大空洞の前まで来た士郎たち。半人工的なその入り口に立つだけで、その奥に大きな力を持っているものいるのを感じ取れた。それほどまでに大きな魔力だった。思わずゴクリと喉を鳴らしてしまう。
「この奥に、セイバーが」
「あぁ。と、その前にどうやら信奉者のお出ましだな」
後ろを振り返るキャスター。そこにある小さな崖の上に1人の男が現れた。白髪に黒いいでたち。今回は赤い外套はないようだ。鋭い目でこちらを睨みつけるのは間違いなくサーヴァント。バーサーカーのように理性は消し飛んでいない。詰まる所彼は、
「よう、アーチャー。相変わらずセイバーのお守りをやってんだな」
「信奉者になったつもりはないのだがね」
黒い弓をその手に持ち、アーチャーは鷹のごとき目で彼らを見下ろす。あいも変わらずの皮肉っぽい口調に何故か少し安心する士郎。しかし気を緩めるわけにはいかない。こうして現れたということは、どうであれ敵であるということなのだから。
「坊主、お前たちは先に行け。俺はこいつとケリをつけなきゃならねぇ。セイバーは任せたぞ」
「あぁ。けどその前に一つだけ、あいつに聞かなきゃいけないことがある」
「あん?」
自分たちの前に立っていたキャスターの隣に並ぶ士郎。まっすぐにアーチャーを見上げた彼は問いかける。
「アーチャー!お前は答えを得られたか?」
「・・・なんのことだね?」
「・・・そうか」
短い問い。その問いに対して、一瞬彼が言葉を詰まらせたのに気づかない士郎ではなかった。それだけで十分だ。これで彼女との戦い、迷いなく見届けられる。一度伏せた顔を上げた彼は、より強い決意の表情を見せた。
「ここは頼む、キャスター」
「あぁ。任せな」
その言葉を受けて士郎はマシュと所長を連れて奥へ進んだ。アーチャーもキャスターも、彼らが完全に視界から消えるまで何もせずに待っていた。
「随分と親切じゃねえか、わざわざ行くのを待ってやるなんてよお」
「何、あの小僧がいては気が散るのでね。私の知っているのよりもいささか歳を重ね成長しているようだな。君を相手取りながら奴に気を取られるのは、あまりにも愚かなことだ。であるならば、先により脅威である君を倒す方がいい」
「そういやあの坊主もテメェとは因縁があるとか言ってたっけな。まぁ何でもいいさ。いい加減その顔も見飽きたところだ。決着つけようや、アーチャー」
そう言ってキャスターは霊体化させ隠し持っていた槍を実体化させる。僅かにアーチャーの瞳が見開かれたが、すぐさま皮肉げな笑顔を見せた。
「やれやれ。私の記憶違いか、君はキャスターではなかったのかね?」
「悪りぃな、こっちの方が好みなんでなぁ!」
地面を蹴り、キャスターは槍を振るう。その一撃をアーチャーはいつの間にか両手に持った剣で受け止めた。
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「この奥だな」
洞窟の一本道の先、明らかに感じ取れる魔力の量と質が上がった。入り口からしても驚異的だったというのにだ。
「覚悟はできたかしら、マシュ、衛宮?」
「あぁ。マシュは?」
「大丈夫です」
頷きあい道の先、ひらけた空間へ足を踏み入れた。山の中にこんなに広い空間があったのかと思うほどに、高く広い場所だった。真正面、少し高いところに一つの影が立っていた。黒い甲冑に黒い剣、くすんだ色の髪を持つ影。サーヴァント、セイバーはそこに立っていた。ゆっくりとその瞳が開かれる。金色のそれは士郎たちを捉えた。
「ほぅ。盾のサーヴァントか。面白い」
「あれがセイバー、なんて威圧感なの」
息を飲む所長。サーヴァントと顔を合わせるといつも何か大きな存在感を感じるが、彼女のそれは桁違いだった。恐ろしいまでの魔力と、鋭い殺気。それを受けてなお、士郎の表情は恐怖を感じさせず、むしろどこか寂しげに見えた。
セイバーが地面に突き刺していた剣を抜く。反転し、性質まで変わってしまった光を呑みこむ黒き聖剣。
「こい。貴様の守り、まことのものかを試してやろう」
「セイバー・・・マシュ、頼む」
「はい、先輩。戦闘に入ります」
爆発的な魔力放出を推進力に、セイバーがマシュへ接近し剣を振り下ろした。鉄同士がぶつかり合うような音が洞窟内に響いた。
あえて二人の会話は短くしました
さて、こっから戦闘シーンだけどうまく書けるかな?