正義の味方の人理修復   作:トマト嫌い8マン

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ちょっと短いですけど続きを載せます
やっと二人のジャンヌが出会う


竜の魔女

翌日、早めの時間に起きた士郎に合わせて、四人は移動を開始した。まず近くの町で情報を集めることにしたのだ。

 

「今すぐにオルレアンに攻め込むのは難しいでしょう」

「そうだな。敵の戦力がわからないから、下手に動くわけにもいかないしな」

「地道に情報を集めることから始めましょう、先輩」

 

歩くことしばし、突然ロマニから通信が入った。

 

『みんな、ちょっと待ってくれ!君たちの今向かってる町から、サーヴァントの反応があった』

「サーヴァントの、ですか?」

「ドクター、今そいつはどこに?」

『ダメだ、すごい速さで町から離れて行ってしまったよ』

 

顔を見合わせる四人。もしも今のがもう一人のジャンヌだったのだとしたら、この先の町がどうなってしまったのだろうか。急いで走り出した彼らの目に入ってきたのは、燃え尽きた町だった。建物は崩れ、未だ燃え続ける炎。生きている人なんてとてもいなかった。

 

「なんてこと。町が、こんなことが」

「町の様子からしても、生存者はいなさそうです。シロウ?」

「先輩?」

 

黙り込んでしまった士郎の様子に、リリィとマシュが声をかける。なんでもないと笑顔を見せ、士郎は首を横に振った。

 

「ちょっと、考え事をしてた」

 

この場所を見ていると思い出す。あたりに広がる煙と死の匂い。生存者のいない崩れた町。それはどこか、彼の原点に似ていた。あの惨劇に。違うのはこれが何者かによる虐殺行為だということ、そして生存者は無く。

 

「これは、動く死体?」

生ける屍(リビングデッド)です!さらにはワイバーンまで」

「あれって」

 

ワイバーンの口からなにやら不快な音がする。硬い何かが砕ける音、ブチブチッと何かが切れる音、そして液体のようなものが滴る音。ワイバーンたちは喰らっていた。この町の人を、その死体を。

 

気づいたら士郎は強く拳を握りしめていた。殺された人たちの体を喰らい、操り、利用する。彼らに対して、それはあんまりな仕打ちだろう。しっかりと弔ってもらうことも、見送ってもらうこともされず、死してなお誰かの勝手な都合で使われる。そんなこと、許されるはずがない。

 

かつて目の前で、一人の少女が殺された。そして、その身体の一部は殺した男によって利用された。助けられなかった。死んでなお、利用されることとなってしまった。今、それをまた目の前で繰り返されている。

 

投影、開始(トレース・オン)

工程完了(ロールアウト)全投影、待機(バレット クリア)

停止解凍(フリーズアウト)全投影連続層写(ソードバレル フルオープン)!」

 

空中に突如として現れた無数の剣は、雨のようにワイバーンや生ける屍(リビングデッド)に降り注ぐ。その数はあっという間に減り、残った数体も士郎の振るう干将・莫耶に斬り伏せられる。最後の一体を切り裂く前に、士郎は一言呟いた。

 

「ごめんな」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

突然士郎の見せた激しい攻撃に、ジャンヌたちはあっけにとられていた。剣を手に敵を斬る士郎の表情には強い怒りが現れていた。声を上げることも、勢いに任せて行動することもなかった。ただ、静かに燃える炎のような怒りだった。

 

「悪い。先走った」

「いえ。お疲れ様です、先輩」

「ありがとう、マシュ」

 

なんて声をかけて良いのかわからなかった。しばらく沈黙してしまう四人。そこへ、ロマニからの通信が入った。

 

『まずいぞ!先ほどのサーヴァントが反転した。君たちに気づいて引き返してるみたいだ。それも、数にして5騎もいる!』

「ってことは、もう一人のジャンヌ以外にもサーヴァントが?」

「シロウ、どうしましょう」

「戦力的に考えると、撤退したほうがいいかと思います。完全なサーヴァントが5騎もいては、今の私たちでは」

「ジャンヌはどう思う?」

「私は。私は、逃げません。真意を確かめたいのです。どれほど人を憎めばこんなことができるのか。それがわからない。だから、聞きたいのです」

 

ジャンヌの意思は強そうだった。マシュとリリィは少し不安げに顔を見合わせる。彼女一人置いて行くわけにもいかないし、かといって戦いになれば勝機はほぼない。彼女たちの不安を払うかのように士郎は二人の頭を撫でる。

 

「し、シロウ?」

「あの、先輩?」

「二人とも、俺も残ろうと思う。この被害をもたらした本人を、この目で確かめたい。でもこれは俺の我儘だ。二人に強制することまではできない。けど、一緒に戦ってくれるか」

「・・・当たり前です。私は、先輩のサーヴァントですから」

「騎士として、主人の言葉に反するわけにはいきませんからね。私も、ご一緒させていただきます」

 

『もうすぐ君たちのところに来る。いいね、戦うよりも、逃げることを第一にするんだよ!』

 

ロマニからの通信が切れる。それとともに上空に数体の竜が現れる。その背には5つの影。そのうち一人は黒い鎧に身を包み、竜の描かれた旗を持った少女。くすんだ金髪はまるで銀色、その瞳はあのセイバーと同じ金色。竜の魔女は彼らを見下ろし、笑った。




さてさて、今後の展開がどうすれば良いのか難しくなって来たぞ
やっぱりジャンヌと士郎の間に何か大きな縁を結んでおきたい

まぁつまりは二人の関係を掘り下げたいけど、どうしたらいいのやら
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