魔法少女リリカルなのは~新たな人生を送る転生者~   作:れお3

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第4話 「とある一日」

 訓練を終え、俺は学校に来ていた。そこである奴を見かけ、声をかける。

 

「よぉ、筋肉大好き野郎。この間はサンキューな」

「いやいや、いいってもんよ。カズ」

 

 俺が声をかけたのは天満。この間の礼を言うためだ。

 

「それにしても災難だったな。クマに襲われるなんて」

「………………は?」

「いや、何も言うな。お前の言いたいことはわかってる。どうして、知っているんだ!?ってことだろ」

「何言ってんだ?お前」

「あの電話を聞いたとき、俺は思った…」

「聞けよ、人の話」

「お前ほどの筋肉溢れる奴が怪我で帰るなんてただ事じゃあない。つまり、何かすごいことがあったって事だ。そこで、俺は考えた…ものすごく考えた」

「いや、大したことじゃないって」

 

 まあ本当はすごいことがあったんだが、天満に話すわけにはいかない。

 

「で、ふとひらめいたんだ。そうか!クマに襲われたのか!ってな」

「……待て待て。最後の言葉が理解できなかったから、もう一回言い直してくれないか?」

「なんだ?まあいい。ふとひらめいたんだ。そう…」

「そこじゃなくて! ……ホント最後の方」

「クマに襲われたのか!ってな」

「…………………」

 

 なんでそうなる!? ほかにも色々あるだろ! なんですか? 脳みそも筋肉でできてるんですか?

 

「どうだ?」

「いや、そのドヤ顔やめろって。普通に間違えてるから」

「えっ、マジかよ。つい合ってると思ってクラスのみんなにはなしちまったぜ」

「そこは…まあ、大丈夫だろう。クラスのみんなもそんな話信じないだろうし」

「お前も大変だな……」

「誰のせいだよっ!」

 

 手で殴ると傷口に悪いので、後ろ回し蹴りを天満の背中に叩き込む。硬ってぇーやっぱりコイツの筋肉は伊達じゃない。

 

「いやあ、悪い悪い」

 

 こいつはいつもこうだ。俺が何をしても、いつも平然としている。一回、熱くなって全力で、回転蹴り(ギアスでスザクが使うランスロットの蹴りみたいなの)を顔面にぶちかましたこともあったが、それも効かなかった。だから、俺はこいつに対してのツッコミはいつもこんな、派手な体術を使っている。…いつも効かないのが、ちょっとムカツク。本当に小3か?こいつ。…ま、俺もだが。

 そして、俺は自分の教室の扉を開ける。クラスの奴らは俺と暑いので袖をまくっている俺の両腕を見たとたんにすごい形相でみんな、俺に聞いてくる。

 

「ねえ、ねえクマに襲われたって本当!?」

「良く戻って来れたね!」

「天満くんが言ってたよ!」

「えっ…あの…それは」

 

 俺自身、まさかこんなになるなんて思ってもみなかったので、驚いて言葉が出ない。

 

「―――――黙りなさいッ!」

 

 その声で俺に迫っていた人たちが急に静かになる。

 

「今、確認すべきは一つのはずよ」

「バニングスか。助かった…」

 

 アリサ・バニングス。彼女の声は本当に聞き取りやすい。その澄んだ声はみんなに指示が通りやすいので、このクラスのリーダー的な存在となっている。まあ他にも理由はあるだろうが。

 

「で!大丈夫なの?その怪我」

「「大丈夫?」」

「ああ、別に大丈夫だ」

 

 バニングスとその仲良し組高町と月村がこちらに歩いてきてそう聞いてくる。俺は別に問題ないので、そう返す。

 

「そう……」

「「良かった…」」

 

 バニングスは返事を聞いたとたん、俺から興味を無くしたようだった。当たり前だが、どうやらバニングスは俺を心配したわけではなく、みんなの代表で聞いたようだった。後ろの二人はどうやら、違うようだが。

 

「アリサーーーーーーーーーーッッ!!」

 

 一件落着かと思いきや、ある男の声でそれが止められる。教室から入ってきた奴は、小学3年生とは、思えない顔立ちだった。漫画とかでしか出てこなそうな感じのやつだった。…確か、ここ最近、ずっと高町たちといた奴じゃないか?

 

「大声が聞こえたから、何事かと思ったのに何だ?お前?俺のアリサやなのは、すずかの気を引こうとか思ってんのか?」

「…………(こいつ、ウザいな)」

「なんか言えよ!」

 

 そう言いながら俺の胸ぐらを掴みあげてくる謎の人物。だがどこかであったことがあるような気がする。

 

「ていうか…お前誰…だよ…」

 

 胸ぐらを掴まれているので途切れ途切れの声を出す。

 

「うるせーよッ!」

「がはっ……」

 

 さらに絞める力を上げられ、息ができなくなり始める。……ったく、どっち…だよ。

 

 

「ちょっと、やめなさいよっ! 苦しそうじゃないの!!」

「アリサ、こういう風に懲らしめとかないと、調子にのるんだよ。こう言う奴は」

「大体、何であんたは、馴れ馴れしく私の名前を呼んでるのよっ!」

 

 バニングスが声を荒げて言っているのが聞こえる。……そろそろ、息と堪忍袋の我慢の限界だ。

 

「カズっ! テメー……!」

 

 こいつに殴りかかろうとしている天満を手で静止させる。俺は、前からやられた物は倍返しで返すのが主義だった。だから心配すんな天満、こいつは……殺すッ!

 

「放…せ…っ!」

「あ?」

「放せ……って言ってんだよっ!」

 

 俺はこのイケメンクソ野郎の手を掴みあげ、思い切り捻り上げる。

 

「痛てっ! この…放せよ!」

 

 そのイケメン君を突き放したあと、蹴りの威力を上げるため距離を取る。

 

「テメェー……ッ! いい加減に…」

「うっせーよ」

 

 そして、俺は天満にした回転蹴りをイケメン君の顔にぶち込んだ。イケメン君は体を回転させながら教室の奥まで吹っ飛んだ。

 

(……? 今の感覚…)

 

 初めて天満以外にも使うから、良く分からないが流石にここまで威力はないはずだ。…まさか、能力の影響か? …いや、それは無いはずだ。だって、あれはセットアップ時しか使え…

 

「カズっ! 大丈夫だったか?」

 

 天満に声をかけられ、思考が中断される。

 

「大丈夫。それよりもあいつの方が……」

 

 つい、怒りでやってしまったが、今、後悔した。やりすぎた。周りのみんなは目を白黒させている。

 

「天満。とりあえず、あいつを保健室へ運ぶのを手伝ってくれ」

「おう」

 

 イケメン君を担ぎながら天満に手伝えと言う。そして、俺はその場から逃げるように保健室へ向かった。

 

 

◇◆◇

 

 

 

 保健室から戻った俺は、机でうなだれていた。……だって…クラス女子のみんなから避けられているんだもん。俺が結構危ない奴だと思われ始めているみたいだ。イケメン君を吹っ飛ばしたことも多少は影響してるんだろうな。

 

「はあー……」

「ちょっとっ」

 

 俺の女子からの信用が一気にゼロに……と思いながら溜め息をついていたら、声をかけられたので、顔を上げる。

 

「バニングス達か…どうした」

 

 前には仲良し三人組が立っていた。正直、近寄らないでほしい。今俺はブルーな気分なんだ。

 

「さっきは…その…ありがとう」

「は?」

 

 いきなりお礼を言われたので驚き、思考が停止する。

 

「ありがとうって言ったのよっ!」

「いや、それはわかってるけど、急にどうした?」

「……あいつはね黒鐘 終って言ってね、前から、私たちにずっとついてきて、正直ウザかったのよ。いきなり名前で呼んだりしてきたし」

 

 バニングスの後ろにいる二人も頷いている。どうやら、二人も同じらしい。

 

「だから、ぶちのめしてくれてありがとうって言ったのよ」

「ああ、そういう事」

「ありがとう」

「ありがとう。本当にありがとう」

 

 バニングス、月村、高町はそう言ってくる。しかし本当に嬉しそうだな、高町は。今までで見たことがないくらいの笑顔だ。

 だがそろそろ戻ってくれないか。唯一の味方、男子達からも睨まれてるんだよ。お前らと話しているから。

 

「じゃ、言いたいことはそれだけだったから」

 

 バニングス達はそう言い残し、自分の席に戻っていった。

 その日の夜の家では……。

 

『マスター』

「リゼット、何だ?」

『あの人たちとは関わらないんじゃなかったんですか』

「ああ、それか。もう面倒くさいので諦めた。もうどうにでもなれ」

『そんな投げやりな……』

 

 

◇◆◇

 

 

 あの一件以来、数日が経ち、俺の学校生活は大きく変わった。親しくない男子からは危険な奴と思われ、俺に近寄らなくなった。それと女子からは完全にハブられるようになった。ただ、3人を除いて………

 

「ねえ、今日は私たちと一緒に帰らない?」

「断る!!」

 

 ただいま放課後。この状況だから、俺は今、友達が少ない。女友達は誰もいないし、男友達は佑樹と天満くらいだ。でも!こいつらと一緒にいるとろくなことがない!

 

「そんな、すぐさま全否定しなくてもいいじゃない!」

「他にも誘えるやつぐらいいるだろう? 何で俺なんだ?バニングス。高町。月村」

「「「…………」」」

「だんまりか。俺が当ててやろうか? どうせ、黒鐘が近寄ってこないから。って感じだろ」

「「「…………」」」

「おーい、目背けるなー」

 

 そう、仲良し3人組だけはむしろ前より仲良くなった。理由は……言わなくてもわかると思うが、黒鐘が俺を避けているからだ。あの回転蹴りがトラウマになっているらしく、俺のそばには近寄ってこない。だから、こいつら黒鐘に絡まれるとすぐ、こっちにエスケープしてくる。その度に、俺は黒鐘に睨まれるんだが……

 だから、こいつらなるべく俺の近くに居ようとする。こっちからしたら、たまらない。佑樹達は遠慮して、こっちに来ないし、男子からは睨まれるし、黒鐘からは殺気を出されるしで大変なんだ。……で、俺が離れようとすると……

 

「じゃ、面倒なので俺は一人で帰……」

「逃がさない」

 

 高町に腕を掴まれ、動きを封じられる。しかもこいつ魔力で筋力強化してくるので、毎日鍛えている俺でもビクともしない。俺には魔力はあるが、才能は皆無なので、何も出来ない。こうなるとおしまいなのだ。

 

「HA☆NA☆SE!! 今日こそは一人で帰る!」

「一緒に帰らないと……」

「痛ッ…はい。一緒に帰らさせてもらいます」

「うん!」

 

 お、恐ろしいっ!こいつ、このままいってたら、俺の腕の骨を折ってたぞ…!

 

「っち!…」

 

 どうやら、教室の窓から黒鐘が覗いていたらしく、俺が高町達と一緒に帰ることになったのを見て舌打ちしながら、何処かへ行ってしまった。

 

 

「はあ……」

 

 朝昼はこいつらに絡まれ、夜ははやての家で飯を食べながらはやてと駄弁る。数日前の俺から考えると、ありえない事だと思う。

 

 

 

◇◆◇

 

 

「……ねえ…」

 

 

 高町達と一緒に帰っているが、いつも俺は仲良し3人組の後ろを一人で歩いている。…が、バニングスがこっちに歩調を合わせ、俺の隣に来て、小声で何か言ってきた。

 

「何だ?」

 

 真剣な顔をしていたので、俺も小声で返す。どうやら、前の二人は話に夢中になっているようで、こっちの会話には気づいていない。

 

「最近、なのはの様子がおかしいのよ。何か隠してるみたいで……あんた、何か知らない?」

 

 それは、俺も気づいていた。時々高町は無理しているように見えた。まあ、原因は、大体察しがつくが……

 

「さあ、俺は知らないな」

「そう」

 

 こいつらにはまだ魔法のことを言うのは早い。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 こんにちは、高町なのはです。ある日、ユーノ君と名乗るフェレットに会って魔法少女になり、今はジュエルシードを集めています。それから、色々なことがありました。

 一つ目は2年生の時一緒のクラスで、妙に私に話しかけてきた黒鐘 終君が魔導師だったということです。いきなり、ジュエルシード集めを手伝ってやるって言ってきて、それからジュエルシード集めの時は行動を共にしています。

 正直言うと私は彼が苦手です。必要以上に体を触ってくるし、変な視線を送ってきたりするからです。前は学校の時も一緒にいましたが、今はある男の子、橘くんがいるから、終君と一緒にいるのはジュエルシード集めの時だけになりました。だから橘くんには感謝しています。

 そして、二つ目…今わたしが一番気になっていること。すずかちゃんの家に遊びに行った時に出会った少女。綺麗な瞳と髪をした、あの少女。ジュエルシード集めをしてると、またあの子と戦うことになる。そう考えると……

 

「なのはちゃん、大丈夫?」

「え?」

 

 考え事をしていたらすずかちゃんに大丈夫?と言われた。どう言う意味だろう?そういえば、アリサちゃんがいない。後ろを向くとアリサちゃんがいた。どうやら、橘くんと話しているみたいだった。

 

「ちょっと、悲しい顔をしてたから…」

「そんなことないよ。ほら?」

「うん…ごめん…」

 

 わたしはすずかちゃんに笑顔を見せる。けど…すずかちゃんの心配しているような顔は変わらなかった。

 

 

 

◇◆◇

 

 

「じゃあ、俺こっちだから」

「うん…」

「じゃあね」

「バイバイ」

「ああ、また明日」

 

 高町達に別れを告げ、俺は家へと向かう。バニングスに言われたからかもしれないが、別れる時、高町の元気がさらになくなっているように見えた。

 

「絶対にテスタロッサ関連だよな…」

 

 もう、うろ覚えだが原作でそんなことがあった…ような気がする。

 

「リゼットも待っているだろうし、さっさと帰るか」

 

 俺は独り言を言いながら、家へと走った。

 そして夜、はやての家で食材を持ち込み、料理対決をしたがやはりはやてのごはんの方が美味しかった。その時のドヤ顔がものすごくイラっときたのを覚えている。

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