マブラヴで楽していきたい~戦うなんてとんでもない転生者 作:ジャム入りあんパン
ちゃんと原作に沿った性格になっていたら幸いです。
甘く見ていた。学者というものを、学会というものを。
俺はやはり視野が狭く、人生経験もロクに無い小僧らしい。
この日、俺はレールガンとヒートサーベル。そして、学習型コンピューターの理論に加えて新素材であるPS装甲のレポートも携えて壇上へと上がった。
そして、前者3つの発表を終えて万雷の拍手の中、俺はさらに発明品を用意する。俺が手を振ると引っ張り出されてきたのは、2m四方程度の金属板が二枚だ。
一つは赤く塗装した通常の戦術機の装甲を厚さ1mm程度にしたもの。そしてもう一つは同じ厚さのPS装甲だ。
さあ、学者先生諸君。目ン玉ひん剥いてしっかり見とけよ。
「さて、最後になりましたが、つい先日完成した研究の成果を発表したいと思います。赤く塗装した物は我が国の戦術機、撃震改の装甲を厚さ1mm程度にしたもの。そして、グレーの物のほうが私が開発した新素材の装甲です」
会場がざわついているが、そんなのは知ったことではない。
さあ、もっとざわついてもらうぞ。
「これを、それぞれ機械化強化兵の12.7mm重機関砲で撃ち抜いてもらいます」
「こ、こんなところで機関砲を撃つのか!?」
「大丈夫です。安全には配慮していますので。それじゃ、三井軍曹、お願いします」
「本当に撃つのですか!?」
出てきた機械化強化歩兵の三井軍曹(23)は、困惑した声を上げる。
「撃ってください。大丈夫ですから」
伊達に脳内シミュレーションを数百回と繰り返していない。これを口にしたらふざけるなって怒られるだろうが、俺の場合はほら、頭脳チートがあるから。その程度の演算は超余裕。
「あ、念のため言っときますけど、俺の合図で撃ってくださいね」
「は、はい!」
「それじゃあ、赤い装甲板の方からどうぞ」
俺が言うのと同時に、会場内に凄まじい爆音が響き渡る。耳をふさいでいた俺は安全地帯からゆっくり鑑賞。流石に戦術機の装甲と言っても、1mm程度の厚みじゃああんなもんか。瞬く間に蜂の巣になる装甲板を見ながら俺は思う。
やがて一斉射を終えた重機関砲はその駆動を止める。それに合わせて耳から手をどけ、周囲を見渡す。俺より距離のあった学者の皆さんは驚いたように腰を抜かしているのが大半だった。その中でシレッとした顔で座っているのは数名。
ごめん、気のせいかもしれないけど、すごく何処かで見たことのある顔が座っているんだけど。紅蓮中将とか雷電翁じゃなくて、こう、アニメで。
いや、今は目の前のことに集中しよう。
俺はマイクを手に取ると、解説を始める。
「さて、ご覧の通り1mmの厚さしか無い装甲板は無残な姿になりました。それでは、次にPS装甲の方で試してみましょう。PS装甲に通電してください」
俺の合図と同時に、PS装甲の裏でガタガタ震えていた係の人がスイッチを押す。何もそこでじっと待っとかんでもどこかに引っ込んでいればよかったのに。
とにかく、PS装甲は通電されたことによってグレーから鮮やかな赤に変色する。
これにはさっきまで腰を抜かしていた学者先生たちも、驚きの声を上げて居住まいを正す。
「それじゃあ、PS装甲の方に同じだけぶち込んでください」
「分かりました。それでは、発射します」
流石に慣れたのか、今度は確認を取ってから重機関砲を的に向ける。同時に、学者先生たちは一斉に耳をふさぐ。うん、学習したね。さて、俺も耳をふさいで。
そして再び響き渡る爆音。だが、今度は結果が違った。
傷一つなく弾丸を弾き返すPS装甲。その結果に誰もが目を見開いた。
一斉射を終えて、何度見ても傷一つ無い、鮮やかな赤色のままの装甲板に、場内の音が消える。
全員が耳から手を話したのを確認して、俺は再びマイクを手に取る。
「さて、この新素材、フェイズシフト装甲。通称PS装甲について解説します」
簡単に説明すると、電気を通して相転移させているわけだ。相転移現象というのは物質の三体。固体、液体、気体とある。これが変化することだ。固体が液体に。液体が気体に変わる。
要するに、電気を流すと相転移する特殊素材を使ったのが、フェイズシフト装甲と言うだけだ。細かい説明はそれぞれウィキで見てくれ。
ちなみに、この現象を利用した動力源が相転移エンジン。ナデシコのあれになる。
そこから先は大騒ぎになった。新型動力源の説明もあるのだが、そっちに移れそうにない。
てんやわんやの大騒ぎを抜け出して、俺は自分の席でぐったりしていた。他にもいろんな科学者の人達が発表をしているが、俺はそれを聞く気力がない。母上の膝の上でぐったりしている。
発表が全て終わり、立食パーティーに移行した時に、再び俺は人の波に揉まれそうになったが、母上が強引に突破して事なきを得た。
「大変だったわねぇ」
「大変なんてものじゃないですよ」
控室で再びぐったりしていると、誰かが部屋の戸をノックした。
部屋の前には護衛の人がいるはずだ。誰も通さないでほしいと言っておいたはずだが。
「失礼します。実は、新塚博士と会談をしたいという方がいらっしゃいまして・・・」
「え~い、はよ通さんか!」
「あ、待ってください!勝手に入られては!」
「父さん、無茶はいけない」
「なぁに構うまい。入るぞ」
外から聞こえてきたしわがれ声に、母上が身構える。
一方俺は、何処かで聞いたことのあるような声に思わず止まる。そう、こっちに来てからではなく、それ以前に聞いたことのあるような声。
ドバンっと音を立てて扉が開けられた先にいたのは小柄でめっさ人相の悪い爺さんと、科学者としては結構ガタイのいいおじさん。眼鏡をかけたいかにも研究者と言ったおじさんと、ボサボサ髪に白ひげを蓄えた、ものすごく見た目の知っている四人だった。
いや、ちょっと待て。なんでこの人達がいるんだ。ここはマブラヴの世界だろ!?
そんな俺の困惑などお構いなしに、人相の悪い爺さんから順番に自己紹介を始める。
「ふっふっふっふ。驚いておるようじゃの。ワシは兜十蔵。光子力研究所の所長をしておる」
「父がご迷惑をおかけして申し訳ありません。私は光子力研究所副所長、兜剣造です」
「そう畏まることもないだろう。ワシは早乙女研究所所長の早乙女賢だ」
「お二方とも、いくらなんでも無茶が過ぎます!ああ、失礼。私は光子力研究所の副所長、弓弦之助です」
誰か教えてくれ。いつからマブラヴ世界はスーパーロボット大戦になった。
つか、マジンガーとゲッターのフラグキターーーーーー!!!
それはさておき。
「はじめまして。新塚拓哉です。よろしくお願いします」
内心の動揺は見せないように、なるべく丁寧に挨拶をする。
「ほう、会場で重機関砲を撃たせた割にはしっかりしとる小僧じゃな」
「必要なことでしたから」
俺がそう答えると、兜十蔵博士はカラカラと笑う。見た目は恐ろしいが、こっちの意図をしっかり理解してくれる人のようだ。
さて、問題はこの人達がなんでここまで来たかなんだけど。
「どのようなご用件ですか?」
「なに。あの場ではゆっくり話が出来なんだからな。こうやって、ゆっくり話ができるタイミングを待っていたのだ」
早乙女博士(チェンゲ版)がにやりと笑う。
まさかと思うけどこの世界、BETAと戦いながらミケーネやインベーダーとも戦わなければならないってことはないよな?
流石にスーパーロボット大戦をやるってなったら、ネオグランゾンとグレートゼオライマーを解禁するぞ。
「拓哉は疲れています。後日にしていただけませんか」
悪人面二人を前に、母上が警戒するかのように俺の前に立つ。
明らかにわかる武人のオーラを放つ母上にも、悪人面二人は動じた様子もない。
「老い先短い老人にそう警戒せんでもええじゃろ。のう、早乙女の」
「そうだな。ほれ、茶は出んのか?」
「父さん、早乙女博士!いくらなんでも失礼ですよ!」
息子さん、苦労してるんだなー。
弓教授は現実逃避したいのか、壁に手をついている。
勝手に椅子を引っ張り出して居座る気満々の爺さんs。まあ、いいけどね。
「母上、いいですよ。ここで話しましょう」
「いいの?嫌なら私が追い返すわよ?」
「問題なし。俺から技術を引き出そうとやっきになっていた、自称科学者連中とは違うみたいだし」
そう、さっきまでの科学者の皆さんは、いかに小僧の俺から情報を引き出すかにやっきになっていた。俺のことを打ち出の小槌程度にしか見ていなかった。
この人達は明らかに目の色が違う。
俺の言いたいところ、言うべきところを理解したのか、腹を抱えて笑い出す。
「はっはっはっ!自称科学者か!そりゃいいわい!」
「最近の奴らはすぐに誰かに答えを求めようとする。科学者はトライアンドエラーが付き物だというに」
耳が痛いです。答えを求めようとするどころか、神さま謹製の頭脳チートが付いてますから。
その辺は完全にスルーしよう。話が進みそうにないし。
俺は自分も椅子に腰を掛けると、目の前に座る十蔵博士と、早乙女博士、そして立ったままの剣蔵博士と弓教授にも帳面とペンを渡す。
「母上、少し長くなると思いますので、お茶の用意と何かつまむものをお願いします」
俺はそう言うと二人の前に長机を引っ張り出す。
「さあ、有意義な学会を始めましょうか?」
俺がそう言うと、4人共、それはそれは凄まじい眼光を灯らせるのだった。
此処から先は、作者の頭があんまりよくないので大幅に割愛するが、非常に有意義な時間だったと言っておく。
案の定、光子力とゲッター線の研究をしているらしく、少し行き詰まりを感じていたらしい。
俺も新しいインスピレーションがもらえたし、この会談、いや、小さな部屋の大きな学会は大成功だったと告げておく。
1/28・誤字修正しました。
もう無いと思いますが、またあったら報告お願いします。