学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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唐突ですが活動報告にアンケートを取りましたので時間に余裕のある方は解答していただけたら幸いです


こうして鳳凰星武祭最終日が始まる(前編)

鳳凰星武祭決勝戦当日ーーー

 

朝、窓から入ってくる朝の日差しによって俺は目を覚ます。天気は快晴と暑いが良い天気である。まさに決勝戦に相応しい天気と言っていいくらいだ。

 

時計を見ると午前7時前、まあまあ良い時間だ。

 

体を起こして伸びをしようとすると体が動かない。

 

何でだと思って横を見ると

 

 

 

 

「んっ……」

 

シルヴィが俺の体に抱きつきながら眠っていた。その顔は本当に幸せそうで起こすのは悪いだろう。

 

「んっ……八幡、くん……好き、大好き……」

 

「…………」

 

全くこいつは……寝ている時にも俺をドキドキさせてくるな。マジで勘弁して欲しい。

 

そう思いながらシルヴィを見ると視線は自然と唇の方に向いてしまう。今更だが信じられないな。シルヴィとその……キスをしたなんて。

 

顔が熱くなっていると唇がプルンと揺れて凄くエロい。多分俺以外の人間なら即座にあの唇にしゃぶりついているだろう。

 

シルヴィの唇をガン見してると……

 

「んっ……八幡君?」

 

シルヴィが瞼を開けて眠そうな表情で俺を見てくる。ヤバい可愛い。

 

「ああ、おはようシルヴィ」

 

俺がそう挨拶をするとシルヴィは目をパチクリしてから笑顔を見せてくる。

 

「おはよう、八幡君」

 

そう言うなりシルヴィは俺に顔を近づけて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ……」

 

いきなりキスをしてきた。いきなりのキスに俺は内心パニクってしまう。

 

(シルヴィ?!い、いきなり何をやってんだよ?!そ、そりゃ昨日は好きにキスしていいって言ったけどよ……朝起きてから30秒もしないでキスしてくるか?!)

 

俺が驚いている時にもシルヴィは唇を重ねてくる。

 

「んっ……ちゅっ……だいしゅき……」

 

だいしゅきって何だよ?!もうマジで可愛過ぎるんだけど!!

 

俺は卒倒しそうになりながらシルヴィのキスを受け続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい八幡君、あーん」

 

「はいはい」

 

所変わって現在俺はリビングでシルヴィの作った朝食をとっている。やっぱりシルヴィの飯は美味いなぁ……

 

そう思いながら時計を見るともう直ぐ8時だ。結局俺は30分くらいシルヴィとキスをしてベッドから出た時にはお互いの唇にかなりの唾液が付着していた。

 

初めは勘弁してくれと口にしようとしたが…….

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『えへへ……やっぱり八幡君とのキスは幸せだな。大好きだよ』

 

幸せそうな笑みを浮かべてそう言っているシルヴィを見て何も言えなくなってしまった。可愛過ぎるだろ?

 

「八幡君八幡君、次は何を食べたい?」

 

シルヴィはそう言ってくるが自分で食べられるからな?何度もそう言ったものの却下されている。解せぬ。

 

「……じゃあソーセージで」

 

俺がそう言うとシルヴィは頷いてフォークを刺して自分の口に入れる。え?何で食べたいって聞いてきたのにお前が食べっ………?!

 

「し、シルヴィ?!」

 

俺が驚いている中、シルヴィは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んー」

 

ソーセージの端っこを加えて反対側の端っこを俺の方に突き出してきた。

 

こいつまさか…….

 

呆気にとられているとシルヴィは顔を近づけてくる。それによってソーセージと俺の顔の距離は10センチを切る。

 

「えっとシルヴィ……それは反対側を咥えろって事か?」

 

そう尋ねるとシルヴィはコクンと頷く。つまりアレか?ポッキーゲーム改めソーセージゲームをしろって事か?え?マジで?

 

 

「んーんー」

 

焦る中、シルヴィは更にソーセージを突き出してくる。目を見ると『拒否は許さない』と語っていた。こりゃ逃げられないだろうな…

 

「はぁ……」

 

俺はため息を吐いてソーセージを咥える。

 

するとシルヴィは物凄い速さでソーセージを食べ始める。早い!!てか怖いからな?!

 

俺がシルヴィに若干引いていると遂に俺とシルヴィの唇の距離が1センチになった。

 

目の前にはシルヴィの綺麗な瞳がある。相変わらず美しい。目で人を殺せるなんて言葉はあるがシルヴィは目で人を虜にしそうだな。

 

俺がシルヴィの綺麗な瞳に見惚れていると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ……」

 

シルヴィは残ったソーセージを食べる事で唇の距離を0にする。それによってベッドの上で感じまくったシルヴィの唇の感触を再度味わう。余りのインパクトにソーセージの味が全くしなかった。

 

暫くの間キスをしていて少し息苦しくなってくると……

 

 

「ぷはっ……!大好きだよ八幡君」

 

そう言って思い切り甘えてくる。くそっ、可愛いから文句が言えない……!マジで卑怯だ。

 

しかし心の中ではもっとキスしたいと思っているのを自覚しているので俺はシルヴィに逆らう事はないだろう。

 

そう思いながら俺はため息を吐き、シルヴィの頭を撫でた。

 

そんな感じでシルヴィのファンがいたら血涙を流しそうな朝食は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間……

 

「八幡君気を付けてね」

 

レヴォルフに最も近い駅にて、変装しているシルヴィが俺に抱きつきながら上目遣いでそう言ってくる。破壊力がヤバ過ぎる。

 

今は決勝開始1時間半前、俺はディルクとの交渉の為レヴォルフに向かう。

 

「大丈夫だって」

 

「本当だよ?危なくなったら影に潜って逃げてね?絶対だよ?」

 

「大丈夫だって。そんなに信用出来ないか?」

 

「昨日『赤霞の魔剣』の使い手相手に逃げないで戦ったのに?」

 

ぐっ……確かにあの時は逃げても良かったのに逃げなかったな。そこを言われたら返す言葉がない。

 

俺が黙り込んでしまうと、

 

「……昨日も言ったけど絶対に帰ってきてね。私まだ告白の返事聞いてないんだから」

 

シルヴィは優しく抱きしめてくる。……そうだな。ああ、その通りだ。

 

「わかってる。ありがとなシルヴィ」

 

俺も優しくシルヴィを抱き返す。シルヴィの温もりを直に感じる。凄く温かくて気持ちが良い。出来ることならまた感じたい。

 

そう思いながらシルヴィとの抱擁をとく。いつまでもこうしている訳には行かないしな。

 

「じゃあシルヴィ、俺はもう行く」

 

そう言って駅を出ようとした時だった。

 

「……八幡君」

 

後ろから話しかけられたので振り向くとシルヴィがいつもの人を元気にする笑顔を見せてくる。

 

「頑張ってね」

 

ただ一言、そう言ってきた。俺はそれを聞いて自然と笑みが浮かんでしまう。

 

「ああ、頑張る」

 

ただ一言、そう返して俺は駅を後にした。気分は不思議と凄く良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

要塞のようなレヴォルフの校門を歩くと中からは騒ぎ声が聞こえてくる。多分中庭でレヴォルフの生徒がアルコール片手に決勝戦を楽しみにしているのだろう。実に平和な事だ。

 

そんな事をのんびりと考えていると……

 

「ようディルク。直で会うのは久しぶりだな」

 

校門の端にディルクがいたので手を上げて挨拶をする。向こうは俺に気がつくといつも以上に不機嫌な表情をして舌打ちをしてくる。明らかに挑発してやがるな。

 

「いやいや、こんな時間に呼んで悪いな。交渉が終わったら一緒に天霧の活躍を見ようぜ」

 

ディルクが嫌っているだろう天霧の名前を出してこちらも挑発する。交渉において弱みを見せる事はタブーだ。初めから遠慮はしない。

 

「ちっ!つくづく人を苛立たせるな……」

 

「いや、お前それブーメランだからな?つーか取引の話をしようぜ。結論をさっさと言ってくれ。俺、決勝戦はドームで見たいんだから交渉次第では急いで警備隊本部に行かなきゃいけないんだよ」

 

そう言いながら俺は影を操作して影の中から誘拐犯を見せつける。まだ麻酔が効いているようだが寝息は聞こえるので生きてはいるだろう。良かった良かった。死んでしまっては交渉の意味がない。

 

俺が誘拐犯を見せるとディルクは暫く考えるような素振りを見せるもやがて舌打ちをしながら俺に電子書類を渡してきた。

 

こいつは……

 

「オーフェリアの権利書……交渉成立って事で良いんだな?」

 

俺がそう尋ねるとディルクは忌々しそうな表情をしてくる。にしてもオーフェリアを土地の権利書みたいに……つくづくムカつくな。

 

「てめぇもさっさと寄越せ」

 

「はいはい」

 

俺は息を吐いて誘拐犯を地面に放り、ボイスレコーダーをディルクに投げつける。

 

「複製はしてない。正真正銘それ一つだけだ。まあお前が信じるかは知らないが」

 

俺はそう言いながらディルクから貰った権利書を自身の端末にしまう。もう誰にも……少なくともディルクやアルルカントの『大博士』には死んでも渡さない。

 

「じゃあ交渉成立だな。俺はもう決勝戦を見に行くからな」

 

そう言って踵を返すと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「比企谷八幡」

 

いきなりディルクにフルネームで呼び止められる。瞬間、俺はディルクの方を向き臨戦態勢を取る。今の低い声を聞いた瞬間ビビった俺がいた。

 

「今回は俺の負けだ。だがてめぇに2つ言っておくぞ。いずれオーフェリアは取り戻すし、てめぇには地獄を見せてやるよ」

 

非星脈世代であるにもかかわらずディルクの向けてくる視線に一歩下がってしまう。何だこいつの目は……?はっきり言って尋常じゃない。何があったらこんな目が出来るんだ?

 

疑問には思ったが俺は即座に意識を切り替える。二度とオーフェリアを闇の世界に戻してたまるか。

 

俺は一歩進みディルクを睨み返す。

 

「そんな事絶対にさせない。俺は絶対にオーフェリアを幸せにするんだ。邪魔するならてめぇの仲間の処刑刀だろうとヴァルダだろうとぶっ潰す」

 

俺はそう言って今度こそ踵を返し歩き出す。

 

ディルクの言う通り、奴らはオーフェリアを諦めていないだろう。

 

でもそれがどうした。俺は何があっても手にある権利書を手放さない。あいつを永遠に自由にさせてやる。

 

そう思いながら俺が校門を出た時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………八幡」

 

いきなり俺の名前が呼ばれたので声のした方向を向くと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………オーフェリア」

 

そこにはさっき話題になっていたオーフェリア・ランドルーフェンが頬を染めながら校門の横にいた。

 

 


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