいくりっどぎあ?みたいなのは置いといて、アドバイスあんがとさん」

「じゃあの」

「ああ」

 

 その瞬間、意識が薄れようになり、俺の視界はぼやけていった……。

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