真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第百二話

 

 

まだ凪と気の話をしたかったけど、大将の所へ行かなきゃならないので一旦別れる事に。

なんか凪も季衣と遠征らしい。話を少しだけ聞いたのだが他の面子も遠征やら討伐とか調査で結構城を離れているとか……俺が知らない間に何が決まったんだか……まあ、大将に話を聞けばわかるか。

 

 

「失礼します」

 

 

俺は大将の部屋に話を聞くべく入った。

 

 

「ふふ……桂花ちゃんも純一さんの前では、お猫さんですね~」

「ほら、桂花。私達に純一との営みを教えてみなさい」

「か、華琳様ぁ~」

 

 

俺は静かに扉を閉めた。

風と大将が桂花に尋問していた。これは関わったら確実にヤバいと俺の危機察知能力が警報を鳴らしていた。

 

 

「さて……書類整理でもしてくるか」

「逃がさないわよ」

 

 

逃げようかと思ったら、いつの間にか扉が開いており、大将が俺の肩を掴んでいた。

 

 

「元気そうね純一。回復したなら何よりだわ」

「すいません……お腹痛いんで早退します」

 

 

ニコニコとしているが決して笑っていない大将。

心なしか掴んでる手にも力がスゴい入ってる。

 

 

「あら、一日寝ていたのにまだ体調か悪いのかしら?。まあ、逃げたければ逃げなさい。私と風はこれから桂花に可愛らしい服を着せるわ。生着替えよ」

「大将、体調は万全なので是非とも拙者を末席にお加えください」

「あらら~。純一さんもお兄さん同様に非常に素直なのですよ」

 

 

大将の言葉に俺は即座に片ひざを着いた。風が何やら呟いたが見逃すわけにはイカン。

 

 

「この馬鹿……そ、そんなに見たいなら……その……」

「はいはい、桂花ちゃんもノロケないでください。あくまで純一さんを留める為の方便なのですから」

 

 

意外にも桂花がノリ気だったが風の一言で騙された事に気づく。チクショウ。

 

 

「まったく……妬けるわね。ま、そっちは後回しにするわ。純一、これが当面貴方に預ける仕事よ」

「後々追求はされるのね……っと?」

 

 

どうやら桂花関連の事は言い逃れ出来ないようだ。そんな事を思いながら渡された資料に目を通したのだが……

 

 

「大将……ちぃとばかり将が足りなくねぇかい?」

「そうね、やる事が多いのよ」

 

 

俺の問いをはぐらかす大将。自分で理解しろって事か……春蘭や秋蘭等の主要な将や軍師は討伐や遠征、調査に出る。

霞や他の一部の武将はまだ城に居るが数日後には調査に出る予定っと……ものの見事に城から将が居なくなるな。

今後、城に残る主だった面子は大将、一刀、俺、桂花、風、真桜、斗詩、大河、月、詠となる。月と詠は将でも軍師でもないが一応カウントしてみただけだ。

要は東西南北の各方面に武将や軍師を派遣し、中央には殆ど残っていない状況な訳で……いくらなんでも城をがらんどうに空けすぎだ。まるで敵に隙を見せる為に無理に春蘭達を遠征に向かわせた様な……って、まさか……

 

 

「大将……大きい獲物を釣るにしては餌が大き過ぎませんかね?」

「あら、美味しい餌を用意するのも釣り師の腕の見せ所じゃない」

 

 

ビンゴ。大将はわざと城に将を残さずに派遣した。そしてがら空きになって攻めに来るであろう者を待っているのだ。

そして今の勢力圏で魏に攻め入るような所はある程度限られてくる。大将はどの勢力が来るかを待つと同時に、その力すら計るつもりだ。乱暴すぎる気もするが……

 

 

「って……あれ?華雄と恋は?」

 

 

資料に目を通していたのだが華雄と恋の名は無かった。

 

 

「斗詩から話は聞いてるとは思うけど二人には罰を与えたわ」

「え……何をしたんだ?」

 

 

罰を与えたって……資料に名前が載らないってよっぽどだぞ。何をした……?

 

 

「あら、簡単な事よ。貴方が作った特殊部隊の訓練もうすぐ終わるらしいじゃない」

「ああ……アレね」

 

 

大将の言葉に俺が創設した部隊を思い出す。元華雄隊の一部を引き抜いて特殊な訓練を積んでいる部隊。基本的には華雄、恋、ねねに訓練相手は任せてる。俺は時折り、様子を見に行ってる程度だが前に見たときはもう殆ど訓練は済んでおり、すぐにでも実行部隊になれそうな感じだった筈だけど。

 

 

「その『特殊部隊がちゃんと機能するまで秋月純一との接触を禁ずる』それがあの二人に課した罰よ」

「……………それって俺にも罰になってないか?」

 

 

あの二人からしてみれば俺に会えないのは罰になる。だがそれは俺も二人に会えなくなるので俺にも罰が与えられた様な状態だ。

 

 

「純一……『私は他の娘達も気に掛けなさい』『本気で彼女達を思うのなら彼女達とちゃんと向き合いなさい』と言ったわよね?その忠告が無駄になった結果よ。貴方も甘んじて罰を受けなさい」

「……りょーかい」

 

 

つまり、今後はそんな事が起きないように気を付けろって事ね。

 

 

「でも……気持ちはわかるわ。こんなに可愛い桂花なんですもの夢中になるわ」

「ひゃん!か、華琳様!?」

 

 

大将はそう言いながら桂花の背後に素早く回り込み、服の上から桂花の胸を揉み始めた。大将の細い指が桂花の胸を揉んで桂花は小さな悲鳴を上げる。

俺はその光景をじっくりと特等席で拝まされた。

 

 

「華琳様、桂花ちゃん。純一さんが獲物を前にした虎みたいになってますよ」

「ん……ごほん」

 

 

風の一言に俺は咳払いを一つ。いや、こんな光景が目の前で繰り広げられて視線を反らすなんて出来ない。いや、出来る筈がない!反語。

 

 

「や、やぁ……見ないで秋月ぃ……」

 

 

次の瞬間、俺のハートは桂花にステラ(流星一条)された。

熱い吐息と潤んだ瞳でそのセリフはヤバい。もう完全に撃ち抜かれた。

大将はと言えば呆然とした顔の後に一気に顔が赤くなった。そうだよね。今のは一撃必殺だったよね。覇王様にも効いたようだ。

 

この後だが色んな意味で燃え上がった大将は桂花を連れて閨に引きこもり、俺と風は追い出された。超後ろ髪引かれてます。

俺はと言えば遠征に出る将達の仕事を一刀と共に肩代わりして仕事をしなければならないのだが……

 

 

「集中出来そうにねぇ……」

 

 

先程の光景が目に焼き付いた俺は仕事に集中出来ないまま今日一日を過ごす羽目になった。

 




『ステラ(流星一条)』
Fateシリーズの登場人物アーラシュの宝具。
あらゆる争いを終結させる弓矢。
その射程は2500km(千島列島から沖縄くらいまでの距離)

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