正義の味方の人理修復   作:トマト嫌い8マン

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まぁ、タイトルとストーリー内容に微妙にズレがありますが、その辺りはご愛嬌ということで


黒いジャンヌを追え

初めから、どことなく違和感があった。セイバーと同じように別の側面が現れたにしては、本人からは微塵もそんな思いも、可能性も感じなかったからだ。そもそも、共通点さえ思いつきもしなかった。

 

今も白と黒の彼女たちは戦っている。その様子を見ながら、解析してしまった、その身体を。そして気づいてしまった、その正体に。思ってしまった。

 

 

彼女を、救うことはできないのかと

 

 

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防戦一方ながらも、リリィはデオンを確実に誘導していた。一方エリザベートは連続攻撃でカーミラを後退させる。両者が近づいた時に、リリィとエリザベートは同時に距離をとった。

 

「あら、何のつもり?そんなことではっ!?」

 

突然カーミラとデオンの周りを炎が囲った。清姫の宝具、『転身火生三昧』。飽くなき執念のみで竜へと昇華した彼女自身の逸話が宝具となったもの。その炎によって二人の動きを止めたのだ。

 

「エリザベートさん、今です!」

「リリィさん、耳をふさいだほうがいいですよ」

「えっ?あ、はい」

「まっかせて!サーヴァント界最高のヒットナンバーを、聴かせてあげる!鮮血魔嬢(バートリ・エルジェーベト)!」

 

響いたのはそれはそれはもう、地獄と形容しても甘いんじゃないだろうか、という音色だった。耳を塞いでいたはずなのにこの目眩、正直、耳を塞いでいなかったら自分たちも危なかったのではないかと、リリィは思った。純粋な攻撃力をも持つその音楽は、カーミラとデオンを襲う。歌が終わった時には、二人とも粒子になり始めていた。

 

「やれやれ、こんな幕引きとはね。王女にも怒られてしまうじゃないか」

「あなたの剣、とても気品のある美しい剣でした。勝手にですけど、勉強させていただきました。また、今度は真っ当な場で剣を交えましょう」

「そうだね。君とは色々と決着をつけないと行けない気もするし、そうしようか」

「ええ。必ず」

 

「全く、過去が未来を否定するだなんて、本当に我ながらデタラメね、あなた」

「何よ!勝ったのは私なんだから、さっさと帰りなさいよ」

「本当に、無知で幼稚で愚かな子。でも、そういうところは眩しいわね。私はずっと一人だけど、あなたは、どうかしらね」

 

それぞれが相手と言葉を交わし、カーミラとデオンは消えていった。どちらも、笑顔だった。どことなく、安心したような、ほっとしたような、そんな笑顔。

 

「さて、私たちはワイバーン退治と行くわよ!」

「慌ただしいですね。良妻としてはもっと余裕を持って行動するべきなのですが、今はそうも言っていられませんしね。早くますたぁ(旦那様)と合流しませんと」

「はい!行きましょう」

 

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巨体から繰り出される爪による一撃は、人はおろか、並のサーヴァントであればやられていただろう。しかしジークフリートはその一撃を剣で受け止め、素早く駆け寄り反撃する。手応えはあるものの、致命的なダメージには至っていない。

 

突然ジークフリートの体が吹き飛ばされる。長い尾を鞭のように使い、ジークフリートの体を弾いたのだった。悪竜の血鎧(アーマー・オブ・ファヴニール)により、高い防御力を持っているジークフリートだったが、衝撃により体内に与えられたダメージが予想より大きく、動きが一瞬止まってしまった。それを見逃すファヴニールではなく、炎が勢いよく放たれる。

 

「させません!」

 

ジークフリートの目の前に飛び出したマシュが宝具を展開、炎を一時的に食い止める。その隙に士郎がファヴニールに弓矢を向ける。放たれた偽・螺旋剣には空間ごと抉る力がある。それはファヴニールの片足をたやすく貫き、その痛みで炎が止まる。

 

「ジークフリート!」

「わかってる。ファヴニールよ、受けるがいい。幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)!」

 

振り下ろされた剣から発せられた斬撃は、真っ直ぐにファヴニールに吸い込まれた。激しい咆哮をあげ、倒れる邪竜。しかしまだ消える気配がない。

 

「くっ、これでは倒すには至らないのか?」

 

どうやらファヴニールは何らかしらの強化を施されていたようだ。もう一度宝具を使用するには魔力がたまりきっていない。ジークフリートが膝をつく。しかしファヴニールが立ち上がる前に、士郎が駆け出していた。

 

「マスター、無茶をするな!」

「先輩!」

 

投影、開始(トレース・オン)

 

その手に握られるのはゲオルギウスの愛剣。害意や悪意から遠ざける無敵の剣、そして竜殺し(ドラゴンスレイヤー)としても名の通っている剣を手に、勢いよく振り下ろす。

 

力屠る祝福の剣(アスカロン)!」

 

その一撃はファヴニールの強固な皮膚も物ともせず、容易く切り裂いた。断末魔の悲鳴をあげたファヴニールは、地にその頭が落ち、ピクリとも動かなくなった。やがて体は徐々に粒子状に変わって行く。それと同時に、ワイバーンたちの統率されていた行動が崩れ始めていた。

 

「やったか」

「反応消滅確認。ファヴニールは完全に倒されました」

「それだけじゃないな。纏め上げていた存在がいなくなり、竜のコントロールがうまくいかなくなっているみたいだ。それに、数の面でも一気にこちらが有利になったぞ、マスター」

 

ワイバーンの統率が崩れただけではなく、フランス軍もまた共に戦ってくれていたのだ。一人の騎士により導かれているフランス軍の援護により、ワイバーンの数は徐々に減り始める。

 

「一気に攻めるぞ、二人とも」

 

地を蹴り、3人は戦いへと身を投じる。近くのワイバーンを斬り伏せながらも、視線の端で、士郎は黒いジャンヌが謎の男に連れられ、城へと撤退するのが見えた。ジャンヌの周りには謎のヒトデのような生き物が大量に発生していた。急いで駆け寄った3人はジャンヌの周りの敵を一掃した。

 

「大丈夫か、ジャンヌ?」

「はい、ありがとうございます。ですが急いでもう一人の私を追わなければ。また新たにサーヴァントを呼ぶつもりのようです」

 

サーヴァントたちとの戦いを終えた他のみんなも集まってきた。ワイバーンのほとんどは倒されたものの、今度は大量の海魔が発生していた。

 

「ここは俺たちに任せろ。マスターたちは城へ向かえ」

「やれやれ、やっと終わったと思ったけど、もうしばらく頑張るとするか」

「シロウ、ここは我々三人に任せ、行ってください」

「頼むぞ、ジークフリート、アマデウス、ゲオルギウス」

「あぁ。だからそちらも、決着をつけてこい」

 

その場はジークフリートたちに任せ、士郎たちは城内へと入り、黒いジャンヌたちを追いかけた。




そろそろこの特異点も終わりですなぁ

長かったようなそうでもないような
けどまだあと6つプラス終局があるんだった

新章はどうしよう

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