魔法少女リリカルなのは~新たな人生を送る転生者~ 作:れお3
ユーノ・スクライアの声が聞こえてから数日が経った。その日から、この海鳴市で建造物が壊れるという事件が多発している。さしずめ、高町達がジュエルシード集めをしているんだろう。
駄菓子菓子…って違う!だが、しかし!そんな事、俺には、一切!微塵も!関係ない!……ということで俺は友達に誘われたので公園で隠れんぼ中。
いやー、久しぶりにするけど、面白いな。
今日は休日だから、リゼットを首にかけても何も言われないので、今は首にかけている。…まあ佑樹とかに3年でもうネックレスつけてるの?とか馬鹿にされたが。
人数は7人程度で、隠れる範囲は公園内だけ。ルールは鬼に見つかると、そいつも鬼になるタイプのやつ。
さっきはあっさり見つかったため、ちょっと本気を出して公園の奥へと来たのだが……
「迷ったな……」
さっきから、真っ直ぐ進んでいるはずなのに、何故か歩道や公園へと出ないのだ。
「これ…俺が想像している以上にやばいんじゃ……なあ、リゼット。今俺らどこにいるかわかるか?」
流石に嫌な雰囲気になってき始めたので、リゼットに訊いてみる。
『あ、あの…それが…私たち…どこか知らない空間に飛ばされてるみたいで……』
「……は?」
『多分、誰かの結界に入り込んでいるんだと思います…』
……えっ!? 何で? 俺がまだ魔導師……って言えるのか俺? 魔法使えないじゃん。ま、まあ今はそれは置いといて、何でだ?まだ正体はバレていないはずなんだけど(ただでさえ少ない魔力にロックかけて、ほぼゼロにしてるのに…)
そこで、俺は視界の隅にあるものを見た。……なるほど、そういう事か……!
「リゼット、ロック解除とセットアップだ。後、バリアジャケットを着たとき顔を隠せるようにできるか?」
『え? いきなりどうしたんで……』
「答えろ!」
『……! それくらいならできます』
「そうか…じゃあ頼む」
『イエス、マイマスター』
俺はバリアジャケットを装着する。視界が若干暗い。どうやら顔は黒い布を巻いて隠しているようだ。
『でも、急にどうしたんですか?』
「あれを見ろ」
そう言い、俺は地面に落ちている青い石を指す。
『あ…あれは!』
「そう、願いを叶える宝石――ジュエルシードだ。…………来たか」
ジュエルシードを拾いながらそう言う。そして後ろに振り返り、そこに立っている金髪の少女を見る。……こんな話、原作にはなかったんだがな。
「あなたには申し訳ないんですが、私はその石を集めているんです。だから唐突ではあるんですが、それをこちらに渡してくれませんか?」
金髪の少女――――フェイト・テスタロッサがそう俺に言ってくる。……本当だな。原作で聞いたとおりだ。なんて寂しい目をしてやがる。
「あんた、なんか寂しいのか?」
「あなたの話に付き合っている暇はありません。…渡してくれないんですか?」
「だったら、どうする?」
《マスター! ダメです! かないっこありません!》
《リゼット、俺はな、ああいう風に全部一人で抱え込む奴を見てるとイライラするんだよ》
前世の時もそうだった。いじめられているのに、誰にも相談しない奴を見ては説教しては、先生のところに無理やり連れて行かせたりしていた。
「だったら、力ずくで」
テスタロッサはそう言って、バルディッシュを構える。
「そうこなくっちゃ」
そうして俺も剣を構える。
「ひとついいか?」
「……何?」
「賭けをしよう」
「賭け?」
「そう。この勝負、あんたが勝てばジュエルシードをあんたにやる。俺が勝てばあんたのその寂しげな目をしている理由を教えてくれ」
「いいよ、勝てたらね」
「…じゃあ、行くぞ…」
そう言い放ち、テスタロッサに向け、全力で駆け出す。まだ能力は使わない。俺の総魔力量は少ない。あまり、使いすぎると、すぐにガス欠になってしまうからだ。
「ふっ!」
間合いに入ると同時に俺は思いっきり体を捻り、剣を横薙ぎに振る。
『ブリッツアクション』
「なっ…」
がしかし急にテスタロッサの姿が消え、剣は空振りに終わる。
速すぎる。姿が全く見えない。俺から見れば瞬間移動といってもいいくらい早かった。
フェイト・テスタロッサは高い機動力を生かした中~近距離戦、射撃と近接攻撃を得意としている。つまり、こちらも高速で動き続けるか、相手の動きを見切らないとすぐ、首を持っていかれる。
(一瞬でも油断したら一気に決められる……)
そう言い聞かせ、意識を集中する。感覚が鋭敏化され、視界が若干スローモーションになる。
「ッ!」
それは反射的な行動だった。ふいに気配を感じ、後ろに剣を持っていく。途端に金属音が鳴り響き、柄から振動が手へと伝わってくる。
「なかなかやるね」
テスタロッサは不敵に笑いながらそう言ってくる。
「冗談言うな」
ほんとに冗談じゃない。今のは運良く当たっただけだ。本当だったら、今頃、地面に這いつくばっていただろう。
(出し惜しみしてたら、やられる…!)
「…ッ!風よ!」
テスタロッサの上に見えない硬化させた風の塊を創りだし、それをテスタロッサへと叩き下ろす。
『ブリッツアクション』
それはわかって避けたのか、それとも直感がそうさせたのかは分からないが、テスタロッサは見えない風の塊を避けた。ターゲットに当たらなかったため、目の前にクレーターができる。
「くそっ!」
あんな風に移動されては勝ち目がない。雲を掴もうとするような物だ。魔力量でも劣っているため、短期決戦しかない。
《リゼット、あれやるぞ》
《はい!》
リゼットはこの1年間の間にあるシステムの調整を終わらせていた。それは、俺の能力のアシスト。簡単に言うと、使いたい技名を言うだけでリゼットがアシストしてくれるという優れもの。これのおかげで大規模な力を瞬時に出せるようになった。
「ツイストフィールドッ!」
俺を中心に円球状の竜巻が形成され、テスタロッサはそれに飲み込まれる。この技は竜巻で相手を攻撃しつつ、竜巻内に風の結界を作り、そしてターゲットを引きずり込むというもの。
「特殊な魔法を使うんだね」
俺の上位技なのに、無傷で別段驚くこともなく、そう言ってくる。
「まあな。ようやく捕まえたぜ」
この狭い空間ではあんな移動はできないはず。そう思い、俺は風のブーストを受け、テスタロッサの間合いに一瞬で入り込む。
「はっ!」
「ッ!」
俺は突きを放ち、テスタロッサはギリギリで右に避けた。が避けられることがわかっていたので、そこから強引に右に振り抜く。
防御されたが初めて攻撃がヒットしたことに少し、安堵感を覚える。勝てない相手じゃない。
俺の攻撃を受け、吹き飛んだテスタロッサはギリギリまで俺と距離をとっていた。…?何をする気だ?
「撃ち抜け、轟雷……」
「ヤバッ!……!?」
動けない!まさかバインド!?…でも風を操って移動することぐらいならできる!
俺は風を使い、回避行動を取り始める。
「サンダースマッシャー!」
「!?」
回避しようとした瞬間、テスタロッサは後ろを向き風の結界にサンダースマッシャーを放った。
あまりの唐突な事に集中が途切れ、結界に穴があきテスタロッサの脱出を許してしまう。
「ちっ!」
俺は、バインドを解き風の結界を解除する。がそれはやってはいけないことに気づく。何故なら、俺の周りには、大量のスフィアが展開されていたからである。
「……もと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル。フォトンランサー・ファランクスシフト。時間が無いんだ。…ごめんね」
ファランクスシフト!? 確か原作じゃ、テスタロッサの最強魔法じゃなかったか!?
《リゼット!あれに対抗できる技はあるか?》
《ありますけど、それを放つには魔力が足りません!》
「くそッ!!肝心なところでッ!」
……待て。確かテスタロッサの魔法には全て電撃が入っていた。そりゃ、そうだな。変換資質を持ってるんだから。って事はあれは電気と同じ……!
なら、まだ手はある。その後は根性次第だな。
「撃ち砕け!ファイアー!!」
矢継ぎ早に放たれる雷の槍。それが全て俺に直撃した……
◇◆◇
「打ち砕け!ファイアー!!」
そう言い、名も知らない男の子に向かって、フォトンランサーを連射する。
フォトンランサー・ファランクスシフト――フォトンランサーのバリエーションにして、現時点での私の最大攻撃魔法。30発以上のフォトンスフィアより繰り出される、フォトンランサーの一点集中高速連射。リニスは発動・命中さえすれば防げる相手はまずいないと言っていた。
ファランクスシフトを使う羽目になるとは思ってもいなかった。この男の子、想像以上に粘るのだ。母さんを待たせるのは嫌なので早めに決めさせてもらった。
「はぁ、はぁ、はぁ」
このファランクスシフトはすごく疲れるので使いたくなかったが…と思いながら飛行魔法を解除する。そして男の子の方(今は土ぼこりで見えない)に向かって歩き続ける。
「―――――――なんとか耐えたな…」
「え…どう…し…」
言葉を紡ごうとするが、目の前の事態に頭が追いつかない。
「どうして?って顔してるな?そりゃあそうだ。全部当たったハズなのに、どうして立っていられるのか不思議だよな。でも教えてやんね。敵にわざわざ教えるわきゃねーだろ。どうする?まだ続けるか?」
「くっ……」
向こうはすでにバリアジャケットのいたるところがボロボロだけど、私の魔法を防いだトリックが分からない以上、これ以上続けたら、こちらが不利になる可能性がある。
ここは、悔しいが一旦引くしかない。そう思い、私は飛翔魔法を使い男の子から引いた。
◇◆◇
「ふぅー」
『よくハッタリが効きましたね』
「だな」
そして、俺は地面に倒れかける。さっきいったことは本当だが、正直戦う力は残っていない。
さっき使ったのは風を超圧縮して作った壁。空気の密度が高ければ、空気は電気を通さなくなる。俺が作った風だから、魔力も通さない。あいつの攻撃は完全遮断…ってわけだ。
「まあ、何回も使えないけどな、あの技」
『ですね。維持するにはかなりの魔力が必要ですし』
そう、なぜ完全遮断なのに体中ボロボロなのかは途中で魔力が切れ素手でガードしていたからだ。
「引き分けか…いやさっき騙していなければ、俺が負けてただろうな。もっと強くならないと…」
俺は手を上にかざし握る。次会うときには勝ってなぜそんな寂しそうなのかをを訊こう。
カズ「ジュエルシードどうする?」
リゼ「私が預かっておきます」