マブラヴで楽していきたい~戦うなんてとんでもない転生者   作:ジャム入りあんパン

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21・頭脳チートは自重しない

 

 

「帰ってきたぜぇぇぇぇぇっ!!!帝都ぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 狭っ苦しい輸送機から開放された俺は、焔ちゃんが隣りにいるのもお構いなしに大絶叫する。

 いやもう、輸送機が狭いのなんの。焔ちゃんと密着していられるのは良かったが、それ以外に何のメリットもなくね?

「拓哉様、お義父様とお義母様にご挨拶に向かわれませんと」

「お、そうだな。父上はともかく、母上には心配をかけたな」

 父上はアレで結構図太いから放っておいても大丈夫だ。が、母上はやはりと言うべきか、かなり心配症だから早く帰って安心させたい。

 まずは両親に顔を見せて安心させた後、マジンガーとゲッターの戦闘データを送って、そしてこちらの招待状か。彩峰司令からぜひともって頼まれたから仕方ないっちゃあ仕方ないけどな。封書の裏には『榊是近』と名前がかかれていた。

 あんた、今から総理大臣になったら苦労するよー?

 

 

 実家に戻った俺は、母上の膝枕&耳掃除で癒やされる。

 いや、別に俺が催促したわけじゃないよ。ただ、母上が縁側に腰を下ろして、耳かき片手に膝をポンポンと。断れません。

 しばらくして、母上から開放された俺の代わりに、今は焔ちゃんが耳掃除されている。嬉しそうにしているということは当たりだったんだ。

 さて、その間に進捗状況を確認と。第四世代機の肝はムーバブルフレームだ。完全内骨格構造で、より自由度の高い機動が売りの機体だ。ガンダムMk-Ⅱ。カミーユ・ビダンの確保ができないというか、いるのか分からない以上、アムロを乗せることになる。

 そうそう、アムロはニュータイプ能力とうまく付き合っていく方を選んだ。

 

『拓哉が言っていた、戦争なんてしなくてもいい人間という理想を信じたいんだ』

 

 まあ、本人が選んだのならそれで大丈夫だろう。

 ガンダムMk-Ⅱにはバイオセンサーを装備して、マグネットコーティングを標準装備。これでアムロが少々成長しても反応に十分ついていけるはずだ。

 さて、課題となっているスーパーロボットだが、これがちょっと困ったことになるんだよな。何しろ、頭に思い浮かぶ機体はどれもこれも、乗り手を選ぶというおまけ付きだ。

 例えばダンクーガ。野生の力を引き出せる人員を選別しないといけない。それを育てるだけでも一苦労だ。

 次にガイキング。こっちはパイロットの問題よりも、大空魔竜とセットで運用することが基本だ。大空魔竜を作っている余裕なんぞ無い。

 コンバトラーVとボルテスV。あの人数のパイロットをどこから拾ってくるつもりだ。そして、それを育成するのがどれだけ大変だと思っている。

 同じ理由で複数人機体は却下だ。ゴーショーグンみたいなエネルギーが未知の代物の場合、あんなものの管理をどうするんだか。ゲッター線に関わっていて今更だけど、俺はゴメンだ。

 いっそ、グルンガストでも作って量産するか?駄目だな。コストの折り合いがつかない。

 とりあえず、スーパーロボットは棚上げにしよう。それよりも、頼まれている仕事を先にあげてしまおう。

 頼まれている仕事は、歩兵用の装備だ。今の強化外骨格だけではどうにも不満があるらしく、新塚博士の頭脳でどうにかと頼まれた。頼まれればなんでも出す青狸じゃねえぞ、俺は。

 候補としてはAT、つまりはスコープドッグとソルテッカマンだ。メリットとデメリットはそれぞれある。ATの方はコストは安くつくが、乗り手の安全性は二の次だ。後、戦術機とも別の操縦系統のため、その訓練も面倒なことになる。ソルテッカマンは強化外骨格に近いからとっつきやすいだろうが、コストが高くつく。

 ・・・・・・よし、両方作ろう。ガンダムMk-Ⅱを作る片手間になるが、まあなんとかなるだろう。

「ちょっと地下を覗いてきます」

「あら、もうお仕事なの?」

「現地ではアムロたちが戦ってますからね。俺も俺のやることをしないと」

 正直、何もせずにここでぐてーっと倒れたい気分ではあるが、そうも言っていられない。ロンド・ベルの戦力強化は急務だ。スーパーロボットを棚上げにする以上、歩兵戦力と戦術機を格上げするしか無い。

 さーて、久しぶりに自重しないぞー。

 

 

 出来た。

 いやー、びっくりした。いざ作ってみるとATって構造が超簡単なのな。

 作業の片手間に、手すきの作業員に歩兵用の新装備作ってみねえか?と誘って作ってみたのだが、試作一号機が出来るのにわずか2日とは。

 全高がわずか4m弱とは言え、結構迫力のある大きさになったなー。

 でだ、問題は誰を乗せるかだが・・・。募集するか。

 これで某異能生存体さんが来たら笑えるけどな。

 さて、続けてソルテッカマンの開発に移るか。こっちは警備員の歩兵さんに乗ってもらえばいいし。ガンタンクの時と合わせてお世話になります。

 フェルミオン砲もそこまで開発が難しいものではないし、それだったらスコープドッグにも持てるように改造するか?いや、止めておこう。なんか、スコープドッグとかにビームを持たせると方々から怒られそうだし。

 さてと、開発開発ー。

 

 

 世の中には、笑える冗談と笑えない冗談がある。

 こんな時、どうすればいいのか分からない。

 

――笑うしかないと思うよ?

 

 なんか違うセリフでCV緒方恵美が聞こえた気がするが、気のせいだ。

 少し前に俺はスコープドッグのテストパイロットを募集すると言ったな。で、募集したんだ。歩兵向けの新型機動兵器の開発衛士募集!って。

 そしたらな、来ちゃったんだよ。たくさんある開発衛士希望者の中に、いたんだよ。絶対に敵に回したらいけない男が!

 

 キリコ・キューヴィー曹長・18歳

 

 いるのかよ、異能生存体。あんたは別の星生まれじゃないのかよ!しかも日系人かよ!スーパーロボット作ったら勝手にパイロットが集まったりしないだろうな!?

 まあいい。いるのなら採用しよう。万が一にも敵にまわられる危険を犯すよりは、ここで味方に取り込んだほうがいいだろう。適当に理由をつけてロンド・ベルに放り込んで、ああ、そういえば東ドイツに行った方の艦隊に面白い男がいるって聞いたな。どれどれ。

 

 鹿島優中尉・20歳

 

 蒼い死神、お前までおるんかい。

 ・・・・・・もういいや。この世界は半分スパロボ世界だ。諦めよう!色々と!こいつ、スパロボにまだ出演してなかったはずだけどな!・・・俺が死んだ後の作品で出演してたのかな?

 とにかく、こっちには後で、青く塗ったカスタムタイプのジム・ブルーデスティニーを送っておこう。EXAMシステムはどうしようか?普通にリミッター解除にしておこう。俺にあんな非人道的なシステムを作るのはムリポ。

 さて、異能生存体に会いに行くかな!!

 

 俺の前にキリコ・キュービィーがいる。

 直立不動でムッツリとしていて笑顔なんて期待できそうもない。いや、それよりもなんで俺こんなプレッシャーを感じてんの?めっちゃ睨まれているんだけど!?

「とりあえず、楽にしてくれ。そんなに睨まれるとやりにくい」

「・・・・・・睨んでいるつもりはない・・・ありません」

「普通に話してくれていいよ。あんた、そういうの無理だろ?」

「・・・・・・」

 困ったような様子でこっちを見るキリコ。

 何となく分かってきた。本当に、睨んでいるつもりはないんだ。どうりで歩兵隊長から難しい男だと何度も聞かされるはずだ。

 俺は小さくため息を付いて、目の前に冊子を出す。

「さて、キリコ曹長にやってもらいたいのは新型の歩兵用装備、アーマードトルーパー、通称、ATの開発衛士だ」

 俺が渡したのはATのマニュアルだ。ちょっとした冊子程度の厚みだが、キリコの顔に若干の緊張が走る。そりゃなあ、いきなりこんなものを渡されたらそうなるだろう。

 しばらく戸惑ったままだったが、やがてマニュアルを手に取り中に目を通し始める。

 冊子をめくる音だけが室内に響く。読み進める度に、キリコの表情が緊張にこわばっていく。

「これは・・・戦場での歩兵の役割が変わる・・・!」

「そうだ。そういう兵器だ。戦術機と一緒に戦場で戦う兵器だ。さあ、どうする?乗るか、乗らないか」

「乗る」

「早っ!」

 決断早っ!!思わず素で返した俺に、キリコは驚くふうでもなく、真剣な表情でマニュアルに目を通している。

「本当にいいのか?これはいわば泥沼だぜ」

「慣れている。それに、ここには未来がある」

 そう行って執務室から見える、フレーム剥き出しのガンダムMk-Ⅱに視線を向ける。

「第四世代機だろう、アレは。誰が乗るのかは分からん。だが、そこには未来がある」

「驚いたな。むっつりした顔でロマンチストか?」

「この絶望に満ちた世界だ。希望があれば信じたくもなる」

 どうやら、この世界のキリコも相当な修羅場を経験してきたみたいだな。それぐらいは俺も雰囲気で分かる。

 まあ、覚悟が決まっているのなら話は早い。とはいえ、

「早速乗るか」

「ああ」

 即答しすぎだろう。

 

 

 技術廠の演習場を駆りて、スコープドッグのテストをやることとなった。

 アグレッサーには、この度無事に軍務を終えることになる瑞鶴改が抜擢された。と言うのも、俺が世界中にばらまいたおかげで国内にジムがあんまり残っていないんだと。

 国内の防御力が低いのはお前のせいだとばかりに、瑞鶴改の衛士は全力でスコープドッグを潰すつもりらしい。その程度のことで目くじらを立てるとは、なんて大人げない。

 さて、スコープドッグの装備だがレッドショルダーカスタムといえば分かるだろうか?肩の色は赤くないが、ロケットランチャーにガトリングガン、ミサイルランチャーとてんこ盛り装備だ。勿論、全部模擬弾だぞ。実弾混ぜてやろうかとも思ったけど。

 さて、スコープドッグ一機に対して、瑞鶴改が四機。本気で潰しに来るつもりだな。こっちもぶっつけ本番だが、覚悟を決めろよ。俺の想像通りなら、キリコ・キュービィーは強いぞ?

 

 

 キリコはマニュアルを思い出しながら各部のチェックを済ませる。

 記憶している戦術機の操縦法とは明らかに違うが、問題はない。理不尽な戦場は今までに何度も経験してきた。その度に、仲間の死を背負って生きてきた。

 日本に来たのはただの偶然だ。だが、その経験を買われていつの間にか歩兵として、技術廠に居着いてしまっていた。

 不思議とここは居心地が良かった。後方国家でありながら、緊張感が漂っている。その原因となる少年は今、観覧席の向こうで通信機を片手にキリコに指示を飛ばしている。

『聞こえるか、キリコ曹長』

「ああ」

『相手は第二世代相当機の瑞鶴改だ。だがまあ、スコープドッグの性能をしっかり活かしきれば、問題なく対処できる』

 そして、その少年博士はこの小さな機体に大きな期待を背負わせている。

 出来るというのならば、出来るのだろう。キリコはそう信じた。

『演習開始だ。戦術機だけが戦場の主役だと思っている勘違い共を、へこませてやれ』

「了解した」

『ミッション、スタートだ』

 フラッグが上がり、演習が始まる。

 先手を切ったのは瑞鶴改だ。だが、相手はスコープドッグを相当舐めてかかっているのだろう。ほとんど棒立ちのままレールガンを斉射するだけだ。

 そんなものに当たるようなキリコではない。機体を横にスライドさせて回避させつつ、肩に装備されているロケット弾を発射する。ほとんど棒立ちだった瑞鶴改は、何も出来ないままにロケット弾を管制ユニットに受けて行動不能となる。

『まずは1機か。おら!しっかりしろよ!そのまま棒立ちでやられたらお前らのボーナス5年分差っ引くぞ!』

 その言葉に触発され、瑞鶴改の動きはめざましく変化する。流石に帝国技術廠の名だたる開発衛士達だ。

 とはいえ、大きさが違う。大きさは戦車級よりも大きいので当てやすいと思いきや、その素早さは戦車級など比較にならない。ローラーダッシュで攻撃をかいくぐりながら、右手のヘヴィマシンガンで的確に管制ユニット部を撃ち抜く。

『な、何だよ、あの小さいのは!?』

『とんでもない機動力だ・・・!』

 攻撃がかすりすらしない。装甲は相変わらず新品の輝きを放っている。

 左脇のガトリングガンが放たれ、強制的に連携を崩された2機。その内の1機の衛士は直後、背筋がゾッとなる思いに駆られた。と、同時に、背後からの大きな衝撃によって、前につんのめる。

 機体が動かない。背後から管制ユニットを撃ち抜かれたのだと気づいた。

『ば、化物か!』

 残った1機はさらに悲惨だった。四肢をマシンガンで撃ち抜かれて、残った管制ユニットをロケットランチャーで撃ち抜かれるという終わり方をしたのだから。

 戦闘開始からわずか一分。瞬く間に四機の戦術機が倒されてしまったのだ。

 管制ユニット部分を重点的に、見事にペイントで染め上げられていた。これが実弾ならば、大穴が空いていたことだろう。

『どうだ、新型の性能は?』

 少年博士からの通信が入る。その通信に、キリコは自分でも分かるほど口元が緩んでいた。

「最高だ」

 

 

 観覧していた周囲の技術者連中が大騒ぎになっている、

 そりゃそうだ、わずか4m弱の強化外骨格よりも一回り大きい程度でしか無いズングリムックリした機体に、ほぼ現役と言ってもいい第二世代相当機がなすすべもなく敗れ去ったのだから。

 最初の1機目は油断があった。だが、最後の方の2機は半ば本気だったはずだ。それにもかかわらず、殆ど瞬殺と言っていいほどの流れで潰されたのだ。

 実戦だったら。その言葉に誰もがゾッとする。そして、思い出すのだ。衛士の死亡原因で一番多いのは、戦車級にたかられて死ぬことだと。小さい機体だからといって、油断することはあってはならないのだと。

『新塚博士!お願いします!もう一度やらせてください!』

『このままでは引き下がれません!』

 あっさりとボコられた衛士から通信が入ってくる。

「と、こう言っているけどキリコ曹長、どうする?」

『貴方はやれと命令を下せばいい。俺の仕事は、この機体の開発衛士だ』

 やる気があって大いに結構。しかも、『貴方』ときたか。

 よし。じゃあ水を差す訳にはいかないな。

「引き続き演習を行う。弾の補充を済ませておけ」

 さて、こいつは長丁場になるかな。

 

 その後については語るまでもない。

 さすがに本気になった衛士連中がスコープドッグのロケランを使用不能にしたが、キリコは全く慌てることなく全機を行動不能にしてみせた。

 

 

「また随分と面白いものを作ったのう」

「お久しぶりです、雷電様」

「うむ」

 いつの間にか俺の後ろに立っていたのは、煌武院雷電。実に久しぶりの登場だ。

「ハイヴを攻略したそうじゃな。まずは見事と言っておこう」

「ありがとうございます。それ、アムロたちが帰ってきたら言ってあげてくださいよ。五摂家当主直々のお言葉ともなれば、あいつらも気合が入るでしょうし」

「うむ。勿論じゃ。しかし、議会ではうるさい小ガラス共がおる」

「放っておけばいいでしょう。どうせ囀る以上のことは出来ませんよ。そこまで言うのなら、俺と一緒にホワイトベースに乗ればいい」

 どうせ、そんな度胸はない。実は、俺がこういったのは一度目ではない。二度目だ。最初はロンド・ベル結成の時。その時に軍の私物化だのどうだのと色々うるさく吠えてくれたものだ。

 じゃあ俺と一緒に戦場に行きますかと聞いたら、途端に静かになるんだから、俺はもう相手にしないことに決めたのだ。

「で、どうです。歩兵用の新型は?」

「見事と言っておこう。あれほど小柄な機体で、良くも戦術機をああも振り回せるものじゃ。いや、これは衛士の実力差か」

「それもあるでしょうね。キリコ曹長の腕前は異常です。ガトリングガンでの集弾性も異常に高い。無駄弾がほぼ無いと言ってもいいですね」

 試作機として作った上に、見た目だけのレッドショルダーカスタムなもんだから、オリジナルよりも重くて扱いにくい機体のはずだ。そのへんは、キリコからのレポート待ちだ。

 俺の視線の先では、機体から降りたキリコを整備士、いやあれは大半が歩兵だな。彼らがまるで英雄でも迎えるかのように一斉に集まっている。

 やれやれ、これじゃあ、レポートは明日かな。

「ところで、雷電様。今日は演習を見に来ただけじゃないんでしょう?」

「うむ。実はちと相談したいことがあってな」

 うわぁ、これ絶対厄介事だ。

 

 

 

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