正義の味方の人理修復   作:トマト嫌い8マン

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短くてすみません、はい。

今回は戦闘描写かなり少なめです。
ストーリー的にガチバトルは表現しにくくて


はい、作者の表現力不足です、すみません


狂気の皇帝

数は多いとはいえ、ほとんどがただの人間だった。それに対して士郎たちは数でこそ劣るものの、うち三人はサーヴァント、圧倒的な力で戦う彼らは敵の軍勢を減らしながら反応のあった敵サーヴァントを探した。

 

「我が、愛しき、妹の子よ」

 

軍勢の中から現れた、途切れ途切れに言葉を紡ぐ男。間違いなく彼がサーヴァントだ。服装からしてもローマにゆかりのあるサーヴァントだろう。その様子から狂化されているのがわかったが、相手はただ一人、士郎の隣に立つ女性に向けられていた。

 

「伯父上、いや。今は連合に与し、ローマを脅かす愚か者、あえて名で呼ばせてもらおう。カリギュラよ!」

 

「今、カリギュラって言いましたか?」

「シロウ、この方、あのサーヴァントを伯父上と呼んでましたね」

「まぁ別に驚くことではないでしょう。生前と近い時代に呼ばれたのなら私やあの聖女もそうだったのですし」

「ってことはこの人は、」

 

「捧げるのだ、愛し子よ、我が姪ネロよ!」

 

大きく吠え、カリギュラはその拳を握り突撃してきた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

繰り出された拳は肉ではなく、鉄にぶち当たった。マシュがその盾を使い、正面からカリギュラの攻撃を防いだのだった。その後ろから飛び出したリリィとネロが斬りかかる。狂化のランクは高いものの、カリギュラはすぐさま身を引き攻撃をかわした。戦況は確実にこちらが優勢、この流れで仕留めるつもりの士郎たちだったが、突然カリギュラは霊体化し、その場から撤退したのだった。

 

あれ程に狂ったバーサーカーが、自らの判断で撤退するとは考えにくい。つまりそれは誰かの指示を受けたのではないか?疑問を抱く士郎たちをよそに、ネロの軍勢は勝鬨をあげていた。

 

 

 

 

「うむ。そなたら、見事な働き振りだ、余は感服したぞ」

「ありがとう。ところで、さっきの奴が呼んでた名前からも思ったんだが、あんたもしかして」

「ぬ?そういえばまだ名乗っていなかったな。余こそ薔薇の皇帝、真のローマ。5代目皇帝にしてローマを束ねる者、ネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクスである!」

 

ドドンッ!

 

という効果音が見えるのではないかと思うくらいに、自信満々に名乗る彼女。どこから取り出しているのか、薔薇の花びらが舞う演出付きだ。リリィだけ律儀に拍手をする中、士郎たちはそれぞれ別の思いを抱いた。

 

マシュやドクターは、あのネロ・クラウディウスが女性だったことに驚き、ジャンヌはあまりにも自信満々なその様子に驚き通り越して呆れていた。そして士郎は、少しばかり頭が痛くなっていた。またもや自分のよく知る人の顔に似ていて、彼女ならしないであろう仕草や表情をする人。もうここまで来ると、何か大きな意志を感じそうになる。

 

「ふふん。余のあまりの偉大さ故に、声も出ないか?そんなに気負わなくともよいのだぞ。既に背中を預け合った身、そなたらを余は歓迎する!」

 

会話をしながらも移動していた彼らは、目的地にたどり着いた。この時代で最大級の繁栄を見せる国、その首都。

 

「ようこそ、余のローマへ!」

 

 

 




王の部屋、執務室に当たる場所で、男は地図を広げながら戦況の分析を行っていた。そこへ一人の兵が現れ、膝をつく。

「〜〜殿、皇帝陛下のお帰りです。客人もおり、少し首都を案内してから戻られるそうで」

「了解した。すぐに出迎えの準備をするとしよう。連絡ご苦労だった」

窓の方へ向かい、首都の門の方を見る。この距離から何か見えたとしても、普通は人の判別など出来そうもない。しかしその鷹の目は、しっかりと一人だけを見ていた。

「来たか」

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