ストライクウィッチーズ オストマルク戦記   作:mix_cat

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第四十九話 ウィーン総攻撃

 いよいよウィーン奪還作戦が始まる。今回はカールスラント軍を中心とした西部方面統合軍も、プラハの巣への攻撃を行って地中海方面統合軍のウィーン攻撃を支援する。カールスラント空軍ウィッチ隊主力は、ドレスデンに集結し、出撃の準備を整えている。カールスラント空軍ウィッチ隊総監のアドルフィーネ・ガランド中将が出撃前の訓示を与える。

「我がカールスラントに長きに渡って脅威を与え続けてきた、オストマルクのネウロイを撃滅するときが来た。各自がその任務を果たし、人類の勝利に貢献することを期待する。」

 集まった隊員たちは声を揃えて応じる。指揮官の一人が手を上げる。

「総監、今回は地中海方面統合軍によるウィーン奪還の支援ということですから、プラハの巣のネウロイを適当にあしらって、引き付けておくということでいいんですね。」

「いや、出てきたネウロイは殲滅して欲しい。」

「でも、なるべく損害を出さないようにという指示を受けていますが。」

「損害は出さないでくれ。ウィーンの巣を撃滅したら次はプラハの巣だ。すぐに次にかかれるよう損害は出さないで欲しい。ただし、次の作戦に備えてプラハの巣のネウロイを枯渇させるために、少しでも多くのネウロイを破壊してもらいたい。」

 上層部はどこでも無理な要求をするものだ。どう考えても両立するのは難しいが、命じられたらやらなければならない現場指揮官は辛い所だ。

 

 でも、と思う。

「プラハの巣を攻撃するときは、地中海方面統合軍が支援に回ってくれるんですよね。」

 支援があれば、少し位の損害ならそれで穴埋めできる。今回の支援任務で苦労する分は、きっちり返してもらえるのだろうと期待するが、上層部の思惑はまた違うようだ。

「いや、プラハの巣の撃滅は、できれば地中海方面統合軍の支援は受けずにやりたい。」

「なんでですか?」

「地中海方面統合軍のウィッチ隊司令官は、ベルリン解放の英雄、扶桑皇国の宮藤芳佳少将だ。そういつも彼女に頼ってばかりでは、カールスラントの面目に関わる。カールスラントの名誉のために、ここは支援を受けずにやりたいというのが上層部の意向だ。」

 正直、現場で直接敵と見える立場としては、カールスラントの面目とかどうでもいいから、できるだけ支援してもらいたい。いっそ全部お任せしたいくらいだ。しかしまあ、そうも言えない。もっとも、聞くところによれば宮藤司令官はおせっかいなたちで、黙っていても勝手に応援に来るらしい。そうなれば、上層部の思惑は知らない振りで、歓迎すれば良いだけの事だ。ここは黙って来てくれることを期待しよう。ガランド中将も立場上言っているだけで、上層部の思惑に本気でつきあうつもりではないだろう。なにしろ上から飛行禁止命令が出ても関係なく出撃するような人だから。

 

 ドレスデンからプラハまではおよそ120キロと近い。ウィッチ隊が出撃するとすぐにネウロイも出てくる。

「さあ、一丁派手に叩いて引き付けるよ。」

 カールスラントウィッチ隊の精鋭たちは、一斉にネウロイに攻めかかる。

 

 

 同じ頃、グラーツのウィッチ隊も出撃していた。

「発進!」

 第一陣のウィッチたちは離陸すると北を目指す。第一陣はハンガリー隊とスロバキア隊に、クロアチア隊が加わっている。見送る芳佳は、いつも先鋒はハンガリー隊を中心とする部隊で、ちょっと負担をかけているかなと思う。だが、第二陣の方がより強力なネウロイの反撃を受ける恐れもあり、どちらが負担かは何とも言えない。程なく、ウィッチたちを追うように、基地上空を数えきれないほどの戦闘機隊が越えて行く。戦闘機隊は地上部隊支援のために対地攻撃をする他、ウィッチ隊を支援して主に小型ネウロイを迎撃する任務も担うことになっている。

「戦闘機隊に犠牲が出ないといいんだけどな・・・。」

 芳佳はそう呟きながらも、以前見た、大型ネウロイに立ち向かった戦闘機隊が見る見るうちに叩き落された悲惨な光景を思い出して、胸が締め付けられるような気持ちがする。しかし、隣で戦闘機隊を見上げているチェルマク少将はさして憂える風もなく答える。

「戦闘機隊も小型ネウロイ相手な良い戦いを見せてくれるんじゃないですか。もちろん、戦う以上一定の損耗は出るでしょうけれど、想定の範囲内だと思います。」

 幕僚として勤務してきたチェルマク少将とすれば、作戦に伴う損耗を数字として計算するのは普通の事だ。しかし、いつも第一線で一緒に戦ってきた芳佳には、将兵の犠牲を冷徹に数字として見ることはできにくい。一人一人の将兵には、それぞれ家族や友人がいて、それぞれの思いや生活があるのだ。それを単なる数字として見るチェルマク少将の事を、冷たい人だと感じてしまう。

 

 彼方から遠雷の様に響く砲声が聞こえてくる。地上部隊も攻勢に出ているのだ。地上部隊は、正面の山岳地帯を越えて進攻する他、比較的平坦で侵攻しやすい東側のハンガリー地域からも侵攻する。前者は、ネウロイは山岳が苦手なので抵抗は比較的少ないことが予想されるが、大軍の侵攻は難しく、前進に時間を要することが予想される。後者は大軍を展開しやすい一方で、ネウロイの激しい抵抗が予想され、一長一短だ。だが、どちらかが突破して地上を制圧してくれれば良く、条件の異なる侵攻ルートがあることは、ある意味保険になるだろう。もちろん、両方とも計画通りに前進して、地上を広く制圧してくれることが望ましい。

 

 伝令が報告に来た。

「司令官、ハンガリー隊が敵と接触したとの報告です。」

「うん、わかった。」

 いよいよ戦闘開始だ。芳佳はぎゅっと表情を引き締めると、作戦室に移動する。

 

 ハンガリー隊に正面から向かって来るのは、40機ほどの小型ネウロイの集団だ。

「総員突撃!」

 ヘッペシュ中佐は号令をかけると、先頭に立ってネウロイの集団に突入して行く。左右をハンガリー隊のウィッチたちが固めて、ネウロイのビームを冒して一団となって突入する。両翼、少し遅れてスロバキア隊とクロアチア隊が続く。ヘッペシュ中佐は、ネウロイのビームをシールドで弾き飛ばすと叫ぶ。

「撃て!」

 ハンガリー隊の一斉射撃で、集団中央の小型ネウロイが相次いで砕け散る。間を置かずに、スロバキア隊とクロアチア隊の銃撃が続く。小型ネウロイは集団を崩して、あるものは銃撃を避けて距離を取り、あるものはそのまますれ違って進み、またあるものは旋回してウィッチを追う。たちまち空一面の乱戦になった。

 

 そこへ、上空から戦闘機が矢のように降下してきて、小型ネウロイに銃撃を加えると下へ抜ける。次々襲撃してくる戦闘機に、あちこちで小型ネウロイが砕け散る。降下して十分距離を取った戦闘機は、反転上昇に移って、突き上げるように再びネウロイを攻撃する。人類側優位の形勢だが、戦闘機隊も無傷では済まない。ネウロイのビームが1機の戦闘機を捉え、その主翼を引きちぎる。被弾した戦闘機はくるくると回りながら落ちて行く。戦闘機隊の指揮官が脱出を呼びかけるが、あのように回りながら落ちて行くと脱出は難しいだろう。パラシュートが開くことなく、地上に火の玉が湧く。

 

「残りは戦闘機隊に任せて、ウィッチ隊は前進。」

 ヘッペシュ中佐の指示で、各ウィッチ隊は戦闘を切り上げると、早くも現れた次のネウロイの一団に向かう。20機足らずの一団だ。この程度なら、今の戦力があれば問題なく殲滅できるだろう。ウィッチたちは一斉に突入すると銃撃を浴びせかける。ぱっ、ぱっと空にネウロイの破片が小さな雲のように広がる。しかし、こういう時こそ注意が必要だ。油断してうっかりとビームを浴びたりしてはいけない。ポッチョンディ大尉は思いがけない方向からの襲撃がないか、ぐるりと周囲を見回す。

 

 ポッチョンディ大尉の視線が一点に釘付けになった。

「隊長! 何ですかあれは!」

 ポッチョンディ大尉の指し示す方向から、全長150メートルほどの大型ネウロイが向かって来ていた。目を引くのはその形だ。明らかに船、それも甲板上に巨砲を並べた戦艦の形をしている。それが、全体をハニカム様の装甲に覆われた、明らかにネウロイの姿になって空中に浮かんでいる。ヘッペシュ中佐がうめく。

「あれは・・・、テゲトフ級の戦艦だ。テゲトフ級4番艦のセント・イシュトヴァーンだ。」

 テゲトフ級の戦艦の中で、4番艦のセント・イシュトヴァーンは艦橋周囲の構造が少し異なるので見分けるのは比較的容易だ。

 

 基地では、ハンガリー隊の通信を聞いた芳佳が戸惑いを見せていた。

「戦艦が飛んでるの? セント・イシュトヴァーンってどんな戦艦?」

 戦艦というが、戦艦の船体を利用して大型ネウロイと化したものだろう。芳佳自身は、かつてネウロイに乗っ取られた航空母艦赤城とか、ネウロイに対抗するためにネウロイ化技術を利用した大和とか、見たことがあるからイメージが湧くが、セント・イシュトヴァーンがどのような艦なのかはわからない。それにチェルマク少将が答える。

「セント・イシュトヴァーン、これはハンガリー語読みで、カールスラント語読みではシュツェント・イストファンですが、オストマルク最大の戦艦、テゲトフ級の戦艦です。セント・イシュトヴァーンはアドリア海でネウロイの攻撃を受けて沈没したはずなんですが・・・。」

「最大の戦艦? そんなのがネウロイ化して出てきたの?」

 最大の戦艦といえば、扶桑皇国なら大和級だ。そんなものが出て来たとなると、第一陣のウィッチたちだけでは心許ない。

「あ、いえ、確かに最大の戦艦ですが、そんなに凄いものじゃあないんですよ。」

「え?」

「オストマルクは第一次ネウロイ大戦で大きな被害を受けたために、その後新鋭戦艦の建造ができなかったんです。テゲトフ級は1910年代に建造された弩級戦艦で、それに続いて超弩級戦艦の建造も計画していたんですが、結局実現しませんでした。だから、列強の新鋭戦艦に比べるとはるかに非力です。」

 チェルマク少将の説明に芳佳は少しほっとする。

「そうなんだ。排水量や兵装はどうなの?」

「排水量は約2万トン、主砲は30センチ3連装砲塔4基12門、他に15センチ砲12門、6.6センチ砲18門を装備しています。」

「うう・・・、確かに他の戦艦程じゃないけど、十分過ぎるほど強力だよ。」

 非力といってもやはり戦艦だ。新鋭戦艦と撃ち合ったらひとたまりもないかもしれないが、ウィッチが戦う相手としては余りにも強大だ。芳佳は通信機から送られる戦況に、固唾を飲んで聞き耳を立てる。

 

 ヘッペシュ中佐は、強敵だからといって怯んでいるわけにはいかない。

「かかれ!」

 ウィッチたちが攻めかかると、戦艦型ネウロイは船体の装甲各所にある赤いビーム発射部位からビームを発射する他、30門も装備した小口径砲からもビームを放つ。さらに、4基の主砲塔がぐるりと旋回すると、12門の主砲から太さが30センチもある太いビームを斉射する。

「なんなの? あのぶっといビームは?」

「あんなのが当たったら、シールドも撃ち抜かれちゃうよ。」

「シールドごとビームに飲み込まれるんじゃないの?」

 ウィッチたちは悲鳴を上げながら逃げ惑う。ヘッペシュ中佐は隊員たちを叱咤しながら戦艦型ネウロイに向かうが、巨砲のビームが向かって来て慌てて回避する。巨砲のビームは強烈で、近くを通っただけで体が焼けるかと思う。

「だめ、一旦距離を取って。」

 突撃が身上のヘッペシュ中佐といえども、これは少し作戦を考えないと無理だと思い知らされる。

 

 遠巻きにしてネウロイの攻撃がやんだところで、さてどうしたものか。

「隊長、あの主砲のビームがなければ何とか攻撃できるんじゃないんですか?」

 確かに、主砲のビームがなければ何とか肉薄攻撃も出来そうだ。主砲の旋回には時間がかかるようだから、一旦片側に引き付けてしまえば反対側に隙ができる。

「よし、ハンガリー隊が右から攻撃して主砲を引き付ける。スロバキア隊とクロアチア隊はその隙に肉薄して攻撃しろ。まず砲を叩いてビームを減らせ。」

 作戦が決まれば直ちに攻撃だ。各隊左右に展開すると、まずハンガリー隊が突入し、少し遅れてスロバキア隊とクロアチア隊が突入する。しかし何としたことか、戦艦型ネウロイは艦首の2基の主砲をハンガリー隊に向け、艦尾の2基の主砲を反対側に向けると、一斉にビームを発射する。

「退避! 退避!」

 全員慌てて引き返す。この作戦でも駄目だ。

 

「俺たちに任せろ!」

 通信と共に、戦闘機の編隊が突っ込んでくる。どの機も翼下に爆弾を抱えている。確かに、戦艦は航空攻撃を苦手としている。しかしネウロイ化した戦艦に通用するのだろうか。次の瞬間、戦艦型ネウロイは多数のビームを放つ。戦闘機がビームに包まれたかと思うと、次々空中爆発する。やはり、戦闘機で大型ネウロイに立ち向かうのには無理がある。

 

「隊長、主砲は発射間隔が長いようです。」

 デブレーディ大尉が言う。つまり、危険な戦術だが、発射直後に突入すれば、次の発射までに肉薄して攻撃できるだろうということだ。緊張を顔面に張り付けて、それでもこんな提案をしてくるあたり士気は高い。

「わかったわ。ジョーフィアが行ってくれるの?」

「はい、行きます。」

 ヘッペシュ中佐以下の各隊は再び攻撃に向かう。デブレーディ大尉はケニェレシュ曹長を連れて、少し引いたところで待機だ。戦艦型ネウロイが主砲から一斉にビームを放つ。

「今だ、突っ込め!」

 主砲こそ撃って来ないが、それでも大量のビームを放って来る戦艦型ネウロイに、デブレーディ―大尉とケニェレシュ曹長は、遮二無二突入する。どうせならあの厄介な主砲を潰したい。

「撃て!」

 二人は主砲塔に集中的に機銃弾を撃ち込んだ。カン、カンと金属的な音がして、命中した機銃弾が跳ね飛んでいる。何と、主砲塔の装甲には傷一つ付かない。

「駄目です、機銃弾が跳ね返されます。」

 このネウロイには自分達では歯が立たないのか。引き返しながらデブレーディ大尉は絶望感に襲われる。

 

「これは・・・、元々の装甲を装甲として利用しているのではないでしょうか。」

 通信を聞いたチェルマク少将が苦渋の表情を見せる。

「だとしたら、いくらウィッチでも機銃で装甲を削るのは無理だね。」

 そうなると、このネウロイを撃破するためには、とっておきの攻撃を繰り出すしかない。恐らくこれに通用するのは、芳佳とユルキュのツァウベルヴンダーヴァッフェか、芳佳と望月の烈風斬しかない。しかし、どれも巣を攻撃する時のために取っておきたい。だからといってこのネウロイを撃破できなければ、巣には近寄ることもできない。苦渋の選択だが、ユルキュにやらせよう。まさか今の段階で自分がやるわけにはいかないし、烈風斬を撃ち込むには、強烈なビームを冒してネウロイに肉薄する必要がある。

 

 そこへ突然通信が舞い込む。

「宮藤。」

「えっ?」

 この声は、シャーリーか。

「大型ネウロイはあたしとルッキーニで破壊するよ。」

「えっ? 何言ってるんですか? 今どこにいるんですか?」

 二人はもう上がりを迎えていて実戦には参加できないので、シャーメッレーク基地に待機しているはずだ。

「うん、もうすぐ前線に着くよ。」

「無茶です、止めてください。シャーリーさんはもうシールドが使えないんですよ。」

「よしか、大丈夫だよ。」

「ルッキーニちゃん、止めてよ。何が大丈夫なの?」

「うん、魔法力が衰えるとね、大抵は最初にシールドが使えなくなるんだけどね、固有魔法は比較的後まで残るんだよ。それで、あたしの固有魔法の『光熱』は、多重シールドの先端に魔法力を集中して高熱で攻撃するんだけど、多重シールドがその一部だからシールドの衰えは遅いんだよ。だからあたしのシールドでシャーリーをカバーできるから平気だよ。」

「だからって・・・。」

 確かに一応大丈夫といえば大丈夫だが、やはり危険は大きい。でも、二人は芳佳の指揮下にいるわけではないから命令して止めさせることはできないし、命令したからといって素直に言うことを聞く性格でもない。そもそも、今から止めに追いかけて行っても、シャーリーの速さに追いつくわけがない。

 

「おっ、見えて来たぞ。本当だ、ネウロイが戦艦の形をしているよ。」

「シャーリーさん、どうするつもりですか?」

「あたしが超音速まで加速してルッキーニを投げる。ルッキーニは光熱攻撃で戦艦型ネウロイをぶち破る。」

「ちょっと待ってください。戦艦の装甲は頑丈なんですよ。いくらルッキーニちゃんでも破るのは無理なんじゃないんですか?」

「よしか、大丈夫だよ・・・、多分・・・。」

「多分って・・・、ルッキーニちゃんは装甲板を撃ち抜いたことあるの?」

「ないよ。」

「だめじゃない。」

 セント・イシュトヴァーンの装甲厚は最大280ミリだ。抜ければいいが、抜けなかったら悲惨だ。どうにかならないものか。そこでひとつ思い付く。

「シャーリーさん、戦艦の装甲って、水線部付近から上に集中していて、下の方は薄いんです。最近の戦艦はともかく、古い戦艦は艦底寄りには装甲がないんです。だから底の方を狙って攻撃してください。」

「わかった、ありがとうな。」

 芳佳も一応海軍なので、艦艇の事については多少知識がある。

 

「行くぞ、ルッキーニ。」

 シャーリーはルッキーニを抱えたまま轟音を立てて超音速に加速すると、戦艦型ネウロイに向けてルッキーニを思い切り放り投げる。

「あちょー!」

 ルッキーニは超音速の弾丸と化して、戦艦型ネウロイに向かって突っ込む。ネウロイは激しくビームを放って来るが、超音速のルッキーニには狙いをつけにくい上、当たっても前面に展開した多重シールドが弾き飛ばす。

「スーパールッキーニアタック!」

 ルッキーニはネウロイの艦底に近い舷側を突き破ると、そのまま一気に内部を貫通し、反対側の舷側を突き破って飛び出す。ネウロイに巨大な風穴があいた。

 

「今だ。」

 ヘッペシュ中佐がルッキーニの開けた大穴からネウロイの内部に飛び込む。そこは、元の機械室に相当する場所で、本来は巨大なタービン機関が設置されているはずだが、機関はなく、広いがらんどうの空間が広がっている。そして、その中ににコアが浮かんでいた。

「これで終わりよ。」

 ヘッペシュ中佐の銃撃がコアを撃ち砕く。結構な苦戦を強いられた戦艦型ネウロイだったが、シャーリーとルッキーニの活躍で撃破された。芳佳が神経性胃炎になったかどうかはわからない。


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