正義の味方の人理修復   作:トマト嫌い8マン

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はいはい、ジャンヌ・オルタの幕間の物語、中々でしたぞ〜

それはさておき、今回はエクストラ系統について色々調べた結果やって見たいと思ったことを、やっちゃいます笑

では、どうぞ


ユニット、結成!

「お帰りなさい、先ぱ、い?」

「た、ただいま」

 

笑顔で出迎えてくれたマシュの表情がひきつるのを見た士郎は、微妙な笑みを返すので精一杯だった。そのすぐ後ろには、

 

「だからいらないと言ってるでしょう!クーリングオフ?って奴よ!いいから、帰りなさいな、永遠のアイドル(笑)」

「(笑)って何よ!?私は正真正銘、サーヴァント界のアイドルなんだから!それに、今回の私は自分の意思で来たんじゃないもの!」

「そう?なら尚更帰っても結構です。そもそもあなたの歌、あの時離れた場所から聞こえましたけど、何あれ?ファヴニールの咆哮よりも恐ろしかったわよ、流石ドラ娘という奴ね」

「ムキーッ!ドラ娘とか言うな!というか、なんであんたが、あのテケテケ女の付けた呼び方、知ってんのよ!」

 

「ニャハハハ、ご主人。キャットは眠くなって来たのだワン!」

 

何やら言い争ってるジャンヌとエリザベート。そして士郎の後ろを、トテトテついて来ているタマモキャット。いつの間にかサーヴァントが二人も増えていれば、そりゃ誰だって驚くだろう。

 

「ん?あら、子ジカじゃない」

「あ、どうも、エリザベートさん。えぇと、お久しぶり、です?あと、そちらは?」

「よくぞ聞いてくれたな!我こそは、タマモナインが一角、野生の狐タマモキャット。よろしくだワン!」

「狐……?キャット……?ワン……?」

「すみません、リリィさん。私もよくわからないです」

「何だかスパルタクスさんとの会話を思い出しますね……」

「ぬ、新しい仲間というわけか?よい、余が歓迎するぞ」

「あら?あんた何でここに……って、あれ?もしかして、生きてる?生ネロ!?」

「生……?何のことだ?」

「ああうん、気にしないで。こっちの話だから」

 

完全に混乱しているマシュとリリィ。まぁ無理もないだろう。士郎も彼女と会話するのは流石に疲れるのだから。ただ、なんとなくではあるが、そう、雰囲気的に、どこかの街のトラに似ているような気がするため、なんとか会話が成立しているだけなのだ。

 

まぁ、残念ながらこちらの方が、色々とハイスペックなわけだが……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あらあら、無事にクリアできたみたいね。どうだったかしら、女神の祝福(与えた試練)は?」

「正直、今の俺が一人だったらと思うと、ぞっとしたよ。本気で殺しに来てたぞ」

「当然よ。そうでなければ、勇者への試練にならないもの」

「まぁ、ジャンヌがいてくれて助かったよ。というか、改めてジャンヌのすごさを知ったよ。そのことについては、まぁこの試練に感謝してるかな。それで?あの宝箱に入ってたあの二人は?」

「あぁ、あの子たちね。私が現界するときに、一緒に引っ張って来たのよ。手頃な洞窟や、試練の難度とか、色々と手伝って貰う必要があったのよ」

 

自身の現界の際に、他のサーヴァントを引っ張ってくるなんて、普通に考えたらありえない。が、今の異常な状況や、神霊である彼女の現界のこともある。普通とは異なることが起きても、不思議ではない。

 

「それで、これからどうするんだ?」

「どうするって、あなた達のやることなんて決まっているのでしょう?あの連合ローマを倒すこと。でしょう?もう試練も終わったし、あの子達を連れて行くならお好きにどうぞ」

「いや、俺たちのことじゃなくて、あんたのことだ」

「私の?」

「ああ」

「どうすると言われても、特に何もするつもりはないわよ。そうね。適当にこの島に辿り着いた人間で楽しむくらいかしらね」

 

特に関心がないのか、なんでもないかのように話すステンノ。既に士郎で遊ぶという目的は果たしたし、士郎も古き神の正体を知ることができた。新しい仲間を得て、もうここに用はない。彼がこの後、この特異点で何をするのかなんて、自分には関係のないことだ。

 

いつだってそうだった。島へと立ち寄る人間は、女神の祝福を受けた後、それぞれのやるべきことのために、さっさと島を出て行く。あとは彼らがその運命にどう向かって行くのか、それを見て楽しむだけ。もうそれは、自分には、なんの意味も持たない物語なのだから。

 

「でも、戦う力はないんだろ?あんたは女神で、あくまで守られる存在なんだから。なら、一人にできるわけないだろ」

 

何を言っているのだろう、この人間は。予想もしていなかった言葉に、初めてステンノが驚きの表情を見せた。

 

士郎の自分に向けているのは、女神の魅了にしてやられた者のそれではない。ここを離れることを面倒くさがっている者のそれでもない。ただ、純粋に、事実としてステンノのことを見て、それでいて案じているのだ。

 

「あら?一人になったとして何が起きるというのかしら?この島にいれば、余程のことがなければ襲われることもないのよ?」

「でも、連合の連中がこないとも限らないだろ?俺たちと一緒にいれば、あんたのことも守るから。だから一緒に、」

 

 

『士郎君、聞こえるかい!?サーヴァント反応だ』

「えっ?」 エリちゃん

「ぬ?」 キャット

「はい?」 リリィ

「はぁ?」 オルタ

「あの、ドクター?」 デミ・サーヴァント

 

『いやそうじゃないよ!何その打ち合わせでもしたかのような綺麗な流れ!?じゃなくて、敵性サーヴァントだ。それもこの霊基パターンは、』

 

「美しい。そうだ、お前は美しい。女神よりも、何よりも。捧げよ、我が愛しき妹の子、ネロ。その清らかさ、美しさ。余の全身全霊で、無茶苦茶に蹂躙してやりたいッ!ネロォォォオ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

いつの間に上陸したのだろうか。以前取り逃がしたサーヴァント、バーサーカー、真名をカリギュラ。士郎たちを、否、正確にはネロただ一人を見つめ、迫ってくる。

 

「叔父上……」

「ネロさん、下がっててください。ここは私たちが、」

「いや、マシュこそ下がるのだ。これは皇帝の戦いにして、叔父上の姪である、余の務め。間違った道を歩むものを、正すべきは今を生きる皇帝である余だ!」

 

剣を手に、凛とした表情でカリギュラの前に立つネロ。その隣に一人、別の少女が並んだ。

 

「ぬ?」

「サーヴァント相手に生身の人間が一人で戦っていいわけないでしょ。私が手伝ってあげるわ」

「だが、これは余の、」

「わかってるわよ、その気持ち。これでも統治者だったこともあるんだから。でも、その役目を手伝うくらいさせてよ。私はあんたとユニット組むの、割と楽しみにしてたんだから」

「ユニット……?」

「まぁ、その話は後。ネロ、今この時からこの戦いが終わるまでは、私があなたのサーヴァントで、あなたが私のマスターよ。だから、ここからはいつでも、二人で戦うわよ」

「……何だかよくわからん。そもそも、今会ったばかりの余に対して、何故こうも馴れ馴れしいのかもわからんが……余はお主が気に入ったぞ!」

 

ニッコリ笑顔で笑い合う二人。かたや人間、かたやサーヴァント。嘗ての記録を共有していなかったとしても、魂が惹かれ合うのだろうか。

 

「お主名前は?」

「エリザベートよ。よろしくね、マスター(ネロ)

「うむ。では頼むぞ、我がサーヴァント(エリザベート)!」

 

槍と刀をその手に持ち、士郎たちが見守る中、新コンビがカリギュラとの戦いに挑みかかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ぐぅっ」

 

顔を歪め、唸るカリギュラ。横薙ぎに払われる槍をかわしたかと思うと、頭上から炎の剣が振り下ろされる。

 

それを受け止めたら今度は、龍の尾が胴体を打ち付け、カリギュラを大きく後退させ、海岸の岩に激突させた。

 

「先輩、あのお二人、凄いですね」

「ああ。まるでお互いの考えてることがわかってるみたいだ」

 

初のタッグ、それもネロからしたら初めましてもいいところの相手とだと言うのに。二人の連携は見事としか言いようがなかった。

 

流れるような攻撃、それは二人の絶妙な攻守の入れ替えによって成り立っている。合図がなくとも、声に出さずとも、ネロはエリザベートが下がるタイミングに切り込んでいる。逆もまた然りだ。カリギュラが反撃しようとしたその時には、もう一人からの攻撃を捌かなくてはいけなくなる。バーサーカーとなり、狂化していることもあり、単調な動きしかしない、できないカリギュラに、二人のコンビネーションは崩せずにいた。

 

月でも気が合い、お互いに認め合う関係だった二人。その時は敵同士ではあった。しかし今は、共に戦う仲間(マスターとサーヴァント)である。ペアを組む時、相手との相性によって能力に大きな差が生じる。この二人に関していえば、

 

「今だ!」

「任せて!」

 

尾による攻撃によって体勢を崩したカリギュラの体を、二人の獲物が切り裂いた。膝をつき呻くカリギュラ。最後にネロを見て、笑みを向ける。

 

「ネロ……美しい、な。ああ、捧げよ、その命。その、体。すべてを……余が、愛し、て」

「もう良いであろう、叔父上……いや、連合ローマが皇帝の一人、カリギュラよ。余の、いや、余らの勝ちである。世は必ず、正きローマを取り戻す。もう休まれよ」

 

体を粒子に変え、消えていくカリギュラ。それをネロは静かに見つめていた。

 

「お疲れ様、ネロ」

「うむ……ご苦労であった、エリザベートよ。流石は余のサーヴァントだ。惚れ直したぞ!」

「当然でしょ〜。ネロこそ、流石は私のマスターね」

 

エリザベートが声をかけると、二人で和気藹々と話し始めた。エリザベートなりの気の使い方なのだろう。士郎たちは、二人が一旦落ち着くまで待つことに、

 

「そうだ、一曲歌わない?スッキリするわよ」

「ぬ?歌か?良いぞ、余の声に惚れ直すが良い!」

 

「いけません、マスター。止めましょう!」

「えっ、止めるのか?」

「あなた聞いたことがなかったの!?信じられないくらいにアレよ!地獄へとまっしぐらよ!」

 

焦るマシュに、かなり酷いことを言っているジャンヌ。リリィは苦笑しているが、概ね二人に同意のようだ。キャットが笑いながら眺める中、3人は必死の説得を開始するのだった。

 

 

「全く……こんなに賑やかなの、いつ以来だったかしらね」

 




というわけで、まさかの(そうでもないか?)ユニット誕生!

うまくやれると思うんですよ、この二人
特にFGOでのエリちゃんは色々と穏やかになってましたし

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