正義の味方の人理修復   作:トマト嫌い8マン

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うーん、味方のサーヴァント増やしすぎた……

明らかにパワーバランスが、ね笑


決戦の時は近い

「やぁ、ネロとマシュ。それに士郎も。心配かけちゃったみたいだね」

「気にするでない。余の客将を余が助けなくてどうするというのだ」

 

一番大きなテントの中で、ブーディカは椅子に腰掛けていた。特に怪我もなく、本当に無事のようだ。

 

「アレキサンダーは?」

「……倒したよ」

「そっか……そうなっちゃったかぁ」

 

どこか残念そうな声を出すブーディカ。その気持ちはなんとなく士郎にはわかる。

 

あの時、アレキサンダーは確かに敵対していなかったのだ。きっとネロと話したかったというのは、本当のことだったのだろう。そしてもしかしたら、彼とともに戦える可能性もあったかもしれない。けれども、それは過ぎたこと。今はブーディカが無事だったことを素直に喜ぼう。

 

 

「……それで?あんたはこれからどうするつもりだ?」

 

士郎が入り口に立っている男、エルメロイII世に問いかける。まだ完全に警戒を解いていない視線に対し、エルメロイII世は肩をすくめる。

 

「さて、どうしたものか。もうお前たちと戦う理由もないからな。かといって奴らの元に行くのもくだらん。唯一の主人を無くしたのだ、適当にこの辺りに居座るだけだ」

「……俺たちと来てくれないか」

「何?」

 

真剣な表情で自信を見る士郎に対し、エルメロイII世は訝しげな視線を向ける。

 

「どういうつもりだ?」

「あんたはあいつらに召喚されたわけじゃないんだろ?それにこっちと敵対する気もない。正直、連合に勝つためにも、1人でも多く人手が欲しい」

「それで私を、か。ふん、くだらん。私にとってそこまで大きなメリットがあるとも思えんが」

「俺の魔術について、知りたいと思わないのか?」

「!」

 

瞬間、エルメロイII世の目が細められる。食いついた、そう感じた士郎は、自分を餌としてエルメロイを勧誘することに決めた。確かに戦いが終わったら、自分の身を狙われることになるかもしれない。けれども、この戦いを勝ち抜くためには、彼の力が必要だと、士郎は確信していた。

 

「あんたが俺たちと一緒に来てくれるなら、俺の魔術の秘密を教えてもいい」

「ほぉ。そうやって取引の材料にするということは、貴様の魔術、相当特異なものということか」

「まぁな。俺の師匠には例え後見人のあんたでも見せるなって言われてたほどだ」

「遠坂が、か。なるほど」

「で、どうする?」

 

 

 

「……ふん。いいだろう。元々人理を修復するという点では、私も諸葛孔明(この英霊)も、そしてお前たちも同じだからな。我が計略を持って、焼却の運命とやらを変えてみせよう」

「助かる。な、ネロ」

「うむ。詳しいことはわからんが、余の客将として入りたいのであれば歓迎するぞ。余は寛大故、敵であったものでも正しく評価する!では、アーチャーの元へ戻るとしよう。荊軻たちも合流しておるといいのだが」

 

ブーディカを奪還し、エルメロイII世を仲間に加えたネロたち。アーチャーが待っているであろう合流地点に向かい、戻り始める。

 

「ドクター。アーチャー達の反応はまだ同じ場所か?」

『ああ。その場にいるサーヴァントの反応も、出発した時と変わらない。どうやら襲撃されることはなかったみたいだね』

「ということは、荊軻さんやジャンヌさん達はまだ戻っていない、ということでしょうか」

『うん……やっぱり、心配だよね』

「……リリィ、ジャンヌ……」

 

少しの不安を感じながらも、士郎達は急いでアーチャー達と合流すべく、移動し続けた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「む、来たか」

 

合流地点にたどり着いた士郎達を出迎えたのは、見回りの途中だったらしいアーチャーだった。と、士郎達の後ろをついて来ているエルメロイII世を見たアーチャーの顔が引きつる。

 

「ネロ……その後ろの男は?」

「うむ。余の新たな客将だ!なかなかの軍師にして、戦闘もこなす。最初は敵だったのを勧誘したのはシロウであったが、余は寛大故、迎え入れたのだ」

「ロード・エルメロイII世だ。訳あって、諸葛孔明の依代として擬似サーヴァントになっている」

「う、うむ」

 

アーチャーの様子がおかしいのに皆が首をかしげる中、士郎は少し苦笑気味に見ている。

 

「お前は……いや、まさか、そういうことか……」

 

士郎とアーチャーを見比べていたエルメロイII世が何かに納得したかのように頷く。

 

「どうかしたのですか?」

「いや、なんでもない。今は特に重要ではない。それより、これからどうするつもりなのかを聞かせてもらえるか?作戦を立てるにしても、情報が必要だ」

「うむ。では余のテントに来るがよい。そこで一旦作戦会議とする」

 

 

 

「連合ローマを攻めるに当たって、現状を確認させてもらうとしよう」

 

作戦会議のために集った士郎、ネロ、そしてサーヴァント達。エルメロイII世が手に持つライターをもてあそびながら口を開く。

 

「戦力的に此方の方が、現状は有利だ。確かにあちらもサーヴァントの召喚は可能だが、本来のマスターのようには支配できていない。それ故、アレキサンダーのように、味方にならないものが現れることも考えられる。対して此方は、10以上のサーヴァントによるチームとなっている。よほどの相手が来ない限り、そうそう負けはないだろう」

「敵の情報はどの程度知っておるのだ?」

「アレキサンダーから貰った情報としては、敵の主な将軍はカエサル、カリギュラの二人。その上に彼の方と呼ばれる存在がいるらしいが、詳しくは知らん。あとは兵として、シャドウサーヴァントを多数保有しているらしいな」

「敵の宮廷魔術師のことは聞いていないか?」

「ふむ……大きな帽子をかぶり、狂気的な笑みをする男、としか聞いていないな」

 

その言葉に、思わず士郎とマシュは顔を見合わせる。その特徴は、自分たちの探している相手のそれと一致する。やはりこの時代にいるのだろうか。レフ・ライノールが。

 

「荊軻達はまだ戻らぬか……まさか連合に」

「いや、それはない。荊軻達といるジャンヌとリリィとはパスが繋がっている。もし消滅していたら、俺が気づかないはずがない」

 

カルデアのシステムを経由してとはいえ、士郎と二人は紛れもなくマスターとサーヴァント。離れていても通じ合っている。何度か念話を試してみたものの、遠すぎるのか余裕がないのか、どちらの反応もないが、少なくともこの特異点にはまだいるはずだ。

 

「複数のサーヴァントとの契約か……全く、カルデアの技術とは恐ろしいものだな」

 

感心したような呟きを漏らすエルメロイII世。自分が聖杯戦争に参加した時からすれば、考えられないことだ。

 

 

「さて、私から言うことがあるとするならば、敵陣を攻めるならば、早いに越したことはない。先も言ったように、敵は次々にサーヴァントを召喚できる。全てが敵戦力になるとは限らないが、時間が経てば経つほど、敵は強力になる。やるならば、すぐに攻めた方がいい」

「今は荊軻、ジャンヌ、リリィ、スパルタクス、そして呂布が離脱しているから、こっちの戦力は少ない……それでもか?」

「そうだ。恐らく敵は聖杯を所持しているとみていい。それを使い何をするかまでは想像できないが、恐らくそれだけでこの戦いの勝敗を左右するとみていい」

 

その言葉にやや空気が重くなる。ここまで強く断言されると、何が待ち構えているのか、それが気になってしまう。だが、

 

「うむ。であるならば、余は明日にでも攻めるべきだと思う」

 

なんてことないかのように言い切るネロ。それに同意するように、士郎とアーチャーが頷く。

 

「スパルタクスと呂布が戻るかどうか不確定である以上、私もそれが最善だと思う。なに、今まで副官として首都にずっといたのだ。彼らのぶんまで、私が戦うとしよう」

「俺から念話を飛ばしておく。リリィ達ならきっと後から合流してくれるさ。それに、敵の宮廷魔術師には用がある。また何かする前に、絶対に止めてみせる」

 

他のサーヴァント達からも特に反対意見はなく、明日の朝、決戦へと向かうことが決まった。

 

 

 

「待ってろよ、レフ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ふん。アレキサンダーがやられたか。やはりサーヴァントも所詮人か」

 

魔法陣の前に立ち、苛立った様子の男。紳士的な服装はこの時代にはあまりにも不釣り合いだ。

 

「まぁいい。間もなく準備が整う。そうすればこの時代の焼却など、容易いことだ」

 

部屋にはもう一人、大きな身体を持つ男がいる。特に返事をするでもなく、話を聞いている。

 

「所詮サーヴァント風情に、我らを止められんさ。なぁ、神祖殿。っと、そちらも今はサーヴァントだったな」

 

ニヤリと口元を醜悪な笑みに歪めながら、男は魔法陣を眺める。

 

 

「人類最後のマスターよ。己が無力さを嘆きながら、滅ぶがいい」




次回、いよいよ最終決戦が始まる……………第2特異点の

あぁ、先が長いなぁ
なんだか途中で挫折する人の気持ちがわからなくもなくなってきてしまう……

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