けど、また短いです、すみません
戦闘は激しさを極めた。デオンとリリィが踊るように剣を振るい、エリザベートとカーミラの得物が火花を散らす中、清姫の火炎弾が魔力弾を相殺する。アマデウスとマシュはサンソンと戦い、白と黒のジャンヌが死闘を繰り広げた。それだけならまだしも、ワイバーンたちの攻撃も捌かなければならないこちらの方が状況的にも不利だ。士郎はというと、ヴラド三世と再び一騎打ちを繰り広げている。前回と比べてヴラド三世がより手強くなったと感じた士郎。つばぜり合いの状態になる二人。ヴラド三世の顔に笑みが浮かぶ。
「以前のようにはいかんぞ。今回は殺してでもその血を奪うつもりなのだからな」
「望むところだ」
ヴラド三世の槍を押し返し、追撃する士郎。ヴラド三世はその攻撃を槍で防ぎながら後退する。逃さないように一歩踏み込む士郎。と、突然士郎目掛けて地面から杭が出現し、刺そうとした。とっさに躱したものの、士郎の服に切り傷がつく。ひとまず距離を取る士郎。
「貴様はすでに我が領土に入っている。ここで戦う限り、貴様に勝ち目はないぞ、人間のマスター」
「領土・・・キャスターがやってたみたいなものか?一定範囲内に限定して能力が上がってるわけか。なら、その領土を奪えば、」
ふっ、と一息吐き、士郎は迫り来るヴラド三世へと切り掛かった。撃ち合いの中で、言葉を紡ぐ。
「
「なんだ?遺言か、命乞いか?それは聞けんぞ」
振るわれる槍や飛び出す杭をかわし、紡ぎ続ける。
「
剣が砕かれるもまたその手に握られる。時間を稼ぐために防御に徹する。この守りはそうやすやすと突破はできない。
「
サーヴァント以外のワイバーンも更に多く向かってきている。ならば招く対象の範囲を広げよう。ワイバーンたちは認識済みだ、できないことではない。
「
「
「まさか、これは呪文か?何をするつもりか知らぬが、無駄な足掻きを」
「
「
戦況をひっくり返すべく、士郎は数歩下がり干将・莫耶を投げつける。防ぎきるヴラド三世だったがそれで数秒の時間が稼げた。その数秒があったからこそ、反撃が始められる。
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「
「
士郎を中心に地面に亀裂が入る。炎が湧き、光が溢れる。眩しさに敵味方問わずに目を閉じた。マシュが目を開くと、あれだけいたワイバーンも、ヴラド三世も、そしてマスターの士郎も忽然と姿を消していた。
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青空と雲、光の帯が広がっていたはずの空は赤くなり、草原と城は見当たらなくなり、あたりは荒野へと変わっていた。そこに存在していたのはヴラド三世と士郎、ワイバーンの群れ、そして形は違えど同じもののみ。剣が。ありとあらゆる剣が突き立てられた大地が広がっていた。
「ここは、何だ」
驚くヴラド三世。いや、その顔は驚きだけではなく、また別の感情もあるように見える。その世界に対し恐怖を感じていたのだ。それもそのはず、だってそこは既に彼の領土ではなく、ましてフランスでもなかった。
「お前が自身の領地を作って戦おうとしてたからな。俺もそれに倣ってみたんだよ。確か、お前は無限に杭を生み出すことができたんだったか?それなら、お前の生み出せる杭は果たして無限の剣相手に、どれほど持つんだろうな」
片腕を上げる士郎。それに応えるように周りの剣がいくつも浮かび上がり、ヴラド三世とワイバーンたちに狙いを定めた。この時、ヴラド三世は悟った。このマスター、人間でありながらも、自分では倒せない相手だと。狂化の呪いがなければわからないが、少なくとも今は、自分の完全な敗北を悟った。
「神秘も薄れた時代から来ているただの人間のマスターだというのに、これほどまでとはな」
その言葉を呟いた直後、剣の雨がヴラド三世を含むワイバーンの群れに向かって降り注いだ。
というわけで、この組み合わせにしたのはヴラド三世のスキル、護国の鬼将に士郎をぶつけて見たいと思ったからです、はい
ぶっちゃけこの士郎なら勝てる、絶対