でも、カイロを振ってからポケットの中などに入れておくととても温かくなり、寒い冬にそれを使うと、とても幸せになりますね。むしろ、「あぁ、生きてる…」なんて思うくらいですよね。
そんなカイロですが、今回は貼らないタイプの カイロ自身 からの視点の話です。
僕はカイロ。使い捨てタイプのカイロだ。
この冬、とても寒い日が続いているから、僕たちを買う人がたくさんいる。
…僕もそろそろ買われるのかな…。
噂によると、使い捨てカイロを人はポケットに入れて、そのまま忘れて洗濯機にまわされたり、もしくは寿命がきた僕たちを寒い道路に捨てられたりしていると聞いた。僕たちは、最終的にゴミとして捨てられる運命だけど、せめて僕たちは「ゴミ箱」という部屋にたどり着きたいと思っている。
…そのほうが良い。
でも、人はそんなことを気にしないで「ゴミ箱」という部屋ではないところへ捨てたりする。
僕たちが人を助けていると言っても過言じゃないくらいに僕たちは自分を温かくしているのに。
そんな事を考えていたら、一人の女の子がやってきて、僕をその子の母らしき人の商品のかごの中に入れた。やっと僕が役に立つ日が近づいてきた。僕を大切に使ってくれる人なら良いなと思いながらその日は終わった。
次の日の早朝、あの女の子が僕を起こした。僕は慌てて熱を出した。こんな経験、初めてだ。僕はこんなに熱を出せる物だったのだと。
女の子は、寝坊でもしたのかのように物凄い速さで準備をして、ぼくをポケットに入れて外に出た。
しばらく時間がたち、僕は物凄く熱くなってきた。そう思った瞬間、女の子の手が見えた。熱を出しすぎて朦朧としていたのでその時はあまり覚えていないが、女の子の手が物凄く冷たかったことは覚えている。
その冷たさで、僕は意識を少し取り戻した。
ここはどこだ…?ガタンガタンと音が聞こえる。周りの人たちは椅子にずらーっと座っている。景色はすごいスピードで変わっていっている。
すると、アナウンスが鳴った。周りの音がだんだん小さくなっていく。そして、キキーっという音で景色が止まる。扉が自動で開く。すると、女の子は立ち上がり、歩いて外へ飛び出した。
人の声やピーという音がたくさん聞こえる。外の世界を経験したことが無い僕には、とても新鮮な経験だった。
僕のそんな気持ちは気にもせず、女の子はどんどん歩いていく。
そして、また僕はポケットの中に入れられる。
何分経ったのだろう。ぼくはまた熱が出てきた。熱い。
すると、女の子の手が見えた。また僕は彼女によって冷える。
すると、元気な声が響きわたる部屋についた。彼女もまた元気な声を出す。しばらくその状態が続き、突然、低い声が部屋の中に響きわたった。と思えば、一瞬で静まりかえった。そして、女の子は席に着いた。他の人たちも席に着いた。しかし、低い声の持ち主は座らず、少し暗い緑色の壁に白い棒を擦りつけた。すると、少し暗い緑色の壁に白い色がついた。周りの人は、それを見ていた。僕には何をしているのか分からなかったが、それは分からなくても良い事。
そして、また僕はポケットに入れられた。
一時間位経っただろうか。また僕は熱くなっていた。もうそろそろ慣れた。でもやっぱり熱い。
そんなことを思っていると、女の子の手が見えた。また冷える。
彼女の友達だろうか、僕の仲間を手に握りしめている人が二人来た。すると、僕はその人の手にまた冷やされ、生ぬるくなった僕を見て、何か言っていたが、僕には人の言葉はあまり分からない。でも、それも分からなくても良い事。
そして、甲高い声が部屋に響くと同時にまたポケットの中へ。
そんな事が何度かあった後、女の子はまた、僕が朝に聞いたガタンガタンという音の鳴るものに乗り、僕が早朝に起こされた部屋にたどり着いた。
その時に、女の子の母らしき人に女の子は色々な事を話していた。
でも、その時に確かに聞こえたんだ。
「カイロ使って良かった」
その言葉しか僕には分からなかったが、僕はとても嬉しかった。それが、僕が最後に聞き取れた言葉だった。
だんだん僕は熱が下がってきた。もうそろそろ寿命が終わるのかな…。
そして、僕が完全に冷え切り、意識がなくなりそうになったとき、確かに彼女は僕を「ゴミ箱」に入れてくれた。その時が僕にとって一番嬉しかった瞬間だった。
そして、僕は 使い捨てカイロ の役目を終えた。
END
初めましての人は初めまして!いつも読んでるよの人はいつもありがとう。
HonoRinです。
この作品は、主にこの時期に使われているであろうカイロを題材に、カイロ自身の気持ちを書いてみました。正直、書いてみると、「意外とカイロって切ないな…」と思いました。
カイロにもこのような気持ちがあれば、そのカイロはとても辛いでしょうね。。。
そんな思いで書きました。(笑)
最後まで読んで下さり、ありがとうございました!!
では、また。