士郎は作者イメージ20代入りたてくらいですね
時系列的には年とか色々と合わないですけど、そういう設定だと思って読んでください
「セイバーがいるのは大空洞だ。そこに聖杯がある。どういうつもりか、奴さんそこから動くつもりはないらしい。まるで聖杯を守ってるみてぇだ」
道を案内しながらキャスターは状況をさらに説明する。現在の戦力を士郎は分析する。キャスターとマシュ、そして自分が一応戦うことができる。現に先ほど襲って来たアサシンもマシュとキャスターと協力して倒すのに成功した。しかし、
「他に残っているサーヴァントはアーチャーとバーサーカーでしたよね?彼らを突破してセイバーを倒す。それで今回のミッション達成ですね。しかし、今の私がお役にたてるかどうか」
「確かまだ宝具が使えねぇんだったか?」
「はい」
「せめてあなたと融合した英霊がヒントを残してくれたなら良かったんだけど」
ふとキャスターが立ち止まり士郎へと指を向けた。
「言っとくが、宝具を使うってのは持ち主の気の持ちよう、言わば本能だ。心からの思いがあれば、自ずと使えるようになるだろうよ」
徐々にキャスターの指先に魔力が集まる。身構える士郎とマシュ。しかしキャスターと士郎の間にオルガマリー所長が割って入った。その顔を見たキャスターはふっと笑うと指を下ろした。
「もう大分近くまで来た。決戦前に少しばかり休憩を取るか」
近くの建物に入り、各々が体を休めることにした。相変わらず竜牙兵は湧いて来たため、ここに来るまでにも幾度か戦闘を経ていて、士郎と所長は疲れを感じていた。結界をはりにキャスターは1人、屋上へ向かおうとしていた。
「よぉ坊主、ちょっと付き合え」
「わかった。マシュ、所長といてくれ」
「えっ、はい」
声をかけられ、キャスターを追って士郎は屋上へ向かった。
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屋上にでたキャスターは大空洞の方をずっと見つめていた。
「どうしたんだ?」
「二つばかり話しておきたいことがあってな。最初はまぁ、お前の魔術についてだ。この槍、ランクこそ落ちてはいるものの間違いなく俺の愛用していたものと同じものだ。お前はこれを隠し持っていたわけじゃないんだろ?」
「あぁ。俺の魔術で作り出した贋作だ」
「そこだ。完全に何かを再現するような魔術なんざ、聞いたことがねぇ。しかもこいつは宝具だ。そんじょそこいらの槍とは比べ物にもならねぇ。どんなデタラメだ?」
「うまくは言えないんだけど、俺がまともに使える魔術の一つ、それが投影魔術だ。武器であればそれを視認しただけでその材質、構造、歴史、あらゆる情報を瞬時に読み取ることができて、それを作り出すことができる。本来投影品はすぐに消えてしまうんだけど、俺のは特別。俺が消すか、壊されるかのどちらかでない限りは、半永久的にこの世に存在し続ける」
「なんだそりゃ?本当にデタラメだな」
「といっても、さっきお前が言ったように宝具とかのランクは下がるし、剣はともかく、他のものだと通常の何倍もの魔力を使ってしまう。いいことばかりでもないさ。そのほかだと簡単な治療魔術に、強化、解析くらいしか使えないしな」
「世の魔術師が聞いたら卒倒もんのこと言ってるぞ、お前。しかしあれだな。なんだかアーチャーの野郎に似てるな、それ」
「アーチャーに?」
「あぁ。なんだかいけすかねぇ奴でな。そのクラスの通り弓ももちろん使うが、野郎は双剣の使い手でもある」
「それって、こんなのか?」
「そうそう、まさしくそれって、おい待て!なんでお前がそれを持ってる!?」
一瞬さらりと流してしまいそうになったものの、士郎の手にある干将・莫耶を見てキャスターは驚愕していた。
「やっぱりそうか。いや、あいつとはちょっとばかり因縁があるってだけだ」
「因縁、ねぇ。まぁ詳しくは聞かないで置いてやるよ。で、こっちがむしろ本題だ。坊主、セイバーとの戦いで、お前は手を出すな」
「えっ」
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突然言われた言葉を、士郎はうまく飲み込めなかった。手を出すな。つまりは戦うなということだろう。何故そう言われたのか、全く理解できなかった。自分は足手まといだと思われているのだろうか。
「お前の実力が高いのは認める。身体強化してなら、恐らくはサーヴァント相手でもそれなりに立ち回れるだろうよ。それもあって、お前は自分で戦うことで、あの嬢ちゃんにできるだけ負担をかけないようにしてるってとこだろ?」
「あぁ」
「それが間違いだ」
「何でだよ?」
冷静な顔でキャスターは士郎を指差す。その顔は真剣そのものだった。
「いいか、お前さんがあの嬢ちゃんを守りたいと思うのはいい。だがな、あのままじゃ嬢ちゃんはいつまでたってもサーヴァントとしては半人前もいいところだ」
その言葉に士郎は言葉を詰まらせる。半人前のまま。それは嘗ての自分を思い起こさせる。あの戦争に巻き込まれた頃の自分を。散々言われた。半人前だと。足手まといだと。愚か者だと。でも、引き下がることなんてできなかった。自分も戦わずにはいられなかった。マシュも、同じ気持ちになるのだろうか。
「聞いた話から察するに、ここだけで戦いが終わるわけじゃねぇんだろ?この先どんなことがあるかわからねぇ。いつでもお前が嬢ちゃんを守れる保証もねぇ。そもそも、嬢ちゃんのあの感じからして守られるだけの存在なんて真っ平ごめんだろう」
「確かに、そうだな」
「それにな、嬢ちゃんはお前のサーヴァントだろうが。サーヴァントを信じてやれないマスターほど愚かなものはねぇ。それは相手に対する侮辱とも取れる」
「あぁ。お前の言う通りだな、キャスター。一緒に戦うって約束したんだもんな」
「とりあえず、どっしりと構えて、嬢ちゃんを信じてやんな。恐らくあの子が勝利の鍵を握ってる」
「鍵を?」
「あぁ。あのアーチャーが剣ではなくわざわざ弓でお前さんたちを狙った。よほど何かを警戒しているのだろうよ。あの盾なら、あれを防ぐことができるのかもしれねぇな」
「防ぐって何をだよ?」
「セイバーの最強の一撃をだ。あれはそんじょそこらの防具じゃ防ぎきれねぇ。なんせ伝説に名高い剣の中の剣、星の聖剣だからな」
「・・・エクスカリバー。ってことはセイバーは」
「あぁ。誇り高き円卓の騎士の王、アーサー王だ」
思い出すのは金色の髪、エメラルドのような瞳、青き鎧姿に黄金の剣。届きたいと思ったその彼女が、救いたいと思ったその彼女が、今は敵として立ちふさがることとなるのだ。
キャスターには士郎とともに参加した聖杯対戦の記憶がない設定です
もちろん、前回のランサーもです
なので士郎が一方的に知ってる感じになります。他については・・・まぁそれは登場してからということで