「
思い浮かべるのは2振りの剣。白と黒の夫婦剣。手に握ったその感触や出来栄えを確認してから、彼はその剣を消した。
「先輩、ドクターがお呼びです。行きましょう」
後ろからかかる声。先輩と彼のことを呼んだのは、薄い髪色で眼鏡をかけた少女だった。立ち上がり返事をした彼は、最後に自分の目の前の入れ物、正確にはそこにコールドスリープ状態で眠っている相手に声をかけた。
「行ってくるよ。必ず助けて見せるから。待っててくれ、遠坂」
そして彼は部屋にある他の同様の入れ物も見渡す。彼らのことも助けなければならない。それが唯一動くことができる自分の、しなくてはならないこと。世界のためにも、彼女のためにも、そして正義の味方であるためにも。彼は使命を果たさなければならないのだ。
「行こう。マシュ」
「はい、先輩」
先ほどの彼女、マシュとともに彼はその部屋を出た。
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人理継続保障機関カルデア。何者かの手により歴史が改変され、人類史が焼却されてしまう結末を変えるために、彼はある任務を果たすべく行動していた。
それが未来を修正するための作戦、Grand Order、人類史に本来存在しないはずの特異点を訪れ、原因を排除し、本来あるべき形へ歴史を修正することが、今の彼とマシュに与えられた使命だ。
「いよいよですね、最初の特異点」
「そうだな。一緒に頑張ろう、マシュ」
「お任せください。私は、先輩のサーヴァントですから」
人理の修復、そのために彼らはあるものを回収しなければならない。それがあらゆる願いを叶えると言われる願望機、聖杯。それを手にするためにはサーヴァントと呼ばれる、最強の使い魔が必要だ。彼の隣を並んで歩くマシュ。彼女こそ、彼のカルデアにおける契約サーヴァント第一号である。
ドアを開け、管制室へ入る二人。数名の職員が慌ただしく準備する中、一人の男が話しかけてきた。
「やぁ、二人とも。いよいよだよ。人理修復の最初の一歩だ。準備はできてるかい?」
「はい。問題ありません」
「あぁ」
「それは良かった。このミッションが無事に終わることを願ってるよ。君たちはいわば、人類最後の希望だからね」
準備が整ったようで、職員たちから声がかかる。頷きながら、二人はそれぞれのコフィンに入り込む。レイシフトと呼ばれる方法で、二人は擬似的に転送され、異なる時代の異なる場所へ行くことができる。
「それじゃあ気をつけて行ってきてね。マシュも、士郎くんも」
レイシフトが始まる。人類最後のマスターとなった彼、衛宮士郎はこうして人理修復のために戦うこととなった。
完全に使いこなせないため、ルビとか振ってなくても許してください。