正義の味方の人理修復   作:トマト嫌い8マン

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少しばかり展開端折ってます

あの辺りはもういろんなところで描かれてるし、いいかなって笑


特異点F 炎上汚染都市冬木
見慣れた景色


きっかけは彼の魔術の師匠だった。日本から共にイギリスに来て、魔術を学び、彼は世界を旅した。少しでも多くの命を救うために。かつてある男が憧れ、自身が引き継いだ正義の味方となるために。そんなおり、久しぶりの呼び出しに答えた彼に、師匠はこのカルデアを紹介した。

 

「マスター募集?」

「そ。なんでも英霊を使役することになるらしいから、適性のある人を集めてるらしいのよ。で、私も衛宮君もあの聖杯戦争を経験した、数少ない実在するマスター。是非にとの招待状が届いたのよ」

「それって俺もか?俺なんてマスターとしては半人前だったし、魔術だって」

「それは確かにそうね。でも衛宮君は聖杯戦争を経験した、それだけで十分よ。それに、衛宮君なら喜んで参加するんじゃないかと思ったんだけど」

「なんでそう思ったんだ?」

「このカルデアの目的、人理の観測・保護・及び救済らしいんだけど、それって簡単に砕いちゃうとつまり、人類の救済でしょ?正義の味方を目指している衛宮君が断るわけないでしょ?」

 

自分のことをよく理解しているな、なんて思いながら衛宮士郎は彼女とともにカルデアのマスター候補として参加することとなった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

カルデアについたその日、彼は一人の少女と出会った。それがマシュ・キリエライトだった。彼はマスター候補として呼ばれはしたが、魔術の才能が他とはあまりに異なっていた。軽い検査として行われた魔術のテストには向いていなかったのだ。それ故、基礎的な魔術がおろそかだと言われ、所長のオルガマリー・アニムスフィアによりファーストオーダーからは外されることとなった。

 

招待されてこの扱いである、普通なら怒るところだろうが士郎は素直にその言葉を受け入れた。もともと自分は他よりも一般的な魔術の才能はない。故に仕方のないことだと捉え、遠坂に応援の言葉をかけ、管制室から出た。マシュに案内され、自身にあてがわれた部屋へ向かった士郎はそこで医療部門のトップ、ロマ二・アーキマン、通称Dr.ロマンと出会った。ファーストオーダーから外されたもの同士、しばしの間二人は語らった。

 

その時だった。カルデアが大きな爆発に襲われたのは。突然の事態にあたりは混乱し、非常用アナウンスが流れた。爆発は管制室で起こったとのこと。

 

その時彼の頭に浮かんだのは、魔術の師匠でありここを紹介してくれた彼女と、自分のことを先輩と呼び親切にしてくれた少女のことだった。Dr.ロマンから避難しろと言われた彼は、しかしマスターたちが集められていた管制室へ向かった。

 

そこは一面炎と壊れた設備だった。その光景はかつて自身がした経験を思い出させる。また、助けられないのか、恐怖にも似た想いが駆け巡る。その時、彼は小さな物音を聞いた。急いでその方向へ向かうと、そこにはマシュがいた。息をしていたものの、その身体の下半身は大きな柱に押しつぶされ、どう見ても手遅れだった。

 

後になってわかったことだが、師匠の遠坂凛を含むその他のマスターたちはコフィンの中で重傷を負い、生命維持のためにコールドスリープ状態にされた。カルデアの施設にも大きな被害が出た。

 

マシュは死にそうな中で、彼に手を握っていてほしいと願った。それが自分にできる最低限のことだと、これしかできないことを悔やみながらも、衛宮士郎はその白く美しい手を握った。マシュの表情が少しだけやわらぐと、彼は意識を失った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「こ、ここは?」

 

意識を取り戻した彼は辺りを見渡した。相変わらずの炎と瓦礫。しかしどうにもおかしかった。その光景は先ほどよりも、既視感のあるものだったのだ。そう、本当にあの災害に逆戻りしたかのような・・・周りに人の気配はなかった。まるでみんな消えてしまったような。そんな恐ろしいまでの静寂。聞こえるのはただ、炎の音だけだった。

 

ガラリ

 

後方から聞こえたその音に、士郎は素早く反応した。

 

投影、開始(トレース・オン)

 

両手にあるのは二つの剣。干将・莫耶と呼ばれる彼の長年愛用してきた剣だ。

 

視界に入ってきたのは骸骨。それも自立して行動する、魔術で操られる類のものだった。士郎の姿を確認した骸骨兵は、剣や槍を持ちながら、彼に向かってきた。

 

「こいつらは、キャスターのと同じ?」

 

向かいくる竜牙兵の首をはね、体を裂く。聖杯戦争を勝ち残り、それ以来もずっと戦う力を高め続けてきた彼にとっては、この程度の相手は敵ではなかった。あらかた片付いた後、さりげなく辺りを見渡していた彼の目に一つの看板が目に入る。その看板が示す年号と日付に、彼は驚かされた。

 

「2004年12月、だと。じゃあ俺は過去に来たってことなのか?それに、」

 

どことなく周りの景色は見覚えがあった。壊れた世界にというわけではなく、まるで以前ここにいたような気がするのだ。それも、破壊される前の街を知っているような。

 

「とにかく、まずはマシュを探そう。もしかしたらこっちに来てるかもしれない」

 

そう決めた彼は破壊された街を走りだした。




取り敢えずスタートは切ったって感じですかな

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