あー、ならステイナイトコラボもして欲しいんじゃ〜
士郎、カモォーン!
はい、そんな訳で今回の話をどうぞ!
翌日
朝も早くから、士郎は船の修復作業に取り掛かっていた。今回は1人ではなく、ドレイクの部下たちも手伝ってくれている。お陰で修復作業もだいぶん速いペースで進んでいるのだが、
「シロウのアニキ、頼まれた木材、持って来やしたぜ」
「アニキ、看板の補修、終わりやした」
「次の指示をくだせぇ、アニキ」
「……なぁ、そのアニキって呼び方、どうにかならないのか?」
「ダメですかい?」
「いや、ダメってわけじゃないけど……」
本当にどうしてこうなったのだろう。
自分はただ、昨日の夜ご飯を用意して、負傷者の手当てをして、お酒に付き合っただけ。それだけでこんなに慕われることなんて、ないはずなんだが……
「まぁ、いいか。それじゃあ後は帆の修復さえ出来れば、出航できると思うぞ。俺は専門家じゃないから、最終的なチェックは、船大工に頼むしかないんだけど」
「なら俺たちがやっておきますんで、アニキは戻ってください」
「頼んだ。って、もう昼時か。じゃあ、昼飯用意して待ってるよ」
士郎の言葉に更にやる気を出す海賊たち。余程士郎の料理を食べるのが楽しみらしい。基本どんな場所でも、どんな材料でも、士郎の手にかかれば美味しく出来上がって来るのだから、彼らの期待もわからんでもない。
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「あ、お疲れ様です、先輩」
「船の様子はどうでした?」
「お疲れ様、マシュ、リリィ。修理の方はもう少しで終わると思う」
トレーニングをして来たらしいマシュとリリィと途中で合流してから、ベースキャンプへと向かう。相変わらず努力家である2人に感心しながら、そんな2人のためにも美味しい料理を作ろうと密かに気合を込める。
「お、戻って来たね」
「おかえりなさい。川で水を汲んで来たの。冷たくて美味しいわよ。ジャンヌも手伝ってくれたわ」
「別に、暇だっただけですから、勘違いしないで。まっ、ありがたく飲むことね」
戻った士郎たちを出迎えるドレイクたち。マタ・ハリが笑顔でみんなに水を配る。士郎もありがたく喉を潤す。澄み切った川の水は、普段の水とは異なるうまさがあった。
「ありがとう。早速めしの用意をするか」
「私も手伝うわ」
「あ、ありがとう、マタ・ハリさん」
「どういたしまして」
ニッコリ笑顔で答えるマタ・ハリ。さらっと腕を組んでくる彼女の距離感に少し苦笑気味の士郎。それに対し、どこか苦々しげなジャンヌが近づく。
「ちょっと、馴れ馴れしくないかしら?」
「そうかしら?良かったら、ジャンヌも一緒にどう?とても安心できるわ」
「なっ、べ、別に!」
ふんっ、と思いっきりそっぽを向くジャンヌに、士郎は首をかしげる。隣のマタ・ハリは、ジャンヌの様子を見てくすりと笑う。
「可愛いわね、あの子」
「あの子って、ジャンヌか?顔立ちは可愛いというよりは美人って感じだと思うけど」
「そうね。でも、彼女のあり方が可愛らしいのよ。うふふ、まるで気まぐれな猫みたいね」
「猫、うーん……」
なんとなくわかるような、わからないような……そんなことを考えながらも、士郎はマタ・ハリと共に食事の準備を始める。女を磨く一環で練習していたのか、マタ・ハリの手際も意外とよく、予定より早く、全員分の食事を用意することができた。
「美味しいかしら?」
「美味いっす!」
「毎日作ってくれ〜!」
「あらあら、うふふ」
だらしなく鼻の下を伸ばしながら答える海賊達に、慈愛の笑顔を向けるマタ・ハリ。完全に子供の様子を見守る親のような感じが出ている。
「マスターはどうかしら?」
「あ、ああ。俺の知らない味付けだったけど、結構いけるな、これ。今度教えてくれるか?」
「ええ。いいわよ」
「なんでしょう、マタ・ハリさんの先輩を見る目が、海賊の皆様の時と違うような……」
「そうですか?私はよくわかりませんが」
「……ふんっ」
「全く、うちの野郎どもと来たら……」
マタ・ハリの様子を見ながら話し合う士郎のサーヴァントたち。そして部下の様子に苦笑しながら溜息をつくドレイク。
賑やかな食事の時間は、穏やかに過ぎていく……
……筈だった
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『遠坂の弟子、聞こえるか?』
「ロード・エルメロイII世か。なんだ?」
『長いから諸葛孔明と呼べと……いや、それはいい。島に新たなサーヴァントの反応が上陸した。今そちらに向かっている』
「っ!」
一瞬で緊張の糸が張り詰める士郎。その様子に、ドレイクたちも周囲を警戒しだす。
「敵かい?」
『ごめん、そこまではわからない。だから警戒は怠らないでくれ』
「クラスはわかるか?」
『ごめんそれも……でも、まっすぐ向かってるってことは、多分アーチャーやキャスターではないと思うよ』
つまり、ある程度接近戦に自信がある、或いはそれだけの知性を失っている相手ということになる。
ズシリ———ズシリ———
重々しい足音が聞こえてくる。それほどの巨体か、或いはそれほどに重い獲物を持っているのか。
「来るぞ!」
「見ツケタ!見ツケタ、見ツケタ、見ツケタ!」
筋骨隆々な体に、何処か気品があるように思える顔。しかしその顔は狂気に歪み、身の丈ほどもある斧がまるで血に染まっているかのような赤色を覗かせる。
「こいつは!」
「ドレイク、知ってるのか?」
「やばい奴さね。大砲の直撃喰らっても生きてたとはね。こいつもあれかい?サーヴァント、だっけか?」
「ああ。バーサーカー。狂戦士のサーヴァントだ。基本的に理性を失っているから、本能に任せた動きが多い」
「なるほどねえ。通りで唸り声しかあげなかったわけだ。こいつも、あの岩の塊みたいなのも」
すかさず銃を手に取り、ドレイクが構える。
マタ・ハリに下がるように指示し、士郎が両手で剣を握る。
「マシュ、前衛頼む。ジャンヌ、リリィ、マタ・ハリは後方待機!海賊たちを頼んだ」
「了解!」
「はい!」
「ええ」
「わかったわ」
士郎とマシュがドレイクの横に並ぶ。
「ドレイク。俺たちがあいつに切り込む。ドレイクは銃による援護を頼みたい」
「言っとくけど、あたしは狙いがめちゃくちゃいいわけじゃないよ。下手すりゃ、あんたらに当たるかもしれない」
「当てるのは強烈な一撃でいい。隙は俺たちで作る。直ぐに離脱するから、その時に頼む」
「気合い十分ってわけかい。いいよ、乗ってやろうじゃないか」
海賊たちに合図を出すドレイク。各々が銃を手に取り、ドレイクの背後に控える。ドレイクのすぐ後ろにジャンヌたちがつき、いざという時に海賊たちを守れるようにする。
一歩前に進む士郎とマシュ。チラリと士郎がマシュの様子を伺うと、マシュが丁度士郎の方を向き、目が合う。
頷くマシュ。それに対し、士郎も頷きを返す。
「行くぞ!」
「はい!サーヴァント、マシュ・キリエライト、戦闘に入ります!」
雄叫びをあげながら、敵が斧を振り上げる。対する二人は臆することなく敵に向かって突っ込む。振り下ろされた斧が盾と激突する。全力で斧を弾くと、マシュが横にステップする。
「うぉぉぉおっ!」
入れ替わるように前に進み出た士郎の剣が、敵サーヴァントに向かって振り抜かれる。
それなりに離れた場所、木々の中から、男は様子を伺っている。手に持っているのは、その時代には似合わないライフル。そのスコープを覗き込むようにしながら、彼は正確に士郎たちを捕捉している。
「どうやら、邂逅したらしいな……さて、人類最後のマスターの実力、しっかりと僕が見極めるとしよう……」
完全に覆われた顔からはどんな表情をしているのかは伺えないが、その声はひどく冷たく、事務的なものに聞こえる。
彼の咥えたタバコの煙だけが、ゆらゆらとその場で揺れている。
おや、最後に誰かいるはずのない人が?
まぁ、皆様はもうなんとなく予想しているでしょうけどね笑
さぁどうなる今特異点最初のサーヴァント戦