マブラヴで楽していきたい~戦うなんてとんでもない転生者   作:ジャム入りあんパン

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16・電撃作戦準備編その2

「これが新しいストライカーパック・・・」

 アムロはガンダムを見上げながら呆然と呟く。エールストライカー風のバックパックにレーザー対艦刀と大型ビームキャノン。ウイングにはミサイルを搭載している。

「統合兵装ストライカーパックの一つ、オオトリストライカーだ。どうだ、かっこいいだろう?」

 ストライクみたいな今風のデザインじゃなければ似合わないかとも思っていたが、中々迫力のある仕上がりになっている。

 ちなみにオオトリストライカーと言えばもう一機。そろそろ帰ってくるはずだが。

「おら!道を開けろ!着艦するぞ!」

 誰のかは分からんが、大きな声で注意が促される。

 帰ってきたのは国連軍カラーの機体。マインドシーカー改だ。バックパックにはオオトリストライカーを装備しており、今はソフィア少尉を乗せて試験飛行に行っていた。

 ハッチが開きご両人が出てくる。それを俺とアムロは迎えに行く。

「どうですか、オオトリストライカーは?」

「悪くはない。だがあれは熟練の衛士でなければ使いこなせんな。新米にはやはり、今まで通りに個別のストライカーパックのほうがいいかもしれん」

 ムッツリ顔のままだが、的確な意見をくれるアントン中尉。こういうところは本当にありがたい。

「後で報告書を出しておいてください」

「分かった。行くぞ、ソフィア」

「はい、中尉。それでは失礼します」

 アムロにも俺にも慣れたらしいソフィア少尉は笑顔で去っていく。

 しかしまあ、衛士強化装備はこう、目に毒だよな。迂闊に鼻の下を伸ばすわけにもいかんし。

 なんでかって?ソフィア少尉以外にも女性の衛士は少なからずいる。それでな、ちょっと甲児や武蔵、ボスと一緒になってちょっとエロ談義に花を咲かせていたんだ。そしたら焔ちゃんにそれを聞かれて、焔ちゃんが一日中衛士強化装備でいるという事態に。

 それはご褒美じゃないかって?焔ちゃんのあの冷たい目を見ても同じことが言えたら褒めてやるよ。

 でもまあ、

「癒やしは必要だよな」

 もっと性能がよくて体のラインの出ないパイロットスーツは思いつけるが、目の保養だけは確保しておきたい。そう思う男のどうしようもない助平心だった。

 

 

 一方その頃の帝国議会

「無茶苦茶にも程がある!あの子供は、暴走している!」

 中央アジア戦線に派遣されたロンド・ベルから届いた報告に、帝国議会は紛糾していた。

 そもそも、政治家の大半にとってロンド・ベルなどという部隊は聞いたことがない上に、勝手に結成され、挙句の果てに帝国にとって重要な人物である彩峰萩閣中将を連れ去っていったのだ。

 いくら五摂家からのバックアップがあったからと言ってでもそれは容認できるわけがない。あまつさえ、実家の地下に戦艦を隠していたというおまけまでつくのだ。

 その為に引き抜いた人員も帝国では指折りの技術者ばかりだ。

「それどころか、最新鋭機であるジムをあれほど大量に、ただで他国に渡すなど!」

「彩峰中将もだ!あんな子供の言いなりになるとは!!」

 実際には話を持ちかけられるやいなや、彩峰の方から喜んで飛びついたのだが、この場にそれを知るものはわずかしない。

 ロンド・ベルに、と言うよりは拓哉に対する罵詈雑言で埋まった議場を見ながら榊是近は大きなため息を漏らす。

 彼はこの場にいる議員の中で数少ない、ロンド・ベル結成について事前に知らされていた議員の一人だ。

 親友である彩峰と、従兄弟で整備士をやっている榊清太郎がロンド・ベルに引き抜かれていることもあり、身近に感じている。

 実は拓哉に原作キャラだから、という理由で推薦されたということは知らない榊は、いい加減この会議に嫌気が差していた。

 そもそもの始まりは、ロンド・ベルがハイヴ攻略作戦を実行するという情報が舞い込んだことだ。

 良識的な議員は無謀だと言う。この中の半数は榊と同じく、事前にロンド・ベルについて知らされている者達だ。だが残り半数は知らされていない有象無象で、その中のさらに半数はアメリカの息がかかっている。

 そして、先程から拓哉への罵詈雑言の止まない議員たちは、俗にいうところの親米派だ。

 もっとも親米派は今、非常に勢力が小さくなっている。それも合同演習からは特にだ。加えて日本国内では当たり前のように知られている新型機、ジムの存在がさらに親米派の勢力を弱くした。

 ビーム兵器。レーザーと混同しているものも少なからずいるが、どちらにせよ実現不可能とまで言われた超兵器を当たり前のように量産してしまったのだ。

 それを戦術機に標準搭載させ、更には戦艦にも乗せ、もっと言えばその戦艦は宙に浮いてレーザー攻撃を防いでいるというおまけ付きだ。

 戦術機技術でも艦船の技術でも遅れを取っているアメリカに、媚びる理由がどこにあるだろうか?

 そういう嗅覚に鋭い議員は既に帝国側に寝返っている。

 もっとも、そういう輩は信用を得ていないので重要な情報からは遠ざけられているのだが。

 さて、この無意味な議会はいつまで続くのだろうか?

 榊は暗澹たる思いを抱いて見つめる。若者たちに未来を託すしかない自分に、嫌気が差していた。

 

 

 どうも、新塚拓哉です。今日が私の命日のようです。

 え?分からない?じゃあ少し前の話を読んでこようか。

 まず、今日物資が届く。届きました。ここまではいい。問題は、送ってくるのは天馬級戦艦の2番艦、天馬であること。そして、その艦長が私の義父になる予定の紅蓮醍三郎中将であるということです。

 お分かりいただけたでしょうか?結婚前の娘と一緒の布団で毎晩寝ていることがバレました。つーか、焔ちゃんがあっさりばらした。

 この子に危機感、主に俺の命に対するものはないんか!

 アムロたちには口止めをしたものの、焔ちゃんにはしなかったためこの結果と相成ったのだ。

 この結果?聞きたいか?正座している俺の首に刀が当てられているという現状だーーー!!

 ちなみに焔ちゃんは、一緒に来ているお義兄さんたちに挨拶してくると言ってさっさと部屋を出て行った。

「さあ、辞世の句を読め」

「まだ手はつけてない!」

 このやり取りも軽く10回は超えている。焔ちゃん頼む。早く帰ってきてこの事態の終息をしてくれ。

 永劫とも言える一瞬の時間。言葉が矛盾しているけど、実際に俺はそんな気分だ。部屋のドアがノックされた。

「どうぞ!」

 喜び勇んで許可を出すと同時に入ってきたのは彩峰司令だ。

 俺達を見て目を丸くしていたが、大体のところを理解したのだろう、大きくため息を付いて紅蓮中将の手を掴んでそっと刀をどけてくれる。

「何をやっているのですか、あなたは」

「離せ、彩峰!コヤツの素っ首を叩き落としてくれる!」

 まだジタバタ暴れようとしているお義父さんだが、彩峰司令に刀をしっかりと抑えられて身動きがとれない。

 すげー、司令って結構強かったんだな。

 

 しばらくして、ようやく落ち着いたお義父さん。まだかなりムスッとしているが、「このままでは焔ちゃんに縁を切られますよ」という彩峰司令の説得にひとまず落ち着きを取り戻した。

「それで、焔ちゃんの様子を見に来ただけじゃないでしょ?」

「一度ワシの機体を見てもらいたい。反応は悪くないのだが、火力が足りんのでな」

「オオトリストライカーの装備で大体は解決しますが、分かりました。すぐに行きましょう」

 それだけの用事のために、俺は殺されかけたんかい。

 まあいいや。俺が渡したあの機体の状態も気になっていたしな。

 

 

天馬格納庫にて。

 こちらに来る途中で重慶とボパールのBETAを間引いてきたのか、いい具合に戦闘経験が蓄積されている。

 機体の損耗も想定の範囲内。人的損失と脱落機も無し。何だ、俺が見る必要はほぼないぞ?

「問題なしですよ中将。整備も万全に行われていますし、経験値もいい具合に入っている。俺が見るようなところはありません」

 コクピットから飛び降りて、俺は機体を見上げる。

 しかし、我ながらこれを作ったもんだよ。日の光を浴びて鮮やかな輝きを放つその機体は、量産型ガンダム改造機、紅蓮ガンダムだ。

 分かりやすく言えば、レッドウォーリアだ。外観は量産型ガンダム寄りだが、紛れもなくレッドウォーリアだ。

 これが焔ちゃんとの婚約を認めてもらうために渡した袖の下で、紅蓮中将のお気に入りだ。その際にテストしたお義父さんが、フルパワーで俺をハグをしたのは思い出したくもない悪夢だ。

 ・・・本当に、よく生き延びたこと。

「まあこれでも足りないと言うなら、ひとまずオオトリストライカーを装備して様子見ですね。言っておきますけど、俺はそれなりに忙しいんですから、お義父さんのわがままばかりには構えませんよ?」

「分かっておる。それは貴様が改造した機体だからな。製作者に一度見てもらいたかっただけだ」

 だと言うんならいいですけどね。より強く改造してくれって言ったらぶっ飛ばすレベルですよ。ぶっ飛ばされるけどね!

 紅蓮ガンダムのスペックは、実はアムロのガンダムよりも上なのだ。作った当時ではアムロよりも紅蓮中将のほうが技量は上だったから、それで十分だと思ったのだが。

 そうなるとやはりガンダムにマグネットコーティングを施したほうがいいか?お義父さんの方にもその話をしておかないと機嫌が悪いだろうなー

「紅蓮中将、どうしても改造がしたいなら一つだけあるのですが」

 その後の食いつき具合と、紅蓮お義父様のフルパワーハグを思い出したくないので簡単な解説だけに留めるが、マグネットコーティングによる機体反応の増強は、非常に気に入ってくれたらしい。

 ついでに、アムロのガンダムにもマグネットコーティングを施し、これで無事に強化改造は解決した。

 そんな時だった、俺のもとに緊急の情報が入ってきたのは。

 

「はっ?見覚えのない戦術機が有る?」

 

 

 そこには1機の戦術機が鎮座していた。外観は、しいて言えばずんぐりむっくり。ピンク色の半球形状の頭部を乗せたそれは、どう見てもボスボロットだった。

「いや待て!誰だ、こんなの搬入したのは!?」

「勿論、俺様だわさ!」

 そう言ってのっしのっしと入ってきたのは、整備班期待の星、ボスだった。

 こいつ、意外と手先が器用らしく、珍しく榊のおやっさんが褒めていたぐらいだ。まあ、シゲさんと同じく、地獄のシゴキを受けることになるだろうけど。

「勿論、じゃねえ。どういう経緯でこんな機体を用意した」

「こっちに来る前に光子力研究所の三博士を脅し・・・もとい、協力を得て作り上げた俺様だけの機体だわさ!これで兜にだけはでかい顔をさせないだわさ!」

 こういうところだけ原作を踏襲するんじゃねえ!

 必死に叫びを飲み込んだ俺を褒めてくれ。嬉しそうにボロットによじ登っていくボスを見ながら、俺はただ呆然と立ち尽くすしかできなかった。

 

 

 

 さあ、BETAの糞虫共。ここから人類の反撃開始だ。

 作戦決行は二日後。誰もが緊張の面持ちで作戦当日を迎えるのだった。

 

 

 

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