マブラヴで楽していきたい~戦うなんてとんでもない転生者   作:ジャム入りあんパン

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14・それがダチってもんだろ?

「座れよ」

 あの後、『話したいことがある』と言ったアムロを自室に招いた。

 念のため、焔ちゃんには席を外してもらった。よくよく考えれば、アムロと二人きりというのは実に久しぶりだ。

 大体の場合は、焔ちゃんが傍に控えていて、付き合いはそれなりに濃いはずなのに腹を割って話し合ったことはあまりない。

「それで、どうした?」

「ああ。聞いてほしい事と聞かせてほしい事がある」

 まあ、聞いてくるとは思っていた。今日はサイコバンダナを外してある。それを見たからか、アムロは露骨にホッとした顔をしている。

 流石に話さない訳にはいかないか。アムロだけじゃなく、俺自身もちょっとばかしナーバスになっている。ここらでお互いに腹を割って話すべきだろう。ガンダムの秘密。そして、アムロ・レイの現状を。ニュータイプというものを。

 

 

 

 普段親しい人間ほど、覚悟を決めて向き合うとどう切り出していいか迷うものだ。

 今までとこれからの関係。そして、どのような答えが返ってくるかの恐怖というものを。

 だからこそ、しばらくアムロは拓哉と向き合ったまま何も口を開かなかった。開けなかったと言ってもいいかもしれない。

 やがて、意を決してアムロが口を開く。

 それは拓哉にとっては衝撃的だった。巌谷や篁との戦闘力の差に始まり、何よりもマズイことにESP発現体について知られていることを聞かされた。

 そして、アムロの口から出た決定的な一言。

「教えてくれ。僕は一体何なんだ?僕はESP発現体なのか?」

 

 

「なぜ、そう思った?」

「なぜ?分かるだろう。僕は明らかにおかしい。ソフィア少尉のリーディングにも反応していた。あの頭に響く違和感は、あれがリーディングなんだろう?」

 アムロのニュータイプ能力が思った以上に拡張されている。これは俺の勘だが、いや、ほぼ確証に近いがバイオセンサーの影響を受けている。

 サイコフレームは作らなかった。と言うか、作れなかった。生産設備をどうこうする事が出来なかったんだ。だから、スパロボよろしく、バイオセンサーは多少機体の反応を上げる程度の能力しか無いと思っていた。

 だが、ここには人の思念が溢れている。それは恐怖であったり、生きたいという渇望であったり。

 腹を割るべきだ。そして、話すべきかもしれない。ニュータイプについて。

 俺は茶をすすると、ゆっくりと息をついた。

 アムロは俺から目を離さない。そして、俺は目を離せない。

 コチコチと時計が時を刻む音が響く。何分、いや、実際には数秒程度だろう。俺は覚悟を決めて口を開いた。

「まず、お前はESP発現体ではない。ESP発現体、いや、この言い方は適切ではないな。ESP能力者は人工的に生み出されたものだ。ソフィア少尉を始め、甲児たちがボコった連中もみんなそうだ」

 顔がコピーでもしたかのように非常によく似ているということ。TE原作でマーティカ・ビャーチェノワというキャラが出てきた。クリスカ・ビャーチェノワのクローンだという彼女は、いや、彼女たちはたくさんいるのだそうだ。この時代の第三計画、いや、ソ連が同じことをしていても驚くべきではない。

「お前はテム・レイ博士の実子だ。まぎれもなくな。正直、巌谷大尉と篁大尉からお前を預かった後に、お前の素性を調べたことがある。いくらなんでも戦術機開発の第一人者の息子をあっさりと日本に渡すかって、どうしても気になってな」

 結果は白。驚くほどに真っ白。テム・レイ博士は本当に癌で病死。母であるカマリア・レイさんはアムロを産んですぐに亡くなっているそうだ。

 テム・レイ博士は頻繁にアムロの様子を見に来る程度には父親をしていたが、それでも殆ど親の愛情を知らずに育っている。ただそれだけの、俺の前世である現代日本では少なからずあったことだ。

「此処から先は俺自身が得た理論考察だ。人間は脳の数%程度しか使えていない。それは俺も同じだ。だがもし、それを拡張することが出来たら?それをより広い認識能力で使えたら?自分で試してみようと思ったが、怖くてな。やったことはない。俺も、お前の親父さんも、甲児やボス、武蔵も脳の使用領域はそれほど変わりはない」

 これは俺も調べてみた。頭脳チートを使って調べた結果、俺はSEEDではない。そして、イノベイターに覚醒するためにはGNドライブが必要となるためやはり不可能。

 強いて言えば、俺は脳がアカシックレコードと直結されているのかもしれないが、それについては考えるつもりはない。何しろ神様禁制の頭脳チートだからな。

「お前は普通の人より脳の認識能力が高いんだ。それは空間的なものであったり、感覚的なものであったり。強いていうならば、お前は新しい人類、ニュータイプだ」

「ニュータイプ・・・?」

「俺が勝手に名付けただけだ。だが、これ以上に適切な表現はないと思っている。アムロ、お前はちょっとばかり人とは違う能力を持っている。どうも俺のこのバンダナがお前に余計な刺激を与えたみたいだな」

 本当は違うが。

「第三計画のことは事前に情報を仕入れていたから、思念波を防ぐ準備していたんだ。それがお前の脳を刺激することになるとは思わなかった」

「結局僕は、ニュータイプとは一体何なんだ!?」

「ここからは俺の想像だが、脳の認識能力が高まった人間はより敏感に他人を感じることになる。それはより心の深い部分を感じるということだ。人の心を読むとか、そういうものではなくな。お前は人の心に敏感なんだ」

「それは、超能力者とは違うのか?」

「違う。俺はそう思っている。相手の心を感じ取る能力に優れた人間。それはもっと言えば、相手のことを誤解なく理解できる人間のことだ。つまりニュータイプというのは、戦争なんてしなくてもいい人間のことだ」

「僕は、そんな相手を理解できてはいない」

「そりゃ人生経験が足りないだけだ。後、お前はニュータイプとは関係なしに神経質すぎるんだよ。いや、自分と他人の違いを感じているから苛立っているのかもな。だが、それはもうお前の力だ。大事に育てて有効に使え」

 俺は席を立つと、アムロの肩にぽんっと手を乗せる。

「お前がニュータイプだろうとそうでなかろうと、俺達はダチだろ?もっと頼ってくれ。聞きたいことがあったら好きなだけ聞いてくれ。俺は、そのぐらいしか出来ないけどな」

 そう言って、手早くバンダナを巻くと部屋を出る。

 少なくとも、今の顔は絶対に見られたくない。

 そう思っていた。

 扉が開いた先にいたのは甲児たちだった。

「『俺達はダチだろ?』」

 瞬間、俺は自分の顔が赤くなるのを感じた。いやこれ以上無いぐらいに分かる。俺の口調を真似てボスが言いやがった。甲児やリョウが言うなら許すがてめえは駄目だ。イメージ的に!

「ぐっひゃひゃひゃ!似合わないだわさーー!!」

「いや、悪くはないぜ。それよりも、この学者先生の口から『ダチ』という言葉が聞けたのは貴重だがな」

 ああそうかい。そうかいそうかい。

 一気に冷静になった俺は、バンッと壁を叩いて黙らせる。俺は、そう、笑顔を向けてこう言い放った。

「お前ら、ヴォールクデータって知ってるか?」

 そういえばまだ一度もやらせたことないんだよな。

 これからの戦いはBETAとの戦いがメインとなる。対戦術機戦闘はあんまり積む必要はないだろう。

 そうともそうとも。これは他ならぬ『ダチ』のためだ。遠慮する必要はないよな?

 

 数時間後、完全にとばっちりなアムロや甲児、一般衛士の皆さんを巻き込んで、『ドキッ!黙示録級だらけのヴォールクデータ!ポロリもあるよ?』を開催。

 シミュレーターや機体のコクピットから悲鳴が止むことはなかった。

 なぁに、遠慮することはない。それがダチってもんだろ?

 

 

 

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