正義の味方の人理修復   作:トマト嫌い8マン

53 / 92
うーむ……
・長袖なのに寒い ・頭がくらくらする ・睡眠不足ではない
・食欲がない ・作業に集中できない ・汗がひどい

これらを合わせると……あれ、風邪か?
いやそんなまさか、ねぇ?

まぁそんなことよりも、今回クオリティ低くてごめんね


竜の息吹

「うぅ、昨日は酷い目にあった…」

「だ、大丈夫ですか、シロウ?」

「あぁ、リリィ、おはよう。まぁ、何とか大丈夫だな」

 

ドタバタした合流した夜、ジャンヌにこってり怒られた士郎は、翌朝になってもやや疲れた顔をしていた。少しばかりバツの悪そうな顔をするマシュとジャンヌ。

 

「ほら、シロウも座って。朝食ならもうできてるからさ」

「ごめん、ブーディカさん。俺も手伝おうと思ってたのに」

「気にしないでいいよ。シロウは昨日疲れちゃったみたいだったしね。それに私はサーヴァント。睡眠もいらないし、疲労もないしね」

「それでも、全員分は大変だっただろ?ありがとう」

「ふふっ、シロウはいい子だね、よしよし」

「なっ、ちょっ、ブーディカさん!?」

 

席についた士郎の側に行き、頭を撫でるブーディカ。なんだか小さい子扱いされているようで慌てる士郎。ジャンヌとマシュの視線が少しばかり痛い。ついでにローマ兵のも。

 

 

 

 

「ほほぉ。えらくシロウが気に入ったようだな、ブーディカ」

「まぁね。あたしに息子はいなかったけど、彼みたいな子ならいいなぁ、って思ってさ」

「ぬ、そうか……」

「ネロ公、一応言っとくけど、別に責めてる訳じゃないからね?それに、シロウは何だか見ていて危ういからね。気にかけたくなっちゃうんだよ。あの子、無意識の内に甘えられる人がいないっぽいしさ」

「む?それはどういう……」

「あたしの勘なんだけどね。彼、母親を知らないで育ったのかも。名前とかじゃなくて、どんな存在なのか、って奴」

「そうか……お主が言うなら、そうなのかもしれんな」

「だからかな……後輩たちは当然だけど、彼はもっと心配。無茶しないといいんだけど」

「う〜む……」

 

 

 

少し慌ただしい朝食となってしまったが、無理もない。まさしくその後に、ガリア奪還作戦が行われようとしているのだから。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「じゃあ手筈通りに行くよ。あたしとスパルタクスが露払いをするから、ネロ公はガリアを直接叩く。シロウ、護衛は任せたよ」

「あぁ」

 

戦闘前の最後の確認を行う。今回の敵の中には、サーヴァントの反応も確認されている。おそらくは連合の皇帝の一人だろう。サーヴァントの相手はサーヴァントにしか務まらない。詰まる所、士郎たちがそいつを倒さなければ、ガリア奪還はできないのだ。

 

「うむ、用意はいいな。では、行くぞ!」

 

ネロが刀を掲げ声を上げる。呼応するように兵たちも続き、ガリア奪還作戦は開始された。

 

 

「ふは、はははっ!なんたることだ!溢れる……圧政者で溢れるぞ!私に続け、叛逆者たちよ!」

「「「「「「おおぉぉぉぉぉぉっ!」」」」」」

 

「こらこらそっちじゃないってば。あたしたちはあっち」

 

「「「「「「…………………………」」」」」」

 

「あちらか……続けぇぇぇっ!」

「「「「「「おおぉぉぉぉぉぉっ!」」」」」」

 

 

 

陽動役でもあるブーディカとスパルタクスの率いる兵と別れ、士郎とネロの隊はガリアへと突き進んだ。途中に連合の兵士が立ちはだかるものの、サーヴァント三人に敵うはずもなく、特に大きな障害もなく攻め込むことができた。

 

しかし、戦いはまだここからが本番だった。

 

「ぬ?」

『みんな、前方に魔力反応だ。サーヴァントや竜種のそれとは違う。これは、ゴーレムだ!』

 

ロマニからの通信が終わる頃に、士郎たちの前にいくつもの巨体を持つ怪物が立ちふさがった。サーヴァントや竜種とまではいかないものの、巨体を誇る怪物は、人間の兵士には到底太刀打ちできるものではなかった。

 

魔力によって動かされているだけの人形とはいえ、そこそこの強度を持つ体を持ち、人間の数倍の力を振るう。加えて、材料が土であるため、魔力がある限りいくらでも作り出すことが可能となる。もともと数では劣る作戦、ゴーレムたちの登場は大きな痛手となった。

 

今まさに兵士を拳で殴ろうとしていたゴーレムの一体を切り裂きながらも、士郎は軽くあたりの状況を確認する。マシュ、リリィ、ジャンヌ、ネロ、そして自分。この5人以外はゴーレムに大いに苦戦を強いられている。ネロの周囲をとり囲もうとするゴーレムを破壊する士郎。気づけばマシュや他の兵たちも集まっており、ゴーレムによって取り囲まれていた。

 

「ぐぅ、これでは皇帝の元まで辿り着くのも骨が折れそうではないか」

「大きな火力で道を開いて、そこから突破するしかないな」

 

自分ならこの周囲の敵を一掃することもできるにはできる。しかしそれは一気に膨大な魔力を使うこととなる。カルデアからの魔力の供給があるとはいえ、どこまで押し切れるか。それに、この先に皇帝の一人がいる。ここで力を使いすぎるわけにもいかない。

 

どうする?ジャンヌの宝具も強力だけど、この数を相手にするのは難しいな。マシュの宝具は防御としては最高だが、今必要なのは火力だ。リリィのカリバーンなら……けど、この数を突破するには相当威力を高めなければならない。

 

チラリと左手を見る。三画ある令呪、その一つを使えばリリィの力を底上げできる。しかし、こんな序盤で使うわけにもいかない。補充できるとはいえ、この先どれほど必要になるのかがわからないのだ。

 

『一画作るのにも結構時間と魔力が必要なんだ。なにせ通常ではありえないことを起こせるほどのものだからね。一つ作るのにも数ヶ月はかかるかな。今は動けなくなったマスターたちの分もあるから補充は効くけど、使いすぎないようにね』

 

ダヴィンチからの説明が脳裏をよぎる。今が使うべき時なのだろうか。

 

「リリィ、あんたの宝具で突破するわよ」

「えっ?」

 

意外なことに指示を出したのはジャンヌだった。士郎やマシュが驚く中、片手をリリィに差し出す。

 

「あの、ジャンヌさん?」

「いいから、さっさと手を出す」

「は、はい!」

 

差し出された手に恐る恐る自分の手を重ねるリリィ。途端にリリィは、自身の力が格段に強化されるのを感じた。強力なブーストがかけられたかのようだ。

 

「これは、一体……?」

「ほら、さっさとやる!」

「はい!選定の剣よ、力を。邪悪を絶て!」

勝利すべき黄金の剣(カリバーン)!」

 

剣を前へと突き出すリリィ。その切っ先から放たれた光は、フランスで見せたそれよりも一回りも二回りも巨大なものだった。一気にゴーレムを粉砕していく光。まるで強烈な竜の息吹のごとく、その一撃が止まるなことなど考えられない。気づけばガリアの中心へと一本の道が出来上がっていた。

 

「道が開けました。ネロさん、先輩!」

「うむ。今のうちに行くぞ!狙うは連合ローマの皇帝ただ一人!ここで勝てば、我らのローマを取り戻す時も近いぞ!」

 

「シロウ、先に行っててください。ここは私が食い止めますから」

「リリィ、一人で大丈夫か?」

「私も残ります。皇帝なんかには興味がないもの。それに、私がいた方がこちらも都合がいいでしょう」

 

現在ジャンヌ保有するスキルの一つ、竜の魔女。その効果は、竜の属性を持つ存在の能力を飛躍的に向上させること。そしてアルトリア・ペンドラゴンは別名ブリテンの赤き竜。竜の因子をその身体に持っている。故に、ジャンヌがいることで、リリィは通常よりも遥かにステータスが向上する。残念ながら常時発動型ではないため、使うタイミングを見極めることも重要になるが、意外にもこの二人は相性が良いようだ。

 

残念ながら、そのことを士郎が教えられるのは大分先のことになるのだが。

 

「そうか。ジャンヌ、リリィ、ここは頼む」

「お任せください」

「ふんっ」

 

二人に後方を任せ、士郎はネロとマシュを追い、ガリアの中心へと進んで行った。

 

『士郎君、サーヴァントの反応が近くなっている。気をつけるんだよ』

「わかってるよ、ドクター」

 

迫り来る敵を斬りはらいながら駆け抜ける。敵は皇帝の一人、つまりこの特異点の異常の原因の一つだ。それ以外にももう一つ、宮廷魔術師について何か知っているかもしれない。

 

「ここに来ているのか、レフ・ライノール」

 

あの時自分たちを見逃したあの男。奴がいるのであれば、会わなければならない。奴のために、カルデアも、マスター候補者たちも、そして所長も。

 

「今度は、倒す!」

 




やっと次はふくよかな彼の方を出せるぞぉ
しかし、セプテムって口調めんどくさいの多いなぁ

皇帝ネロ、スパルタクス、カリギュラ、カエサル、ローマッ!




あっ、ちなみに熱出しちゃったぜ、ウェェェイ!
ウソダドンドコドーン!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。