マブラヴで楽していきたい~戦うなんてとんでもない転生者   作:ジャム入りあんパン

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37・決戦!オリジナルハイヴ!前編

 

 

「そうか。わざわざすまないね」

「気にしないでください。それに、俺も思うところがないわけではありませんから」

 鉄也からの報告を聞いた彩峰は、ひとまず胸をなでおろした。

 拓哉の生死いかんで、今後の帝国の運命は決まると言っても過言ではないからだ。話し合っていて気がついたことではあるが、今の帝国は拓哉に完全に依存しきっていた。戦術機の開発も、部隊の結成、そして、何よりも拓哉がいなければ、ロンド・ベルがあったとしても外征することはなかっただろう。

「とはいえ、拓哉くんを内地に戻すのも難しいな・・・」

「やはり、ですか」

「巡洋艦一隻だけでは、ちと不安じゃな。そこを狙うバカどもが現れんとも限らん。かと言って、絶対安静の婿殿を連れて最前線に出るわけにもいかん」

「そして、このまま引き下がるのも悪手ですね。拓哉くんの予想では、オリジナルハイヴは一気に攻めないと、BETAがこちらに対応して強力な新種を生み出しかねないと言うことです」

「ホワイトベースをこのままにも出来ぬぞ。ハゲタカ共に中を荒らされたくはあるまい」

 難しい問題に直面して、会話は膠着状態に陥る。それだけ拓哉の問題は重たいのだ。

 と、そこにブリッジの扉が開いてアムロたちが入ってくる。あの後、結局部屋でじっとしていられずに全員がそのままブリッジにまで来ていたのだ。

「なあ、俺たち、これからどうするんだ?」

「拓哉くんのこともあるからね。それでちょっと行き詰まっているんだ」

「それでしたら、僕に考えがあります」

 そう言って一歩前に出たのはアムロだった。普段はおとなしいアムロの意見に、誰もが驚きの視線を向ける。

「言ってみなさい」

「拓哉は天馬級のどれかに預かってもらいます。そして、残りの天馬級2隻と選抜した機体だけでハイヴまで突撃します」

「待て待て!戦力を削るつもりか!」

「はい。どのみちハイヴの攻略はスピードが重視です。中にいる無数のBETAに囲まれる前に最奥まで到達して、反応炉を破壊した方がいい。そして、僕のガンダムとゲッターのスピードと攻略速度についてくることの出来る機体は限られています。マジンガーZとグレートマジンガー。士郎さんのガンダムEz-8。それぐらいしかいないはずです」

「馬鹿な!その戦力で突撃するつもりか!」

「時間がありません。BETAに時間を与えると、対応される可能性があります」

 普段のアムロからは信じられないような、大胆な作戦に誰もが息を呑む。

 彩峰は、アムロの目を見る。ヤケを起こしているとかそういう色はない。

「拓哉くんから何か聞いているのかね?」

「聞いたことがあるだけです。オリジナルハイヴに近ければ近いほど、対応の速度が早くなる。BETAは各ハイヴ間で、こちらの想像もつかない方法で連絡を取り合っている。世界の他の国のためにも、オリジナルハイヴは何よりも早く落とさなければならないって」

「そこまで読んでいたのか、婿殿は・・・」

「だから、早く倒さないといけないんだ!お願いします、彩峰司令!僕達だけでも行かせて下さい!」

「俺からもお願いします!このままじっとしてなんかいられねーぜ!」

「俺達も、ゲッターチームはいつでもいけます!」

「そういうことだ、司令さんよ」

「へへへ、俺達だったら心配無用だぜ」

「司令!俺も行きます!行かせて下さい!」

 アムロ、甲児、竜馬、隼人、弁慶、そして士郎までも。

 少年たちの熱い言葉に、ついに彩峰も折れた。

「分かった。ただし、行くのなら紅蓮閣下と神野閣下にも同行していただく」

「そうじゃのう。ここまで来て仲間はずれはひどいぞ」

「うむ!婿殿のためにも、一肌脱ごうではないか!」

 ここに最強の突撃部隊が結成されたのだった。

 

 

「さて、作戦を改めてまとめよう。まずは天馬級2隻のハイメガ粒子砲で地表構造物を撃破。それと同時に、紅蓮閣下を指揮官に、神野閣下、篁大尉、巌谷大尉、天田少尉、アムロくん、甲児くん、鉄也くん、ゲッターチームで強襲をかける。それに合わせてロンド・ベルの残存部隊と、作戦参加の申し出があった666戦術機中隊とフッケバイン大隊、極東国連軍、ソ連軍、そして斯衛軍が追いかける形で後を追うBETAを後ろから撃つ。ホワイトベースの周囲には天馬級1隻とロンド・ベル第四軍を残し、長良型巡洋艦、並びに所属部隊と帝国軍に周囲の警戒をさせる。拓哉くんは天馬級に移ってもらう」

「地上に出てきたBETAはどうするつもりじゃ」

「地上に残る天馬級と、球磨型、川内型、天龍型巡洋艦、並びに大東亜連合軍を含む、随伴の戦術機部隊で撃滅させます。それで全てのBETAを刈り取ることができます」

 そこまで話した所で、周囲を見回す彩峰。

「あの、私達はどうするんですか?」

「さやかくんとジュンくん、ボスくんは地上でBETAの掃討にあたってくれ」

「ちょっと待った!俺様も留守番組!?」

「いや、流石に君の機体でハイヴに突入は・・・ね?」

「くー!!中国の奴らめ、拓哉が無事なら俺様のボロットを改造してくれていたはずなのに!」

「拓哉もそこまで暇じゃねえよ。改造するんだったら、一から作ったほうが早いだろ」

「うがー!!」

「まあ、ボスは放っておくとして。私たちはハイヴ攻略シミュレーションを受けていないからですか?」

「そうだ。鉄也くんもその点では同じだが、グレートマジンガーのスペックと鉄也くんの実力を鑑みて、攻略部隊に入ってもらうことにした」

「さやか、私たちは私たちにできることをやるだけよ」

「う~、せっかくここまで来たのに・・・」

「拗ねるなよ、さやかさん。後は俺達に任せてくれよ!」

 これは彩峰も口に出さなかったのだが、さやかの技量ではとてもついていけるとは思えなかったからだ。その為にジュンというお目付け役を残して、地上部隊においたのだ。

「作戦開始は一時間後だ。それまでに体を少しでも休めておく事。機体の整備は班長たちに任せよう。いいね」

『『了解!』』

 

 

部屋に戻ったアムロは、思いの外やることがない事に落胆する。

機体の整備はすべて整備班任せでいいというお墨付きまでもらっているため、今は格納庫に戻っても門前払いを受けるだろう。

ベッドで横になりながらハロに視線を向ける。なんにも考えていないような表情で、ポンポンと跳ねるのを繰り返すそれを、アムロは蹴飛ばしてみる。

『ヒドイゾ、ヒドイゾ!』

「目障りだから隅の方にいてくれ」

『ショボーン』

 目に見えて落ち込んだ様子で、ハロが隅の方に移動する。

 改めて見れば、このハロというロボットはこちらの感情を理解している節がある。それを考えればオーバーテクノロジーの塊と言ってもいいだろう。

 それを考えればわからないことがある。なぜ、拓哉はハロのようなものをアムロに渡したのか。誕生日プレゼントとしてもらった時には特に何も言われなかったが、たしかに何でもいいと言ったのは自分だが、それでも気軽に渡せるものではないはずだ。

「ハロ、拓哉から何か預かっているものはないか?」

『ハロ?』

「都合が良すぎるか・・・」

『アルゾ。アルゾ』

 帰ってきた予想外の答えに、アムロはベッドから飛び起きる。

「何を預かっているんだ、見せてくれ!」

『ハロ!』

 ハロの目が光って、プロジェクターのように壁に映し出される。それは設計図だった。機械にはそれなりに詳しいアムロでもわからない部分が無数にある辺り、さすがは拓哉の作ったものだと言うしかない。

 見たことのない設計図が多数入っており、アムロはそれらのすべてに目を通していく。どれか一つでもこれからの戦いに役立てられないか、それを考えながら見ていく。

「何だこれは・・・。ゼオライマー?次元連結システムって、まさか、あれが?それに、こっちはガンダム?νガンダム?サイコフレーム?コンピューターチップを分子レベルで埋め込んだ素材!?」

 目が回りそうだった。ハロの中身はまさに宝の山だった。それ以外にも見たことのない合体する機体が複数。次世代量産型機の雛形など、多数の設計図が中から出てきたのだ。

 これは拓哉が万が一に備えて残したものである。もし、国連やアメリカによってその身柄を差し押さえられた時用に、ハロの中に多数の機体の設計図を残していたのだ。

 最後に一文が加えられていた。

「アムロに預ける。万が一の時は、これを兜博士か早乙女博士に預けて欲しい。俺の親友であるお前ならば、きっと活用してくれると信じて・・・」

 ゴンッと拳を壁に打ち付ける。鈍い痛みが伝わるが、それ以上に胸の奥が一杯になりそうだった。

「バカ・・・!こんな、遺書みたいなものを残して・・・」

 今現在、すぐに活用できるものはない。だが、これは誰かに託すべきだ。自分がこれから向かうのは死地だ。今まで以上に生存は保証されていない。だから、自分も託さなければならない。

「ハロ、もし僕が帰ってこなかったら、今の内容は全て彩峰司令に見せるんだ」

『ハロ!』

 理解しているのかどうかは分からない。だが、これで自分の役目を一つ果たしたことに胸を撫で下ろす。

 勿論、アムロだって死ぬ気はない。だが、これが託すものの思いかと理解した。

 とりあえず、アムロは一つだけ決めたことがある。拓哉が目を覚ましたら、こんな遺言めいたものを残したことを徹底的に問い詰めてやると。

 

 

 

 そして、出撃の時が来る。

 アムロは念入りに機体のチェックをする。整備班長たちの腕を信じていないわけではないが、これはもはや癖である。甲児ならばろくにチェックもせずに動かすだろうが、根っこが神経質なアムロにはそれは無理だ。

「よしっ・・・」

『おっ、気合入ってるな、アムロ』

 甲児から通信が入る。

「そう・・・かな?」

『そうだよ。いつものお前とは大違いだぜ』

 改めてそう言われると、気持ちの入り方がいつもと違うような気がする。あくまで気がする、だけなのだが、甲児が言うのならそうなのだろう。

『ははっ、いいじゃないか。気合は入っていたほうがいいだろう?』

『リョウは気合が入りすぎなんだよ。肝心な所でトチるなよ』

『それは弁慶に言ってくれ』

『おいおい、俺だってゲッターのパイロットなんだぜ!目をつぶってたって合体出来らぁ!』

『それ、実戦ではやらないでくれよ』

『いや、逆にそのぐらい肩の力が抜けている方がいいだろう』

 ゲッターチームに士郎、鉄也まで加わってワイワイガヤガヤと賑やかになってきた。いつものロンド・ベルらしさが少し帰ってきたと言ってもいい。いつもなら、ここで拓哉から通信が入るのだが、ブリッジからは何も言ってこない。

 その事に一抹の寂しさを覚えつつ、通信で繰り広げられる賑やかな会話を聞いている。

『これで、後は拓哉が帰って来たら完璧だな』

『ああ。やはり、俺達のまとめ役は拓哉だからな』

『違いない。やはり、拓哉くんがいないとしっくりこないな』

 そして、しばらく会話が止まる。誰もが拓哉に思いを馳せているのだ。

「だったら・・・」

 アムロはゆっくりと口を開く。

「必ずみんなで生きて帰ろう。そして、拓哉に言うんだ。もう、一人じゃないって」

『アムロ・・・お前・・・・・・』

『ふっ、そうだな。あの天才様は、どうも自分ひとりで背負い込んでいる節があるからな』

『そうだな。君だけの戦いじゃない。俺達の戦いだって言ってあげないとな』

『よし、そうと決まれば俺達の作戦目標は・・・』

「みんなで生きて帰る!必ずだ!」

『『おう!』』

 

 

 かくして、桜花作戦最終段階が発動した。擱座したホワイトベースから飛び出すのは歴戦の勇者たち。未だ年端もいかない少年たちながら、多くのハイヴを攻略し、人類に希望を見せてきた戦士たちだ。

 いまここに、人類の命運をかけたファイナル・オペレーションが始まろうとしていた!

 

 

 

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