というかアニメでの所長、ガンドっぽいの使えたんですね
そこそこ威力あったし
骸骨兵に追われて走っていたその女性が転んでしまったのを見て、士郎は走る速度を上げた。
「マシュは右側のやつらを頼む!俺は左を」
「へっ?マスター?えぇと、了解!」
即座に干将・莫耶を投影した士郎は、今にも女性に斬りかかろうとしていた骸骨兵を切り裂いた。
「はぁあっ!」
勢いを殺すことなく、士郎は周りの敵を斬り続ける。視界の端にマシュがその盾を敵に叩き込む様子が見えた。盾を振るい、殴り飛ばしては蹴り飛ばしと無双の強さを見せてはいたが、士郎の目には戦い慣れていないように見えた。少しだけ昔の自分自身を見ているかのようだった。数分の戦闘で、あたりの骸骨兵は一掃された。
「大丈夫ですか、って」
「あなた、どうしてここにいるの?待機命令を出したはずよね!それに今の戦いは何?あの武器は?マシュもデミ・サーヴァントになれてるし、どういうことか説明しなさい!」
「所長、落ち着いてください」
先ほど襲われていたのは、カルデアの所長、オルガマリー・アニムスフィアだった。人を見つけて安心したのか、堪えていたものが溢れ出たのか、怒ったような表情ではあったが、どこかほっとしているようにも見えた。
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現状の確認と休憩のために士郎たちはビルの陰に隠れるようにし、座り込んでいた。
「なるほど。つまりマシュ、あなたは自分がどんな英霊と融合したのかもわからないのね」
「はい。真名どころか、宝具の名前さえ聞くことができませんでした」
「それは厄介ね。せめてどっちかさえわかればやりようはあったのに」
「まぁそう悲観することはないさ。あの程度の相手、マシュなら問題なく倒せるし」
ジロリと所長の怒りの視線を向けられて、士郎は少しどきりとした。どこか聖杯戦争の最初の頃、遠坂に向けられたものと似ているそれに、少し弱る。
「それにしても、どうしてよりにもよってあなたがマスターなのかしら?魔術の基本すら全然できてなかったし。本当に過去にサーヴァントと契約したことがあるのかしら?」
「俺の魔術の腕は確かに高くない。けど、聖杯戦争に参加したのは本当だ」
「どうだか?まぁ、緊急事態だし、令呪もしっかり出てるみたいだから、とりあえずあなたをマシュのマスターとして認めるわ」
「そりゃどうも」
「それで?さっきのあの戦いぶりは何?あの剣は?」
「えーと、これには色々と複雑な説明が必要というか」
はぁ、とため息を一つつき、オルガマリーは気を取り直した。
「じゃあ後でいいわ。とりあえずは霊脈のあるポイントを探しましょう。そこでサークルを設置すれば、カルデアとも連絡が取れるようになるはずだから」
「わかった。それで、そのポイントっていうのは」
「ここです先輩。ちょうど所長のいるあたりですね」
マシュの盾を触媒にサークルを展開する。すると突然通信が入った。
『応答してくれ、士郎くん、マシュ?聞こえるかい?』
「Dr.ロマン!」
「はぁ?なぜあなたが仕切ってるのかしら?レフはどこ?」
『しょ、所長!?所長までそっちに?』
「いいからレフはどこ?なぜ医療部門のトップであるあなたが指揮をとっているのかしら?」
『じ、実はですね、カルデアのスタッフは僕を入れて20人にも満たなくなってしまって。僕が指揮しているのも、僕より階級が上の人がいないからで。マスター適性者たちも47人がコフィンの中で危篤状態です』
「なっ、すぐに冷凍保存しなさい。死なせないことを最優先に!」
『あっ、はい。それから、』
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『以上で報告を終えます』
「はぁ、結構よ。納得いかないけど、ロマニ・アーキマン!あなたに指揮権を与えます。私は二人とともにこのまま調査を続けます」
『わかりました。何かわかったらこちらから連絡します』
通信が途絶える。険しい顔をしているオルガマリーは本当に魔術師らしいと士郎は思ってしまう。調査を続けるのは成果を出すため、ひいては今回の事件についての追求に対するカードとして持っておきたいのだろう。でなければカルデア自体の存続も危ういだろうから。しかしマスター適性者たちの冷凍保存は多分彼女が言うように責任逃れのためだけではなく、彼女自身が彼らの身を案じているように思えた。なんだか、自分の師匠にそういうところまで似ているように思えてしまう。
「悪いけど付き合ってもらうわよ、衛宮にマシュ」
「私は構いませんが、先輩はどうですか?」
「いいさ。俺もこのままここを放って置くわけにはいかないからな」
「決まりね」
聖杯探索のため、3人は冬木の街を駆け出した。
ちなみに士郎がタメ語なのは、年齢が近いからです
この士郎は時計台に行って、その後しばらく旅をしたという設定なので
FGOのマスターの年齢も明確じゃなかったですし、良いですよね